報道発表資料 HOME


平成9年12月18日

テレビ番組の視聴による健康被害への対応について


1. 今般の12月16日放映のテレビ番組の視聴による健康被害の問題については、健康被害を受けた方等が精神保健福祉センター等において相談を受けられるようにするため、都道府県・政令指定都市の衛生部局長に対し、本日、指導通知を発出した。(別紙1)

2. 本件についての現状を把握し、その原因を調査するため、厚生科学研究費により研究班を設けることとした。(別紙2)


 問い合わせ先 厚生省障害保健福祉部精神保健福祉課
    担 当 阿部(内3065)、斎藤(内3055)
    電 話 (直)03-3501-4864
 厚生省大臣官房厚生科学課
   (健康危機管理調整会議事務局)
    担 当 岡本(内3806)
    電 話 (代)[現在ご利用いただけません]
        (直)03-3595-2171

障 精 第 1 9 3 号

平成9年12月18日

各都道府県・指定都市
 精神保健福祉担当部(局)長 殿

厚生省大臣官房障害保健福祉部
精神保健福祉課長

精神保健相談の適切な実施及び情報提供について


精神保健福祉対策については、かねてより特段の御配意を煩わしているところである。
今般の12月16日放映のテレビ番組の視聴による健康被害の問題については、その原因は現在特定されていないが、「光感受性発作」等精神保健上の問題である場合も考えられることから、相談の求めがあった場合は、貴管下精神保健福祉センター等においても、関係医療機関との連携を図りつつ、その適切な実施について遺漏のないよう御配意願いたい。
なお、別添資料のとおり情報提供するので、相談業務の参考に供されたい。


(別添1)

今般のテレビ番組(12月16日放映)の視聴による健康被害についての考え方


今回多発した事例について、詳細は調査してみなければ不明であるが、下記のようなものが考えられる。

1、光感受性発作の場合

光感受性発作は、画面のちらつき、図形の変化、反復する閃光などの刺激によって誘発される発作であり、全身のけいれん発作などの症状を呈するものである。
(詳細は参考を参照のこと)

2、その他の場合

閃光刺激、素速く動く色模様、強烈な図形反転などのスクリーン映像を長時間にわたって凝視していると、眩暈、嘔気、冷汗、動悸などの徴候を自覚することがある。これらの徴候・症状は急に起始し、数分の間に消褪するのであれば、必ずしもてんかん発作ではない。

(参考)

光感受性発作について

【概要】

1970年にテレビ視聴中に発作を起こす患者が増加しているという報告が紹介されたことを契機として、1981年にはテレビゲームによって誘発された可能性のある発作症例が散発的に英米の医学誌に報告されるようになった。我が国においては、1987年にてんかん学会において発作症例が報告されている。閃光や光の点滅で発作が起こるものを光感受性発作と呼び、発作誘因として画面のちらつき、図形の変化といった光の感受性の異常、図画面上の物体を追う眼球の動きなどが考えられている。閃光刺激周波数は、15ないし20ヘルツにある。刺激から発作までの潜伏時間は短く、スクリーン注視後にまもなく発作がおこることが多い。

【発生頻度】

4000人に1人の割合とされる。性別では、女性で多く、幼児、学童期が好発年齢とされる。

【機序】

知覚刺激が加えられると、種々の脳レベルで過敏な反応を示す反射弓が構成され反射発作が生ずるが、特に知覚性求心路と発作症状に関連する遠心路、およびそれらを連絡する中枢神経からなる反射路の光感受性に異常があるためと考えられている。

【症状】

発作型としては全般性強直間代発作、ミオクロニー発作、欠神発作が多く、時に複雑部分発作もみられる。全般性強直間代発作は、全身のけいれん発作で二つの相がある。最初の強直相では意識を失って倒れ、四肢を伸展させて固くなる。次いで体幹と四肢の間代けいれんが生じる。発作が終わると徐々に意識を回復する。これとは別に、部分発作から始まる二次性全般化発作があり前兆を伴うことが多い。

【診断】

脳波検査が不可欠であり、反復閃光刺激などの手段によって脳波上で光感受性発作波をとらえることが必要である。

【予防手段】

テレビ画面から十分な距離をとる、部屋を明るくするなどの方法がある。

【治療方法】

発作を繰り返すような場合には、抗てんかん薬の服用が必要となる。

【予後】

良好なことが多く、日常生活上の注意を守り、定期的な脳波検査を施行することで、再発を予防することができる。

(別添2)

ビデオゲーム誘発発作等に関する専門家リスト

北海道大学医学部 小児科 香 坂 忍
精神科 中 村 文 裕
弘前大学医学部 小児科 村 中 秀 樹
東北大学医学部 小児科 飯 沼 一 宇
八乙女クリニック(仙台市) 高 橋 剛 夫
福島県立医科大学 神経精神科 丹 羽 真 一
管 るみ子
埼玉医科大学 小児科 小 出 博 義
神経精神科 山 内 俊 雄
相 川 博
国立療養所静岡東病院
(てんかんセンター)
八 木 和 一
清 野 昌 一
名古屋大学医学部 小児科 渡 辺 一 功
岡山大学医学部 小児神経科
   〃
岡 ^ 次
大田原 俊 輔
福岡大学医学部 小児科 満 留 昭 久

(注) ESGS(Electronic Screen Games and Seizures:ビデオゲーム誘発
発作)国内共同研究会議((財)精神・神経科学振興財団の研究班構
成員を専門家リストとして掲載した。



(別紙2)

厚生省精神保健福祉課

平成9年12月18日

厚生科学特別研究「光感受性発作に関する臨床研究班」について

(概要)

1.研究の概要

【研究課題】

光感受性発作に関する臨床研究

 

【研究内容】

  (1)今回のテレビ番組視聴者症例の把握

    1. 症状発現者の年齢、性別、病歴、症状
    2. 成因、診断、治療、臨床経過
    3. 症状発現の状況

  (2)原因となる光刺激の物理的条件

    1. 映像の点滅速度、強度、色彩、図形等
    2. 光感受性と関連するその他の物理的条件
    3. 反復閃光刺激の脳波に対する影響

2.研究班組織

【班長】

  山内 俊雄 埼玉医科大学教授 他

3.スケジュール

  年度内に3回程度会議を開催


報道発表資料 HOME