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平成10年4月13日

公衆衛生審議会健康増進栄養部会の審議内容について


 本日、公衆衛生審議会健康増進栄養部会(細谷憲政部会長)が開催され、以下の内容について審議された。

1.病者用食品の個別評価について

 現在、病者用食品は、低ナトリウム食品等の単一食品及び糖尿病用調整用組合せ食品 等について表示の許可基準を設定し、これに適合する食品を許可している。
 近年における医学・栄養学の進展や食品の加工技術の進歩と相まって、様々な用途の病者用食品が出現しており、医療機関等において疾病の治療等を目的に食事療法への寄与が期待される。
 しかしながら、許可基準の設定されていない食品については、医学・栄養学的に効果が認められるものであっても「病者用」の表示ができない現状にある。
 このため、今般、許可基準の設定されていない食品についても、特定保健用食品の評価方法と同様に、個別に科学的な評価を行うことにより、病者用食品としての表示を認め、特定の疾病をもつ病者に対し適切な情報提供を行えるようにすることが適当であるとの観点から、病者用食品としての表示許可を行う(個別評価を行う)ための許可要件について答申された(別紙1)。

2.脂質に関する栄養表示基準専門委員会報告について

 栄養表示基準は平成8年5月24日施行され、経過措置期間が終了し、本年4月1日から本格的に施行されている。
 脂質に関する栄養表示基準専門委員会(小林修平委員長)は、平成9年3月、栄養表示基準におけるコレステロールの強調表示基準の設定等について検討するため設置されたものであり、その検討結果がとりまとめられたので、本日の審議会で報告された(専門委員会の報告書に基づくコレステロールの強調表示基準案は別紙2)。
 今後、コレステロールの強調表示基準については、WTO通報を行ったうえで、公衆 衛生審議会に諮問し、答申を得て定めることとしている。


別紙 1

病者用食品の許可要件について


 許可基準の設定されていない病者用食品の個別許可は、次の要件に適合するものであること。

(1) 特定の疾病のための食事療法の目的を達成し、食生活の改善に効果が期待できるものであること。

(2) 食品又は関与する成分について、食事療法上の期待できる効果の根拠が医学・栄養学的に明らかにされていること。

(3) 食品又は関与する成分について、病者の食事療法にとって適切な使用 方法が医学・栄養学的に設定できるものであること。

(4) 食品又は関与する成分は、食経験等からみて安全なものであること。

(5) 関与する成分は、次の事項が明らかにされていること。

ア 物理化学的性状及び試験方法
イ 定性及び定量試験方法

(6) 同種の食品の喫食形態と著しく異なったものでないこと。

(7) まれに食べられているものでなく、日常的に食べられている食品であること。

(8) 錠剤型、カプセル型等をしていない通常の形態をした食品であること。

(9) 食品又は関与する成分は、昭和46年6月1日薬発第476号薬務局長通知「無承認無許可医薬品の指導取締りについて」の別紙「医薬品の範囲に関する基準」中「(1)その成分本質が医薬品として使用される物」であって「(a)専ら医薬品として使用される物」に該当するものでないこと。

(注)用語の定義

 本件に係る用語の定義は次のとおりとする。

(1) 「食事療法」とは、疾病の治療及び再発や悪化の防止を目的として、医師の指示により医学・栄養学的知見に基づき、栄養素等を管理した食事を摂取することをいう。

(2)「関与する成分」とは、食事療法を実施するにあたり、疾病の治療等に関与する食品成分をいう。

(参考)個別評価に必要な添付資料について

 許可基準の定められている申請の際の添付資料に加え、次の資料を添付すること。

(1) 食品又は関与する成分について、特定の疾病のための食事療法上の根拠が、医学・栄養学的に示されている資料

(2) 食品又は関与する成分について、病者の食事療法における適切な使用方法が医学・栄養学的に設定するための資料

(3) 食事療法中の病者が、食品として日常的、継続的に摂取することが可能であることを医学・栄養学的に明らかにする資料

(4) 食品又は関与する成分について、安全性に関する資料

(5) 食品又は関与する成分について、安定性に関する資料

(6) 関与する成分の物理化学的性状及びその試験方法に関する資料

(7) 関与する成分の定性及び定量試験の試験検査成績書並びにその試験検査方法

(8) 成分分析表及び熱量の試験検査成績書


今後申請が見込まれる現在許可基準のない病者用食品(例)

(1)アレルギー関係食品;アレルゲン除去食品

 米、卵、牛乳・乳製品、大豆・大豆製品他

(2)先天性代謝異常関係食品

 低フェニールアラニンミルク及び食品
 低分岐鎖アミノ酸ミルク及び食品
 低メチオニンミルク及び食品
 低乳糖ミルク及び食品

(3)腎臓病関係食品

 でんぷん関係食品
 米、うどん、そば、スパゲテイ、もち、パン
 脂質関係食品
 シルキー、MCT関連食品
 ミネラル関係食品
 低ナトリウム、低カリウム、低リン

(4)肥満・糖尿病関係食品

 低カロリー甘味料
 低カロリー脂質

(5)肝臓病関係食品

 アミノ酸調整食品



別紙 2

「コレステロールの強調表示基準」について(案)

1 販売する食品にコレステロールが低い旨もしくは含まない旨を表示する場合は、下表の基準を満たさなければならない。(絶対基準)

強 調 表 示 強 調 表 示 基 準
「低」 (1)コレステロールの含有量が食品100g当たり20mg(飲用食品にあっては、100ml当たり10mg)以下であって、
かつ、
(2)飽和脂肪酸の含有量が食品100g当たり1.5g(飲用食品にあっては、100ml当たり0.75g)以下かつ飽和脂肪酸のエネルギー量が10%以下でなければならない。
「無」 (1)コレステロールの含有量が食品100g当たり5mg(飲用食品にあっては、100ml当たり5mg)未満であって、
かつ、
(2)飽和脂肪酸の含有量が食品100g当たり1.5g(飲用食品にあっては、100ml当たり0.75g)未満かつ飽和脂肪酸のエネルギー量が10%未満でなければならない。
ただし、いずれの場合にあっても、1食分の量を15g以下と表示するものであって、当該食品中の脂質の飽和脂肪酸の含有割合が15%以下不飽和脂肪酸が85%以上で構成されているものについては、(2)の基準は適用しない。

2 販売する食品に他の食品と比較してコレステロールを低減した旨を表示する場合は、(1)比較した食品に比べ、コレステロールの含有量が食品100g当たり20mg(飲用食品にあっては、100ml当たり10mg)以上低減されていること。かつ、飽和脂肪酸が100g当たり1.5g(飲用食品にあっては、100ml当たり0.75g)以上低減されていなければならない。また、この場合、(2)比較した食品名及び低減したコレステロールの量又は割合を表示しなければならない。(相対基準)


照会先:厚生省生活衛生局食品保健課
    新開発食品保健対策室
担 当:古畑、滝本 (内線2458)
電 話:[現在ご利用いただけません] (代表)


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