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平成10年6月16日
医薬安全局
1 再評価の経緯
(1)イデベノン(販売名:アバン),塩酸インデロキサジン(販売名:エレン),塩酸ビフェメラン(販売名:セレポート,アルナート),プロペントフィリン(販売名:ヘキストール等)及びニセルゴリン(販売名:サアミオン等)の5成分の再評価については,本年4月21日に中央薬事審議会に諮問し,5月19日にはニセルゴリンを除く4成分について,現時点における医療上の有用性を確認することができないとの答申を受けたことから,速やかに,承認整理等の措置等を講じたところである。
(2)ニセルゴリンを含有する製剤については,中央薬事審議会において引き続き迅速に審議を進めることとされたことから,その後,臨床試験成績の信頼性に関する調査を実施するとともに,医薬品再審査再評価第二調査会は先の審議に加えてさらに2回の審議を行い検討を終え,これを受け,本日,医薬品再審査・再評価特別部会は当該製剤につき審議を終了した。常任部会は6月18日に開催される予定である。
2 中央薬事審議会におけるこれまでの審議状況
(1)医薬品再審査・再評価特別部会での審議結果
ニセルゴリンを含有する製剤については,次の医薬品再審査再評価第二調査会からの調査報告を了承し,常任部会に上程する。
イ サアミオン以外の製剤(セルゴチン錠(東和薬品(株))等の18社23品目。以下「セルゴチン等」という。)については,申請者から「脳梗塞後遺症に伴う情緒障害の改善」に関し,アニラセタムを対照薬とした単盲検比較試験の成績が提出された。
審議の結果,提出された資料からは医療上の有用性を確認することができない。
サアミオンの今回の再評価に係る臨床試験については,
イ セルゴチン等について
セルゴチン等については,「脳梗塞後遺症に伴う情緒障害の改善」に関してアニラセタムを対照薬とした単盲検比較試験が行われており,臨床評価方法に関するガイドラインに準拠した二重盲検比較試験ではなく有効性を厳密に比較評価する上では十分とはいえず,また,試験成績を見てもアニラセタムとの同等性が検証し得ない。
したがって,「情緒障害の改善」については医療上の有用性は確認できない。
(1)6月18日開催予定の常任部会において,特別部会の上程案が審議の結果了承されれば,再評価結果として答申されることとなる。
(2)再評価結果において,サアミオンについて効能・効果を改めるとの答申を受けた場合には,承認の一部変更の措置を,セルゴチン等について有用性が確認されないとの答申を受けた場合には,承認整理等の措置等を,それぞれ速やかに講ずることとなる。
(3)調査報告書については,答申後できる限り速やかに公表することとする。
成分名 | ニセルゴリン | |
販売名 (会社名) |
先発医薬品 | 後発医薬品 |
サアミオン錠 サアミオン散 (田辺製薬(株)) |
イデミオン錠(竹島製薬(株)) ウインクル錠5mg,ウインクル散1%(大原薬品工業(株)) コドナミン錠(帝国化学産業(株)) サモジリン錠,サモジリン散(マルコ製薬(株)) サワチオン錠,サワチオン細粒(沢井製薬(株)) セルゴチン錠(東和薬品(株)) セルファミン錠(辰巳化学(株)) セレイド錠(東洋ファルマー(株)) ソクワール錠(日新製薬(株)) ニセルゴリン錠「科薬」((株)科薬) ニセルミン錠(ダイト(株)) バソゴリン錠5mg(共和薬品工業(株)) ビエルゾン錠((株)陽進堂) ヒルブリン錠5mg,ヒルブリン散1%(日本医薬品工業(株)) プロセフェン錠,プロセフェン散(東菱薬品工業(株)) マリレオン錠(大正薬品工業(株)) メリック錠((株)模範薬品研究所) レストマート錠(大洋薬品工業(株)) |
|
承認年月日 | 昭和63年3月29日 散は 平成4年2月4日 |
平成8年3月15日 ただし,サワチオン錠は平成8年1月23日, ウインクル錠5mg,ウインクル散1%は平成8年2月26日 |
現行の効能・効果 | 下記疾患に伴う慢性脳循環障害による意欲低下,情緒障害の改善 脳梗塞後遺症,脳出血後遺症 |
(参考2)
1 サアミオンのプラセボを対照薬とした二重盲検比較臨床試験
成 分 名 (販 売 名) |
評 価 項 目 | 評 価 | (参考)改善率 | |
試 験 薬 投 与 群 |
プラセボ 投 与 群 |
|||
ニセルゴリン (サアミオン |
精神症候全般改善度 改善以上 |
有意差あり | 34.5% | 13.5% |
意欲低下全般改善度 改善以上 |
有意差あり | 29.9% | 9.4% | |
情緒障害全般改善度 改善以上 |
(注1) | 25.9% | 10.2% |
2 セルゴチン等のアニラセタムを対照薬とした単盲検比較臨床試験
成 分 名 (販 売 名) |
評 価 項 目 | 評 価 | (参考)改善率 | |
試 験 薬 投 与 群 |
アニラセタム 投 与 群 |
|||
ニセルゴリン セルゴチン等 |
全般改善度 改善以上 |
同等性は検証できず (注2) |
33.7% | 44.8% |
(注2)情緒障害について,個別5項目(表情の乏しさ,不安・焦燥感,抑うつ気分,不機嫌,感情失禁)を見ても同等性が検証できない。
(照会先) 審査管理課 担当 鶴田,森,田中 内線2733,2775,2741
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