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平成10年5月13日(水)

平成9年度厚生科学研究「火葬場から排出される
ダイオキシン類の実態調査」の結果報告について


平成9年11月より開始した「火葬場から排出されるダイオキシン類の実態調査」について報告がまとまった。
 この調査は、平成9年度厚生科学研究費(主任研究者:武田信生 京都大学大学院工学研究科教授)により行われたものであり、調査結果の概要は下記のとおりである。

1 調査目的

 火葬場から排出されるダイオキシン類の実態を把握する。
 火葬場の炉構造、排ガス処理方式、使用燃料その他の諸要素とダイオキシン排出との関係を調べ、適切な排出抑制対策を講じるための基礎データの収集を行う。

2 調査方法

 全国の火葬場から、炉構造、排ガス処理方式、使用燃料などを考慮して10カ所(次ページのA〜J)を選定し、各施設2回又は3回の測定を行った。
 なお、施設Hについては、1回目の火葬に限って約20分ごとに時間を区切って測定を行い、ダイオキシン類排出濃度の時間変動を調査した。

3 調査結果の概要

1) ダイオキシン類の排出濃度は最も高い施設で6.5ng-TEQ/Nm3、最も低い施設で0.0099ng-TEQ/Nm3であった。(表1)
2) 排ガス中のダスト濃度が50mg/Nm3以下の施設については、ダイオキシン類濃度が低い値であった。(図1)
3) 再燃焼炉内温度を850℃以上に保っている施設については、ダイオキシン類濃度が低い傾向があった。 (図2)
4) 再燃焼炉の数に対する主燃焼炉の数の比が2以上の施設では、ダイオキシン類濃度が高い傾向にあった。(図3)
5) 1サンプルのみの結果であるが、ダイオキシン類濃度の時間変動については、序盤(ひつぎや副葬品が燃える時間)>中盤(御遺体の燃えやすい部分が燃える時間)>終盤(御遺体の非常に燃えにくい部分が燃える時間)であったが大きな差はなかった。(表1)

4 今後の方針等

 今回、全国ではじめて体系的な実態調査を行うことにより、ダイオキシン類の排出の実態がある程度明らかになり、一定の成果を得ることができた。しかしながら、同時に、測定の際の技術的な課題などが明らかになったため、それらについて検討し、より充実した調査を行う必要性が指摘された。
 平成9年度調査によって得られた課題を整理したのち、平成10年度も調査を継続し、得られた知見をもとに排出抑制対策について検討することとしている。

表1 調査結果一覧表

火葬場
再燃焼炉
集じん機
排気方式 強制 強制 強制 強制 強制 強制 強制 強制 自然
主燃焼炉:再燃焼炉 3対1 1対1 4対1 1対1 1対1 1対1 1対1 1対1 3対1
燃料 灯油 都市ガス 灯油 都市ガス 灯油 灯油 灯油 灯油 A重油
ダイオキシン類濃度
(ng-TEQ/Nm
1回目 3.8 0.030 6.5 0.028 0.049 0.013 0.39 0.045 0.42
2回目 1.6 0.96 4.0 0.024 0.047 0.091 0.81 0.68 0.99
3回目 0.0099 1.5

火葬場
再燃焼炉
集じん機
排気方式 強制
主燃焼炉:再燃焼炉 1対1
燃料 A重油
ダイオキシン類濃度
(ng-TEQ/Nm
1回目 0〜20分 0.027
20〜40分 0.023
40分〜 0.018
2回目 0.064

照会先:厚生省生活衛生局企画課
    阿部(内2415)馬場(内2418)
    (代表)[現在ご利用いただけません]
    (直通)03-3595-2297


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