報道発表資料 ホームページへ戻る 一覧に戻る 前ページ 次ページ

クロイツフェルト・ヤコブ病等専門委員会

平成9年4月24日

クロイツフェルト・ヤコブ病に関する情報提供及びその感染防止等について(報告)

ヒト硬膜使用の中止とクロイツフェルト・ヤコブ病の調査及び研究の推進については、平成9年4月3日の公衆衛生審議会成人病難病対策部会において、厚生省特定疾患調査研究事業クロイツフェルト・ヤコブ病に関する緊急調査研究班の報告を踏まえ、意見がとりまとめられたところであるが、今般、クロイツフェルト・ヤコブ病等専門委員会において、クロイツフェルト・ヤコブ病(以下、「CJD」という。)をめぐる緊急な課題について審議が行われた。その結果を報告する。


1.硬膜移植手術歴を有する者への情報提供について

硬膜移植の既往歴のある者の健康上の不安の軽減を図るため、相談に 当たる医師、保健婦等に対して、平成9年4月3日に公表された調査報告などから明らかになった次の内容について情報提供を行う必要がある。
これにより、患者の不安が少しでも軽減されるよう、その対応について 関係医療機関に協力と理解を求める。

(1)硬膜移植者からのCJD患者発生率は、調査対象期間である11年5ヶ月(1985年1月〜1996年5月)で約5,000から10,000人に1人程度であった。

(2)硬膜移植からCJD発症までの期間は、16ヶ月から 193ヶ月、平均は約7年であった。

(3)硬膜移植者からのCJD患者の多くは1979年から1987年の間に手術をうけており(43例中41例)、アルカリ未処理の硬膜が使用されていた。

(4)1988年以降に硬膜移植を受けた発症者は2例のみである。この2 例の中、1例はアルカリ未処理の硬膜が使用され、1例は使用された硬膜の特定ができなかった。

(5)今回の調査結果からは、1988年以降に硬膜移植を受けた者からの発症は少ないことが今後も予想され、それは、硬膜提供者の選別と強アルカリによる処理が追加されたためと考えられる。

(6)硬膜移植は脳外科手術の約2〜3割の症例に対して行われていた。


2.CJD及び類縁疾患患者等に対する手術、検査及び処置等における感染防止について

(1)CJD等の異常プリオン蛋白を有するおそれのある者に対して手術又は検査・処置等を行った場合、使用された医療用具等を介しての感染防止が図られなければならない。

(2)このため、当面の間、表1に該当する者に対して、手術(特に脳外科、脊髄・脊椎等の整形外科、真珠腫等の耳鼻咽喉科など)及び腰椎穿刺及び観血的検査(血管造影など)や処置(褥そう処置など)の際、使用した医療用具を再使用する場合には、表2の方法により消毒を行う必要がある。また、可能な場合はディスポーザブルの医療用具を使用する。

(3)今後、対象者の範囲及び消毒法については更に研究を行っていく必要がある。

表1 対象者
・CJD及び類縁疾患と医師に言われたことがある
・血縁者にCJD及び類縁疾患と診断された人がいる
・ヒト由来成長ホルモンの注射を受けたことがある
・角膜移植を受けたことがある
・硬膜の移植を伴う脳外科、整形外科等の手術を受けたことがある

表2 医療用具の消毒法
a 3%SDS(ドデシル硫酸ナトリウム)、5分間、100℃
b 高圧蒸気滅菌:132℃で1時間オートクレーブにて高圧滅菌する
c 1規定水酸化ナトリウム溶液に1時間、室温にて浸す
d 1〜5%次亜塩素酸ナトリウムに2時間、室温にて浸す

注1)aはプリオンを完全に消失させ、b、c、dは10−3以下のオーダーで不活化させる。

注2)aを第一選択とし、bが次の適用となる。高温に耐えないもの及び巨大なものについては、c、dを適用する。

注3)上記消毒法が適用できないもの(内視鏡など)に対する有効な消毒法は今後の課題である。これらのものの消毒法としては、当面の間、丁寧に洗浄を行い、従来の消毒法を行う。

3.今後の対応について

厚生省は、上記の基本的考え方に沿って、CJDをめぐる諸課題について適切な対応がなされるよう、関係者への周知を図るなど適切な対応を図る必要がある。


平成9年4月25日


クロイツフェルト・ヤコブ病に関する情報提供及び感染防止等について

4月21日に開催された第2回公衆衛生審議会成人病難病対策部会クロイツフェルト・ヤコブ病等専門委員会(委員長:佐藤 猛国立精神・神経センター国府台病院院長)において審議されたクロイツフェルト・ヤコブ病に関する情報提供及び感染防止等について、委員長から別添のとおり報告がありました。
厚生省では、この報告書を平成9年4月24日付けで都道府県等に通知したのでお知らせします。
なお、4月3日に公表したクロイツフェルト・ヤコブ病に関する緊急調査研究班の最終報告書概要は、厚生省のホームページ (http://www.mhw.go.jp/ houdou/0904 /h0403-1.html) に掲載しましたのであわせてお知らせします。


 問い合わせ先 厚生省保健医療局疾病対策課
    担 当 三丸(内2355)、塚原(内2353)
    電 話 (代)[現在ご利用いただけません]
        (直)03−3595−2249

報道発表資料 ホームページへ戻る 一覧に戻る 前ページ 次ページ