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I 改革の必要性
II 改革の理念
III 改革の具体的内容
社会福祉事業法及び関係法令の改正を含め、次のような制度の抜本的な改革のための措置を早急に講じる必要がある。
1 社会福祉事業の推進
社会福祉事業
◎ 権利擁護のための相談援助事業、障害者の情報伝達を支援するための事業などを新たに追加するとともに、公益質屋など存在意義の薄れたものは廃止
○ 身近できめ細かなサービス提供のため事業の規模要件を緩和
◎ 多様なサービス提供を確保するため、事業の性格等に応じ経営主体の範囲を見直し
社会福祉法人
◎ 社会福祉法人は、低所得者、援護困難者に配慮した事業実施など、引き続きサービス提供において中心的な役割
◎ 民間企業等の他の事業主体との適正な競争条件の整備
◎ 厳格な会計区分の撤廃、理事長等の経営責任体制の確立、法人の経営規模の拡大などによる経営基盤の確立
○ 外部監査の導入や情報開示による適正な事業運営の確保
○ 既存法人の資産の活用の方策の検討
サービスの利用
◎ 行政処分である措置制度から、個人が自ら選択し、それを提供者との契約により利用する制度への転換を基本
◎ サービスの内容に応じ利用者に着目した公的助成
○ 利用者にとって利便性の高い利用手続及び支払方法の導入
○ 契約による利用が困難な理由があるものは特性に応じた制度
権利擁護
◎ 成年後見制度とあわせ、社会福祉分野において、各種サービスの適正な利用を援助するなどの権利擁護の制度を導入・強化
施設整備
◎ サービスの対価を施設整備に係る借入金の償還に充てることができる仕組みを導入
○ 選択に基づくサービス利用ができるよう供給体制の計画的な整備
○ 地方分権の観点から、老人保健福祉計画等との整合性を確保した上で、公立施設の単独整備も可能となるように公費補助制度の見直し ○ 施設の複合化の推進などに対応し、公費補助制度の弾力的、効果的な運用 |
2 質と効率性の確保
サービスの質
◎ サービスの提供過程、評価などの基準を設け、専門的な第三者機関によるサービスの評価の導入
○ 福祉サービス全般に介護支援サービス(ケアマネジメント)のようなサービス提供手法の確立
○ サービスに関する情報の開示、利用者等の意見反映の仕組みや第三者機関による苦情処理
○ 外部監査、情報開示などを踏まえ、行政による監査の重点化、効率化
効率性
○ 経営管理指標の設定、外部委託制限の緩和等の実施による経営の効率性の向上
○ 福祉事業経営のための人材育成や専門的な経営診断・指導の活用
人材養成・確保
◎ 社会福祉施設等職員にふさわしい給与体系を導入し、その能力等に応じた処遇
○ 幅広い分野からの優秀な人材の参入を促進 ○ 専門職の教育課程の見直しなど質の向上 |
3 地域福祉の確立
地域福祉計画
◎ 地域での総合的なサービスを受けられる体制を整備するため、対象者ごとの計画を統合した地域福祉計画の導入
福祉事務所等行政実施体制
○ 地域の実情に応じ、福祉事務所の機能を効果的かつ効率的に発揮できるような行政実施体制の確立
○ いわゆる三科目主事について、その資質を確保する観点から見直し
社会福祉協議会
◎ 市区町村社協は、地域の住民組織、ボランティア組織の連携強化や日常的生活援助を中心的な活動とし、地域の公益的な組織として位置付け
○ 都道府県社協は、社会福祉事業経営者の協議会として連絡調整等を推進
民生委員・児童委員
○ 住民が安心して暮らせるような支援を行う者として位置付け
○ 児童委員としての機能の強化、主任児童委員の積極活用
共同募金 ○ 事業の透明性の向上、社会福祉事業者への過半数配分規制の撤廃、広域配分が可能となる仕組みの導入 |
平成10年6月17日
中央社会福祉審議会
社会福祉構造改革分科会
本分科会においては、昨年11月以来、社会福祉基礎構造改革についての議論を行ってきた。この間、13回にわたり会議を重ねるとともに、現地視察も実施した。その議論の内容を踏まえ、今般、次のとおり中間的なとりまとめを行った。
今後、これを基に国民各層において幅広い議論が行われることを期待するとともに、本分科会においては、関係者の意見も踏まえつつ、更に検討を深めることとする。
I 改革の必要性
○ 今、時代の大きな転換期を迎えている。少子・高齢化や国際化の進展、低成長経済への移行をはじめとする構造変化は、戦後において築き上げられた我が国の社会・経済構造全般にわたる変革を求めている。
○ 社会福祉についても、今日の制度は、戦後間もない時期において、戦争被災者、引揚者などが急増する中で、生活困窮者対策を中心として出発し、その後の経済成長とともに発展を遂げてきた。
○ 今日、「幸せ」の意味も実に多様なものとなってきており、社会福祉に対する国民の意識も大きく変化している。少子・高齢化の進展、家庭機能の変化、障害者の自立と社会参加の進展に伴い、社会福祉制度についても、かつてのような限られた者の保護・救済にとどまらず、国民全体を対象として、その生活の安定を支える役割を果たしていくことが期待されている。
○ こうした期待に応えていくためには、社会・経済の構造変化に対応し、必要な福祉サービスを的確に提供できるよう、社会福祉の新たな枠組みを作り上げていく必要がある。
○ 近年、児童福祉法の改正や介護保険法の制定などが行われ、今後の社会福祉の基本的な考え方となる個人の自立支援、利用者による選択の尊重、サービス
○ しかしながら、社会福祉の基礎構造ともいえる社会福祉事業、社会福祉法人、福祉事務所などについては、戦後50年の間、基本的な枠組みに変更が加えられていない。
○ 国民が社会福祉に求めるものは、今後、ますます増大するとともに多様なものになると考えられるが、現状のままでは、このような要請に十分対応していくことは困難である。
○ 以上のような状況を踏まえ、今こそ、社会福祉の基礎構造全般について抜本的な改革を実行し、強化を図っていく必要がある。
II 改革の理念
○ 成熟した社会においては、国民が自らの生活を自らの責任で営むことが基本となるが、生活上の様々な問題が発生し、自らの努力だけでは自立した生活を維持できなくなる場合がある。
○ これからの社会福祉の目的は、従来のような限られた者の保護・救済にとどまらず、国民全体を対象として、このような問題が発生した場合に社会連帯の考え方に立った支援を行い、個人が人としての尊厳をもって、家庭や地域の中で、障害の有無や年齢にかかわらず、その人らしい安心のある生活が送れるよう自立を支援することにある。
○ 社会福祉の基礎となるのは、他人を思いやり、お互いを支え、助け合おうとする精神である。その意味で、社会福祉を作り上げ、支えていくのは全ての国民であるということができる。
○ このような理念に基づく社会福祉を実現するためには、国及び地方公共団体に社会福祉を増進する責務があることを前提としつつ、次のような基本的方向に沿った改革を進める必要がある。
(1)対等な関係の確立
個人が尊厳を持ってその人らしい生活を送れるよう支援するという社会福祉の理念に対応し、サービスの利用者と提供者との間に対等な関係を確立する。
(2)地域での総合的な支援
利用者本位の考え方に立って、利用者を一人の人間としてとらえ、その人の需要を総合的かつ継続的に把握し、その上で必要となる保健・医療・福祉の総合的なサービスが、教育、就労、住宅、交通などの生活関連分野とも連携を図りつつ、効率的に提供される体制を利用者の最も身近な地域において構築する。
(3)多様な主体の参入促進
利用者の幅広い需要に応えるためには様々なサービスが必要であることから、それぞれの主体の性格、役割等に配慮しつつ、多様なサービス提供主体の参入を促進する。
(4)質と効率性の向上
サービスの内容や費用負担について、国民の信頼と納得が得られるよう、政府による規制を強化するのではなく、社会福祉従事者の専門性の向上や、サービスに関する情報の公開などを進めるとともに、利用者の選択を通じた適正な競争を促進するなど、市場原理を活用することにより、サービスの質と効率性の向上を促す。
(5)透明性の確保
利用者による適切なサービスの選択を可能にするとともに、社会福祉に対する信頼を高めるため、サービスの内容や評価等に関する情報を開示し、事業運営の透明性を確保する。
(6)公平かつ公正な負担
高齢化の進展等により増大する社会福祉のための費用を公平かつ公正に負担する。
(7)福祉の文化の創造
社会福祉に対する住民の積極的かつ主体的な参加を通じて、福祉に対する関心と理解を深めることにより、自助、共助、公助があいまって、地域に根ざしたそれぞれに個性ある福祉の文化を創造する。
III 改革の具体的内容
今後、このような理念に基づき、社会福祉制度全般について、次のような改革を進めていく必要がある。
1.社会福祉事業の推進
(1)社会福祉事業
○ 今日、個人の自立した生活を支える福祉サービスを提供するため、様々な事業が展開されており、社会福祉事業法では、このような幅広い事業を「社会福祉を目的とする事業」としてとらえている。
○ こうした事業のうちでも、生計困難者に対して無料又は低額な料金で行われる一定の事業(無料低額事業)及び福祉各法に基づく措置に係る事業は、国民の福祉の増進に特に重要な意味を持つものであることから、「社会福祉事業」として特定し、所要の規制及び助成を行うとともに、社会福祉法人の設立を認めている。
○ このうち、措置に係る事業については、利用形態の変更後も、適正なサービス提供の確保の重要性は何ら変わるものでないことから、福祉各法において位置付けるとともに、サービスの対価に対して公的助成を行うことが前提となる。
○ また、慈善、篤志の精神の発露である無料低額事業についても新たな課題が生じており、今日なおその重要性が認められる。
○ したがって、これらの事業については、引き続き、社会福祉事業として位置付ける必要がある。
○ しかしながら、公益質屋を経営する事業のように事業の実態からみて社会福祉事業として存続する意義が薄れてきているものがある一方、無料又は低額な料金で自己決定能力が低下している者などの権利擁護のために行われる相談援助事業、障害者の情報伝達を支援するための事業など、新たに社会福祉事業として位置付けるべき実態が生じているものもある。こうした状況の変化に応じ、社会福祉事業とすべき事業の範囲の見直しをする必要がある。
○ 現行の社会福祉事業の規模要件は下回っているが、国民の福祉の増進に重要であり、かつ、適正な運営が期待される事業や、複数の事業を一体的に行うことにより一定規模になる事業については、規模要件を緩和し、身近な地域でのきめ細かなサービス提供を可能とする必要がある。
○ 多様なサービスの提供を確保するため、社会福祉事業についても、事業目的の達成に支障を来さないよう十分配慮しつつ、個々の事業の性格等に応じ、経営主体の範囲に関する規制の在り方を見直す必要がある。
○ 社会福祉事業の範囲の見直し等に対応し、社会福祉事業に対する規制及び助成の程度についても、それぞれの事業の性格等を勘案しつつ検討する必要がある。
(2)社会福祉法人
(1)役割、意義
(2)経営
(3)サービスの利用
○ 福祉サービスの提供は、現在、いわゆる「措置制度」によるものが一般的になっている。措置制度は、サービスの対象者に対し行政庁の判断によりサービスを提供する仕組みである。
○ 措置制度の下で福祉サービスの充実が図られてきたが、福祉サービスが国民全体を対象としたものとなり、また、国民の福祉需要も多様化する中で、措置制度にも問題が出てきている。
○ 措置制度では、特に、サービスの利用者は行政処分の対象者であるため、その意味でサービスの利用者と提供者の間の法的な権利義務関係が不明確である。このため、サービスの利用者と提供者との対等な関係が成り立たない。
○ したがって、今後の方向としては、利用者と提供者の間の権利義務関係を明確にすることにより、利用者の個人としての尊厳を重視した構造とする必要がある。
○ 具体的には、個人が自らサービスを選択し、それを提供者との契約により利用する制度を基本とし、その費用に対しては、提供されたサービスの内容に応じ、利用者に着目した公的助成を行う必要がある。
○ この公的助成については、利用者にとっての利便性が高く、適正さが確保される利用手続及び支払方法とする必要がある。この場合、サービスの利用に当たっては利用者としての倫理が求められることは言うまでもない。
○ なお、契約による利用制度の適用が困難な理由があるものについては、それぞれの特性に応じた適切な制度とする必要がある。
○ サービスの利用者に対しても、介護保険制度における負担の考え方との整合性や低所得者に十分配慮した費用負担を求めるが、契約制度への移行により公費負担が後退するようなことがあってはならない。
○ 契約による利用は、利用者の選択を通じて、利用者の満足度を高めるとともに、サービスの向上、事業の効率化にもつながるものと考えられる。
○ また、公的助成の対象となるサービスと併せて、より快適な環境や付加的なサービスを利用者自身の負担により購入できる仕組みとする必要がある。
○ もちろん、契約制度への移行により全ての問題が解決するわけではなく、自己決定能力が低下している者などの権利擁護の仕組みなど、契約制度を補完し、適切なサービスの利用を可能とする制度が必要となる。
(4)権利擁護
○ 痴呆の高齢者、知的障害者、精神障害者など、自己決定能力が低下している者の権利を擁護し、地域において安心して生活を送れるよう支援する必要が高まっている。
○ 現行の禁治産・準禁治産制度などの制度は種々の観点から利用しにくい制度となっているとの指摘がされているため、自己決定の尊重、障害のある人も家庭や地域で通常の生活ができるようにする社会づくり(ノーマライゼーション)等の考え方に対応し、柔軟かつ弾力的な利用しやすい権利擁護の制度が必要となってきている。
○ このため、現在、法務省においていわゆる「成年後見制度」の検討が進められており、また、各地の社会福祉協議会等において、痴呆の高齢者、知的障害者、精神障害者等に対して日常生活の相談援助、財産管理などを行う取組が始まっている。
○ 今後、「成年後見制度」の早期導入が望まれるとともに、財産管理にとどまらず、日常生活上の支援を行うことが大変重要であることから、社会福祉の分野においても、成年後見制度の利用や、高齢者、障害者、児童等による各種サービスの適正な利用などを援助する制度の導入、強化を図る必要がある。
(5)施設整備
○ 社会福祉施設の整備に当たっては、通常、施設整備費の4分の3を公費補助の対象としており、残りの4分の1に相当する費用は設置者の自己負担となっている。この自己負担分については寄付により賄うことが原則となっているが、これに対して、地方公共団体が単独で補助を行っている場合もあるように、施設が大規模化した今日、これを寄付により賄うことは事実上困難となっている。
○ このため、措置制度の見直しの際には、サービスの質が低下しないよう配慮しつつ、設置者がサービスの対価として得られる収入を施設整備に係る借入金の償還に充てることができる仕組みとする必要がある。
○ 利用者による選択に基づくサービス利用の仕組みを実効あるものとするためには、サービス供給体制の計画的な整備が必要となる。
○ 対象者ごと、サービスごとに細分化された施設の複合化を図るとともに、地域における資源の効率的活用の観点から、関係省庁との連携を図りつつ、施設の適切な配置を確保するために、公有地の活用や学校などの公立施設の転用などに積極的に取り組む必要がある。
○ 施設整備については、地方分権の観点から、老人保健福祉計画、介護保険事業計画等との整合性を十分確保した上で、地方公共団体による公立施設の単独
○ また、施設の複合化の推進などに対応し、弾力的、効果的な運用を図ることができる公費補助制度の仕組みとする必要がある。
○ 社会福祉施設の整備に関しては、引き続き、社会福祉・医療事業団による長期・低利の資金提供が必要である。
2.質と効率性の確保
(1)サービスの質
○ 利用者の需要に的確に対応するためには、保健・医療・福祉サービスの一体的な提供が重要であり、福祉サービス全般について、介護支援サービス(ケアマネジメント)のようなサービス提供手法の確立が必要である。
○ また、介護技術や福祉援助技術など、障害の重度化を予防し、サービスの向上につながる手法の研究・開発を促進する必要がある。
○ 福祉サービスの質については、サービスの担い手が重要な意味を持っている。したがって、適切な人材の養成・確保と併せて、サービス提供における専門職の役割及び位置付けを明確にする必要がある。さらに、こうした専門職によるサービスに加え、ボランティア、家族等による精神的な支えも必要である。また、施設長など福祉施設の管理者については、それにふさわしい能力を持った人材の養成・確保を図る必要がある。
○ サービスの提供過程、評価などサービスの内容に関する基準を設ける必要がある。これを踏まえ、施設、設備や人員配置などの外形的な基準については、質の低下を来さないよう留意しつつ、弾力化を図る必要がある。
○ サービス内容の評価は、サービス提供者が自らの問題点を具体的に把握し、改善を図るための重要な手段となる。こうした評価は、利用者の意見も採り入れた形で客観的に行われることが重要であり、このため、専門的な第三者機関において行われることを推進する必要がある。
○ サービスの質を確保するためには、利用者による選択を通じた提供者間の競争が実際にサービスの質の向上につながるようにする必要がある。このためには、事業運営の理念、サービスの実施体制、第三者評価の結果、財務諸表など利用者による適切な選択のための情報を提供者にわかりやすく開示させるとともに、利用者がサービスに関する情報を気軽に入手できる体制を整備する必要がある。
○ 契約による利用に対応し、利用者保護の観点から、体験入所等の機会の提供、契約書の記載事項、契約の際の事前説明、解約事由、広告内容の正確性などについて明確に定める必要がある。
○ 利用者や施設職員などの意見を反映する仕組みを設けるとともに、第三者機関において苦情を受け付け、それを改善につなげるための対応を行う必要がある。
○ 福祉サービスの提供を行う事業者や地方公共団体などが、ボランティアや実習生を受け入れることは、事業運営の透明性を高める上でも有益な方法の一つであると考えられる。
○ 利用者による選択、事業者間の競争、透明性の向上などを通じてサービスの質の向上を図っていくことに対応し、実際に行われるサービスを評価し、具体的問題点を明らかにした上で改善を指導することが、ますます重要となる。
(2)効率性
○ 高齢化の進展等に伴う費用の増大が予想される中で、社会福祉においても、サービスの質の確保を前提として、限られた資源を有効に活用するという観点から、できる限りの効率化を図るのでなければ国民の納得は得られない。
○ 現行の制度においては、事業者の経営努力の成果が経営状態の改善や事業の拡大に必ずしもつながらないため、事業者の経営意識が育ちにくく、また、効率性の向上が経営目標ともなっていない。
○ 行政側にも、事業者を効率的な経営主体として育成しようとする取組が欠けている。
○ 今後は、効率性を向上させようとする事業者の意欲が高められ、かつ、そのための努力が報われるような条件整備をしていく必要がある。
○ このため、社会福祉法人の会計・経理、経営管理体制の改革と併せて、経営管理指標の設定、職員の専任・常勤規制及び業務の外部委託についての制限の緩和、省力化の推進を行う必要がある。
○ また、福祉事業経営のための人材育成や専門的な経営診断・指導が活発に行われることが期待される。
(3)人材養成・確保
○ 福祉の職場に良い人材を求めるためには、働く魅力があり安定した職場づくりが重要であり、使命感と熱意を持って働く福祉事業従事者の仕事が、賃金や社会的評価により裏打ちされる必要がある。
○ そのための方法としては、賃金についての制約を外し、各事業者が、社会福祉施設等職員にふさわしい給与体系を導入し、その職員の能力等に応じた処遇を可能にする必要がある。
○ また、職員処遇の充実を図り、社会福祉事業に必要な人材を確保する上で重要な役割を果たしている退職手当共済制度については、社会福祉事業の範囲の見直しなどに対応して、その対象施設や事業の範囲を見直すとともに、財政の中長期的な安定が維持される仕組みの導入を検討する必要がある。
○ 利用者によるサービス選択のための情報として、サービスの実施体制、職員
○ 幅広い分野からの優秀な人材の参入を促すためには、働きながら資格が取れるような仕組みが重要である。あわせて、福祉の仕事を目指す実習生や介護等体験を行う教員免許取得希望者の積極的な受入れ、小・中学校での福祉教育、各種の情報提供、広報活動等を推進することにより、福祉の仕事に対する理解と関心を得る努力が必要である。
○ 人材の養成に当たっては、福祉サービスに必要な専門的な知識や技術の取得だけではなく、権利擁護に関する高い意識を持ち、豊かな感性を備えて人の心を理解し、意志疎通をうまく行い、相手から信頼される人の育成を目標にする必要がある。
○ 専門職の養成については、保健・医療との連携の必要性、介護支援サービスの実施等に対応して、教育課程の見直しを行う必要がある。特に、実習教育や研究の充実を図ることが重要であり、そのために、福祉系大学が付属実習施設を持つことを認める必要がある。また、社会福祉士の資格を取得しようとする
○ 養成課程の修了をもって国家資格の取得が可能となる介護福祉士養成施設については、共通卒業試験、教員研修などの自主的な取組を促進することなどを通じて、養成の質の確保、向上を図る必要がある。
○ 専門職にとっては、資格の取得が到達点となるのではなく、その後も継続して自らの資質を高める努力が重要である。そのため、職能団体等による卒後継続教育の充実を図る必要がある。
○ こうした専門職の養成と併せて、実際に社会福祉施設等で勤務している現任者についても、体系的な研修の実施により資質の向上と業務へのたゆまぬ意欲の保持を図っていくことが重要である。
○ なお、社会福祉の充実は、単に負担の増大としてのみとらえるべきものではなく、関連需要の創出やサービス従事者の雇用等を通じて、国民経済に対して寄与する効果を持つものである。
の効率化などを柱とする取組が進められている。
その際には、これらの具体策を講じることにより、社会福祉事業にとどまらず、広く社会福祉を目的とする事業が、その他の関連分野の事業との連携の下に推進され、地域において、住民の自立した生活を支える総合的なサービスが確保される体制を確立することを目的とすべきである。
このため、社会福祉事業法をはじめとする関係法令の改正を含め、制度の抜本的な改革のための措置を早急に講じる必要がある。
整備も可能となるよう、公費補助制度を見直す必要がある。
こうした観点から、行政による監査は、外部監査の導入、経営情報の開示、第三者評価の導入、苦情処理体制の整備などを踏まえ、これらの仕組みを活用することにより、重点化、効率化する必要がある。
の資格などを開示させる必要がある。
者が、福祉施設のみならず地方公共団体などにおいて相談援助の実習を行うことも重要である。
氏名 | 職名 | |
○ | 阿 部 志 郎 | 横須賀基督教社会館館長 |
天 野 建 | 山梨県知事 | |
有 馬 真喜子 | 財団法人横浜市女性協会理事長 | |
石 井 岱 三 | 総合ケアセンター太行路施設長 | |
板 山 賢 治 | 財団法人日本障害者リハビリテーション協会副会長 | |
江 草 安 彦 | 社会福祉法人旭川荘理事長 | |
上 村 一 | 社会福祉法人日本保育協会理事長 | |
喜 多 洋 三 | 守口市長 | |
◎ | 木 村 尚三郎 | 東京大学名誉教授 |
永 松 恵 一 | 社団法人経済団体連合会産業本部本部長 | |
乳 井 昌 史 | 読売新聞社論説委員 | |
野 中 一二三 | 園部町長 | |
橋 本 泰 子 | 大正大学人間学部教授 | |
福 武 總一郎 | 株式会社ベネッセコーポレーション社長 | |
堀 田 力 | 財団法人さわやか福祉財団理事長 | |
桝 本 純 | 日本労働組合総連合会生活福祉局長 | |
三 浦 文 夫 | 武蔵野女子大学現代社会学部特任教授 | |
村 田 幸 子 | 日本放送協会解説委員 | |
八 代 尚 宏 | 上智大学外国語学部国際関係研究所教授 | |
山 口 昇 | 公立みつぎ総合病院管理者 | |
吉 村 靫 生 | 社会福祉法人大阪自彊館理事長 |
◎は分科会長、○は分科会長代理
照会先 社会・援護局企画課 (直通)03-3591-9867
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