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平成9年11月25日

委員会の結果報告について

1. 本日、「エイズサーベイランス委員会」において、行政について国民一般に幅広く理解を得る観点から、委員会名を「エイズ動向委員会」に改名した。
2. 平成9年9月1日から10月末日までの間に、医師から各都道府県知事、指定都市市長、中核市市長に報告されたエイズ患者・HIV感染者は患者48名、感染者88名の計136名であった。
患者及び感染者136名の内訳は、

(1) 感染原因では、異性間の性的接触68名、同性間の性的接触37名、母子感 染1名、不明30名であった。(表−1)
(2) 性別では、男性107名、女性29名であった。(表−1)
(3) 年齢区分別では、10歳未満1名、10歳代2名、20歳代36名、30歳代38名、40歳代36名、50歳以上23名であった。(表−2)
(4) 国籍別では、日本人106名、外国人30名であった。
(5) 感染地域別では、国内81名、海外24名、不明31名であった。(表−3)

3. 患者及び感染者136名の報告のうち、68名が異性間の性的接触によるものであった。このうち、日本人の報告は男性39名、女性9名の計48名(表−1)であり、感染地域は国内35名、海外10名、不明3名であった。
また、外国人患者及び感染者30名の性別内訳は男性13名、女性17名であった。(表−1)
4. 今回15名の死亡報告があり、「HIV感染者発症予防・治療に関する研究班」からの報告と合わせ累積死亡報告数は983名となった。
5. 平成9年1月から10月末日までの献血件数5,004,877件のうちHIV抗体陽性件数は44件であった。




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HIV感染者情報


 〔平成9年9月1日〜10月末日〕

                                 
1.性別・感染原因別患者・感染者数              (単位:人) 
  男   性     女   性     合   計    
異性間の性的接触 45(6) 23(14) 68(20)
同性間の性的接触 37(1) 0(0) 37(1)
静注薬物濫用 0(0) 0(0) 0(0)
母子感染 1(0) 0(0) 1(0)
そ の 他 0(0) 0(0) 0(0)
不  明 24(6) 6(3) 30(9)
合   計 107(13) 29(17) 136(30)
注:( )内は外国人再掲数

2.性別・年齢別患者・感染者数            (単位:人) 
  男   性     女   性     合   計    
10歳未満 1(0) 0(0) 1(0)
10〜19 1(0) 1(0) 2(0)
20〜29 22(1) 14(9) 36(10)
30〜39 31(10) 7(5) 38(15)
40〜49 33(2) 3(3) 36(5)
50歳以上 19(0) 4(0) 23(0)
不   明 0(0) 0(0) 0(0)
合   計 107(13) 29(17) 136(30)
注:( )内は外国人再掲数

3.性別・感染地域別患者・感染者数           (単位:人)
  男   性     女   性     合   計    
国   内 67(0) 14(4) 81(4)
海   外 18(6) 6(6) 24(12)
不   明 22(7) 9(7) 31(14)
合   計 107(13) 29(17) 136(30)
注:( )内は外国人再掲数

(参 考)

1−2 患者内訳                       (単位:人) 
  男   性     女   性     合   計    
異性間の性的接触 24(4) 3(3) 27(7)
同性間の性的接触 10(1) 0(0) 10(1)
静注薬物濫用 0(0) 0(0) 0(0)
母子感染 0(0) 0(0) 0(0)
そ の 他 0(0) 0(0) 0(0)
不  明 10(3) 1(0) 11(3)
合   計 44(8) 4(3) 48(11)
注:( )内は外国人再掲数

2−2 患者内訳                    (単位:人) 
  男   性     女   性     合   計    
10歳未満 0(0) 0(0) 0(0)
10〜19 0(0) 0(0) 0(0)
20〜29 3(1) 2(2) 5(3)
30〜39 17(7) 1(1) 18(8)
40〜49 14(0) 0(0) 14(0)
50歳以上 10(0) 1(0) 11(0)
不   明 0(0) 0(0) 0(0)
合   計 44(8) 4(3) 48(11)
注:( )内は外国人再掲数

3−2患者内訳                    (単位:人) 
  男   性     女   性     合   計    
国   内 24(0) 1(1) 25(1)
海   外 11(4) 2(2) 13(6)
不   明 9(4) 1(0) 10(4)
合   計 44(8) 4(3) 48(11)
注:( )内は外国人再掲数


                                 



1.日本のエイズ患者の届出状況         
〔平成9年10月末現在〕            (単位:人)   
  男  性    女  性    合  計   
異性間の性的接触 366(72) 77(38) 443(110)
同性間の性的接触 *1 260(37) 0(0) 260(37)
静注薬物濫用 11(7) 0(0) 11(7)
母子感染 6(1) 3(1) 9(2)
凝固因子製剤 *2 682(…) 7(…) 689(…)
そ の 他 16(5) 8(2) 24(7)
不   明 222(87) 47(33) 269(120)
  合   計 1,563(209) 142(74) 1,705(283)
( )内は外国人再掲数
注: *1 男性両性愛者(22人)を含む。
*2 平成9年5月末現在における「発症予防・治療に関する研究班」からの報告による数字である。なお、「後天性免疫不全症候群の予防に関する法律」施行後(平成元年2月17日以降)、凝固因子製剤が原因とされている者は、報告の対象から除外されている。

2.HIV感染者の届出状況         (単位:人)   
  男  性    女  性    合  計   
異性間の性的接触 543(122) 642(463) 1,185(585)
同性間の性的接触 *1 550(76) 0(0) 550(76)
静注薬物濫用 14(10) 0(0) 14(10)
母子感染 8(1) 11(6) 19(7)
凝固因子製剤 *2 1,791(…) 17(…) 1,808(…)*3
そ の 他 26(10) 22(4) 48(14)
不   明 234(121) 374(355) 608(476)
  合   計 3,166(340) 1,066(828) 4,232(1,168)
( )内は外国人再掲数
注: *1 男性両性愛者(27人)を含む。
*2 平成9年5月末現在における「発症予防・治療に関する研究班」からの報告による数字である。なお、「後天性免疫不全症候群の予防に関する法律」施行後(平成元年2月17日以降)、凝固因子製剤が原因とされている者は、報告の対象から除外されている。
*3 患者689名を含む。

3.累積死亡者数    983名
*1 上記死亡者数には「発症予防・治療に関する研究班」からの累積死亡報告数475名が含まれる。

(参考)

・凝固因子製剤による感染を除く患者・感染者等の状況

・性別・年齢区分別・感染地域別患者・感染者数(法施行後)

  男   性 女   性 合   計
国内 海外 不明 国内 海外 不明 国内 海外 不明
10歳未満 14 1 0 15 7 6 1 14 21 7 1 29
(患者再掲) (6) (0) (0) (6) (1) (2) (0) (3) (7) (2) (0) (9)
10〜19 7 0 1 8 14 42 35 91 21 42 36 99
(患者再掲) (0) (0) (0) (0) (1) (0) (1) (2) (1) (0) (1) (2)
20〜29 290 142 105 537 136 261 372 769 426 403 477 1,306
(患者再掲) (47) (50) (33) (130) (11) (13) (27) (51) (58) (63) (60) (181)
30〜39 287 255 157 699 58 54 79 191 345 309 236 890
(患者再掲) (97) (103) (68) (268) (10) (16) (11) (37) (107) (119) (79) (305)
40〜49 271 144 113 528 14 15 12 41 285 159 125 569
(患者再掲) (107) (68) (66) (241) (3) (7) (5) (15) (110) (75) (71) (256)
50歳以上 185 96 77 358 36 1 5 42 221 97 82 400
(患者再掲) (89) (55) (53) (197) (13) (1) (5) (19) (102) (56) (58) (216)
不  明 0 1 2 3 0 4 1 5 0 5 3 8
(患者再掲) (0) (0) (0) (0) (0) (0) (0) (0) (0) (0) (0) (0)
合  計 1,054 639 455 2,148 265 383 505 1,153 1,319 1,022 960 3,301
(患者再掲) (346) (276) (220) (842) (39) (39) (49) (127) (385) (315) (269) (969)

(参考)世界のエイズ患者の状況(1997年6月30日WHO報告)

地  域 患者発生状況   患 者 数 人   口
アフリカ州
(54カ国)
576,972人 タンザニア
ケニア
ジンバブエ
82,174人
69,005
61,037
23,126千人
21,433
10,412
アメリカ州
(45カ国)
797,227 アメリカ合衆国
ブラジル
メキシコ
581,429
103,262
29,962
248,709
146,825
81,249
アジア州
(43カ国)
70,949 タイ
インド
日本
59,782
2,996
1,447
54,532
846,302
123,611
ヨーロッパ州
(40カ国)
191,005 フランス
スペイン
イタリア
45,395
45,132
38,418
56,634
39,433
59,103
オセアニア州
(15カ国)
8,030 オーストラリア 7,033 16,850
計(197ヵ国) 1,644,183      
( )内は、患者報告のあった国数である。
注:※1日本の患者数は1996年12月末現在



    都道府県別患者・感染者累積報告状況         
          
 
都道府県名
 
患者・感染者
報告件数
(件)
構成割合
(%)
ブロック別
患者・感染者
報告件数(件)
構成割合
(%)
1 北海道 32 (2) 0.9  
 
 
 
北海道・東北
 
91
 
 
 
 
 
 
2.6
2 青森県 8 (0) 0.2
3 岩手県 7 (0) 0.2
4 宮城県 16 (2) 0.5
5 秋田県 6 (1) 0.2
6 山形県 7 (1) 0.2
7 福島県 15 (2) 0.4
8 茨城県 349 (11) 10.1  
 
 
 
関 東
 
2,367
 
 
 
 
 
 
68.8
9 栃木県 90 (4) 2.6
10 群馬県 67 (4) 1.9
11 埼玉県 166 (8) 4.8
12 千葉県 282 (6) 8.2
13 東京都 1128 (39) 32.8
14 神奈川県 285 (14) 8.3
15 新潟県 35 (1) 1.0  
 
 
北陸・甲信越
 
267
 
 
 
 
 
7.8
16 富山県 7 (0) 0.2
17 石川県 3 (0) 0.1
18 福井県 18 (1) 0.5
19 山梨県 50 (3) 1.5
20 長野県 154 (2) 4.5
21 岐阜県 26 (0) 0.8  
東 海
 
284
 
 
 
8.3
22 静岡県 88 (1) 2.6
23 愛知県 117 (6) 3.4
24 三重県 53 (1) 1.5
25 滋賀県 9 (0) 0.3  
 
 
近 畿
 
277
 
 
 
 
 
8.1
26 京都府 45 (1) 1.3
27 大阪府 154 (13) 4.5
28 兵庫県 39 (3) 1.1
29 奈良県 19 (0) 0.6
30 和歌山県 11 (1) 0.3
31 鳥取県 2 (0) 0.1  
 
中 国
 
38
 
 
 
 
1.1
32 島根県 5 (0) 0.1
33 岡山県 6 (2) 0.2
34 広島県 17 (1) 0.5
35 山口県 8 (0) 0.2
36 徳島県 3 (0) 0.1  
四 国
 
22
 
 
 
0.6
37 香川県 4 (0) 0.1
38 愛媛県 8 (1) 0.2
39 高知県 7 (1) 0.2
40 福岡県 44 (3) 1.3  
 
 
 
 
九州・沖縄
 
94
 
 
 
 
 
 
 
2.7
41 佐賀県 1 (0) 0.0
42 長崎県 11 (1) 0.3
43 熊本県 6 (0) 0.2
44 大分県 3 (0) 0.1
45 宮崎県 1 (0) 0.0
46 鹿児島県 11 (0) 0.3
47 沖縄県 17 (0) 0.5
合  計  3,440 (136) 100.0 3,440 100.0
注:凝固因子製剤による患者・感染者は除く  (平成9年10月末現在)
 ( )内は今回報告件数(平成9年9月〜10月分)である        


平成9年11月25日

委員長コメント

1) 今回(平成9年9月から10月末まで)のエイズ動向委員会ヘの報告は患者48名(前回48名)、感染者88名(前回63名)の合計136名(前回 111名)、うち転症例は2名(前回5名)でした。
前回と比較して、日本人感染者が21名増加、外国人感染者は4名増加、日本人患者、外国人患者はともに同数であり、トータルでは患者・感染者は25名増となっております。
2) 依然として患者・感染者は増加傾向を示しており、患者・感染者数136名、日本人患者・感染者数106名、日本人患者・感染者異性間性的接触による患者・感染者数48名、日本人男性患者・感染者数94名は過去最高の報告数でした。
また、患者報告数48名、男性同性愛患者・感染者数37名は過去最高の報告数と同数でした。
3) 我が国においても、感染は確実に広がっています。正しい知識を持つために、正しい予防行動をとるために、エイズに苦しむ人々と共に生きるために、12月1日の「世界エイズデー」を契機にエイズについて考え、話し合うよう に心がけましょう。
早期治療の効果は大きく向上しています。検査を積極的に受けて下さい。
4) 将来の世代に希望に満ちた世界を引き継ぐことは、現代に生きる私たちの責任です。エイズとともに生きる社会の構築に向けて積極的な取り組みが必要です。
5) 今回、推定される感染原因が海外での異性間性的接触又は国内の輸血のHIV感染の報告が1例ありました。輸血が行われたのは昭和57年であり、輸血用血液製剤の製造番号等の記録が残っておらず、献血者の調査は不可能でありました。
なお、本症例に投与された輸血用血液製剤はすべて全血輸血であり、同一献血者から同時に献血、分離された血液製剤は存在しないため(当該症例の感染 原因の特定はできませんが)、他の患者のHIV感染の可能性はありません。
感染の可能性があると思う人には献血を控えるよう注意喚起するとともに、献血時の問診などによるチェックの徹底を図る必要があります。


 問い合わせ先 厚生省保健医療局エイズ疾病対策課
    担 当 池田(内2358)、大澤(内2355)
    電 話 (代)[現在ご利用いただけません]
        (直)03-3595-2249



エイズ動向委員会資料

1.前回報告のHIV感染例の遡及調査について

1)前回報告のあった、推定される感染の原因が国内の輸血と記載されたHIV感染例1例については、平成5年に献血者38人分の輸血用血液製剤の輸血を受けていることが判明しており、関連血液製剤について引き続き遡及調査を行っているところである。

2)当該症例が輸血によってHIVに感染したものとすれば、献血者から同時に供血された新鮮凍結血漿、赤血球製剤又は血小板製剤の投与を受けた患者は、同じくHIVに感染している可能性がある。このため、ウインドウ・ピリオドであった可能性が否定できなかった献血者から供血された輸血用血液製剤13ロットが投与された患者について、厚生省から関係自治体等に調査の協力を依頼し、調査を行った。
その結果、該当する輸血用血液製剤13ロットのうち、赤血球製剤1ロットは返品され使用されておらず、9ロット(赤血球製剤3ロット、新鮮凍結血漿2ロット及び血小板製剤4ロット)が投与された7名の患者については輸血後短期間のうちに腎不全等の原疾患で死亡していた。また、血小板製剤1ロットが投与された患者についてはHIV抗体検査の結果陰性であることが確認された。残りの2ロット(赤血球製剤1ロット及び新鮮凍結血漿1ロット)については引き続き調査を行っている。

2.本日報告のHIV感染例について

1)本日のエイズ動向委員会に、推定される感染の原因が海外での異性間の性的接触又は国内の輸血と記載されたHIV感染例が1例報告された。当該症例は、昭和57年に献血者15人分の輸血用血液製剤の輸血及び30人分の新鮮血の輸血(院内血輸血)を受けていることが判明しており、輸血用血液製剤について遡及調査を行った。

2)輸血が行われたのは昭和57年であり、これらの輸血用血液製剤の製造番号等の記録は残っていなかったが、本症例に投与された輸血用血液製剤はすべて全血製剤であることが判明しており、同一献血者の血液から分離された血液製剤は存在しないため、他の患者のHIV感染の可能性はない。

平成9年11月25日

 厚生省医薬安全局血液対策課
  照会先 :山本、江原
  内 線 :2905、2908
  夜間直通:03-3595-2395



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