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平成9年12月11日

救急医療体制基本問題検討会報告書(概要)


1.はじめに

 我が国の救急医療体制については量的な整備はほぼ達成されつつある一方、一層の質的な充実と地域格差の是正が求められている。本報告書は、今後の救急医療体制の基本的なあり方について意見をまとめたものである。
 
2.救急医療体制のあり方

(1) 日常生活圏である二次医療圏において救急医療体制を完結することを目指し、救急医療の確保を医療計画において位置付け、初期、二次、三次救急医療機関の機能分担に基づいて、地域において効率的な救急医療体制を構築する。

(2) 現行の消防法に基づく救急医療体制と厚生省補助金による救急医療体制を一元化し、効果的な救急医療体制とする。

(3) 二次医療圏ごとに行政(消防機関を含む)、医師会、医療機関、地域住民等によって構成される協議会を設置するなど、より効果的な救急医療の提供につき検討・評価をする。

(4) 救急医療機関の診療情報が的確に救急隊に伝わり搬送業務に活用できるよう、住民にも救急隊にも利用しやすい救急医療情報システムを構築する。また、救命率向上のため救命手当の普及啓発を拡充する必要がある。

(5) 大学附属病院は二次医療圏を越えた広域をカバーする「救命救急センター」として機能し、地域の救急医療体制の充実に貢献すべきである。

 
3.救急医療体制の個別課題

(1) 小児科、耳鼻科、眼科、歯科及び精神科等の休日・夜間の救急医療体制については、初期を支援する二次救急医療体制を充実させることとする。

(2) ヘリコプターを活用した広域搬送
自治体所有の消防・防災ヘリ等を救急用ヘリとして活用し、へき地・離島救急医療のみならず、一般の救急搬送にも活用し充実を図る必要がある。

 
4.救急医学教育

(1) 救急医療の生涯教育
医師及び救急救命士等の救急医療スタッフの生涯教育体制についても地域単位で構築する。

(2) 医療従事者に対する教育・研修のあり方
救急医学教育については、実施体制が問題であるので、実際に救急医療を行うことによってこれを充実させ、不足している救急医療を担う人材の養成に努めるべきである。

 
5.行政の役割
  1. 救急医療体制の確保は、各地方自治体の重要な政策課題として位置付けられ、各自治体が地域の実情に即して主体的に関わるべき事項である。

  2. 救急医療制度、救急医学教育といった救急医療体制の基盤的な事項は、国の責務として長期的な視点に立ち充実すべきである。

 
6.救急医療の財源

 国と地方がその役割分担に基づき、救急医療に対し適切かつ効率的な財源措置を図る。また、最も経済効率が高い救急医療は、適正な経済的評価がなされる必要がある。
 


 問い合わせ先 厚生省健康政策局指導課
    担 当 土居、遠山(内2559、2550)>
    電 話 (代)[現在ご利用いただけません]
        (直)03-3595-2194


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