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平成10年11月25日

コンピュータ西暦2000年問題に係る
医療用具実態調査結果について


1 調査の概要

(1)目的

 本調査は、医療用具業界における「コンピュータ西暦2000年問題」への対応状況を把握するため、業界団体を通じ予備的な調査を行った。(平成10年10月2日付け医薬審第891号及び医薬安第107号による)


(2)調査対象

 医療用具関連団体である、日本医療機器関係団体協議会、在日米国商工会議所(ACCJ)医療機器小委員会及び欧州ビジネス協会協議会(EBC)医療機器委員会に対し、加盟企業を対象とした調査を依頼した。

(参考)
 日本医療機器関係団体協議会 傘下18団体 (のべ4916社加盟)
 在日米国商工会議所医療機器小委員会 (50社加盟)
 欧州ビジネス協会協議会医療機器委員会 (17社加盟)

2 調査結果

(1)回答状況

 調査票の配布数は958であった。回答数は447(回答率47%)であったが、上記関連団体から傘下団体を通じて調査票を配布したため、複数団体に所属している企業が一方だけに回答していることも、回答率が低めとなった一因と考えられる。


(2)点検の実施について(図1)

図1 点検を実施したか
図1 点検を実施したか

 既に約60%の業者で点検を終了し、また約20%が点検中であった。一方、点検の予定はないと回答した業者が20%あったが、この中には2000年問題が発生するおそれのある医療用具を取り扱っていない業者が含まれている。


(3)問題発生のおそれがある機器について(図2,3)

図2 問題発生のおそれがある医療用具があるか 図3 問題発生のおそれのある医療用具はなにか
図2 問題発生のおそれがある医療用具があるか 図3 問題発生のおそれのある医療用具はなにか


 回答のあった業者のうち、25%が2000年問題が発生するおそれがある医療用具を取り扱っている。この内訳としては、画像診断システムが26%、生体現象計測・監視システムが23%、医用検体検査機器が23%、その他、治療・手術・処置用機器や生体機能補助代用機器等が28%であった。


(4)点検の結果把握できた問題点(図4)

図4 点検の結果把握できた問題点は
図4 点検の結果把握できた問題点は

 直接患者が死亡または重篤な障害が発生するまたはそのおそれがあるという問題点は今回の調査では見つからなかった。
 機能停止またはそのおそれがあると回答されたものが5件あり、これらの問題点について、関連団体及び個別業者の協力により事情聴取し、
○検査機器で起動時に日付認識ソフトウェアがエラー検出し起動しない(3件)
○患者監視装置で1999年12月31日から2000年1月1日になる時点で機械が停止する(1件)
○検査システムで2000年1月1日以降過去のデータを読み込もうとすると該当データなしと表示する(1件)
ことが判ったが、これらの業者では既にソフトウェア更新等で対応可能なことを確認している。


(5)模擬テスト完了時期(図5)

図5 模擬テストの完了時期
図5 模擬テストの完了時期

 2000年問題が発生する(又はおそれのある)医療用具を取り扱っている業者のうち模擬テストを既に完了しているものが32%、1998年末までに完了するとしているものが9%、1999年6月までに完了するとしているものが17%である。一方、模擬テスト完了に1999年末までを要するとしているものが26%、未定としているものが14%となっている。


(6)責任体制について(図6)

図6 責任体制について
図6 責任体制について

 担当役員まで設置済みが34%、統括部署設置済みが46%と8割が責任体制を明確化している。


(7)危機管理計画の策定ついて(図7)

図7 危機管理計画について
図7 危機管理計画について

 危機管理計画を策定済みあるいは予定している業者は59%であった。


(8)ユーザーへの情報提供について(図8,9)

図8 ユーザーへの情報提供について 図9 広く一般に対する情報提供について
図8 ユーザーへの情報提供について 図9 広く一般に対する情報提供について


 ユーザーに対し、既に直接情報提供を完了した業者が9%、情報提供中が31%であった。
 また、インターネットで広く国民一般に情報提供を行っている(又は行う予定としている)業者が40%であった。


3 総括

 西暦2000年問題に対し何らかの対応を始めている業者が多くみられ、本問題の重要性が浸透していることが伺えたが、個々の項目に着目すると、対応が十分とは言い難い点も散見される。このため、厚生省においては平成10年10月20日付け健政発第1136号、医薬発第940号並びに障第625号通知を発出し、対応の進捗を促したところである。
 具体的には、模擬テストは優先医療用具(人工呼吸器、生命維持装置など2000年問題により生命に影響を与えうると考えられる医療機器)においては本年12月末までに、それ以外の医療用具においては1999年6月末までに、それぞれ完了すべく努めるよう求めたところである。
 また、危機管理計画の策定を促すとともに、危機発生による影響の評価、危機への対応、危機管理テストの実施・検証等について各々点検すべき項目を提示するなどその策定に当たって必要な事項を示したところである。
 さらに、2000年問題によって当該医療用具に生じると予想される問題点及び該当医療用具における「問題なし」若しくは「修正作業等が必要」等の状況について、判明次第速やかに、卸や代理店などの販売業者を通じる等の手段により、納入先の医療機関等に対し情報提供を行うよう求めたところである。
 また、平成10年10月13日付け医薬審第898号及び医薬安第124号通知によって、上記医療用具関連団体に加盟した業者に対して本件に関する連絡窓口の設置を求め、当該窓口の連絡先一覧を厚生省のホームページに掲載すべく現在準備中である。
 今後、優先医療用具の模擬テストが終了する1998年12月末日現在における各業者の対応状況に関する悉皆調査を行い、さらにその後の進捗状況を四半期ごとに追跡することとし、これらの結果を公表するとともに、必要に応じ個別に指導を行うなど、2000年問題に対してできる限りの対応を講じていくこととしている。

厚生省医薬安全局 安全対策課
         審査管理課
  担当:田村、剣持、俵木
   [現在ご利用いただけません](内線)2751


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