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平成9年12月26日

新型インフルエンザ対策検討会の提言


1. 香港から得られている情報をもとに、その状況について検討を行った結果、当検討会としては、香港政府及び世界保健機関(WHO)が示している判断と同様に、「現時点において人から人への感染は確認されてなく、香港における小規模な散発的な発生」と判断する。

2. 厚生省においては、引き続き、現地政府、WHO、米国疾病管理センター等の関係機関と綿密な連携を取りながら現地における情報収集に努め、必要な情報を国民一般、医療関係者に提供・公開していくべきである。

3. ワクチン製造株の選定と検定のための参照用ワクチンの準備をすすめ、本格的なワクチン生産にいつでも入れるように準備を進めるべきである。

4. 新型インフルエンザウイルスが国内に上陸した時に備え、新型インフルエンザウイルス検出キットの配布や定点数の増加等、国内の発生動向調査体制の強化を図るべきである。

5. 医療体制の確保は医療関係者等の関係方面の専門家を交え、その対策について検討を行うべきである。

6. またワクチン接種の実施方法、その費用、優先順位等についても関係者を交えながら厚生省において検討を進めておくべきである。

7. アマンタジンの新型インフルエンザウイルスに対する有効性に関する情報を引き続き収集するとともに、効能拡大申請の可能性について検討の要請を続ける。

8. 香港で発生している新型インフルエンザに関心が集中しているが、ワクチン接種などの今冬の通常のインフルエンザ対策を怠らないように広報等に努めるべきである。具体的には、以下のことに留意を払い自ら予防を行うように啓発を行うことが望まれる。

・ 十分な、栄養と休養をとる
・ 人混みを避けるようにする
・ 室内の乾燥に気を付ける
・ マスクの着用
・ 帰宅時の手洗い、うがいの励行
・ また、罹患したと思われる場合には、安静にし、高齢者等は長引くと肺炎等の合併症を併発する恐れがあるので早めに診察を受ける

これら通常のインフルエンザの予防対策が普及することにより、実際に新型インフルエンザが流行した際にも被害を最小限にくい止めることが期待される。
なお、今冬のインフルエンザワクチンは、新型インフルエンザウイルスには無効であり、混乱の起きないように注意すべきである。


新型インフルエンザ対策検討会委員名簿


  氏名 所属・職名
加 地 正 郎 久留米大学医学部名誉教授
小 池 麒一郎 (社)日本医師会常任理事
堺 春 美 東海大学医学部小児科助教授
菅 谷 憲 夫 日本鋼管病院小児科部長
鈴 木 重 任 東京都立衛生研究所長
鈴 木 宏 新潟大学医学部公衆衛生学教授
田 代 真 人 国立感染症研究所ウイルス第一部長
中 川 久 雄 (社)細菌製剤協会常任理事
根路銘 国 昭 国立感染症研究所ウイルス室長
廣 田 良 夫 九州大学医学部公衆衛生学助教授
山 崎 修 道 国立感染症研究所長
オブザーバー
井 上 栄
国立感染症研究所感染症情報センター長

◎は座長 (50音順)


香港の新型インフルエンザによる患者発生状況

平成9年12月26日現在

感染者9名(うち3名死亡)、疑い6名(うち1名死亡)(12月25日時点)

1.確認患者

(1) 5月21日に脳症で死亡した3歳の男児の検体から、H5N1を分離確認。
(2) 11月7日、入院した2歳の男児の検体から、H5N1を検出、確認。患者は9日に退院。
(3) 13歳の女性の検体から、H5を検出、確認。(12月21日死亡)
(4) 11月29日入院、12月5日肺炎で死亡した54歳の男性の検体から、H5を検出、確認。
(5) 12月10日小児科に入院、現在も入院中の5歳の女児からH5を検出、確認。
(6) 肺炎のため11月24日入院、12月9日完治、退院した37歳男性から、H5を検出、確認。
(7) 肺炎のため12月7日入院し、重体、ICUにて治療中の24歳の女性からH5を検出、確認。
(8) 症例(5)のいとこである男児(2歳)からH5を検出、確認。
(9) 4歳の男児からH5を検出、確認。

2.疑い患者

(1) 症例(5)のいとこである女児(3歳)が感染の疑いで検査中。
(2) 6歳の男児が感染の疑いで検査中。
(3) 60歳の女性が感染の疑いで検査中。(12月23日死亡)
(4) 19歳の女性、現在検査中。重体。
(5) 3歳の男児、現在検査中。
(6) 3歳の女児、現在検査中。

 問い合わせ先 厚生省保健医療局結核感染症課
    担 当 野村、葛西、横尾(内2373、2376、2377)
    電 話 (代)[現在ご利用いただけません]
        (直)03-3595-2263



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