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赤痢等の集団発生に対する対策の徹底について


 長崎総合科学大学において、赤痢の集団発生が起こっているところであるが、厚生省では、赤痢等の感染症に対する注意喚起及び発生防止対策の強化を全国的に求める観点から、関係各部局課長から別添のとおり、都道府県、保健所設置市及び特別区あて通知することとした。

1 長崎総合科学大学における赤痢の集団発生

(1)発生施設等

○ 学校法人長崎市総合科学大学(長崎市網場町536)

○ 関係者3,090名(大学、大学院、付属高校、職員)

○ 飲用井戸2箇所を水源として日量160トンを大学内施設、学生寮、職員住宅に給水。水道水(長崎市水道)の供給は受けていない。

(2)経緯

○ 5月14日、市内医師より同大学の寮生6名が発熱、下痢で受診との連絡が長崎市保健所にあり、同市保健所が食中毒(疑い)として、疫学調査を開始。

○ 大学においては、14日から大学敷地内の井戸水の飲用自粛、15日から学生食堂、男子寮での調理の自粛、大学及び高校の休校措置を実施。

○ 16日、患者検便より赤痢菌を検出。

○ 18日から大学敷地内の井戸水の給水を停止し、同日から長崎市水道局の給水車による給水を開始。また、同日、大学敷地内の飲用井戸1箇所の水から赤痢菌を検出。

○ 20日から長崎市水道の水道水を大学に直接給水するための応急工事開始。

○ 長崎県及び長崎市において対策本部が設置され、市及び県において、患者の収容、関係者の検便及び感染予防指導等を実施中。

(3)有症者数等

○ 長崎市発表(5月22日12時現在把握分)
有症者数 
入院者数
757人
320人(うち退院者数199人)
この他、3名の二次感染者(院内感染含む)がある。

2 厚生省における主な対応

(1)職員の現地派遣等

○ 5月18日夜より5月20日昼まで、情報収集等を目的として、保健医療局結核感染症課職員及び生活衛生局水道環境部水道整備課職員を現地派遣し、現地の医療体制、大学における飲用井戸等の給水設備等に関する情報収集を実施。
○ あわせて、大学における飲用井戸からの給水を停止し、長崎市水道局の給水車による水道水の給水を行うよう長崎市に対して指示。
○ また、飲用井戸の汚染についての原因究明を長崎市に対して指示。
○ このほか、長崎県内及び長崎市内の水道事業、受水槽、飲用井戸等に関し、衛生管理を徹底するよう県及び市に対して指示。

(2)今回の通知(別添参照)

○ 今回の事例を踏まえ、水道の衛生確保、建築物内の給水に関する衛生確保及び食品の衛生確保、防疫対策の徹底を図るため、4課の課長名で通知する。

(別添)

健医感発第46号
衛企第14号
衛食第56号
衛水第38号

平成10年5月22日

   都道府県
各  政令市  衛生主管部(局)長 殿
   特別区

厚生省保健医療局結核感染症課長

厚生省生活衛生局企画課長

厚生省生活衛生局食品保健課長

厚生省生活衛生局
     水道環境部水道整備課長


赤痢等の集団発生に対する対策の徹底について


 標記については、関係法令及び通知等に基づき、従来より対策の万全を期していただいているところであるが、最近、学校敷地内の飲用井戸が感染源であると疑われる赤痢の集団発生が起こっているので、今後、特に下記の事項に十分留意し、このような事例の発生を防止するとともに、赤痢等の集団発生に対する対策を一層強化されるよう格段の御配慮を願いたい。


1.飲用井戸及び受水槽対策について

 飲用井戸及び受水槽については、「飲用井戸等衛生対策要領の実施について」(昭和62年1月29日衛水第12号生活衛生局長通知)によるほか、「飲用井戸及び受水槽の衛生確保について」(平成8年7月18日衛企第81号・衛水第229号生活衛生局企画課長・生活衛生局水道環境部水道整備課長通知)により、消毒その他の衛生確保に万全を期すこと。

2.防疫対策について

 集団感染の発生時においては、水道行政部局、食品保健部局、感染症対策部局等関係部局間の緊密な連携のもとに原因究明に努めるとともに、家族間及び収容施設内等における二次感染防止の徹底を図ること。

3.食中毒発生防止について

 5月に入りO157による有症者数の増加傾向がみられ、また、サルモネラ等による集団食中毒が多発している状況にあることから、食品関係営業施設で使用される水の点検等、管理運営基準等に基づく関係施設の監視指導を徹底し、食中毒の発生防止に万全を期すこと。


問い合わせ先
 保健医療局結核感染症課 中平(内線2381)
 生活衛生局水道環境部水道整備課 大野(内線4034)


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