98/03/30 医薬品等安全性情報147号 医薬品等安全性情報 Pharmaceuticals and Medical Devices Safety Information No.147 目 次 1 骨セメントの股関節への使用時における血圧低下,ショックについて 2 セラトロダストによる肝機能障害 3 G‐CSF製剤による急性呼吸窮迫症候群 4 使用上の注意の改訂について(その107)  この医薬品等安全性情報は,従来の医薬品副作用情報を改めたもので,厚生省におい て収集された副作用情報をもとに,医薬品等のより安全な使用に役立てていただくため に,医療関係者に対して情報提供されるものです。 平成10年(1998年)3月                               厚生省医薬安全局 【情報の概要】 No.1  医薬品等  骨セメント 対  策  使用上の注意の改訂 症例の紹介 情報の概要 骨セメントを使用した大腿骨置換術で起こる急激な血圧低下,ショックに      ついては,平成4年9月発行の「医薬品副作用情報No.116」で「骨セメント      と血圧低下について」として報告症例の概要を掲載し,骨セメント製品の      「使用上の注意」の改訂を指導するなど,注意喚起を行ってきた。       その後も骨セメントを使用して血圧低下,ショックに至った不具合症例が      報告され,骨セメント共通の問題と考えられるため,「血圧低下,ときに重      篤な循環不全に至るリスクよりも有効性が上回る場合にのみ使用すること」      をはじめ,骨セメントの股関節使用時における重要な基本的注意を記載すべ      く,骨セメント全製品について「使用上の注意」の改訂を行うよう指導を行      った。 No.2 医薬品等  セラトロダスト 対  策  使用上の注意の改訂 症例の紹介 情報の概要 セラトロダストは平成7年9月に承認された気管支喘息治療薬であり,発      売時より肝機能障害は知られており,注意喚起はなされていたが,同年12月      の発売以来2年3ヵ月で因果関係が不明なものも含め劇症肝炎での死亡症例      が4例報告されたことから,今般,「使用上の注意」の改訂を行い,なお一      層の注意喚起を行った。 No.3 医薬品等  ナルトグラスチム、フィルグラスチム、レノグラスチム 対  策  使用上の注意の改訂 症例の紹介 情報の概要 G‐CSF製剤による間質性肺炎は既に「重大な副作用」に記載し注意を喚起      しているが,間質性肺炎以外の呼吸器系障害(急性呼吸窮迫症候群)を起こ      し,重篤な転帰に至る症例があることから,今回「重大な副作用」に「急性      呼吸窮迫症候群」を追加記載し,改めて注意を喚起することとした。 No.4 医薬品等  セラトロダスト他(52件) 情報の概要 使用上の注意の改訂について(その107) 1 骨セメントの股関節への使用時における血圧低下,ショックについて 一般的名称  骨セメント 該当商品名  CMWボーンセメントタイプ1RO(寿医科商事,デピュー・ジャパン)        CMWボーンセメントタイプ3(寿医科商事,デピュー・ジャパン)        セメックスRX(佐多商会)        セメックスシステム(佐多商会)        セメックスアイソプラスチック(佐多商会)        エンデュランスボーンセメント(デピュー・ジャパン)        サージカルシンプレックス(ファイザー製薬)        オステオボンドコポリマーボーンセメント(ブリストル・マイヤーズス        クイブ)        レギュラーボーンセメント(ブリストル・マイヤーズスクイブ)        L.V.C.ボーンセメント(ブリストル・マイヤーズスクイブ) 類   別  医療用品 4 整形用品 適   応  人工関節の固定等 (1)経 緯  大腿骨頚部骨折や関節リウマチ等,関節に障害が起こった場合,骨頭(大腿骨の上端 部分)を切除して人工の骨頭に置き換える人工骨頭置換術や,関節全体を人工関節に置 き換える人工関節置換術が行われる。その際,人工関節等のインプラント材を生体骨に 固着するため,骨セメントと呼ばれるアクリル樹脂を生体骨内に注入することがある。  骨セメントの使用に伴い血圧低下,ショックが発現することについては,古くは25年 以上前から指摘されており,厚生省では平成4年9月発行の「医薬品副作用情報No.116 」において,「骨セメントと血圧低下について」として,報告された症例の概要を紹介 するとともに,骨セメント製品の添付文書の「使用上の注意」の改訂を行うなど,注意 喚起を行ってきた1)。  しかしながら,その後も,骨セメントを使用して,血圧低下,ショックに至った不具 合症例が報告されており,因果関係が不明であるものを含め,昭和62年以降の件数は21 例(うち17例が死亡)となっている。  なお,昨年11月には,ブリストル・マイヤーズ スクイブ(株)が輸入販売している骨セメ ント「オステオボンド コポリマー ボーンセメント」を大腿骨置換術に使用した患者 に,短期間(発売開始〜約半年程度)のうちに3例の血圧低下,ショックを伴う死亡例 が発生したため,当該企業により,専ら股関節部位に適用される「80g粉末/40mLモノマ ー」製品の自主回収が行われるとともに,発生した3例の死亡症例の概要及び「当面の 間,本品の股関節部位への適用を見合わせること」についての情報提供が行われた。  このようなことから,現在までに得られている各種の知見に基づき,中央薬事審議会 副作用第三調査会において,骨セメントの股関節使用時の安全性に関する評価と安全対 策について検討を行った。  骨セメント使用に伴う不具合症例として,これまでに報告された症例の一部を表1に 紹介する。 (2)安全性に関する評価  骨セメントの使用に伴う血圧低下,ショックは,以前から文献等で報告されている。 また,各社が販売している骨セメントの組成等に大きな差はないため,急激な血圧低下 は骨セメントに共通の問題であると考えられる。  このような血圧低下,ショックが起こる原因については,  1)股関節の手術中に髄腔内が高圧になって,髄腔内容物が循環系に流出した結果,肺   等で塞栓を起こすこと  2)骨セメントが重合する際の発熱が刺激となること  3)骨セメントが重合する前のモノマー成分の作用によること 等の諸説があり,学問的にも議論が分かれている状況にある。また,死亡例には,急激 な血圧低下が起こった後,昇圧剤,副腎皮質ステロイド剤等にほとんど反応しないとい う特徴がある。  骨セメントを使用した際の,急激な血圧低下等のメカニズムの解明が,現時点でも中 長期的な課題として残っているが,骨セメントは,股関節置換術に必要不可欠な場合も あり,この治療方法が行えなければ,寝たきりや行動制限の原因になるなど,QOL(生活 の質)に大きく影響を及ぼす可能性があることから,当面の安全対策として,現時点に おいて得られている知見に基づく注意事項を添付文書に記載し,注意喚起を行うことと した。  また,股関節部位への適用を見合わせている「オステオボンド コポリマー ボーン セメント」,「80g粉末/40mLモノマー」製品については,粘度の経時変化,硬化の際の 発熱(最高温度),モノマー成分の溶出量等について,骨セメントの他製品との比較検 討を行ったところ,本質的に違いは認められなかった。なお,本品の販売を再開するに あたっては,医療機関に対し,下記の添付文書の改訂事項等適正使用に関する情報を提 供するとともに,当該企業が不具合の発生について全例を把握することが必要であると された。 (3)安全対策  上記の評価をふまえ,「重要な基本的注意」の項を新たに設け,血圧低下,重篤な循 環不全に至るリスクが高い患者に対しては,骨セメントの使用による有効性がこれらリ スクを上回る場合にのみ使用すること,全身循環血液量を十分に保つこと,急な血圧低 下,重篤な循環不全に備えて,緊急対応のできる麻酔医等の監視のもとに使用すること, 未重合のモノマーによる毒性影響を避けるためセメントの混合時間を十分にとること, 塞栓の可能性のある骨髄組織を十分に除去すること,セメントガン使用時には骨髄腔の 遠位端を栓でふさぐこと,及び,セメント充填時に骨髄内圧上昇を最小限にするよう注 意することについて,骨セメント全製品について統一した記述で,記載することと した。 (4)報告のお願い  安全性確保の観点から,骨セメント使用時に血圧低下,ショック等(死亡に至らなか った事例を含む)の発症が認められた場合には,医薬品等安全性情報報告制度による報 告をお願いしたい。 《使用上の注意》 〈骨セメント〉 重要な基本的注意l(股関節に使用する場合) (1)心肺血管系疾患のある患者,全身状態不良患者,悪性腫瘍の大腿骨転移患者,高   齢者,骨粗鬆症患者,副腎皮質ステロイド剤の投与を受けている患者,循環血液量   が減少した状態にある患者,低酸素状態にある患者,肥満のある患者については,   血圧低下,ときに重篤な循環不全に至るリスクが他の患者と比較して大きいので,   骨セメントの使用による有効性がこれらリスクを上回ると判断される場合にのみ使   用すること。 (2)循環血液量を十分に保ち,できる限りより良好な全身状態のもとに使用する こと。 (3)急な血圧低下,重篤な循環不全に備えて,緊急対応のできる麻酔医等の監視のも   とに使用すること。また,患者の血圧変化等を継続的にモニターするとともに,重   篤な循環不全に備えて治療が直ちに行えるよう必要な準備をしておくこと。 (4)未重合のモノマーが血管内に吸収され心筋抑制等を起こすことを予防するため,   骨セメントの混合時間を十分とり,ある程度重合するまで充填しないこと。 (な   お,個々の骨セメント製品について,混合の時間,充填までの時間,室温等につい   ての目安を具体的に記載する) (5)長管骨髄腔(大腿骨等)に使用する場合,塞栓になる可能性のある骨髄の組織  (骨髄,骨片,及び血液)を十分に除去すること。 (6)セメントガンにより低粘性の骨セメントを大腿骨髄腔に充填する場合には,未重   合のモノマー,髄腔内容物の循環器系への流入を可能な限り少なくするため,髄腔   の遠位端を栓でふさぐこと。 (7)骨セメント充填時の大腿骨髄内圧の上昇が呼吸器,循環器に影響するので,減圧   のためのチューブを一時的に挿入するなど,骨髄内圧上昇を最小限にするよう注意   すること。 〈参考文献〉 1)厚生省薬務局:骨セメントと血圧低下について,医薬品副作用情報No.116,          p20(1992) 表1‐1症例の概要 No.1 患 者(性・年齢) 女 70代 使用理由〔合併症〕 変形性股関節症に伴う右人工骨頭置換術 経過及び処置    全身麻酔下で,手術は施行された。ボーンプラグを使用し,骨セ          メントをセメントガンにて大腿骨髄腔に注入した。その際,ボーン          プラグが遠位にずれた。骨セメント充填40秒後から血圧低下(40mm          Hg未満まで低下)が認められ,ショック状態に陥った。手術を中断          し,昇圧剤(エピネフリン,塩酸エフェドリン,塩酸ドパミン,塩          酸ドブタミン)投与するも昇圧できず,心停止となった。直ちに蘇          生術(心ペーシング,心マッサージ)を施すが,心機能回復せず,          死亡した。 備    考   企業報告 併 用 薬    セボフルラン,臭化ベクロニウム,エピネフリン,塩酸エフェドリ          ン,塩酸ドパミン,塩酸ドブタミン No.2 患 者(性・年齢) 女 80代 使用理由〔合併症〕 左大腿骨頚部骨折に伴う人工骨頭置換術〔解離性大動脈瘤,高血          圧,狭心症〕 経過及び処置    全身麻酔下でニトログリセリン持続点滴を行い,胸部大動脈瘤に          対して予防的に低血圧状態(BP120〜100/60mmHg)を持続しながら手          術は施行された。骨頭摘出後,骨セメント・ステム挿入操作10分前          位にニトログリセリンの投与を中止した。ボーンプラグを使用し,          骨セメントをセメントガンにて髄腔に注入した。大腿骨ステムの挿          入直後より著しい血圧低下が起こり測定不能値(40mmHg未満)まで          低下した。徐脈になったため,昇圧剤投与(エピネフリン心腔内注          入,塩酸ノルアドレナリン,l‐塩酸イソプロテレノール静注)した          が,昇圧しなかった。約1時間にわたる蘇生術(心マッサージ)を          施すが蘇生せず,心不全により死亡した。 備    考   企業報告 併 用 薬    セボフルラン,チオペンタールナトリウム,臭化パンクロニウム,          ニトログリセリン,エピネフリン,塩酸ノルアドレナリン,l‐塩酸          イソプロテレノール No.3 患 者(性・年齢) 女 80代 使用理由〔合併症〕 左大腿骨骨折に伴うセメントレスでの人工骨頭置換術後の緩み発          生の処置のためのリヴィジョン手術〔骨粗鬆症,心不全の疑い〕 経過及び処置   チオペンタールナトリウム及びハロタン投与による全身麻酔下に          てプライマリーインプラントを抜去後,セメントガンを使用して左          大腿骨髄腔内に骨セメントを注入し,リヴィジョンインプラントを          挿入した。リヴィジョン手術のため,ボーンプラグ及びボーンチッ          プの使用は不可能であった。インプラント挿入の数分後,血圧が78          /10に低下した。塩酸ドパミン,ノルエピネフリン,エピネフリン,          塩酸エチレフリンを静注し閉創したが,20分後に血圧が62/拡張期圧          測定不可能にまで低下した。更にエピネフリン,塩酸イソプレナリ          ンの心注,心マッサージを15分間行ったが心拍数が下がった。約1          時間,経過観察していたが蘇生せず,死亡した。剖検はしてい ない。 備    考   企業報告 併 用 薬    ドロペリドール,クエン酸フェンタニル,塩化スキサメトニウム,          臭化パンクロニウム 表1‐2症例の概要 No.4 患 者(性・年齢) 女 50代 使用理由〔合併症〕 人工骨頭置換術後の緩み発生の処置のためのリヴィジョン手術          〔変形性股関節症〕 経過及び処置    セボフルラン吸入による全身麻酔下にて手術を開始した。臼蓋用          カップの固定に骨セメントを使用したが循環動態に変動を認めなか          った。その後,骨セメントをセメントガンにて大腿骨髄腔に注入          し,大腿骨インプラントを挿入したところ血圧が40/20に,心拍数が          41に低下した。術野をサージカルドレープで覆い手術創を閉じない          まま,心マッサージを行いアトロピン0.3mg,塩酸エフェドリン20m          g,エピネフリン0.1mgを静注した。更に塩酸ドパミン,コハク酸メ          チルプレドニゾロンナトリウムを静注,10分後に血圧が100/60,心          拍数が130と回復した。その後,手術を完了し,ICU室に移送し塩酸          ドパミンの静注を継続した。2日後に一般病棟に戻し,塩酸ドパミ          ンの投与量を徐々に減量した。その後,治癒した。 備    考   企業報告 併 用 薬    アトロピン,塩酸ヒドロキシジン,ペンタゾシン 2 セラトロダストによる肝機能障害 成 分 名 セラトロダスト成分名#該当商品名 該当商品名 ブロニカ(武田薬品工業) 薬効分類等 気管支喘息治療剤(トロンボキサンA2受容体拮抗剤) 効能効果  気管支喘息 (1)経緯  セラトロダストはトロンボキサンA2受容体拮抗剤であり,選択的トロンボキサンA2 拮抗作用により即時型及び遅発型喘息反応並びに気道過敏性の亢進を抑制する気管支喘 息治療剤である。  セラトロダストによる肝機能検査値異常については,承認時までの臨床試験において 824例中28例(3.4%)で異常値がみられたことから,平成7年12月の発売時点から,使 用上の注意の「副作用」の項に,GOT,GPTの上昇等があらわれることがある旨を, 更に,「慎重投与」の項には「重篤な肝障害のある患者」を記載し,注意を喚起してき た。  市販後約1年経過した昨年2月には,血清ビリルビン上昇を伴う肝機能異常が8例報 告され,うち4例が黄疸を呈していたため,「黄疸」を「使用上の注意」に追記した。  その後も,重篤な肝機能障害の報告症例が集積してきていること,また,今年に入っ て,本剤と因果関係が否定できない劇症肝炎の症例が報告されたために,「使用上の注 意」の改訂を行い,肝機能に対する医療関係者への注意喚起をより強化することと した。 (2)症例の概要  平成7年12月の発売から本年1月末までの間に,医師により重篤とされ,かつセラト ロダストとの因果関係が不明なものも含め肝機能障害の症例が49例報告されている。 1)患者背景  以下に49例(うち劇症肝炎4例)の概要並びに劇症肝炎例を紹介する。  性別については,49例中男性が18例,女性が30例,不明1例であり,年齢分布は35〜 86歳までであった。  医薬品による副作用の既往歴が11例で報告されており,うち約半数は発疹等のアレル ギー性のものであり,1例では肝機能障害の副作用歴(原因薬剤不明)が報告されてい る。  肝・胆道系疾患の合併症又は既往歴が5例で報告されており,うち2例が胆石症,2 例が肝機能障害である。  1例を除いた全例に併用薬があり,約90%の症例で気管支拡張剤が,30〜40%で抗ア レルギー剤,副腎皮質ステロイド剤,消化器官用剤,循環器官用剤が併用されている。 2)肝機能障害の発現状況  発現時期(本剤の服用開始から症状が発現した時期,あるいは検査成績の異常がみら れた時期)については,本剤投与開始後,最長33週目までは比較的一定の割合で発現が 認められている。  26例で肝機能障害の随伴症状が報告されている。主なものは倦怠感が20例, 食欲不振, 嘔気等の消化器症状が17例,黄疸が12例である。  経過中のGPTの最高値は1760で,19例は500以上1000未満の症例であり,また,総ビリ ルビンの最高値は38.7mg/dLで,23例の症例は3.0mg/dL未満である。 3)副作用の転帰  肝機能障害の転帰については,後述する劇症肝炎例及び転帰が不明な例,計12例を除 いた37例では消失ないし軽快(以下改善)している。この37例における発現から改善ま での期間については,発現から12週以内に34例の症例が改善している。  薬剤性肝障害の鑑別診断に重要なウイルス検査は22例で実施されており,HA抗体のみ 陽性を呈した症例1例以外は,いずれも陰性であった。  薬剤アレルギー性肝障害の診断に有用とされるリンパ球刺激試験(LST)が17例で実施 されており,2例は陽性を呈したが,他はいずれも陰性であった。 (3)症例の紹介  報告された劇症肝炎例を表1に紹介する。テオフィリン,塩酸マブテロール及び本剤 の投与開始後7ヵ月目に黄疸があらわれ,ついで意識障害,プロトロンビン時間の低下 を認め,最終的に死亡している。ウイルス及びアルコール等の他要因は否定的で,本剤 の関与が疑われた。 (4)安全対策  セラトロダストの肝臓に関する注意事項は「慎重投与」の項と「副作用」の項に記載 していたが,上記の報告状況をふまえ,「重大な副作用」の項を新たに設け,黄疸やGO T,GPTの上昇等を伴う重篤な肝機能障害があらわれることがあること,並びに,劇症肝 炎が報告されていることを記載することとした。また,早期に肝機能異常が発見される よう,定期的に肝機能検査を行うなど,観察を十分に行う旨も併せて記載することとし た。 《使用上の注意》 〈セラトロダスト〉 慎重投与(次の患者には慎重に投与すること) (2)重篤な肝障害がある患者[本剤はまれに黄疸,また,ときに肝機能異常を起こす   ことがある。また,まれに劇症肝炎が報告されている。] 副作用 (1)重大な副作用(発生頻度0.1%未満)   黄疸,GOT,GPTの上昇等を伴う重篤な肝機能障害があらわれることがあり,また,  劇症肝炎が報告されている。定期的に肝機能検査を行うなど観察を十分に行い,異常  が認められた場合には投与を中止し,適切な処置を行うこと。 (2)その他の副作用   発生頻度          0.1〜5%未満       0.1%未満    肝臓 注)   GOT,GPT,ALP,LDH,γ‐GTPの上昇   黄疸   注)定期的に肝機能検査を行うなど観察を十分に行い,異常が認められた場合には    投与を中止するなど適切な処置を行うこと。 表1症例の概要 No.1 患 者(性・年齢)  男 70代 使用理由〔合併症〕  気管支喘息〔慢性気管支炎,陳旧性心筋梗塞,胆石症〕 1日投与量・投与期間 80mg197日間 経過及び処置    劇症肝炎10年来,慢性気管支炎と気管支喘息がある。本剤,テオ          フィリン及び塩酸マブテロールの服用を開始して約7ヵ月目に全身          倦怠,食思不振,眼球黄染発現(第1病日)し,第4病日に来院。          全身的に黄疸を認める。意識は清明であったが,重症の肝障害であ          り,入院を指示。第5病日に他院に入院。腹部エコー検査により閉          塞性黄疸は否定された。凝固系の障害が強く,肝細胞壊死が考えら          れた。意識状態はほぼ正常であった。免疫学的検査(抗DNA抗体,抗          ミトコンドリア抗体いずれも陰性),ウイルス検査(HBs抗原,HCV          抗体,IgMHA抗体いずれも陰性)より自己免疫性肝炎,ウイルス性肝          炎は否定的。ビタミン剤,電解質の輸液及びドンペリドン,テプレ          ノン,酸化マグネシウムの経口投与を開始。第8病日に出血傾向を          認め,黄疸進行。羽ばたき振戦出現。劇症肝炎と診断し,グルカゴ          ン・インスリン療法開始する。第10病日から血漿交換を開始する          が,意識レベルの改善は見られず,第12病日には昏睡度はIIIに達し          た。          第13病日に呼吸停止し,挿管。その後痙攣頻発し,ジアゼパム          静注。          第14病日に血圧低下し,死亡(死因:劇症肝炎)。 備    考   企業報告 臨床検査値            投与開始日 第4病日 第5病日 第8病日 第10病日  GOT     (IU/L) 16 1120 656 391 274  GPT (IU/L) − 1290 1074 713 549  ALP (IU/L) − 652 550 556 541  LDH (IU/L) 370 920 378 445 677  総ビリルビン (mg/dL)− 19.1 17.4 21.0 24.4  直接ビリルビン (mg/dL)− 10.0 10.0 − 12.9  プロトロンビン時間 (%)− − 29 26 24  フィブリノーゲン(mg/dL)− − 114 88 − (検査値の測定施設は第4病日までと第5病日以降とで異なる) 併用薬:テオフィリン(400mg),塩酸マブテロール(100μg) 3 G‐CSF製剤による急性呼吸窮迫症候群 成 分 名/該当商品名     成分名             該当商品名   ナルトグラスチム(遺伝子組換え) ノイアップ注(協和醗酵)   フィルグラスチム(遺伝子組換え) グラン注射液(麒麟麦酒)   レノグラスチム(遺伝子組換え) ノイトロジン注(中外製薬) 薬効分類等  その他の血液・体液用薬 効能効果  (ナルトグラスチムの場合) 1.骨髄移植時の好中球数の増加促進 2.下記疾患におけるがん化学療法による好中球減少症悪性リンパ腫,肺癌,卵巣癌,  睾丸腫瘍,神経芽細胞腫,横紋筋肉腫,小児急性リンパ性白血病 3.小児再生不良性貧血に伴う好中球減少症 4.先天性・特発性好中球減少症 (フィルグラスチムの場合) 1.骨髄移植時の好中球数の増加促進 2.がん化学療法による好中球減少症:悪性リンパ腫,肺癌,卵巣癌,睾丸腫瘍,神経  芽細胞腫乳癌(発熱性好中球減少症又は高度な好中球減少症),尿路上皮癌(発熱性  好中球減少症又は高度な好中球減少症),頭頚部癌(発熱性好中球減少症又は高度な  好中球減少症)  急性白血病 3.ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症の治療に支障を来す好中球減少症 4.骨髄異形成症候群に伴う好中球減少症 5.再生不良性貧血に伴う好中球減少症 6.先天性・特発性好中球減少症 (レノグラスチムの場合) 1.骨髄移植時の好中球数の増加促進 2.がん化学療法による好中球減少症:悪性リンパ腫,肺癌,卵巣癌,睾丸腫瘍,神経  芽細胞腫尿路上皮癌(発熱性好中球減少症又は高度な好中球減少症),頭頚部癌(発  熱性好中球減少症又は高度な好中球減少症),乳癌(発熱性好中球減少症又は高度な  好中球減少症)  急性骨髄性白血病  急性リンパ性白血病 (1)急性呼吸窮迫症候群とG‐CSF  G‐CSF(顆粒球コロニー形成刺激因子:granulocyte‐colony stimulating factor) 製剤をがん化学療法後の好中球減少症に対して投与した症例で,間質性肺炎の報告があ ったことから,平成8年1月に「発熱,咳嗽,呼吸困難,胸部X線検査異常」等の初期 症状を呈する「間質性肺炎」を「使用上の注意」に記載し,注意を喚起してきた。しか し,間質性肺炎以外の呼吸器系障害として,本剤投与との因果関係が否定できない急性 呼吸窮迫症候群(ARDS=Acute Respiratory Distress Syndrome)が12例〔ナルトグラス チム1例,フィルグラスチム6例(うち死亡1例),レノグラスチム5例(うち死亡3 例)〕報告され,本剤が発症に関与した可能性も考えられるため,「重大な副作用」に 「急性呼吸窮迫症候群」を追加記載することとした。  G‐CSF製剤による急性呼吸窮迫症候群の呼吸器系障害の発現機序としては,動員され た好中球が肺毛細血管や肺胞内に集積し,エラスターゼ,活性酸素,炎症性メディエー ター等が産生・放出され,血管内皮障害,毛細血管の透過性亢進により組織障害が進展 する可能性があると考えられている。 (2)症例の紹介  これまでの報告例によると,呼吸器系障害を起こした症例では,年齢,性別,併用薬 剤の種類等には一定の傾向は認められなかった。報告された症例の一部を表1に紹介す る。 (3)安全対策  G‐CSF製剤の投与に際しては,間質性肺炎と初期症状が類似する急性呼吸窮迫症候群 が発現することがあるため,観察を十分に行い呼吸困難,チアノーゼ,動脈血酸素分圧 の低下,AaDO2(Alveolararterial oxygen difference)の開大,肺水腫等の症状,ま た両側性びまん性肺浸潤影等の胸部X線異常が認められた場合には投与を中止し,早急 に呼吸管理を実施し,体液量の調整等の循環管理等を行うとともに,ステロイドの大量 投与を考慮する。 《使用上の注意》 〈ナルトグラスチム,フィルグラスチム,レノグラスチム〉 副作用 (1)重大な副作用  3)急性呼吸窮迫症候群:急性呼吸窮迫症候群が発現することがあるので観察を十分   に行い,急速に進行する呼吸困難,低酸素血症,両側性びまん性肺浸潤影等の胸部   X線異常等が認められた場合には本剤の投与を中止し,呼吸管理等の適切な処置を   行うこと。 表1症例の概要 No.1 患 者(性・年齢)  女 40代 使用理由〔合併症〕  がん化学療法後の好中球減少症 1日投与量・投与期間 250μg4日間 経過及び処置    悪性リンパ腫(びまん性大細胞型,T細胞性)と診断され,CHOP          ‐MEVP[シクロホスファミド,塩酸ドキソルビシン,硫酸ビンクリ          スチン,プレドニゾロン,塩酸ミトキサントロン,エトポシド,硫          酸ビンデシン,プレドニゾロン]交換療法を10コース施行したが,          部分寛解であった。そこでCEPP‐B療法[シクロホスファミド900mg          (2日間),塩酸プロカルバジン100mg(9日間),エトポシド160          mg(3日間),塩酸ブレオマイシン20mg,プレドニゾロン60mg(9          日間)]を施行した。白血球数は治療開始の翌日2300/μLで治療最          終日(9日目)には300/μLに減少した。その時左手背に帯状疱疹が          あらわれ,大きな水泡を形成し高熱が出た。アシクロビルと免疫グ          ロブリン製剤が投与され,治療終了翌日から本剤が4日間投与され          た。白血球数は本剤投与後5日目に11300/μLに増加したが,その時          突然強い呼吸困難を訴えた。咳や痰は見られず,高熱に際し2度血          液培養を行ったが陰性であった。胸部X線で両肺に著しい浸潤陰影          を認め,roomair吸入での動脈血ガス所見はPaO233.8Torr,PaCO2          36.0Torrであった。100%酸素吸入,メチルプレドニゾロン1g/日          (3日間),免疫グロブリン製剤(計15g)が投与され,症状発現6          日後には肺病変,及び血液ガスはPaO261.3Torr,PaCO241.5Torrと          改善した。その後リンパ腫は完全寛解し現在に至る。          原疾患:悪性リンパ腫 備    考  企業報告 併 用 薬   シクロホスファミド,塩酸プロカルバジン,エトポシド,塩酸ブレオ         マイシン,プレドニゾロン No.2 患 者(性・年齢)  男 50代 使用理由〔合併症〕  がん化学療法後の好中球減少症# 1日投与量・投与期間 100μg/kg4日間 経過及び処置    G‐CSF製剤を4日間投与したその5日後頃より発熱,咳,痰等の          症状が出現。発熱はスパイク状で1日1回程度高熱が出た。抗生物          質,γ‐グロブリン製剤の投与を開始するが,改善見られず,症状          は進行傾向であった。6日後,湿性の咳が強くなり,かなりの呼吸          困難出現。チアノーゼも著明で,意識レベルが低下。血液ガスは,          PaCO234.2Torr,PaO228.9Torr。胸部X線上はdiffuse infiltrati          ve shadowが認められる。酸素吸入(O26L/分)を開始。メチルプレ          ドニゾロン,ヘパリン製剤の投与を行う。一時期はX線所見,症状と          も回復したが,その後再び悪化し,約2週間後呼吸不全,心不全に          より死亡。(剖検:未実施)          原疾患:悪性リンパ腫 備    考  企業報告 併 用 薬   シクロホスファミド,エトポシド,硫酸ペプロマイシン,メトトレキ        サート,プレドニゾロン,ホリナートカルシウム 4 使用上の注意の改訂について(その107)  医薬品等安全性情報No.146掲載分以降に改訂を指導した使用上の注意について,改訂 内容,主な該当商品名,参考文献等をお知らせいたします。 1〈アレルギー用薬〉  セラトロダスト [販売名]ブロニカ(武田) [副作用(重大な副作用)]     黄疸,GOT・GPTの上昇等を伴う重篤な肝機能障害があらわれることがあり,ま     た,劇症肝炎が報告されている。定期的に肝機能検査を行うなど観察を十分に     行い,異常が認められた場合には投与を中止し,適切な処置を行うこと。 〈参考〉企業報告 2〈G‐CSF製剤〉  ナルトグラスチム,フィルグラスチム,レノグラスチム [販売名]ノイアップ(協和醗酵),グラン(麒麟麦酒),ノイトロジン(中外) [副作用(重大な副作用)]     急性呼吸窮迫症候群:急性呼吸窮迫症候群が発現することがあるので,観察を     十分に行い,急速に進行する呼吸困難,低酸素血症,両側性びまん性肺浸潤影     等の胸部X線異常等が認められた場合には本剤の投与を中止し,呼吸管理等の     適切な処置を行うこと。 3〈全身麻酔剤〉  イソフルラン [販売名]フォーレン(ダイナボット)他 [副作用(その他の副作用)]     循環器:(0.1〜5%未満)血圧変動,ST低下,心電図異常 〈参考〉企業報告 4〈全身麻酔剤〉  塩酸ケタミン [販売名]#ケタラール(三共エール) [その他]#外国において,乱用により依存性が生じたとの報告がある。 〈参考〉Hurt, P. H., et al.:Am. J. Psychiatry, 151(5):779(1994) 5〈全身麻酔剤〉  プロポフォール [販売名]ディプリバン(ゼネカ) [副作用(重大な副作用)]     気管支痙攣:気管支痙攣を起こすことがあるので,本剤の使用に当たっては,     緊急時に対応できる準備をし,本剤投与中は観察を十分に行い,このような症     状があらわれた場合には適切な処置を行うこと。 〈参考〉企業報告 6〈ベンゾジアゼピン系睡眠導入剤〉  トリアゾラム [販売名]ハルオシン(住友)他 [相互作用(併用に注意すること)]      リファンピシン[本剤の代謝が促進され,血中濃度を低下させることが報告      されている。] 〈参考〉Villikka, K., et al.:Clin. Pharmacol. Ther., 61:8(1997) 7〈催眠鎮静剤〉  フェノバルビタール,フェノバルビタールナトリウム,プロキシフィリン・塩酸エフ ェドリン・フェノバルビタール,臭化メペンゾラート・フェノバルビタール [販売名]フェノバール(藤永)他,フェノバルビタールナトリウム(山善),アスト     モリジン(マルホ),トランコロンP(藤沢) [副作用(重大な副作用)]     顆粒球減少:顆粒球減少があらわれることがあるので,このような場合には,     投与を中止し,適切な処置を行うこと。 〈参考〉企業報告 8〈脳血管障害性精神症状改善剤〉  アニラセタム [販売名]サープル(富山),ドラガノン(ロシュ) [副作用]     精神神経系:ときに興奮,頭痛,頭重,めまい,譫妄,不眠,眠気,精神不安     定等があらわれることがある。また,異常行動,幻覚があらわれることが     ある。 〈参考〉企業報告 9〈骨格筋弛緩剤〉  臭化パンクロニウム,臭化ベクロニウム [販売名]ミオブロック(三共),マスキュラックス(オルガノン) [副作用(重大な副作用)]     アナフィラキシー様症状:アナフィラキシー様症状を起こすことがあるので,     気管支痙攣,頻脈,全身発赤等,異常が認められた場合には,直ちに投与を中     止し適切な処置を行うこと。 10〈強心剤〉  ジギトキシン,プロスシラリジン,デスラノシド,ラナトシドC [販売名]ジギトキシン(塩野義)他,タルーシン(大日本)他,ジギラノゲンC(藤 沢)      他 [原則禁忌]  塩化スキサメトニウム投与中の患者[併用により重篤な不整脈を起こすおそれがある 。] [相互作用(原則として併用しないこと)]     塩化スキサメトニウム[併用により重篤な不整脈を起こすおそれがあるので,     併用しないことを原則とするが,やむを得ず併用する場合には慎重に投与する     こと。] 11〈β遮断剤〉  塩酸オクスプレノロール [販売名]トラサコール(チバガイギー)他 [一般的注意]長期投与の場合は,心機能検査(脈拍・血圧・心電図・X線等)を定期的        に行うこと。特に徐脈になったとき及び低血圧を起こした場合には減量        又は中止すること。また,必要に応じアトロピンを投与するなど対症療        法を行うこと。なお,肝機能,腎機能,血液像等に注意すること。        手術前24時間は投与しないことが望ましい。        褐色細胞腫の患者では,本剤の単独投与により急激に血圧が上昇するこ        とがあるので,α‐遮断剤で初期治療を行った後に本剤を投与し,常に        α‐遮断剤を併用すること。        めまい,ふらつきがあらわれることがあるので,本剤投与中の患者(特        に投与初期)には,自動車の運転等危険を伴う機械の作業に注意させる        こと。 [禁忌]本剤の成分及び他のβ‐遮断剤に対し過敏症の既往歴のある患者     異型狭心症の患者[症状を悪化させるおそれがある。]     低血圧症の患者[降圧作用により症状を悪化させるおそれがある。]     重症の末梢循環障害(壊疽等)のある患者[症状を悪化させるおそれがある。     ]     未治療の褐色細胞腫の患者(「一般的注意」の項参照) [慎重投与]徐脈,房室ブロック(I度)のある患者[心刺激伝導系を抑制し,症状を       悪化させるおそれがあるので心機能に注意すること。](「禁忌」の項も       参照)       甲状腺中毒症の患者[頻脈等の中毒症状をマスクすることがある。]       (「一般的注意」の項も参照)       小児(「小児への投与」の項参照) [相互作用(併用に注意すること)]       カルシウム拮抗剤(ベラパミル,ジルチアゼム等)[相互に作用が増強さ       れることがあるので,減量するなど注意すること。]       ClassI抗不整脈剤(ジソピラミド,プロカインアミド,アジマリン等)及       びアミオダロン[過度の心機能抑制があらわれることがあるので,減量す       るなど注意すること。]       麻酔剤(エーテル等)[過剰の交感神経の抑制を起こす可能性があるので       注意すること。]       ジギタリス製剤[房室伝導時間が延長することがある。]       非ステロイド性抗炎症剤(インドメタシン等)[本剤の降圧作用が減弱す       ることがある。]       降圧作用を有する他の薬剤(ニトログリセリン等)[降圧作用が増強され       るおそれがあるので,減量するなど注意すること。] [妊婦・授乳婦への投与]       母乳中へ移行することが報告されているので,授乳中の婦人に投与するこ       とを避け,やむを得ず投与する場合には授乳を中止させること。 [小児への投与]       小児に対する安全性は確立していない。 [過量投与]       過量投与時には通常次のような処置が行われる。       過度の徐脈には硫酸アトロピンを静注し,効果不十分な場合にはβ‐刺激       剤(塩酸イソプレナリン,硫酸オルシプレナリン等)を徐々に静注。低血       圧には昇圧剤(エピネフリン,ドパミン等)を投与。心不全にはジギタリ       ス製剤,利尿剤を投与。なお,グルカゴンの静注が有効な場合もある。気       管支痙攣にはβ2‐刺激剤(硫酸サルブタモール等)又はアミノフィリン       を静注。これらの処置の間は患者を常に観察下におくこと。 [その他]       β‐遮断剤服用中の患者では,他の薬剤によるアナフィラキシー反応がよ       り重篤になることがあり,また,通常用量のエピネフリンによる治療に抵       抗する場合がある。 12〈β遮断剤〉  ピンドロール(経口剤) [販売名]カルビスケン(サンド)他 [一般的注意]        長期投与の場合は,心機能検査(脈拍・血圧・心電図・X線等)を定期的        に行うこと。特に徐脈になったとき及び低血圧を起こした場合には減量        又は中止すること。また,必要に応じアトロピンを投与するなど対症療        法を行うこと。なお,肝機能,腎機能,血液像等に注意すること。        褐色細胞腫の患者では,本剤の単独投与により急激に血圧が上昇するこ        とがあるので,α‐遮断剤で初期治療を行った後に本剤を投与し,常に        α‐遮断剤を併用すること。 [禁忌]本剤の成分及び他のβ‐遮断剤に対し過敏症の既往歴のある患者     高度の徐脈(著しい洞性徐脈),房室ブロック(II,III度),洞房ブロック,     洞不全症候群のある患者[心刺激伝導系を抑制し,症状を悪化させるおそれが     ある。]     異型狭心症の患者[症状を悪化させるおそれがある。]     低血圧症の患者[降圧作用により症状を悪化させるおそれがある。](普通剤     のみ)     重症の末梢循環障害(壊疽等)のある患者[症状を悪化させるおそれがある。     ]     未治療の褐色細胞腫の患者(「一般的注意」の項参照) [慎重投与]       徐脈,房室ブロック(I度)のある患者[心刺激伝導系を抑制し,症状を       悪化させるおそれがあるので心機能に注意すること。](「禁忌」の項も       参照)       甲状腺中毒症の患者[頻脈等の中毒症状をマスクすることがある。]       (「一般的注意」の項も参照) [相互作用(併用に注意すること)]       カルシウム拮抗剤(ベラパミル,ジルチアゼム等)[相互に作用が増強さ       れることがあるので,減量するなど注意すること。]       ClassI抗不整脈剤(ジソピラミド,プロカインアミド,アジマリン等)及       びアミオダロン[過度の心機能抑制があらわれることがあるので,減量す       るなど注意すること。]       麻酔剤(エーテル等)[過剰の交感神経の抑制を起こす可能性があるので       注意すること。]       ジギタリス製剤[房室伝導時間が延長することがある。]       非ステロイド性抗炎症剤(インドメタシン等)[本剤の降圧作用が減弱す       ることがある。]       降圧作用を有する他の薬剤(ニトログリセリン等)[降圧作用が増強され       るおそれがあるので,減量するなど注意すること。]       交感神経刺激剤(エピネフリン等)[本剤のβ‐遮断作用により交感神経       刺激剤のα‐刺激作用が優位となり,昇圧反応を引き起こすことがある。       ] [副作用(重大な副作用)]     心不全,心胸比増大:ときに心不全の誘発・悪化,また,まれに心胸比増大が     みられることがあるので観察を十分に行い,異常が認められた場合には投与を     中止するなど適切な処置を行うこと。     喘息症状:まれに喘息症状の誘発・悪化がみられることがあるので観察を十分     に行い,異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行う     こと。 [過量投与]     過量投与時には通常次のような処置が行われる。     過度の徐脈には硫酸アトロピンを静注し,効果不十分な場合にはβ‐刺激剤     (塩酸イソプレナリン,硫酸オルシプレナリン等)を徐々に静注。低血圧には     昇圧剤(エピネフリン,ドパミン等)を投与。心不全にはジギタリス製剤,利     尿剤を投与。なお,グルカゴンの静注が有効な場合もある。気管支痙攣にはβ     2‐刺激剤(硫酸サルブタモール等)又はアミノフィリンを静注。     これらの処置の間は患者を常に観察下におくこと。 [その他]     β‐遮断剤服用中の患者では,他の薬剤によるアナフィラキシー反応がより重     篤になることがあり,また,通常用量のエピネフリンによる治療に抵抗する場     合がある。 13〈不整脈用剤〉  ジソピラミド,リン酸ジソピラミド [販売名]リスモダン(ルセル森下)他 [相互作用(併用に注意すること)]     エリスロマイシン,クラリスロマイシン[肝臓での代謝を抑制し,本剤の作用     を増強させることがある。] 〈参考〉Paar, D., et al.:Lancet, 349:326(1997) 14〈血圧降下剤〉  カルベジロール [販売名]アーチスト(第一) [副作用(重大な副作用)]     下記の重大な副作用があらわれることがあるので,心機能検査を定期的に行い     ,     このような症状があらわれた場合には減量または投与中止するなど適切な処置     を行うこと。     (1)高度な徐脈     (2)完全房室ブロック     (3)心不全 [副作用(その他の副作用)]      循環器:(0.1〜5%未満)徐脈,低血圧,息切れ,めまい 〈参考〉企業報告 15〈β遮断剤〉  酒石酸メトプロロール [販売名]セロケン(藤沢)他 [一般的注意]     投与は少量より開始し,長期投与の場合は,心機能検査(脈拍・血圧・心電図     ・X線等)を定期的に行うこと。特に徐脈になったとき及び低血圧を起こした場     合には減量又は中止すること。また,必要に応じアトロピンを投与するなど対     症療法を行うこと。なお,肝機能,腎機能,血液像等に注意すること。(普通     錠のみ)     投与が長期にわたる場合は心機能検査(脈拍・血圧・心電図・X線等)を定期     的に行うこと。特に徐脈になったとき及び低血圧を起こした場合には減量又は     中止すること。また,必要に応じアトロピンを投与するなど対症療法を行うこ     と。なお,肝機能,腎機能,血液像等に注意すること。(徐放錠のみ)     褐色細胞腫の患者では,本剤の単独投与により急激に血圧が上昇することがあ     るので,α‐遮断剤で初期治療を行った後に本剤を投与し,常にα‐遮断剤を     併用すること。 [禁忌]     本剤の成分及び他のβ‐遮断剤に対し過敏症の既往歴のある患者     高度の徐脈(著しい洞性徐脈),房室ブロック(II,III度),洞房ブロック,     洞不全症候群のある患者[心刺激伝導系を抑制し,症状を悪化させるおそれが     ある。]     低血圧症の患者[降圧作用により症状を悪化させるおそれがある。](普通錠     のみ)     重症の末梢循環障害(壊疽等)のある患者[症状を悪化させるおそれがある。     ]     未治療の褐色細胞腫の患者(「一般的注意」の項参照) [慎重投与]     徐脈,房室ブロック(I度)のある患者[心刺激伝導系を抑制し,症状を悪化     させるおそれがあるので心機能に注意すること。](「禁忌」の項も参照)     異型狭心症の患者[症状を悪化させるおそれがある。]     甲状腺中毒症の患者[頻脈等の中毒症状をマスクすることがある。](「一般     的注意」の項も参照) [相互作用(併用に注意すること)]     カルシウム拮抗剤(ベラパミル,ジルチアゼム等)[相互に作用が増強される     ことがあるので,減量するなど注意すること。]     ClassI抗不整脈剤(ジソピラミド,プロカインアミド,アジマリン等)及びア     ミオダロン[過度の心機能抑制があらわれることがあるので,減量するなど注     意すること。]     非ステロイド性抗炎症剤(インドメタシン等)[本剤の降圧作用が減弱するこ     とがある。]     麻酔剤(エーテル等)[過剰の交感神経の抑制を起こす可能性があるので注意     すること。]     ジギタリス製剤[房室伝導時間が延長することがある。]     降圧作用を有する他の薬剤(ニトログリセリン等)[降圧作用が増強されるお     それがあるので,減量するなど注意すること。] [過量投与]     過量投与時には通常次のような処置が行われる。     過度の徐脈には硫酸アトロピンを静注し,効果不十分な場合にはβ‐刺激剤     (塩酸イソプレナリン,硫酸オルシプレナリン等)を徐々に静注。低血圧には     昇圧剤(エピネフリン,ドパミン等)を投与。心不全にはジギタリス製剤,利     尿剤を投与。なお,グルカゴンの静注が有効な場合もある。気管支痙攣にはβ     2‐刺激剤(硫酸サルブタモール等)又はアミノフィリンを静注。これらの処     置の間は患者を常に観察下におくこと。 [その他]     β‐遮断剤服用中の患者では,他の薬剤によるアナフィラキシー反応がより重     篤になることがあり,また,通常用量のエピネフリンによる治療に抵抗する場     合がある。 16〈β遮断剤〉  マロン酸ボピンドロール [販売名]サンドノーム(サンド) [一般的注意]     長期投与の場合は,心機能検査(脈拍・血圧・心電図・X線等)を定期的に行     うこと。特に徐脈になったとき及び低血圧を起こした場合には減量又は中止す     ること。また,必要に応じアトロピンを投与するなど対症療法を行うこと。な     お,肝機能,腎機能,血液像等に注意すること。     褐色細胞腫の患者では,本剤の単独投与により急激に血圧が上昇することがあ     るので,α‐遮断剤で初期治療を行った後に本剤を投与し,常にα‐遮断剤を     併用すること。 [禁忌]     本剤の成分及び他のβ‐遮断剤に対し過敏症の既往歴のある患者     高度の徐脈(著しい洞性徐脈),房室ブロック(II,III度),洞房ブロック,     洞不全症候群のある患者[心刺激伝導系を抑制し,症状を悪化させるおそれが     ある。]     異型狭心症の患者[症状を悪化させるおそれがある。]     重症の末梢循環障害(壊疽等)のある患者[症状を悪化させるおそれがある。     ]     未治療の褐色細胞腫の患者(「一般的注意」の項参照)     妊婦又は妊娠している可能性のある婦人(「妊婦・授乳婦への投与」の項参照     ) [慎重投与]     徐脈,房室ブロック(I度)のある患者[心刺激伝導系を抑制し,症状を悪化     させるおそれがあるので心機能に注意すること。](「禁忌」の項も参照)     甲状腺中毒症の患者[頻脈等の中毒症状をマスクすることがある。](「一般     的注意」の項も参照)     高齢者(「高齢者への投与」の項参照)     小児(「小児への投与」の項参照) [相互作用(併用に注意すること)]     カルシウム拮抗剤(ベラパミル,ジルチアゼム等)[相互に作用が増強される     ことがあるので,減量するなど注意すること。]     ClassI抗不整脈剤(ジソピラミド,プロカインアミド,アジマリン等)及びア     ミオダロン[過度の心機能抑制があらわれることがあるので,減量するなど注     意すること。]     ジギタリス製剤[房室伝導時間が延長することがある。]     非ステロイド性抗炎症剤(インドメタシン等)[本剤の降圧作用が減弱するこ     とがある。]##降圧作用を有する他の薬剤(ニトログリセリン等)[降圧作用     が増強されるおそれがあるので,減量するなど注意すること。]     交感神経刺激剤(エピネフリン等)[本剤のβ‐遮断作用により交感神経刺激     剤のα‐刺激作用が優位となり,昇圧反応を引き起こすことがある。] [副作用(重大な副作用)]     心不全,心胸比増大:ときに心胸比増大,また,まれに心不全の誘発・悪化が     みられることがあるので観察を十分に行い,異常が認められた場合には投与を     中止するなど適切な処置を行うこと。     喘息症状:まれに喘息症状の誘発・悪化がみられることがあるので観察を十分     に行い,異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行う     こと。 [高齢者への投与]     高齢者には,次の点に注意し,少量から投与を開始するなど患者の状態を観察     しながら慎重に投与すること。     (1)高齢者では一般に過度の降圧は好ましくないとされている(脳梗塞等が起      こるおそれがある)。     (2)休薬を要する場合は,徐々に減量する(「一般的注意」の項も参照)。 [妊婦・授乳婦への投与]     妊娠中の投与に関する安全性は確立していないので,妊婦又は妊娠している可     能性のある婦人には投与しないこと。 [過量投与]     過量投与時には通常次のような処置が行われる。     過度の徐脈には硫酸アトロピンを静注し,効果不十分な場合にはβ‐遮断剤     (塩酸イソプレナリン,硫酸オルシプレナリン等)を徐々に静注。低血圧には     昇圧剤(エピネフリン,ドパミン等)を投与。心不全にはジギタリス製剤,利     尿剤を投与。なお,グルカゴンの静注が有効な場合もある。気管支痙攣にはβ     2‐刺激剤(硫酸サルブタモール等)又はアミノフィリンを静注。これらの処     置の間は患者を常に観察下におくこと。 [その他]     β‐遮断剤服用中の患者では,他の薬剤によるアナフィラキシー反応がより重     篤になることがあり,また,通常用量のエピネフリンによる治療に抵抗する場     合がある。 17〈持続性Ca拮抗剤〉  塩酸ベニジピン [販売名]コニール(協和醗酵) [副作用]     その他:ときに浮腫(顔・下腿・手),倦怠感,また,まれに耳鳴,頻尿感,     手指の発赤・熱感,肩こり,咳嗽等があらわれることがある。また,ときに     CPKの上昇があらわれることがある。 〈参考〉企業報告 18〈プロスタグランジンE1製剤〉  アルプロスタジル [販売名]リプル(ミドリ十字)他 [禁忌]     出血(頭蓋内出血,消化管出血,喀血等)している患者[出血を助長するおそ     れがある。] [副作用(重大な副作用)]     心不全,肺水腫,間質性肺炎(いずれも頻度不明):心不全(増強を含む),     肺水腫,間質性肺炎(増悪を含む)があらわれることがあるので,このような     症状があらわれた場合には,投与を中止すること。     脳出血,消化管出血(いずれも頻度不明):脳出血,消化管出血があらわれる     ことがあるので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には投与を中止す     ること。 〈参考〉企業報告 19〈プロスタグランジンE1製剤〉  アルプロスタジルアルファデクス(20μg注射剤) [販売名]プロスタンディン(小野)他 [副作用(重大な副作用)]     脳出血,消化管出血:脳出血,消化管出血があらわれることがあるので,観察     を十分に行い,異常が認められた場合には投与を中止すること。 〈参考〉企業報告 20〈脳循環代謝改善剤〉  ビンポセチン [販売名]カラン(武田)他 [副作用(重大な副作用)]     無顆粒球症(0.1%未満)があらわれることがあるので観察を十分に行い,異常     が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。 〈参考〉企業報告 21〈胃腸疾患治療剤〉  塩酸ピペタナート・甘草抽出物・メタケイ酸アルミン酸マグネシウム [販売名]トビサネート(東菱)他 [副作用(重大な副作用)]     偽アルドステロン症:低カリウム血症,血圧上昇,ナトリウム・体液の貯留,     浮腫,体重増加等の偽アルドステロン症があらわれることがあるので,観察     (血清カリウム値の測定等)を十分に行い,異常が認められた場合には投与を     中止すること。また,脱力感,筋力低下,筋肉痛,四肢痙攣・麻痺等の横紋筋     融解症の症状があらわれることがあるので,CPK上昇,血中及び尿中のミオグロ     ビン上昇が認められた場合には投与を中止し,適切な処置を行うこと。 〈参考〉企業報告(甘草を含む製剤投与及びグリチルリチン投与により,横紋筋融解症     が発症した症例)     田中晃久他:第148回日本内科学会近畿地方会・要旨集(1995)     吉沢太郎他:日腎会誌,36(12):1463(1994)     榎本 詳他:第398回日本内科学会関東地方会・要旨集,3:42(1992) 22〈殺菌・防腐・消毒薬〉  複方ヨード・グリセリン [販売名]複方ヨードグリセリン(丸石)他 [副作用(重大な副作用)]     アナフィラキシー様症状:他のヨード製剤において,まれにアナフィラキシー     様症状(呼吸困難,潮紅,蕁麻疹等)があらわれることがあるとの報告がある     ので,このような症状があらわれた場合には使用を中止すること。 [副作用(その他の副作用)]     甲状腺:本剤および他のヨード製剤において,血中甲状腺ホルモン値(T3,T     4等)の上昇あるいは低下など甲状腺機能異常があらわれることがあるとの報     告がある。 [妊婦・授乳婦への投与]     他のヨード製剤において,先天性甲状腺機能低下症の乳児の報告があるので妊     娠中及び授乳中の婦人には,長期にわたる広範囲の使用をさけること。 〈参考〉三浦義孝他:診療と新薬,33(11):1655(1996) 23〈卵胞ホルモン製剤〉  エストラジオール [販売名]エストラダームTTS(チバガイギー) [副作用(その他の副作用)]     循環器:動悸,胸部不快感,血圧上昇,静脈瘤の悪化 〈参考〉企業報告 24〈プロスタグランジンE1誘導体製剤〉  ゲメプロスト [販売名]#プレグランディン(小野) [副作用(重大な副作用)]     まれに子宮破裂,子宮頚管裂傷,子宮出血があらわれることがある。 〈参考〉企業報告 25〈プロスタグランジンF2α〉  ジノプロスト [販売名]プロスタルモン・F(小野)他 [警告]             警告     本剤を妊娠末期における陣痛誘発,陣痛促進,分娩促進の目的で使用するにあ     たって過強陣痛や強直性子宮収縮により,胎児仮死,子宮破裂,頚管裂傷,羊     水塞栓等が起こることがあり,母体あるいは児が重篤な転帰に至った症例が報     告されているので,本剤の投与にあたっては以下の事項を遵守し慎重に行うこ     と。     患者及び胎児の状態を十分観察して,本剤の有益性及び危険性を考慮した上     で,慎重に適応を判断すること。特に子宮破裂,頚管裂傷等は経産婦,帝王切     開あるいは子宮切開術既往歴のある患者で起こりやすいので,注意すること。     分娩監視装置等を用いて,胎児の心音,子宮収縮の状態を十分に監視する     こと。     本剤の感受性は個人差が大きく,少量でも過強陣痛になる症例も報告されてい     るので,ごく少量からの点滴より開始し,陣痛の状況により徐々に増減するこ     と。また,精密持続点滴装置を用いて投与することが望ましい。(「用法・用     量」の項参照)     オキシトシン,ジノプロストン(PGE2)との同時併用は行わないこと。また,     前後して投与する場合も,過強陣痛を起こすおそれがあるので,十分な分娩監     視を行い,慎重に投与すること。(「相互作用」の項参照)     本剤の使用にあたっては,添付文書を熟読すること。 〈参考〉企業報告 26〈プログラスタンジンF2α〉  ジノプロストトロメタミン [販売名]プロナルゴンF(ファルマシア・アップジョン) [警告]             警告     過強陣痛や強直性子宮収縮により,胎児仮死,子宮破裂,頚管裂傷,羊水塞栓     等が起こることがあり,母体あるいは児が重篤な転帰に至った症例が報告され     ているので,本剤の投与にあたっては以下の事項を遵守し慎重に行うこと。     患者及び胎児の状態を十分観察して,本剤の有益性及び危険性を考慮した上     で,慎重に適応を判断すること。     分娩監視装置等を用いて,胎児の心音,子宮収縮の状態を十分に監視する     こと。     本剤の感受性は個人差が大きく,少量でも過強陣痛になる症例も報告されてい     るので,ごく少量からの点滴より開始し,陣痛の状況により徐々に増減するこ     と。また,精密持続点滴装置を用いて投与することが望ましい。(「用法・用     量」の項参照)     オキシトシン,ジノプロストン(PGE2)との同時併用は行わないこと。また,     前後して投与する場合も,過強陣痛を起こすおそれがあるので,十分な分娩監     視を行い,慎重に投与すること。(「相互作用」の項参照)     本剤の使用にあたっては,添付文書を熟読すること。 〈参考〉企業報告 27〈プログラスタンジンE2〉  ジノプロストン,ジノプロストンベータデクス [販売名]プロスタグランジンE2(科研),プロスタルモン・E(小野) [警告]             警告     過強陣痛や強直性子宮収縮により,胎児仮死,子宮破裂,頚管裂傷,羊水塞栓     等が起こることがあり,母体あるいは児が重篤な転帰に至った症例が報告され     ているので,本剤の投与にあたっては以下の事項を遵守し慎重に行うこと。     患者及び胎児の状態を十分観察して,本剤の有益性及び危険性を考慮した上で     ,慎重に適応を判断すること。特に子宮破裂,頚管裂傷等は経産婦,帝王切開     あるいは子宮切開術既往歴のある患者で起こりやすいので注意すること。     本剤は点滴注射剤に比べ調節性に欠けるので,分娩監視装置等を用いて,胎児     の心音,子宮収縮の状態を十分に監視できる状態で使用すること。     オキシトシン,ジノプロスト(PGF2α)との同時併用は行わないこと。また,     前後して使用する場合も,過強陣痛を起こすおそれがあるので,十分な分娩監     視を行い,慎重に投与すること。(「相互作用」の項参照)     本剤の使用にあたっては,添付文書を熟読すること。 〈参考〉企業報告 28〈新生児・乳幼児用成分栄養剤〉  エレンタールP [販売名]エレンタールP(味の素) [副作用]     その他:ときに発熱,また,まれに乏尿,Al‐Pの上昇,喘鳴があらわれること     がある。 〈参考〉企業報告 29〈血液凝固阻止剤〉  ダルテパリンナトリウム [販売名]フラグミン(ファルマシア) [副作用(重大な副作用)]    (1)国内における副作用     ア)出血:ときに脳内出血,消化管出血等の重篤な出血があらわれることがあ      るので,観察を十分に行い,出血又は出血の悪化等異常が認められた場合に      は投与を中止するなど適切な処置を行うこと。血液凝固能が著しく低下し,      抗凝血作用を急速に中和する場合は,硫酸プロタミンを投与すること。     イ)血小板減少:まれに血小板減少があらわれることがあるので血小板数を測      定し,著明な減少が認められた場合には投与を中止すること。    (2)外国における副作用      血栓症:著明な血小板減少とそれに伴う血栓症の発現が報告されている。 [副作用(その他の副作用)] (血液を削除) 〈参考〉企業報告     Raucourt, E .D ., et al .:Blood Coagulation and Fibrinolysis,     7:786(1996) 30〈ペニシラミン不耐性ウィルソン病治療剤〉  塩酸トリエンチン [販売名]メタライト(ツムラ) [副作用(重大な副作用)]     全身性エリテマトーデス(SLE)があらわれることが報告されているので,この     ような症状があらわれた場合には,投与を中止し適切な処置を行うこと。     間質性肺炎等の肺病変が動物実験で報告されているので,発熱,咳嗽,呼吸困     難等の呼吸器症状があらわれた場合には,投与を中止し,副腎皮質ホルモン剤     を投与する等適切な処置を行うこと。 [副作用(その他の副作用)]     血液:鉄欠乏症貧血があらわれることがあるので,異常が認められた場合には     ,経口鉄剤の併用又は本剤の中止等適切な処置を行うこと。また,鉄芽球性貧     血があらわれることがあるので,異常が認められた場合には,本剤の減量また     は中止等適切な処置を行うこと。 [妊婦・産婦・授乳婦等への投与]     授乳婦:動物実験で乳汁中に移行することが報告されているので,授乳中の婦     人には,本剤投与中は授乳を避けさせること。 〈参考〉企業報告     Perry, A. R.. et al.:Int. J. Hematol., 64(1):69(1996)     Condamine , L., et al.:British Journal of Haematology, 83:166(1993)     Walshe, J.M ., et al.:Quarterly Journal of Medicine, 86:197(1993) 31〈糖尿病食後過血糖改善剤〉  アカルボース [販売名]グルコバイ(バイエル) [副作用(重大な副作用)]     低血糖:他の糖尿病用薬との併用で低血糖があらわれることがある。また,他     の糖尿病用薬を併用しない場合でもまれに低血糖が報告されている。本剤は二     糖類の消化・吸収を遅延させるので,低血糖症状が認められた場合にはショ糖     ではなくブドウ糖を投与するなど適切な処置を行うこと。     肝機能障害:まれに黄疸,GOT,GPTの上昇等を伴う重篤な肝機能障害があらわ     れることがある。また,まれに劇症肝炎の報告がある。定期的に肝機能障害を     行うなど観察を十分に行い,異常が認められた場合には投与を中止し,適切な     処置を行うこと。 32〈糖尿病用剤〉  トログリタゾン [販売名]ノスカール(三共) [相互作用(併用注意:併用に注意すること)]     コレスチラミン[コレスチラミンによる吸収抑制のため,本剤の血糖降下作用     が著しく減弱されるおそれがあるので,本剤と併用する場合には慎重に投与す     ること。]     黄体・卵胞ホルモン配合剤(ノルエチステロン・エチニルエストラジオール)     [本剤により,ノルエチステロン又はエチニルエストラジオールの作用が減弱     するおそれがあるので,黄体・卵胞ホルモン配合剤と本剤を併用する場合には     慎重に投与すること。]     テルフェナジン[本剤により,テルフェナジン及びその活性代謝物の血漿中濃     度が低下し,テルフェナジンの作用が減弱されるおそれがあるので,本剤と併     用する場合には慎重に投与すること。] 33〈糖尿病食後過血糖改善剤〉  ボグリボース [販売名]ベイスン(武田) [副作用(重大な副作用)]     他の糖尿病用薬との併用で低血糖(0.1〜5%未満)があらわれることがある。     また,他の糖尿病用薬を併用しない場合でも低血糖(0.1%未満)が報告されて     いる。本剤は二糖類の消化・吸収を遅延するので,低血糖症状が認められた場     合にはショ糖ではなくブドウ糖を投与するなど適切な処置を行うこと。     黄疸,GOT,GPTの上昇等を伴う重篤な肝機能障害(0.1%未満)があらわれるこ     とがあり,また,類薬(アカルボース)で劇症肝炎(0.1%未満)が報告されて     いるので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には投与を中止し,適切     な処置を行うこと。 [その他]     (重篤な肝障害のある患者において,他の糖尿病用薬非併用時に,低血糖症状     が発現したとの報告がある。     また,他のα‐グルコシダーゼ阻害剤(アカルボース)で,低栄養状態又は食     事摂取が不十分な高齢の患者において,他の糖尿病用薬非併用時に,低血糖又     は低血糖症状が発現したとの報告がある。を削除) 〈参考〉企業報告 34〈抗悪性腫瘍剤〉  塩酸ナイトロジェンマスタード‐N‐オキシド [販売名]ナイトロミン(吉富) [一般的注意]     本剤には性腺障害作用があり,また,外国において本剤の活性代謝物であるク     ロルメチンを含むMOPP療法を受けた小児ホジキン病患者で,非可逆的な精子形     成不全(無精子症等)などの性腺障害が認められたとの報告があるので,小児     及び生殖可能な年齢の患者に投与する必要がある場合には,性腺に対する影響     を考慮すること。 35〈抗悪性腫瘍ビンカアルカロイド〉  硫酸ビンクリスチン [販売名]オンコビン(日本イーライリリー) [一般的注意]     外国において硫酸ビンクリスチンを含むMOPP療法を受けた小児ホジキン病患者     で,非可逆的な精子形成不全(無精子症等)等の性腺障害が認められたとの報     告があるので,小児及び生殖可能な年齢の患者に投与する必要がある場合には     ,性腺に対する影響を考慮すること。 [小児への投与]     (小児及び生殖可能な年齢の患者に投与する必要がある場合には,性腺に対す     る影響を考慮すること。を削除) 36〈抗悪性腫瘍酵素剤〉  L‐アスパラギナーゼ [販売名]ロイナーゼ(協和醗酵) [副作用(重大な副作用)]     肝不全等の重篤な肝障害があらわれることがあるので,肝機能検査を行うなど     患者の状態を十分に観察し,異常が認められた場合には投与を中止し適切な処     置を行うこと。 〈参考〉企業報告 37〈抗悪性リンパ腫剤〉  塩酸プロカルバジン [販売名]ナツラン(ロシュ) [一般的注意]     外国において塩酸プロカルバジンを含むMOPP療法を受けた小児ホジキン病患者     で,非可逆的な精子形成不全(無精子症等)などの性腺障害が認められたとの     報告があるので,小児及び生殖可能な年齢の患者に投与する必要がある場合に     は,性腺に対する影響を考慮すること。 〈参考〉企業報告 38〈抗悪性腫瘍剤〉  シスプラチン [販売名]ブリプラチン(ブリストル・マイヤーズ スクイブ)他 [その他]     進行精巣腫瘍患者に対して本剤を総量として400mg/m2以上で治療した場合には     精子濃度の回復は認められなかったとの報告がある。 〈参考〉企業報告 39〈抗リウマチ剤〉  ブシラミン [販売名]リマチル(参天) [副作用(重大な副作用)]     急性腎不全,ネフローゼ症候群(膜性腎症等):急性腎不全,また,ときにネ     フローゼ症候群(膜性腎症等)があらわれることがあるので投与中は毎月1回     尿検査等を実施し,異常が認められた場合には直ちに投与を中止し,適切な処     置を行うこと。 〈参考〉企業報告 40〈アレルギー性疾患治療剤〉  テルフェナジン [販売名]トリルダン(日本ヘキスト・マリオン・ルセル) [警告]              警告     本剤の代謝が阻害され,テルフェナジン未変化体の血中濃度が上昇した場合,     又はQT延長を起こしやすい患者あるいは心疾患のある患者に使用した場合に,     QT延長,心室性不整脈(torsades de pointesを含む)などの心血管系の副作用     があらわれることがあり,外国では心停止(死亡を含む)があらわれたとの報     告があるので,適応患者の選択を慎重に行うこと。(「禁忌」の項参照)     なお,本剤服用中の患者に失神があらわれた場合には,重篤な不整脈が発生し     ている可能性があるので,直ちに投与を中止し,心電図検査を含む適切な処置     を行うこと。     また,本剤の使用にあたっては使用上の注意を熟読のこと。 [禁忌]     イトラコナゾール,ミコナゾール,エリスロマイシン,クラリスロマイシン又     はHIVプロテアーゼ阻害剤(インジナビル,サキナビル等)を投与中の患者     (「相互作用」の項参照)     QT延長を起こしやすい患者(低カリウム血症,低マグネシウム血症,透析中,     β遮断薬を除く抗不整脈薬,利尿薬,向精神薬(フェノチアジン系,ブチロフ     ェノン系,三環系・四環系抗うつ薬等),プロブコール,シサプリド,スパル     フロキサシン等QT延長を起こす薬剤を投与中の患者)[心血管系の副作用を起     こすおそれがある。] [用法・用量に関連する使用上の注意]     腎機能障害のある患者では,カルボン酸型代謝物の排泄が遅延するおそれがあ     るので,クレアチニンクリアランスが40mL/min以下の場合には1日投与量を60     mgに減量すること。(「薬物動態」の項参照) [相互作用(併用禁忌)]     HIVプロテアーゼ阻害剤(インジナビル,サキナビル等) [相互作用(併用注意)]     ドセタキセル,パクリタキセル,トログリタゾン,グレープフルーツジュース [妊娠・産婦・授乳婦等への投与]     ヒト母乳中に移行することが報告されており(「薬物動態」の項参照),また     新生児への投与に関する安全性は確立していないので,授乳中の婦人への投与     は避けることが望ましい。 [その他の注意]     また,グレープフルーツジュースを本剤服用2時間後に摂取した場合,本剤の     薬物動態に影響は少なく,QTc延長は認められなかった。 41〈カルバペネム系抗生物質〉  パニペネム・ベタミプロン [販売名]カルベニン(三共) [副作用(重大な副作用)]     無顆粒球症,汎血球減少症:無顆粒球症,また,まれに汎血球減少症があらわ     れることがあるので,定期的に検査を行うなど観察を十分に行い,異常が認め     られた場合には直ちに投与を中止し,適切な処置を行うこと。 〈参考〉企業報告 42〈ペニシリン系抗生物質〉  ピペラシリンナトリウム [販売名]ペントシリン(富山)他 [副作用(重大な副作用)]     急性腎不全,間質性腎炎:まれに急性腎不全,間質性腎炎等の重篤な腎障害が     あらわれることがあるので,定期的に検査を行うなど観察を十分に行い,異常     が認められた場合には直ちに投与を中止し,適切な処置を行うこと。     汎血球減少症,無顆粒球症,血小板減少(50,000/μL未満):まれに汎血球減     少症,無顆粒球症,血小板減少(50,000/μL未満)があらわれることがあるの     で,異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。 〈参考〉企業報告 43〈マクロライド系抗生物質〉  エリスロマイシンとその塩類,エステル類(眼科用剤,外皮用剤を除く) [販売名]エリスロシン(大日本)他 [相互作用(併用に注意すること)]     テオフィリン,ミダゾラム,カルバマゼピン,シクロスポリン,ワルファリン     ,トリアゾラム,ジソピラミド,タクロリムス水和物,フェロジピン,バルプ     ロ酸,ブロモクリプチン,ドセタキセル水和物[本剤は肝チトクロームP‐450     による各種医薬品の代謝を抑制することがあり,これらの血中濃度を高めるこ     とがある。] 〈参考〉Marre. F., et al .:Cancer Research. 56:1296(1996) 44〈マクロライド系抗生物質〉  クラリスロマイシン [販売名]クラリシッド(ダイナボット)他 [禁忌] 本剤に対して過敏症の既往歴のある患者 [相互作用(併用に注意すること)]     テオフィリン,トリアゾラム,カルバマゼピン,シクロスポリン,ジソピラミ     ド[本剤は肝臓での代謝を抑制することがあり,これらの血中濃度を高めると     の報告がある。] [副作用(重大な副作用)]     血小板減少症(頻度不明):血小板減少症があらわれることがあるので,定期     的に検査を行うなど観察を十分に行い,異常が認められた場合には,投与を中     止するなど適切な処置を行うこと。     皮膚粘膜眼症候群(Stevens‐Johnson症候群)(頻度不明):皮膚粘膜眼症候     群(Stevens‐Johnson症候群)があらわれることがあるので,観察を十分に行     い,異常が認められた場合には投与を中止し,副腎皮質ホルモン剤の投与等の     適切な処置を行うこと。     PIE症候群(頻度不明):発熱,咳嗽,呼吸困難,胸部X線異常,好酸球増多等     を伴うPIE症候群等があらわれることがあるので,このような症状があらわれた     場合には,投与を中止し,副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこ     と。 〈参考〉企業報告     Paar, D., et al.:Lancet, 349:326(1997) 45〈抗結核抗生物質〉  リファンピシン [販売名]リファジン(第一)他 [禁忌] インジナビル又はサキナビルを投与中の患者(「相互作用」の項参照) [相互作用(併用禁忌:併用しないこと)]     インジナビル[インジナビルの作用が減弱するおそれがある。]     サキナビル[サキナビルの作用が減弱するおそれがある。] [相互作用(併用注意:併用に注意すること)]     本剤の肝代謝酵素誘導作用により,下記薬剤の作用を減弱させることがある。     クマリン系抗凝血剤,経口糖尿病用剤,シクロスポリン,タクロリムス,テオ     フィリン,ジギタリス製剤,抗不整脈剤(キニジン,塩酸メキシレチン,ジソ     ピラミド,プロパフェノン,塩酸ピルジカイニド),カルシウム拮抗剤(ベラ     パミル,ニフェジピン等),ブナゾシン,β‐遮断剤(メトプロロール,プロ     プラノロール等),マレイン酸エナラプリル,クロフィブラート,副腎皮質ス     テロイド剤,ジアフェニルスルホン,クロラムフェニコール,ドキシサイクリ     ン,アゾール系抗真菌剤(フルコナゾール等),ジドブジン,フェニトイン,     ベンゾジアゼピン系薬剤(ジアゼパム,ミダゾラム,トリアゾラム等),三環     系抗うつ剤(ノルトリプチリン等) 〈参考〉McCrea, J., et al.:Clin Pharmacol. Ther., 61(2):152(1997)     Nokhodian, A., et al.:Drug Invest., 6(6):362(1993)     Villikka, K., et al.:Clin. Pharmacol. Ther., 61(1):8(1997) 46〈結核化学療法剤〉  アルミノパラアミノサリチル酸カルシウム [販売名]アルミノニッパスカルシウム(田辺) [重要な基本的注意]     腎障害のある患者にアルミニウムを含有する製剤を長期投与することによりア     ルミニウム脳症,アルミニウム骨症等があらわれたとの報告があるので,定期     的に血中のアルミニウム,リン,カルシウム,アルカリフォスファターゼ等の     測定を行うこと。 [副作用(重大な副作用)]     低リン血症があらわれることがある。持続的な低リン血症による骨症状(骨軟     化症等)の報告があるので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には投     与を中止すること。 47〈結核化学療法剤〉  イソニアジド,イソニアジドグルクロン酸ナトリウム,イソニアジドメタンスルホン  酸ナトリウム [販売名]イスコチン(第一)他,ヒドロンサン(中外),ネオイスコチン(第一) [副作用(その他の副作用)]     血液:ときに喀血,血漿,鼻出血等の出血傾向,まれに貧血,赤芽球癆,白血     球減少,好酸球増多,眼底出血等があらわれることがあるので観察を十分に行     うこと。 〈参考〉Thompson, D. F., et al.:Pharmacother., 16(6):1002(1996) 48〈抗ウイルス剤〉  ジダノシン [販売名]ヴァイデックス(ブリストル・マイヤーズ スクイブ) [副作用(重大な副作用)]     網膜色素脱失・視神経炎:網膜色素脱失・視神経炎があらわれることがあるの     で,このような場合には,投与を中止するなど適切な処置を行うこと。     アナフィラキシー様反応:アナフィラキシー様反応があらわれることがあるの     で,観察を十分に行い,異常が認められた場合には,投与を中止するなど適切     な処置を行うこと。     皮膚粘膜眼症候群(Stevens‐Johnson症候群):皮膚粘膜眼症候群(Stevens‐     Johnson症候群)があらわれることがあるので,このような場合には,投与を中     止するなど適切な処置を行うこと。     急性腎不全:急性腎不全があらわれることがあるので,定期的検査を行うなど     観察を十分に行い,異常が認められた場合には,投与を中止するなど適切な処     置を行うこと。     汎血球減少症:汎血球減少症があらわれることがあるので,定期的に検査を行     うなど観察を十分に行い,異常が認められた場合には,投与を中止するなど適     切な処置を行うこと。     横紋筋融解:横紋筋融解があらわれることがあるので,観察を十分に行い,異     常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。     乳酸性アシドーシス:乳酸性アシドーシスがあらわれることがあるので,この     ような場合には,投与を中止するなど適切な処置を行うこと。     脳血管障害・脳出血:脳血管障害・脳出血があらわれることがあるので,この     ような場合には,投与を中止するなど適切な処置を行うこと。 〈参考〉企業報告 49〈ワクチン類〉  インフルエンザHAワクチン [販売名]インフルエンザHAワクチン(化血研)他 [副作用]     まれに急性散在性脳脊髄炎(ADEM)があらわれることがある。通常,接種後数     日から2週間以内に発熱,頭痛,けいれん,運動障害,意識障害等があらわれ     る。本症が疑われる場合には,MRI等で診断し,適切な処置を行うこと。     局所の発赤,腫脹,疼痛等,また,全身反応として発熱,悪寒,頭痛,倦怠感     等を認めることがあるが,通常2〜3日中に消失する。 〈参考〉企業報告 50〈インターフェロン製剤〉  注射用乾燥インターフェロン‐α [販売名]オーアイエフ(大塚)他 [慎重投与]     自己免疫疾患の患者又はその素因のある患者[自己免疫現象によると思われる     症状・徴候(甲状腺機能異常,関節リウマチの悪化,インスリン依存型糖尿病     (IDDM)の増悪又は発症,多発性筋炎,肝炎,溶血性貧血,潰瘍性大腸炎の悪     化,重症筋無力症等)があらわれることがある。] [副作用の(重大な副作用)]     間質性肺炎,肺線維症:発熱,咳嗽,呼吸困難等の呼吸器症状があらわれた場     合には,速やかに胸部X線等の検査を実施し,本剤の投与を中止するとともに副     腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。また,咳嗽,呼吸困難等     があらわれた場合には直ちに連絡するよう患者に対し注意を与えること。     なお,間質性肺炎は小柴胡湯との併用例で多く報告されているため,併用しな     いこと。     自己免疫現象:自己免疫現象によると思われる症状・徴候[甲状腺機能異常,     関節リウマチの悪化,インスリン依存型糖尿病(IDDM)の増悪又は発症,多発     性筋炎,肝炎,溶血性貧血,潰瘍性大腸炎の悪化,重症筋無力症等]があらわ     れることがあるので,定期的に検査を行うなど観察を十分に行い,異常が認め     られた場合には投与を中止し,適切な処置を行うこと。     糖尿病[インスリン依存型(IDDM)及びインスリン非依存型(NIDDM):糖尿     病が増悪又は発症することがあり,ケトアシドーシス,昏睡に至ることがある     ので,定期的に検査(血糖値,尿糖値)を行い,異常が認められた場合には適     切な処置を行うこと。     急性腎不全,ネフローゼ症候群の重篤な腎障害:定期的に臨床検査を行うなど     観察を十分に行い,異常が認められた場合には投与を中止し,適切な処置を行     うこと。     消化管出血,消化性潰瘍:異常が認められた場合には投与を中止するなど適切     な処置を行うこと。     重篤な中枢・精神神経系障害:意識障害,痙攣,興奮,せん妄,躁状態,幻覚     ・妄想,分裂病様症状,見当識障害,痴呆様症状(特に高齢者),失神,てん     かん,顔面神経麻痺,錯乱等があらわれることがあるので,観察を十分に行い     ,異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。     肺炎,難聴:観察を十分に行い,異常が認められた場合には投与を中止するな     ど適切な処置を行うこと。     脳出血:観察を十分に行い,異常が認められた場合には投与を中止し,適切な     処置を行うこと。 〈参考〉企業報告 51〈インターフェロン製剤〉  インターフェロン‐α注射液,注射用乾燥インターフェロン‐α‐2a,注射用乾燥イ  ンターフェロン‐α‐2b [販売名]スミフェロン(住友)他,キャンフェロンA(武田),ロフェロンA(ロシュ      ),イントロンA(シェリング・プラウ) [副作用(重大な副作用)]     脳出血(0.1%未満)があらわれることがあるので,観察を十分に行い,異常が     認められた場合には投与を中止し,適切な処置を行うこと。 [その他の注意]     (インターフェロン‐α製剤の投与により,脳出血がみられたとの報告が     ある。を削除) 〈参考〉企業報告 52〈脳下垂体後葉ホルモン〉 オキシトシン [販売名]アトニン‐O(帝国臓器)他 [警告]               警告     本剤を分娩誘発,微弱陣痛の治療の目的で使用するにあたって過強陣痛や強直     性子宮収縮により,胎児仮死,子宮破裂,頚管裂傷,羊水塞栓等が起こること     があり,母体あるいは児が重篤な転帰に至った症例が報告されているので,本     剤の投与にあたっては以下の事項を遵守し慎重に行うこと。     患者及び胎児の状態を十分観察して,本剤の有益性及び危険性を考慮した上で     ,慎重に適応を判断すること。特に子宮破裂,頚管裂傷等は経産婦,帝王切開     あるいは子宮切開術既往歴のある患者で起こりやすいので,注意すること。     分娩監視装置等を用いて,胎児の心音,子宮収縮の状態を十分に監視すること     。本剤の感受性は個人差が大きく,少量でも過強陣痛になる症例も報告されて     いるので,ごく少量からの点滴より開始し,陣痛の状況により徐々に増減する     こと。また,精密持続点滴装置を用いて投与することが望ましい。(「用法・     用量」及び「用法・用量に関する基本的注意」の項参照)     プロスタグランジン製剤(PGF2α,PGE2)との同時併用は行わないこと。ま     た,前後して投与する場合も,過強陣痛を起こすおそれがあるので,十分な分     娩監視を行い,慎重に投与すること。(「相互作用」の項参照)     本剤の使用にあたっては,添付文書を熟読すること。 〈参考〉企業報告                 お知らせ  NTTのファクシミリ通信網サービス「Fネット」を通じ,最近1年間の「医薬品副作用 情報」「医薬品等安全性情報」がお手元のファクシミリから随時入手できます(利用者 負担)。  「Fネット」への加入等についての問い合わせ先:0120‐161‐011  また,この情報はパソコン通信「MEDINET‐P」を通じ日本薬剤師会より提供されてい ます。なお他の医療情報用パソコン通信でも入手可能です。日本薬剤師会中央薬事情報 センター:03‐3406‐9140  なお,厚生省ホームページ(http://www.mhw.go.jp)からも入手可能です。