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エイズ動向委員会の結果報告について


目  次
委員会の結果報告について

HIV感染者情報

委員長コメント

献血件数及びHIV抗体陽性件数

輸血が原因と疑われるHIV感染例について


平成10年5月26日

委員会の結果報告について


1. 平成10年3月1日から4月末日までの間に、医師から各都道府県知事、指定都市市長、中核市市長に報告されたエイズ患者は37件、HIV感染者74件であった。
 患者37件、感染者74件の内訳は、

(1) 感染原因では、異性間の性的接触による患者16件、感染者37件、同性間の性的接触による患者3件、感染者25件、静注薬物濫用による感染者1件、母子感染による感染者1件、その他による患者1件、原因不明の患者17件、感染者10件であった。(表1−11−2
(2) 性別では、男性患者30件、感染者53件、女性患者7件、感染者21件であった。
(3) 年齢区分別では、感染者は、10歳未満感染者 1件、10歳代 感染者 1件、20歳代 感染者31件、30歳代 感染者25件、40歳代 感染者 6件、50歳以上感染者10件、患者は、10歳未満患者0件、10歳代患者0件、20歳代 患者3件、30歳代 患者 10件、40歳代 患者 15件、50歳以上患者9件、であった。(表2−12−2
(4) 国籍別では、日本人患者22件、感染者53件、外国人患者15件、感染者21件であった。
(5) 感染地域別では、国内で感染した患者11件、感染者51件、海外で感染した患者13件、感染者12件、感染地域不明患者13件、感染者11件であった。(表3−13−2

2. 患者37件、感染者74件の報告のうち、患者16件、感染者37件が異性間の性的接触によるものであった。このうち、日本人の報告は男性が患者11件、感染者17件、女性が患者0件、感染者6件であり、男女合わせると、患者11件、感染者23件(表1−11−2)であり、感染地域は国内で感染した患者7件、感染者16件、海外で感染した患者3件、感染者5件、感染地域不明の患者1件、感染者2件であった。
 また、外国人患者及び感染者の性別内訳は男性患者8件、感染者7件、女性患者7件、感染者14件であった。

3.今回9名の死亡報告があり、「HIV感染者発症予防・治療に関する研究班」からの中間報告と合わせ累積死亡報告数は1,033名となった。

4. 平成10年1月から4月末日までの献血件数1,961,683件のうちHIV抗体陽性件数は23件であった。


データ取得 全表、データを.xls形式でダウンロードできます。(115KB)


HIV感染者情報


 〔平成10年3月1日〜4月末日〕

1−1 性別・感染原因別感染者数      (単位:人)   

  男   性 女   性 合   計
異性間の性的接触 20(3) 17(11) 37(14)
同性間の性的接触 25(0) 0(0) 25(0)
静注薬物濫用 1(1) 0(0) 1(1)
母子感染 1(1) 0(0) 1(1)
そ の 他 0(0) 0(0) 0(0)
不  明 6(2) 4(3) 10(5)
合   計 53(7) 21(14) 74(21)
注:( )内は外国人再掲数


2−1 性別・年齢別感染者数      (単位:人)     

  男   性 女   性 合   計
10歳未満 1(1) 0(0) 1(1)
10〜19 0(0) 1(0) 1(0)
20〜29 16(2) 15(11) 31(13)
30〜39 22(4) 3(3) 25(7)
40〜49 5(0) 1(0) 6(0)
50歳以上 9(0) 1(0) 10(0)
不   明 0(0) 0(0) 0(0)
合   計 53(7) 21(14) 74(21)
注:( )内は外国人再掲数


3−1 性別・感染地域別感染者数    (単位:人)   

  男   性 女   性 合   計
国   内 39(3) 12(7) 51(10)
海   外 6(1) 6(5) 12(6)
不   明 8(3) 3(2) 11(5)
合   計 53(7) 21(14) 74(21)
注:( )内は外国人再掲数


(参 考)

1−2 性別・感染原因別患者数        (単位:人)    

  男   性 女   性 合   計
異性間の性的接触 14(3) 2(2) 16(5)
同性間の性的接触 3(0) 0(0) 3(0)
静注薬物濫用 0(0) 0(0) 0(0)
母子感染 0(0) 0(0) 0(0)
そ の 他 1(0) 0(0) 1(0)
不  明 12(5) 5(5) 17(10)
合   計 30(8) 7(7) 37(15)
注:( )内は外国人再掲数


2−2 性別・年齢別患者数              (単位:人)            

  男   性 女   性 合   計
10歳未満 0(0) 0(0) 0(0)
10〜19 0(0) 0(0) 0(0)
20〜29 1(1) 2(2) 3(3)
30〜39 7(3) 3(3) 10(6)
40〜49 13(3) 2(2) 15(5)
50歳以上 9(1) 0(0) 9(1)
不   明 0(0) 0(0) 0(0)
合   計 30(8) 7(7) 37(15)
注:( )内は外国人再掲数


3−2 性別・感染地域別患者数          (単位:人)             

  男   性 女   性 合   計
国   内 11(0) 0(0) 11(0)
海   外 8(4) 5(5) 13(9)
不   明 11(4) 2(2) 13(6)
合   計 30(8) 7(7) 37(15)
注:( )内は外国人再掲数




     エイズ患者等の届出状況等 〔平成10年4月末現在〕

1.日本のエイズ患者の届出状況         (単位:人)          

  男  性 女  性 合  計
異性間の性的接触 404(80) 85(44) 489(124)
同性間の性的接触 *1 276(37) 0(0) 276(37)
静注薬物濫用 11(7) 0(0) 11(7)
母子感染 7(1) 3(1) 10(2)
そ の 他 17(5) 8(2) 25(7)
不   明 257(98) 61(46) 318(144)
小   計 972(228) 157(93) 1,129(321)
凝固因子製剤 *2 619(…) 9(…) 628(…)
患 者 合 計 1,591(228) 166(93) 1,757(321)
( )内は外国人再掲数

注: *1 男性両性愛者(23人)を含む。
*2 平成9年10月末現在における「HIV感染者発症予防・治療に関する研究班」からの中間報告による数字である。なお、「後天性免疫不全症候群の予防に関する法律」施行後(平成元年2月17日以降)、凝固因子製剤が原因とされている者は、報告の対象から除外されている。


2.HIV感染者の届出状況         (単位:人)            

  男  性 女  性 合  計
異性間の性的接触 602(128) 679(486) 1,281(614)
同性間の性的接触 *1 613(79) 0(0) 613(79)
静注薬物濫用 16(12) 0(0) 16(12)
母子感染 9(2) 11(6) 20(8)
そ の 他 26(10) 24(6) 50(16)
不   明 254(132) 389(369) 643(501)
小   計 1,520(363) 1,103(867) 2,623(1,230)
凝固因子製剤 *2 1,475(…) 20(…) 1,495(…)*3
感 染 者 合 計 2,995(363) 1,123(867) 4,118(1,230)
( )内は外国人再掲数                             

注: *1 男性両性愛者(32人)を含む。
*2 平成9年10月末現在における「HIV感染者発症予防・治療に関する研究班」からの中間報告による数字である。なお、「後天性免疫不全症候群の予防に関する法律」施行後(平成元年2月17日以降)、凝固因子製剤が原因とされている者は、報告の対象から除外されている。
*3 患者628名を含む。


3.累積死亡者数    1,033名
*1 上記死亡者数には「HIV感染者発症予防・治療に関する研究班」からの累積死亡報告数485名が含まれる。

(参考)

・凝固因子製剤による感染を除く患者・感染者等の状況
・性別・年齢区分別・感染地域別患者・感染者数(法施行後)

 
 
男   性 女   性 合   計
国内 海外 不明 国内 海外 不明 国内 海外 不明
10歳未満 16 1 0 17 7 6 1 14 23 7 1 31
(患者再掲) (7) (0) (0) (7) (1) (2) (0) (3) (8) (2) (0) (10)
10〜19 7 0 1 8 16 42 35 93 23 42 36 101
(患者再掲) (0) (0) (0) (0) (1) (0) (1) (2) (1) (0) (1) (2)
20〜29 328 153 114 595 150 275 385 810 478 428 499 1,405
(患者再掲) (51) (54) (35) (140) (12) (14) (31) (57) (63) (68) (66) (197)
30〜39 334 264 176 774 64 62 90 216 398 326 266 990
(患者再掲) (109) (108) (78) (295) (12) (22) (16) (50) (121) (130) (94) (345)
40〜49 297 155 129 581 16 19 12 47 313 174 141 628
(患者再掲) (118) (74) (76) (268) (3) (10) (5) (18) (121) (84) (81) (286)
50歳以上 209 107 90 406 38 1 5 44 247 108 95 450
(患者再掲) (102) (61) (60) (223) (13) (1) (5) (19) (115) (62) (65) (242)
不  明 0 1 2 3 0 4 1 5 0 5 3 8
(患者再掲) (0) (0) (0) (0) (0) (0) (0) (0) (0) (0) (0) (0)
合  計 1,191 681 512 2,384 291 409 529 1,229 1,482 1,090 1,041 3,613
(患者再掲) (387) (297) (249) (933) (42) (49) (58) (149) (429) (346) (307) (1082)


(参考)世界のエイズ患者の状況(1997年11月20日WHO報告)

地  域 患者発生状況   患 者 数 人   口
アフリカ州
(54カ国)
617,463人 タンザニア
ケニア
ジンバブエ
88,687 人 23,126 千人
74,754 21,433
61,037 10,412
アメリカ州
(45カ国)
839,189 アメリカ合衆国
ブラジル
メキシコ
612,078 248,709
110,845 146,825
30,970 81,249
アジア州
(43カ国)
74,431 タイ
インド
日本
59,782 54,532
4,980 846,302
1,447 126,220
ヨーロッパ州
(40カ国)
197,374 フランス
スペイン
イタリア
46,032 56,634
46,605 39,433
40,140 59,103
オセアニア州
(15カ国)
8,501 オーストラリア 7,386 16,850
   
計(197ヵ国) 1,736,958      
( )内は、患者報告のあった国数である。
注:※1日本の患者数は1996年12月末現在 


都道府県名
 
 
患者・感染者    ブロック別 
報告件数
(件)
構成割合
(%)
患者・感染者
報告件数(件)
構成割合
(%)
1北海道  36(1) 0.9 北海道   36 0.9
2青森県  9(0) 0.2  
 
東北
 
 
65
 
 
 
 
 
1.7
3岩手県  8(1) 0.2
4宮城県  18(1) 0.5
5秋田県  6(0) 0.2
6山形県  8(0) 0.2
7福島県  16(0) 0.4
8茨城県  366(6) 9.8  
 
 
 
関東・甲信越
 
 
 
 
2,849
 
 
 
 
 
 
 
 
 
75.8
9栃木県  100(5) 2.7
10群馬県  73(3) 1.9
11埼玉県  182(7) 4.9
12千葉県  314(11) 8.4
13東京都  1,235(31) 32.9
14神奈川県  324(15) 8.6
15新潟県  38(1) 1.0
16山梨県  53(2) 1.4
17長野県  164(6) 4.4
18富山県  7(0) 0.2  
北陸
29
 
 
0.8
19石川県  4(1) 0.1
20福井県  18(0) 0.5
21岐阜県  27(0) 0.7  
東 海
 
306
 
 
 
8.2
22静岡県  93(2) 2.5
23愛知県  130(2) 3.5
24三重県  56(1) 1.5
25滋賀県  10(0) 0.3  
 
 
近 畿
 
307
 
 
 
 
 
8.1
26京都府  45(0) 1.2
27大阪府  176(11) 4.7
28兵庫県  42(1) 1.1
29奈良県  21(0) 0.6
30和歌山県  13(0) 0.3
31鳥取県  2(0) 0.1  
 
 
 
中国・四国
 
 
 
61
 
 
 
 
 
 
 
 
1.6
32島根県  5(0) 0.1
33岡山県  6(0) 0.2
34広島県  18(1) 0.5
35山口県  8(0) 0.2
36徳島県  3(0) 0.1
37香川県  4(0) 0.1
38愛媛県  8(0) 0.2
39高知県  7(0) 0.2
40福岡県  48(2) 1.3  
 
 
九州・沖縄
 
 
 
99
 
 
 
 
 
 
 
2.6
41佐賀県  1(0) 0.0
42長崎県  11(0) 0.3
43熊本県  6(0) 0.2
44大分県  3(0) 0.1
45宮崎県  1(0) 0.0
46鹿児島県  11(0) 0.3
47沖縄県  18(0) 0.5
合  計   3,752(111) 100.0 3,752 100.0

注:凝固因子製剤による患者・感染者は除く    (平成10年4月末現在)
( )内は今回報告件数(平成10年3月〜4月分)である       


平成10年5月26日

委員長コメント

1) 今回(平成10年3月から4月末日まで)のエイズ動向委員会への報告は、患者37件(前回36件)、感染者74件(前回59件)であり、転症例の報告はありません(前回4名)でした。
 前回と比較して、日本人感染者が13件増加、外国人感染者が2件増加、日本人患者が6件減少、外国人患者が7件増加であり、トータルでは感染者が15件増加、患者が1件増加となっております。

2) 今回の報告の特徴は、日本人男性の報告数が68件と過去4番目に多く、感染原因が同性間の性的接触である報告も28件と過去4番目に多いということです。

3) また、感染地域も患者11件、感染者51件が国内感染であり、関東・甲信越ブロックに大多数(78.3%)が集中しております。

4) 国内での輸血による感染が否定できない日本人のHIV感染症例の報告が1例ありましたので、詳細を調査中であります。
 感染の危険性があると思う人には献血を控えるよう注意喚起するとともに、献血時の問診などによるチェックの徹底を図る必要があります。

5) UNAIDS(国連合同エイズ計画)は1998年エイズキャンペーンのテーマに、"FORCE FOR CHANGE : World AIDS Campaign with Young People"を提唱しています。日本においても各年度毎の29歳以下の新規感染者数が増加傾向にあることから、UNAIDSの提唱を受けて平成10年度「世界エイズデー」啓発の主題を、「時代が変わる、君が変える〜大切な人と生きるために〜」と決定されました。
 キャンペーンの具体的内容は、今後決められるようですが、特に若者をターゲットにした普及啓発活動が必要です。


平成10年5月26日(火)

献血件数及びHIV抗体陽性件数

献 血 件 数
( 検 査 実 施 数 )
陽性者数
( )内女性
10万人当たり
1987年
(昭和62年)

8,217,340

11
( 1)

0.134
1988年
(昭和63年)
7,974,147
( 1)
0.113
1989年
(平成元年)
7,876,682 13
( 1)
0.165
1990年
(平成2年)
7,743,475 26
( 6)
0.336
1991年
(平成3年)
8,071,937 29
( 4)
0.359
1992年
(平成4年)
7,710,693 34
( 7)
0.441
1993年
(平成5年)
7,205,514 35
( 5)
0.486
1994年
(平成6年)
6,610,484 36
( 5)
0.545
1995年
(平成7年)
6,298,706 46
( 9)
0.730
1996年
(平成8年)
6,039,394 46
( 5)
0.762
1997年
(平成9年)
5,998,505 54
( 5)
0.900
1998年
(平成10年1月〜4月)
1,961,683
(速 報 値)
23
( 2)
1.172

(注) 昭和61年は、年中途から実施したことなどから、3,146,940件、 内陽性件数11件(女性0)となっている。
抗体検査陽性の献血血液は、焼却されており、使用されていない。


平成10年5月26日

輸血が原因と疑われるHIV感染例について


1.本日開催のエイズ動向委員会に、推定される感染の原因が国内の輸血と記載されたエイズ症例が1例報告された。当該症例は平成2年に新鮮凍結血漿5バッグの投与を受けていることが判明している。

2.新鮮凍結血漿のロット番号は判明したが、献血者の記録は既に廃棄されていた。同じ血液から製造された赤血球製剤等の使用状況については調査中である。

3.HIV抗体検査導入後の国内の輸血による感染が推定される原因と記載され、エイズ動向委員会に報告された症例は本例を含めて4例であるが、輸血が原因と確認された症例は1例である。


問い合わせ先
 厚生省保健医療局エイズ疾病対策課
 池田(内線2358)
 大澤(内線2355)

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