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平成9年12月17日

クリプトスポリジウム等の水道水源における動態に関する研究について


1.厚生省では、昨年6月の埼玉県越生町における水道水を介してのクリプトスポリジウムによる集団感染症の発生を踏まえ、同10月に「水道におけるクリプトスポリジウム暫定対策指針」を策定し、予防対策等を都道府県を通じ水道事業者等へ周知した。

2.しかし、我が国の水道水源におけるクリプトスポリジウムの存在状況が不明であったことから、全国的な状況を把握するため、全国94水源水域(各水域毎に3地点程度採水)の水道水源におけるクリプトスポリジウム等の存在状況等に関して、調査研究を行い、8月19日、クリプトスポリジウム及びジアルジアの存在状況について中間的に公表したところである。

3.今般、最終的な研究報告書((財)水道技術研究センター)としてまとまったので、公表を行うものである。その研究結果の要点は、

1)存在状況
クリプトスポリジウムは、秋田県、山形県、群馬県、栃木県、熊本県及び沖縄県の6水源水域8地点で検出。ジアルジアは、長崎県、島根県、広島県他12都県の16水源水域24地点で検出。病原性大腸菌O−157は未検出。
その結果、クリプトスポリジウム及びジアルジアの検出率は、それぞれ約3%及び9%。これは、米国等の河川表流水の結果(検出率約8割強)と比較し、低い値。
2)指標項目との関連性
クリプトスポリジウム等の検査とともに、濁度、大腸菌、芽胞菌等を検査し、相関関係を解析。その結果、クリプトスポリジウム及びジアルジアの検出率及び検出頻度とも低いレベルであったため、明瞭な相関関係は得られなかったが、クリプトスポリジウムについては、大腸菌、糞便性大腸菌群と比較的関連性が見られた。
3)今後の課題
現行の検査方法は、回収率が低い等の問題があり、簡便で迅速かつ正確な測定検査の方法の改良・開発が必要。

4.今後とも、引続き、厚生科学研究の一環として、水道を介して集団感染のおそれのあるクリプトスポリジウム等病原性微生物を対象に浄水過程における除去技術や不活化等の調査研究等を行っていくこととし、本調査結果と合わせ、病原性微生物の対策の充実に反映させて参りたい。
また、今後の課題として示された検査方法の改良・開発については、国立公衆衛生院国包章一水道工学部長が中心となった研究班を設置し、既に取り組んでいるところである。


 問い合わせ先 厚生省生活衛生局水道環境部水道整備課
    担 当 由田(内4031)、田野(内4034)
    電 話 (代)[現在ご利用いただけません]


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