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平成10年6月19日

「水道におけるクリプトスポリジウム暫定対策指針」の改正について

 平成8年10月に策定された「水道におけるクリプトスポリジウム暫定対策指針」を改正。今回の改正では、(1)クリプトスポリジウムの試験方法の改正(試験方法の簡素化と確実性・迅速性の向上を図るため利用可能な試験方法を幅広く採用。)(2)全国の水道水源におけるクリプトスポリジウムの存在状況の調査結果等を踏まえ、クリプトスポリジウムによる汚染のおそれの判断上の留意点等の指針の見直しを実施した。
 なお、厚生省としては、改正指針に基づく対策の実施状況について引き続き点検を行い、適宜都道府県等に水道事業者等に対する指導を要請するとともに、新たな知見を集積し、適宜指針を見直していく予定である。

I.改正の背景

○ 平成8年6月、埼玉県越生町において、我が国ではじめて水道を介してクリプトスポリジウムによる感染症が発生したため、厚生省では同年10月、水道事業者等における予防対策及び感染症が発生した場合の応急措置等所要の対策を定めた「水道におけるクリプトスポリジウム暫定対策指針」を策定し、都道府県を通じて水道事業者等へ周知した。
○ その後、新たな知見として、全国の水道水源におけるクリプトスポリジウムの存在状況の調査結果が得られたこと、試験方法に関する知見が集積されたこと等から、水道におけるクリプトスポリジウム等病原性微生物対策検討会(座長:金子光美摂南大学教授)における検討を踏まえ指針の改正を行い、平成10年6月19日付けで都道府県知事等に通知するものである。

II.改正の概要

1 クリプトスポリジウムの試験方法の改正
 水中のクリプトスポリジウムの測定に関する最新の知見を踏まえ、試験方法の簡素化と確実性・迅速性の向上を図るため、従来定められていた方法に加えて水道において利用可能な試験方法を幅広く列挙し用いることができることとした(別紙参照)。
2 水道水源に係るクリプトスポリジウムによる汚染のおそれの判断
(1)排出源の存在の有無による判断
 水道水源におけるクリプトスポリジウムによる汚染のおそれの判断は、クリプトスポリジウムの検出事例を踏まえ、人又は哺乳動物の糞便を処理する施設等の排出源の存在について水道の取水施設の近傍上流域のみではなく、より広範囲に上流域全体を把握した上で行うこととした。
(2)糞便による水道原水の指標による判断
 糞便による汚染の影響の判断指標として、従来の大腸菌(E.coli)、糞 便性大腸菌及び糞便性連鎖球菌に加え、水環境において生残性が高く、クリプトスポリジウムとの相関も示唆される嫌気性芽胞菌を新たに追加した。
3 浄水処理の徹底
 ろ過池の洗浄水については、原水として再利用されることが多いが、このような場合についてもクリプトスポリジウム対策として浄水処理の徹底を図るため、ろ過池の洗浄水等の原水への返送管理について、排水池等に濁度の低減機能を持たせるなどの留意事項を追加した。
4 クリプトスポリジウム及びジアルジアの生物学的知見の整理
 クリプトスポリジウム感染症の発生例、浄水場における除去率等について現在までの新たな知見を整理するとともに、クリプトスポリジウムに類似の原虫であるジアルジアに関する生物学的知見を新たに追加した。

クリプトスポリジウム及びジアルジアの生物学的知見の整理図

照会先
生活衛生局水道環境部水道整備課
  水道水質管理官 由田 秀人(4031)
  水源保全係長 大野 秀也(4034)


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