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平成10年8月28日

公衆衛生審議会成人病難病対策部会
クロイツフェルト・ヤコブ病等専門委員会(第5回)の開催について


1.本日、公衆衛生審議会成人病難病対策部会クロイツフェルト・ヤコブ病等専門委員会(委員長:佐藤 猛国立精神・神経センター国府台病院名誉院長)が開催されました。

2.クロイツフェルト・ヤコブ病及び類縁疾患調査(平成9年2月13日から実施)の平成10年6月末現在の集計結果が報告・検討されました。その概要は以下の通りです。

(1)平成10年1月1日より6月末日までに報告された15例及び前回の専門委員会で保留とされた4例の内3例(1例は2年後を目途に再調査との結論のため)の計18例を検討しました。

(2)新規報告の15例のうち、一昨年度の全国調査との重複例はありませんでした。

(3)検討された18例(保留3例を含む)のうち、1例が保留と判定されたため、新たに確認された症例は17例でした。(表1)

(4)若年発症者は、39歳以下1例でした。また、新変異型クロイツフェルト・ヤコブ病と判定された症例はありませんでした。

(5)手術既往歴を持つ症例は12例あり、その内ヒト乾燥硬膜移植の既往を持つ症例は6例でした。(表2)


表1.今回報告された症例一覧

  全体(79例) 保留(2例) 今回サーベイランス新規登録
(15例:再掲)
47 1 6
32 1 9
年齢(歳)  〜29 2    
30〜39 1   1
40〜49 4 2  
50〜59 17   4
60〜69 34   6
70〜79 18   3
80〜 3   1
発症年 1989 1    
1991 2    
1993 2    
1994 4    
1995 5    
1996 32 2 1
1997 29   10
1998 4   4

表2.ヒト乾燥硬膜移植の既往を持つ症例一覧

硬膜移植年月 疾患名 発症年 発症時年齢 発症までの期間
(年)
1979/11 髄膜腫 1997 58 18
1983/02 脳動脈瘤 1997 61 14
1987/09 脳動脈瘤破裂 1997 62 9
1985/01 髄膜腫 1998 55 12
1983/05 小脳髄膜腫 1997 30 14
1985/04 天幕髄膜腫 1991 42 6

前回保留分


(参考資料)

平成10年8月28日

「クロイツフェルト・ヤコブ病等に関する緊急全国調査」と「クロイツフェルト・ヤコブ病及び類縁疾患調査」について


【背景および調査の流れ】

 1996年3月の英国政府諮問委員会の声明に端を発して、いわゆる狂牛病とヒトの新変異型クロイツフェルト・ヤコブ病 (nv-CJD) との関連性が世界的な注目を集めた。わが国においてnv-CJD患者が存在するかどうかを明らかにし、国民の不安を取り除くため、緊急にクロイツフェルト・ヤコブ病患者の動態を明らかにする必要が生じ、1996年度に「クロイツフェルト・ヤコブ病等に関する緊急全国調査」(調査1)が行われた。
 その後、緊急全国調査の実施以降も引き続き、クロイツフェルト・ヤコブ病及び類縁疾患(CJD等)患者の発生状況等の把握のため、1997年2月より「クロイツフェルト・ヤコブ病及び類縁疾患調査」(調査2)が始まった。

【調査結果概略】

調査
名称
調査対象期間 CJD等
患者報告
総数
若年(49歳以下 )
発症者数
( )は39歳以下
ヒト乾燥硬膜
移植の既往を
持つ患者数
備考
調査1 1985年1月より
1996年5月までの
報告例
829例 13例(8例) 43例 1997年
4月3日発表
調査2 1997年12月末まで
の報告例
62例 5例(2例) 11例 1998年
3月16日発表
1998年6月末まで
の報告例
17例 2例(1例) 6例 1998年
8月28日発表
1998年6月末時点 908例 20例(11例) 60例  


(佐藤委員長コメント)

1 本日、クロイツフェルト・ヤコブ病等専門委員会を開催し、18例の報告例を検討しました。このうち1例の保留があり、現在までに本調査において把握した症例は79例になり、そのうち、新変異型クロイツフェルト・ヤコブ病と判定された症例はありませんでした。

2 本調査にご協力いただいた各関係医療機関へ感謝の意を表したいと思います。また、この調査では、医療機関のご協力が不可欠であり、私どもも今後とも、症例把握の努力を続けて行きますので宜しくご協力お願いします。

3 本調査は、今後も半年毎に結果をまとめ報告してまいりますとともに、今後、本調査に報告していただいた症例についてのfollow up調査も考えておりますので、その際は再度ご協力をお願いします。

平成10年8月28日
クロイツフェルト・ヤコブ病等専門委員会
委員長 佐藤 猛


照会先:厚生省保健医療局
エイズ疾病対策課
担当: 三丸、加藤
内線: 2355、2353
電話:[現在ご利用いただけません]


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