報道発表資料 ホームページへ戻る 一覧に戻る 前ページ 次ページ

平成9年5月19日

吸入用臭化水素酸フェノテロール製剤の緊急安全性情報の配布について


1 吸入用臭化水素酸フェノテロール製剤の概要

販売名 : ベロテックエロゾル
輸入販売 : 日本ベーリンガーインゲルハイム社(本社:兵庫県川西市)
効能・効果: 気管支喘息、慢性気管支炎、肺気腫、塵肺症の気道閉塞性障害に基づ
く呼吸困難など諸症状の緩解
承 認: 昭和59年(1984年)10月(販売開始・昭和60年2月)
販 売: 年間 19億5千万円(平成八年、薬価ベース)
有効成分の臭化水素酸フェノテロールは、交感神経β(ベータ)2受容体刺激薬であり、
気管支拡張作用を有する。
(1吸入0.2mg、1ボンベ(5ml)中に20mg含有)

2 今般の安全性評価

(1)5月16日に開催された中央薬事審議会副作用調査会において、日本小児アレルギー学会喘息死委員会の調査結果(本年3月21日に公表)等を踏まえて本剤の評価を行った。
この調査では、喘息死症例は123例であり、このうち18例が薬物の過剰投与との指摘がなされ、うち11例がβ2刺激薬吸入剤の使用例であり、7例にフェノテロール製剤が使用されていた。

(2)審議の結果、副作用調査会においては、個別症例について喘息死と薬剤の過量投与との因果関係は得られた情報からは判断できないが、

(1)β2刺激薬吸入剤に過度の依存傾向がある患者の場合には、過量投与となる危険性が高いことから、過量投与を防止するためには現行の使用上の注意の内容を更に厳格化する必要があること。

(2)今回の発表の内容において吸入剤の過量投与が指摘された症例の中では、フェノテロール製剤の事例が最も多かったこと。
から、さらに使用上の注意への警告の新設、医療機関への緊急安全性情報の配布等によって注意喚起を行うことが適当とされた。

(3)また、本剤を必要とする患者が自己判断で使用を中止したり、中止に際して必要な代替治療手段をとらなかったりすることで、症状の悪化を招くことがないように、今般の対応に際して十分注意する必要があることについても、指摘があった。

3 今後の対応

副作用調査会の審議結果を踏まえて、次のような対応をとることとする。

(1)厚生省

(1)関係企業に対して使用上の注意の改訂を指導し、「緊急安全性情報」、患者用・保護者用の注意文書の作成及び医療機関等に対する配布の指示を行う。

(2)本剤以外のβ2刺激薬吸入剤をも含めて、適正使用の徹底状況及び安全性情報の把握に引き続きつとめる。

(2)関係企業(日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社)

(1)使用上の注意を改訂し、警告欄あるいは重要な基本的注意の欄に、「本剤の使用は、患者または保護者が適正な使用方法について十分に理解しており、過量投与になるおそれのないことが確認されている場合に限ること。」
「本剤の小児への投与は、他のβ2刺激薬吸入剤が無効な場合に限ること。」
「本剤は喘息発作に対する対症療法剤であるので、本剤の使用は発作発現時に限ること。」
と記載する。

(2)今回の使用上の注意の改訂について、「緊急安全性情報」を作成し、医療機関等に配布し、情報提供を行う。

(3)過量投与についての患者用・保護者用注意文書を作成し、医療機関等に配布し、情報提供を行う。


 問い合わせ先 厚生省薬務局安全課医薬品適正使用推進室
    担 当 山 本、小笠原(内)2756,2758
    電 話 (代)[現在ご利用いただけません]
        (直)03-3595-2435

 問い合わせ先 日本ベーリンガーインゲルハイム(株)医薬情報部
    電 話 0727-90-2321
    FAX 0727-92-5089

報道発表資料 ホームページへ戻る 一覧に戻る 前ページ 次ページ