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平成10年8月14日
先般、ダイオキシン類、内分泌かく乱化学物質、食品、廃棄物、水道等の生活衛生局の所管事項に関する研究事業である、生活安全総合研究事業の平成10年度の研究課題が全て決定した。そのうち、特に国民の関心の高いダイオキシン類及び内分泌かく乱化学物質に関する研究の概要は以下のとおりである。
概要
平成10年度予算については、当初予算額として6億7百万円、補正予算額として10億円が計上され、総額として16億7百万円となっている(表1参照)。
ダイオキシン類関連については、人への健康影響、母乳の汚染実態調査及び乳幼児への健康影響、食品の汚染実態調査、廃棄物焼却場からの排出抑制技術等、平成9年度から行っている研究については、大幅に増額することにより一層の研究の充実を図るとともに、人体からのダイオキシン類の排泄、ダイオキシン類の分解に関する研究など、新たな研究を行う(表2参照)。
一方、内分泌かく乱化学物質関連については、本年度大幅に増額されたことにより、化学物質スクリーニング試験法の開発、食品等からの曝露実態調査、人への健康影響に関する研究等、総合的な研究を行う(表3及び表4参照)。
表1 採択額一覧表
(単位:千円)
平 成 1 0 年 度 | 平成9年度 予算額 |
|||
当初予算額 | 補正予算額 | 合 計 | ||
ダイオキシン類関係 | 479,000(表2) | 0 | 479,000 | 275,750 |
内分泌かく乱化学物質関係 | 128,000(表3) | 1,000,000(表4) | 1,128,000 | 16,190 |
合 計 | 607,000 | 1,000,000 | 1,607,000 | 291,940 |
表2 平成10年度厚生科学研究費補助金(生活安全総合研究事業/ダイオキシン類関連)採択課題一覧(当初予算分)
(単位:千円)
No. | 主任研究者 | 所属施設 | 職 名 | 研究課題名 | 研究の概要 | 交付予定額 |
(健康影響等) | ||||||
1 | 渡邊 昌 | 東京農業大学 応用生物科学部 | 主任教授 | ダイオキシン類のヒト暴露状況の把握と健康影響に関する研究 | 我が国におけるダイオキシン類の人体暴露量について、その実態調査を行うとともに、ダイオキシン類の各異性体の組織内蓄積分布を計測する等、ダイオキシン類の健康影響評価に関する基礎的検討を行う。 | 45,000 |
2 | 多田 裕 | 東邦大学医学部 新生児学教室 | 教授 | 母乳中のダイオキシン類に関する研究 | 母乳中のダイオキシン類の濃度測定、母乳中のダイオキシン類の総量の推計を行うとともに、母乳中のダイオキシン類の濃度に影響を与える因子や母乳中のダイオキシン類が乳幼児に与える影響等について考察する | 50,000 |
3 | 豊田 正武 | 国立医薬品食品衛生研究所 | 食品部長 | ダイオキシン類の食品経由総摂取量調査研究 | ダイオキシン類等の食品を介した人への曝露状況を把握するため、通常の食事から摂取されるダイオキシン類等の量に関する調査を行う。 | 50,000 |
4 | 堤 治 | 東京大学 医学部産科婦人科学教室 | 産科婦人科学・助教授 | ダイオキシン類の汚染状況及び子宮内膜症等健康影響に関する研究 | ダイオキシン類の人体汚染とその生殖機能への影響を明らかにするため、体内のダイオキシン濃度と各種生殖パラメーター(子宮内膜症の重症度、精子濃度等)との関係を検討する。また、胚発育に対するダイオキシン類の環境安全限界等の検討を行う。 | 14,000 |
5 | 安田 峯生 | 広島大学(医学部) | 教授 | ダイオキシンによる子宮内膜症誘発機序に関する研究 | マウス実験モデルを中心に、ダイオキシン類と子宮内膜症との関連性及びその発生機序の解明を行う。 | 15,400 |
6 | 金子 豊蔵 | 国立医薬品食品衛生研究所 | 毒性部第2室長 | ダイオキシン類の汚染状況及び子宮内膜症等健康影響に関する研究 | ダイオキシン類の健康影響に関して、in vivo及びin vitroの実験系において、(1)胎児発生時の奇形の誘発、(2)成人における発がん性、(3)Ah受容体の制御機構の3点に焦点をあて、その作用メカニズムを解明する。 | 18,000 |
7 | 小栗 一太 | 九州大学 薬学部 | 教授 | ダイオキシン類による健康影響の機構に関する研究 | 酵素タンパク質の発現調節を担う転写調節因子に及ぼすダイオキシン類の影響を調べることにより、ダイオキシン類の代謝を通じての人体での毒性発現機構を解明する。 | 5,000 |
8 | 森田邦正 | 福岡県保健環境研究所保健科学部 | 専門研究員 | ダイオキシン類の排泄促進に関する研究 | ダイオキシン類の体内吸収及び体外排出の機構を解明し、ダイオキシン類の人体汚染を未然に防止する食生活の方法を提案する。 | 5,000 |
(排出源対策等) | ||||||
9 | (財)廃棄物研究財団 | 廃棄物処理におけるダイオキシン類の排出メカニズムに関する研究 | 廃棄物焼却施設における燃焼状態及び廃棄物の種類等とダイオキシン類の排出状況の関係等に関する調査を行い、ダイオキシン類生成のメカニズムに関する研究を行う。 | 93,000 | ||
10 | (財)廃棄物研究財団 | 廃棄物処理におけるダイオキシン類の排出抑制技術に関する研究 | 廃棄物焼却施設及び最終処分場から周辺環境へのダイオキシン類の排出を抑制するための技術、ダイオキシン類発生の少ない次世代型ごみ焼却施設等の研究を行う。 | 146,000 | ||
11 | 武田 信生 | 京都大学大学院工学研究科環境工学専攻 | 教授 | 火葬場からのダイオキシン類排出抑制対策の検討 | 全国20カ所程度の火葬場から排出されるダイオキシン類の実態調査等を行い、その結果を踏まえてダイオキシン類の排出抑制手法に関する検討を行う。 | 23,000 |
12 | 古市 徹 | 北海道大学大学院 工学研究科環境資源工学専攻 | 廃棄物管理工学研究室教授 | ダイオキシン微生物処理技術の研究 | 土壌中から発見されたダイオキシン類を分解することのできる微生物によるダイオキシン類の分解過程の解析とその微生物を用いた処理技術に関する研究を行う。 | 5,000 |
13 | 平石 明 | 豊橋技術科学大学 エコロジー工学系 | 文部教官助教授 | ダイオキシンの生分解機能の探索と特性評価 | 環境中に存在するとされているダイオキシン類分解機能を有する微生物を探索し、その生分解機構を生態学的、生化学的及び分子レベルの観点から解明することにより、最も効果的なダイオキシン類生分解技術を確立する。 | 4,600 |
14 | 和田 恵一郎 | 新日鐵化学(株)総合研究所 | マネージャー | 簡易ダイオキシン検出システムに関する研究 | 燃焼時のダイオキシン類発生量と相関の高い物質を検査することによってダイオキシン類の発生を推定する簡便な検査法の検討を行う。 | 5,000 |
(単位:千円)
No. | 主任研究者 | 所属施設 | 職 名 | 研究課題名 | 研究の概要 | 交付予定額 |
15 | 井上 達 | 国立医薬品食品衛生研究所 | 部長 | 内分泌かく乱化学物質の人の健康への影響のメカニズム等に関する調査研究 | 内分泌かく乱化学物質の人への影響のメカニズムについて、神経系、内分泌系、免疫系、シグナル伝達系等を中心に個体発生から成体での内分泌機能への影響に至るまでの広い範囲を視野に入れ、探求する。 | 45,000 |
16 | 岩本 晃明 | 聖マリアンナ医科大学 泌尿器科 | 泌尿器科 主任教授 | 内分泌かく乱物質等の生活環境中の化学物質による健康影響−日本人正常男性の生殖機能に関する総合的研究− | 日本人男性の生殖機能の健康状態を把握するため、妊孕能を有する男性を対象とした生殖機能調査を実施し、健康な日本人男性の精液所見及びその他の調査項目を詳細に解析するとともに、標準的な調査方法、検査方法並びに解析方法を確立する。 | 30,000 |
17 | 今井 清 | (財)食品薬品安全センター 秦野研究所 | 副所長 | 内分泌かく乱化学物質等、生活環境中化学物質による人の健康影響についての試験法に関する調査研究 | 内分泌かく乱化学物質の生体内におけるホルモン様作用検知のための試験法について、スクリーニング試験、第1段試験、第2段試験、確定試験等の開発、検討を行う。 | 44,000 |
18 | 関沢 純 | 国立医薬品食品衛生研究所 化学物質情報部 | 化学物質情報部 情報第1室長 | 内分泌かく乱物質等、生活環境中の化学物質による健康リスクの評価における不確実性の解析に関する研究 | ダイオキシン類及び内分泌かく乱化学物質のリスク評価を行う際の不確実性要因(データギャップ、種差・個体差、外挿法の方法等)について解析し、リスク評価の信頼性の向上に寄与する。 | 3,000 |
19 | 片瀬 隆雄 | 日本大学 生物資源科学部 | 教授 | 内分泌かく乱物質、生活環境中の化学物質による健康影響及び安全性の確保等に関する研究 | 日常で使用される頻度の高い合成樹脂からの溶出物について、物質の同定及び組替え酵母スクリーニング法を用いたエストロゲン活性の調査を行う。 | 3,000 |
20 | 山崎 聖美 | 国立公衆衛生院 栄養生化学部 | 主任研究官 | 内分泌攪乱物質の免疫機能に及ぼす影響に関する研究 | 内分泌かく乱化学物質が人の免疫機能に与える影響について、免疫機能の低下やアレルギー発症との関係及びそのメカニズムに関する調査研究を行う。 | 3,000 |
(単位:千円)
21 | 中澤 裕之 | 星薬科大学医学部 | 教授 | 内分泌かく乱化学物質の胎児、成人等の曝露に関する調査研究 | ヒトがどの程度曝露されているかを明かにするため以下の研究を行う。(1)内分泌かく乱化学物質の胎児・乳児曝露等に関する調査研究、(2)内分泌かく乱化学物質の成人曝露等に関する調査研究 | 145,000 |
22 | 齋藤 行生 | 国立医薬品食品衛生研究所 | 副所長 | 内分泌かく乱化学物質の食品、食器等からの曝露に関する調査研究 | 内分泌かく乱化学物質に対する曝露は主として経口より生ずるため次の項目を行う。(1)フタル酸エステル等の曝露に関する研究、(2)ビスフェノールA等フェノール化合物の曝露に関する研究、(3)有機スズ化合物の曝露に関する研究、(4)その他内分泌かく乱化学物質の曝露に関する研究 | 114,000 |
23 | 国包 章一 | 国立公衆衛生院 | 水道工学部長 | 内分泌かく乱化学物質の水道水からの曝露等に関する調査研究 | 内分泌かく乱化学物質の食品、水道等からの曝露量を把握する調査研究の一環として、水道における挙動、存在量等を調査し、水道水からの曝露量を明らかにする。 | 71,000 |
24 | 広瀬 雅雄 | 国立医薬品食品衛生研究所安全性試験研究センター | 病理部長 | 28日間反復投与試験等に関する調査研究(OECDテストガイドライン国際共同バリデーションプロジェクト | 内分泌かく乱化学物質のin vivoスクリーニング法の開発を目的とした国際共同バリデーションプロジェクトに参加する目的で、(1)OECD407ガイドラインを改訂した28日間反復投与試験、及び(2)子宮重量等を指標とした生体試験を行う。 | 229,000 |
25 | 福島 昭治 | 大阪市立大学医学部 | 教授 | ビスフェノールA、ゲニステイン等の繁殖影響及び体内動態等に関する調査研究 | 内分泌かく乱作用が報告されているビスフェノールA、ゲニステイン等4物質についてラットを用いた2世代繁殖試験及び蓄積性胎児や乳汁中への移行等を含む体内試験を実施し、ヒトへの健康影響について検討する。また、行動、免疫等に関する調査研究も行う。 | 167,000 |
26 | (財)食品薬品安全センター | 繁殖影響、体内動態に関する調査研究 | ノニルフェノール及びブチルベンジルフタレートの2物質について、ラットを用いる2世代繁殖試験を行う。又、3物質について28日間反復投与試験を行い、内分泌作用及び生殖器に対する影響を検査する。更に、ラットの子宮重量の変化を指標とするinvivo試験を行い簡便に検査する試験法の可能性を評価する | 124,000 | ||
27 | (財)食品農医薬品安全性評価センター | ゲニステイン、ノニルフェノール及びブチルベンジルフタレートのサル又はラットを用いた体内動態試験 | n-ブチルベンジルフタレート、p-ノニルフェノール及びイソフラボンの一種であるゲニステインについてサル及びラットを用いた体内動態試験を実施し、動物への体内分布、蓄積性、乳汁移行及び胎児への移行等の調査研究を行う。 | 50,000 | ||
28 | 菅野 純 | 国立医薬品食品衛生研究所安全性試験研究センター | 毒性部第3室長 | 内分泌かく乱化学物質の超高速選別法の開発・検証に関する調査研究 | 内分泌かく乱化学物質問題の緊急性に鑑みて、以下の研究を行う。(1)ハイ・スルー・プットスクリーニング(HTPS)を利用した超高速分析法の検証に関する調査研究、(2)バイオフィールド3次元定量的構造活性相関の利用に関する調査研究 | 100,000 |
照会先 厚生省生活衛生局企画課 担 当:阿部、馬場(内2415,2418) 電話代表 [現在ご利用いただけません] 直 通 03-3595-2297
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