報道発表資料 ホームページへ戻る 一覧に戻る 前ページ 次ページ

施設整備業務等の再点検のための調査委員会報告書の概要

厚 生 省

平成9年3月31日

前 書 これまでの検討状況と報告書の基本的性格

今回の社会福祉施設整備補助金等の仕組みを悪用した事件について、事実関係の解明とともに、施設整備補助金の選定手続の見直し、社会福祉法人の認可や運営に関する業務の適正化等を図るため、平成8年12月5日、厚生省に「施設整備業務等の再点検のための調査委員会」を設け、再点検を行ってきた。
調査委員会は、まず今回の事件の実態解明等を踏まえた特別養護老人ホームの施設整備に係る改善措置をとりまとめ、本年1月31日に第1次報告書として公表を行った。
本報告書では、特別養護老人ホームに係る改善措置を踏まえながら、その他の社会福祉施設、医療関係施設、水道・廃棄物処理施設及び国立病院、社会保険関係施設並びに出向人事の在り方等についても見直しを行い、第1次報告書に示した事項も含め、調査委員会の検討結果を総括的にとりまとめた。

(全体構成)

第1部 特別養護老人ホームをはじめとする社会福祉施設の整備等の再点検と改善措置

第2部 その他の分野の施設整備等の再点検と改善措置
第3部 出向人事等の在り方

第1部 特別養護老人ホームをはじめとする社会福祉施設の整備等の再点検と改善措置

(第1部中下線部は第1次報告書から内容に変更のあった点)

1 今回の事件の実態解明

今回の事件は、第1次報告書に示したとおり、社会福祉施設が高率の補助金や政策融資等公費で賄われる仕組みとなっていることを悪用して、厚生省から出向していた県の担当課長の関与の下に、次々と複数の特別養護老人ホーム等の認可を受け、その建設に伴って総額約27億円にものぼる多額の差益を発生させた(「利ざや稼ぎ」を行った)もの。
今回の事件から導かれる問題点としては、以下のとおり。
県における補助対象施設の選定手続について、国は明確な基準を示しておらず、透明性を欠いていたり、施設・法人の認可手続等に不明確な点があり、県の担当課長の独断による認可を許したのではないか、
建設工事契約、工事監督、検査等の指導が公共工事等に比べて緩やかすぎたのではないか、
社会福祉法人の運営体制が理事長等の恣意的運営を可能とするものとなっていたのではないか、
などが挙げられ、厚生省としては、これらの点についての仕組みの不備や不十分な指導については、反省し、見直しが必要。

2 総点検結果

第1次報告書で示した特別養護老人ホームの総点検に加え、その他の社会福祉施設についても総点検を行った。
(1) 社会福祉施設の設置に係る社会福祉法人の認可審査
(2) 社会福祉施設の設置に係る社会福祉法人の運営体制
(3) 社会福祉施設の建設工事の発注契約状況
このうち、(3)については、国庫補助に係る特別養護老人ホームについて実態調査を実施。
国庫補助に係る特別養護老人ホーム以外の社会福祉施設についても実態調査を実施。
都道府県市の特別養護老人ホーム建設工事契約入札の指導状況等についても調査を実施。

3 社会福祉施設の整備等に係る改善事項

今回の事件から導かれる特別養護老人ホームの施設整備に係る問題点と総点検結果を踏まえ、その改善事項を次のようにとりまとめた。
その他の社会福祉施設の整備についても、基本的にこれらの改善事項と同様の措置を講ずることとした。
これらの改善事項については、別紙のとおり必要な通知の発出を行い、可能な限り平成9年度の整備事業から適用する。
(1)補助金交付対象施設決定方法の明確化
(1) 国における整備(協議)基準の明確化
(2) 都道府県市における補助対象施設選定の適正化
 合議制による補助対象施設選定の実施
 施設整備と独立した法人審査体制の確立
 都道府県市における国庫補助協議を行う施設に関する情報の公表
 国における補助対象施設の情報の公表
(3) 国庫補助協議と社会福祉・医療事業団融資審査の並行実施・連携
(4) 法人認可及び事業団融資に係る事務の簡素化
(5) 民間団体による施設整備補助の場合(国庫補助に準拠)
(2)公共工事に準じた建設工事契約の適正化
(1) 県の公共工事に準じた契約手続(入札の実施)
(2) 入札の実効を確保するための指導項目の明示
(3) 一括下請負の禁止
(4) 都道府県市による現地調査の実施
(5) 民間団体による施設整備補助に係る同様の指導
(3)幅広い人材の参画による公正な社会福祉法人運営の確保
(1) 幅広い人材の理事会への積極的参画
(2) 評議員会の活用等による幅広い人材の法人運営への参画
(3) 監事監査の充実による法人内部牽制機能の確保
(4) 役員の公開
(5) 財務諸表等の自主的な開示
(4)監査・考査の改善

(5)共同募金会の指定寄付金制度の運用の適正化

(1) 法人と特別の関係にある寄付者についての審査の徹底
(2) 一定額以上の指定寄付金の公表

4 埼玉県、山形県の今回の事件の関連施設の事後処理策
今後、国と県が一体となって、新体制の法人の下に事件の関連施設の円滑な再建と事業の実施が図られるよう適切な指導や必要な補助金、融資の確保等に努めることとする。
現在工事中の5施設については、現地調査の結果、手抜き工事はなく適正に工事が行われており、施設を補助目的どおり使用できること、地元自治体の早期開設の要望も強いこと、8年度分の補助金は関係者間の協議によって全額建設用途に充てられることが確実なこと等を踏まえて交付決定を実施。
一方、これまでの元請額と下請額の差額については、法人が建物の引渡しを受けた後、今後精査して必要な措置を講じる。小山等原因者への厳正な対処も既に事業を開始している3施設についても同様の調査を実施。

5 さらに対応の必要な課題

今回の改善措置の効果を客観的に評価しつつ、さらに特別養護老人ホーム等の社会福祉施設の整備・運営の実態を調査し、特別養護老人ホームを中心に社会福祉法人や社会福祉施設の整備・運営の在り方を検討するため、省内に検討会を設置して中長期的な観点から検討していく。

第2部 その他の分野の施設整備等の再点検と改善措置

1 医療関係施設等

(1)医療関係施設

医療関係施設については、開設者は医療法人や個人が大部分であり、へき地、救急医療体制の整備や患者の療養環境の改善等、一定の政策目的に沿った事業を実施している施設に限定して国庫補助が行われている。また、これらの補助は新設の施設に対してではなく、主として既存施設の改築等について行われている。
このように補助対象となる施設が限定されていること、大部分が公費で賄われる特別養護老人ホームと比較して補助の仕組みが異なること、既存施設の改築等が大部分であること、また、特別養護老人ホームのような市町村からの委託事業ではないこと等から、特別養護老人ホームの国庫補助と同列に論じることはできない。
しかしながら、広く施設整備補助金に係る業務の適正化を図る観点から、事業の性格も踏まえ、特別養護老人ホームの例も参考として、以下の必要な改善方策を講じることとした。
(1) 国における整備(協議)基準の明確化
(2) 都道府県における補助金交付対象施設選定の適正化
 合議制による補助対象施設選定の実施
 都道府県における国庫補助協議を行う施設に関する情報の公表
 国における補助対象施設の情報の公表
(3) 国庫補助協議と社会福祉・医療事業団融資との連携
(4) 建設工事契約の適正化
 1億円以上の国庫補助に係る施設の原則競争入札の実施
 一括下請負の禁止
 入札結果等の公開
(5) 1億円以上の国庫補助に係る施設の建設工事中間点及び完了点における都道府県による現地調査の実施等
(2)老人保健施設
老人保健施設については、開設者は医療法人が大部分であること、大部分が公費で賄われる特別養護老人ホームと比較して補助の仕組みが異なること、また、特別養護老人ホームのような市町村からの委託事業でないこと等から、特別養護老人ホームと同列に論じることはできない。
しかしながら、地域の中で施設整備が急速に進められている新設の施設整備であることを踏まえ、特別養護老人ホームの例も参考として、以下の必要な改善方策を講じることとした。
(1) 国における整備(協議)基準の明確化
(2) 都道府県における補助金交付対象施設選定の適正化
 合議制による補助対象施設選定の実施
 都道府県における国庫補助協議を行う施設に関する情報の公表
 国における補助対象施設の情報の公表
(3) 国庫補助協議前の社会福祉・医療事業団への事前相談
(4) 建設工事契約の適正化
 原則競争入札の実施
 一括下請負の禁止
 入札結果等の公開
(5) 建設工事中間点における都道府県に対する書面等による報告、建設工事完了点における都道府県の開設許可に当たっての公共事業担当部局と連携をとった現地検査の実施

2 水道・廃棄物処理施設

水道・廃棄物処理施設の整備は、地方自治体の公共事業であり、地方自治法等に基づき工事契約の適正化、競争入札の実施、補助対象事業の情報の公表、施設の現地調査等の手続が厳正に実施されているが、施設整備補助金に係る業務の一層の適正化を図る観点から、さらに以下の事項について改善を図る。
(1)一括下請負の禁止の徹底
(2)合併処理浄化槽について、市町村における現場確認、写真審査、補助金交付事務と出納事務の相互チェックの徹底
(3)国庫補助内示結果、入札結果の公表の徹底
(4)新技術に係る国庫補助金の採択基準の明確化
(5)合併処理浄化槽に係る国庫補助金の重点配分の基本方針の明確化

3 国立病院、社会保険関係施設

国立病院、社会保険関係施設は、国の直轄事業として公共事業並びで実施しており、「公共事業の入札・契約手続の改善に関する行動計画」(閣議了解)等に基づき実施しているが、施設整備に係る業務等の一層の適正化を図る観点から、さらに以下の事項について改善を図る。
(1)入札業者の資格審査の充実
(2)工事監理業務量の平準化、建築等専門職員の活用による監理、検査体制の強化
(3)入札結果等の公表
(4)物品購入、役務関係の契約手続の適正化

第3部 出向人事等の在り方

(1)綱紀の保持

(1) 厚生省独自の綱紀粛正方針の策定(平成8年11月29日)
(2) 厚生省職員倫理規程の制定(平成8年12月26日)、厳正な運用
(2)出向人事の在り方
(1) 出向自治体、職務内容、職種、時期等の多様化
(2) 同一ポスト長期就任の見直し(技官等の特別な職務を除く)
(3) 綱紀の保持等に関する出向前研修の充実

終わりに

本報告で示した一連の改善措置で未実施のものは、できる限り速やかに実行に移す。
今回の事件は、厚生省内で決して風化されてはならず、今後とも調査委員会において不断の業務点検を行い、国民の信頼回復を図っていきたい。


改善措置を実施するための関係通知の発出について

《協議基準関係》
(1)「平成9年度社会福祉施設等施設整備費及び社会福祉施設等設備整備費の国庫負担(補助)にかかる協議等について」
(平成9年3月6日 大臣官房障害保健福祉部長、社会・援護局長、老人保健福祉局長、児童家庭局長連名通知)
(内 容)
社会福祉施設を通じた基本的整備方針として、広く地域に開かれた在宅福祉の推進拠点としての機能を果たすもの、土地の有効活用等を図るもの等を優先的に整備すること等を規定するとともに、補助対象施設の選定の基準として、
  • 入所等の必要性の調査など実態を的確に把握し、施設整備の目的、計画等が具体的であり、かつ中長期的視点から真に必要性が認められるものであること
  • 市町村長の意見を十分聴取するなど関係市町村との調整が十分行われているものであること
  • 社会福祉法人の役員構成、資金計画等が適正で、施設整備はもとより安定した法人運営が可能なものであること
    等を規定した。
(2)「平成9年度老人福祉施設整備にかかる協議基準等について」(平成9年3月6老人保健福祉局老人福祉計画課長通知)
(内 容)
特別養護老人ホーム等老人福祉施設の協議基準として、
  • 地方老人保健福祉計画に示された必要整備量にづく整備協議であること
  • 老人保健福祉圏域内の関係市町村の意見を十分聴取し、圏域内での調整が行われた的確な整備計画であること
  • 入所待機者の適切な管理や自立度が改善した入所者の退所に向けた取組を行った上で整備の必要性について検討されたものであること
  • 当該施設を拠点として地域の在宅サービスの底上げが図られているものであること、さらには必要な介護サービスを総合的、一体的に提供していくため老人デイケア、老人訪問看護事業等の保健医療サービスとの連携がとれていること
    等を規定した。
《合議制による施設選定、都道府県市による現地調査の実施等》
(3)「社会福祉法人の認可等の適正化並びに社会福祉法人及び社会福祉施設に対する指導監督の徹底について」
(平成9年3月28日 大臣官房障害保健福祉部長、社会・援護局長、老人保健福祉局長、児童家庭局長連名通知)
(内 容)
以下の改善措置の実施を都道府県市に指導。
  • 合議制による決定、国庫補助協議施設の公表等都道府県市における補助金交対象施設選定の明確化のための措置
  • 国庫補助協議と社会福祉・医療事業団融資審査の並行実施・連携
  • 入札の実効を確保するための監事や理事・評議員等の立会い、都道府県市へ報告等の措置
  • 都道府県市による工事中間時点、工事完了時点における現地調査の実施
《社会福祉法人審査基準関係》
(4)「社会福祉法人の認可について」
(昭和39年1月10日 社会局長、児童局長連名通知、平成9年3月28日改正)
(5)「社会福祉法人の認可について」
(昭和62年2月4日 社会局庶務課長、児童家庭局企画課長連名通知、平成9年3月28日改正)
(内 容)
以下の項目を「社会福祉法人審査基準」等に追加。
  • 都道府県市における施設整備と独立した法人審査体制の確立
  • 同一人物が複数の法人を設立する場合の審査事項の明示
  • 幅広い人材の理事会への積極的参画(理事構成の見直し)
  • 評議員会の活用等による幅広い人材の法人運営への参画
  • 監事監査の充実による法人内部牽制機能の充実
  • 役員の公開、法人による財務諸表の自主的な開示
《その他の事項》
都道府県市の公共工事に準じた契約手続と一括下請負の禁止
平成9年度予算の成立を受けて速やかに補助要綱(「社会福祉施設等施設整備費及び社会福祉施設等設備整備費の国庫負担(補助)について」平成3年11月 厚生事務次官通知)を改正し、同要綱に明示する予定

平成9年3月31日

改 善 事 項

1.特別養護老人ホームをはじめとする社会福祉施設
改 善 事 項 現 行 の 取 扱 い 備 考
1.補助金交付対象施設決定方法の明確化
(1)国における整備(協議)基準
の明確化=通知化
(平成9年3月通知)
全国都道府県関係課長会議等において基本的考え方を口頭指示  
(2)都道府県市における補助金交付対象施設選定の適正化
ア.合議制による審査
(平成9年3月通知、平成9年度追加協議分から実施)
イ.都道府県市における国庫補助協議施設の公表
(平成9年3月通知、平成9年度実施)
ウ.国における分かりやすい内示結果の公表
(平成9年度実施)
・都道府県別概況一覧を示す
・ホームページの活用


担当部局内の単線的処理もある。

必ずしも公表されていない。

従来より公表


地方社会福祉審議会で意見聴取を行っている
2県
[8.12調査]
(3)施設整備と独立した法人審査体制の確立
(平成9年3月通知、平成9年度追加協議分から実施)
ア.合議制による法人審査実施
イ.同一人が複数の法人を設立する際の審査事項等を規定
「社会福祉法人審査基準」等外形的審査中心。
また、施設整備が優先され法人審査が疎かになる傾向あり。



法人審査会を設置
11県[8.12調査]
同一人が同一県内の複数法人の理事長となっているもの
19県70法人31人[8.12調査]
(4)社会福祉・医療事業団融資審査と国庫補助協議の並行実施・連携
ア.法人の設立認可申請と事業団への融資申込み手続きを早め、国庫補助協議と並行して審査を行う
(平成8年度通知、平成10年度実施)
イ.連帯保証人及び多額の償還財源寄付者の意思確認を行う等厳正な融資審査を行う
(平成9年3月通知、平成9年度実施)
ウ.補助金申請、法人認可、事業団融資の際の提出書類の記載事項の統一化等事務の簡素化を図る
(平成9年3月通知、平成10年度実施)


国庫補助内示後に融資申込が行われており、内示に当たって融資審査の観点が活かされない。


連帯保証人については連帯保証人承諾書、償還財源寄付者については贈与契約書の写しを提出させる。


補助金申請、法人認可、事業団融資の際の提出書類の記載事項が異なっている。
 
(5)民間団体による施設整備補助の場合
(国庫補助に原則として準拠)
(平成9年度通知、平成10年度実施)
県の推薦、国のランクづけにより民間団体が独自に決定  
2.公共工事に準じた建設工事契約の適正化
(1)公共工事に準じた契約手続
(平成9年度通知、平成9年実施)
ア.県の公共工事に準じた契手続
イ.一括下請負(「丸投げ」)禁止
→補助要綱での明確化=違反には補助金返還
「社会福祉法人経理規程準則」においては、一般競争を原則とすべき旨規定しているが、指導は不徹底 契約手続き
<特養>
一般競争 0.5%
指名競争 73.4%
随意契約 11.6%
(入札不調によるものを除く。)
[実態調査]
<特養以外>
一般競争 0.9%
指名競争 76.3%
随意契約 7.9%
(入札不調によるものを除く。)
競争入札を補助金交付の条件としているもの
55県市
うち指名業者数を定めているもの
35県市
[8.12調査]
指名業者数
<特養>
5社 30.6%
2〜4社 17.3%
一括下請負あり 2件
[実態調査]
[実態調査]
<特養以外>
5社 24.5%
2〜4社 23.5%
一括下請負なし
[実態調査]
(2)入札の実効を確保するための指導項目の明示
(平成9年3月通知、平成9年度実施)
ア.入札への監事、理事及び評議員の立会い
イ.入札結果の開示
具体的な入札方法等の規定なし 入札立会人あり
<特養> 80.0%
<特養以外> 93.9%
入札結果を公表
<特養> 86.8%
<特養以外> 76.8%
[実態調査]
(3)都道府県市による現地調査の 実施
(平成9年3月通知、平成9年 度実施)
・設計監理者、請負業者立会いの下に、公共事業担当部 局と連携をとって現地調査
契約時点、建設工事中間点、完了時点における法人関係者から報告を聴取し、施設設置認可時に完成時検査を行うべき旨を定めているが、指導は不徹底 法人から県市への報告
<特養>
契約時 29.2%
中間点 35.0%
完了時 93.0%
<特養以外>
契約時 33.8%
中間点 26.9%
完了時 79.2%
[総点検]
建設工事契約のチェックを建設担当部局と連携して行っている県市
21%[8.12調査]
完了時に当初契約と突合している県市
<特養> 85.0%
<特養以外>89.2%[総点検
3.幅広い人材の参画による公正な社会福祉法人の運営の確保
(1)幅広い人材の理事会への積極的参画(平成9年3月通知)
・老人福祉及び障害福祉に係る入所施設を経営する法人については、理事の半数以上を社会福祉事業について知識経験を有する者及び地域の福祉関係者の中から幅広い人材の参画を求める。
理事数は6名以上とし、理事の1/4 以上は社会福祉事業について知識経験を有する者であること、地域代表を加えること、施設整備と密接に関連する業務を行う者が理事の過半数未満とする。 地域代表者理事のいない法人
<特養> 4.7%
<障害> 9.2%
<児童> 9.5%
<その他> 19.0%
理事会に出席していない理事がいる法人
(7年度)
<特養> 8.0%
<障害> 10.9%
<児童> 4.6%
<その他> 11.7%
[総点検]
(2)評議員会の活用等による幅広い人材の法人運営への参画
(老人福祉及び障害福祉に係る入所施設を経営する法人についてはア又はイの措置を講ずる)
(平成9年3月通知)
ア.理事数の増員(10名以上)
イ.入所者の家族等が加わった評議員会の設置
評議員会は理事の定数の2倍以上措置施設の経営のみを行う社会福祉法人は評議員会を設置しなくてよい。  
(3)監事監査の充実による法人内部牽制機能の確保
(平成9年3月通知、平成9年度実施)
ア.毎年定期監査を実施
イ.監査報告書を所轄庁に直接報告
ウ.外部の専門家による外部監査の活用も含め監事機能を充実
監事は2名以上とし、理事の業務執行状況、社会福祉法人の財産の状況について監査し、理事会等に報告 監事監査の実施状況を確認
<特養> 96.4%
<障害> 98.7%
<児童> 99.5%
<その他> 100.0%
[総点検]
(4)役員の公開
(平成9年3月通知、平成9年度実施)
・所轄庁において全ての理事及び監事の氏名を公開
代表権を有する理事(理事長)の氏名、法人の資産総額を登記  
(5)財務諸表等の自主的な開示
・施設の広報等を通じ、事業報告書、財務諸表等を自主的開示
(平成9年3月通知、平成9度実施)
事業報告書、財務諸表等は事務所に備え置かなければならない。  
4.監査・考査の改善
(1)法人審査基準等の改正を踏まえた法人・施設監査の指針の見直し
(平成9年度通知、平成9年度実施)
「社会福祉法人監査指導要綱」、「社会福祉法人・施設等に対
する指導監査の主眼事項及び着眼点」等により監査の指針を提示
 
(2)施設開設前の法人に対する都道府県市の監査の実施
(平成9年3月通知、平成9年度実施)
施設整備中の法人に対する監査は実施されていない。  
(3)物品の購入手続等に関する都道府県市の指導監査の実施につ いて、今後とも指導を徹底(平成9年度実施) 物品の購入等が競争入札や見積合わせ等により適正に行われているか等の指導監査を実施するよう都道府県市を指導  
(4)国における施設整備に関する指導監査の実施
(平成9年度実施)
現在、措置費の使用状況を中心に行われている。  
(5)都道府県市の法人担当職員の研修の実施
(平成9年度実施)
指導監査担当職員については研修会を実施  
(6)国の補助金執行の内部指導監
査体制の見直し
(平成9年度検討)
・補助金の執行に関する指導、大臣官房における会計監査等の充実
担当部局が補助対象の選定、事業の実施状況の確認等を担当。
大臣官房は、補助金執行の認証等を担当
 
5.共同募金会の指定寄付金制度の運用の適正化
(1)法人と特別の関係にある寄付者についての審査の徹底
・受配者の役職員及びその親族、建設請負業者、物品納入業者等からの指定寄付は、報酬の受給状況、契約手続、受配法人の理事会の決定状況等が適正である場合に認める。
(平成9年度通知、平成9年度実施)
受配者から給与を受けている役職員及びその親族からの指定寄付は、公募性の高いものその他共同募金会が特に認めた場合に認める。  
(2)一定額以上の指定寄付金について公表
(平成9年度通知)平成9年度実施)
   

(注)備考欄のうち

1.[8.12調査]は平成8年12月13日開催の全国社会福祉施設主管課長会議に際して、特別養護老人ホームに関して、71都道府県市を対象に行った調査結果

2.[総点検]は
(1)平成8年12月〜1月の間に71都道府県市において平成6年1月以降に設立認可された社会福祉施設を設置している社会福祉法人を対象とした都道府県市の業務総点検結果
<特養> 特別養護老人ホームを設置している社会福祉法人(465法人)
<特養以外>次項Bの<障害><児童><その他>に掲げる社会福祉施設を設置している社会福祉法人(210法人)。

(2)平成7年度末現在で社会福祉施設を設置運営している社会福祉法人を対象とした都道府県市の業務総点検結果
<特養>特別養護老人ホームを設置運営する社会福祉法人(2,798法人)
<障害>障害福祉施設(身体障害者療護施設、身体障害者通所授産施設、精神薄弱者更生施設(入所)及び精神薄弱者授産施設(通所))を設置運営する社会福祉法人(1,436法人)
<児童>児童福祉施設(乳児院、母子寮、保育所、養護施設、虚弱児施設、情緒障害児短期治療施設及び教護院)を設置運営する社会福祉法人(6,786法人)
<その他>その他の施設(保護施設、婦人保護施設、地域福祉センター)を設置運営する社会福祉法人(137法人)

(3)平成6年1月以降に工事発注契約を締結した新設法人を対象とした都道府県市の業務総点検結果
<特養> 特別養護老人ホームの工事発注契約を締結した新設法人(467施設)
<特養以外>前項Bの<障害><児童><その他>に掲げる社会福祉施設の工事発注契約を締結した新設法人(139施設)。
なお、財団法人等が設置していた保育所等で、設置主体を社会福祉法人に変更したものについては、建設工事は行われていないので調査対象としていない。
(注) (1)及び(2)については、複数の種別の施設を経営する法人については、重複して計上している。

3.[実態調査]は
<特養> 国庫補助金の対象となった「特別養護老人ホーム施設整備事業」で平成6年1月以降に建設工事契約を締結した新設法人のうち 379か所を対象とした実地調査結果
<特養以外>国庫補助金の交付対象となった他の社会福祉施設整備事業(老人福祉施設及び特別養護老人ホームと合築又は併設され、既に調査済みの施設を除く)で、平成7年度以降に建設工事契約を締結した114か所を対象とした実態調査結果。

2.その他の分野の施設等
(1)医療関係施設
改 善 事 項 現 行 の 取 扱 い 備 考
1.補助金交付対象施設決定方法の明確化
(1)国における整備(協議)基準の明確化 = 通知化
(平成9年4月)
一部の事業については明確化されていない。  
(2)都道府県における補助金交付対象施設選定の適正化
ア.合議制による審査
(平成9年度通知、平成10年度実施)
イ.都道府県における国庫補助協議施設の公表
(平成9年度通知、平成10年度実施)
ウ.国における内示結果の公表
(平成9年度実施)
・都道府県別概況一覧を示す
・ホームページの活用
具体的な選定方法の規定なし

必ずしも公表されていない。

一部の事業についてのみ実施
 
(3)国庫補助協議と社会福祉・医療事業団融資との連携
(平成9年度通知、平成10年度実施)
・1億円以上の国庫補助申請を予定しており、かつ、事業団融資を予定している施設について、事前相談の実施
一部の事業についてのみ実施
国庫補助内示後に融資申込がわれる場合もあり、内示に当って融資審査の観点が活かされない。
 
2.建設工事契約の適正化
(1)1億円以上の国庫補助を受けた施設について、原則5社以上の競争入札の実施
(平成9年度通知、平成10年度実施)
具体的な契約方法等の規定なし 契約手続
一般競争 0.0%
指名競争 30.0%
随意契約 70.0%
(入札不調によるものを含む。)
指名業者数
5社以上 91.7%
5社未満 8.3%
一括下請負あり
1件
[実態調査]
(2)一括下請負(「丸投げ」)の禁止
(補助要綱での明確化=違反時には補助金を返還)
(平成9年度通知、平成9年度実施)
具体的な一括下請負の禁止規定なし
(3)入札結果等の公開
・都道府県において公開
(平成9年度通知、平成10年度実施)
具体的な規定なし 入札結果を公表
58.3%
[実態調査]
3.監査・考査等の改善
(1)1億円以上の国庫補助を受けた施設について、都道府県による現地調査の実施
(平成9年度通知、平成10年度実施)
12月末日での遂行状況報告書及び完了時点における実績報告書の提出を義務づけ、必要に応じて現地調査を行う旨を定めているが、指導は不徹底  
(2)同一人物が複数の法人を設立する際の審査事項を規定
(平成9年度通知、平成9年度実施)
具体的な審査事項の規定なし  

(注) 備考欄のうち[実態調査]は、国庫補助金の対象となった医療関係施設で、平成7年度中に建設工事契約を行った事業のうち、地方自治体立病院を除き国庫補助金額が1億円以上の80施設を対象とした調査結果

(2)老人保健施設
改 善 事 項 現 行 の 取 扱 い 備 考
1.補助金交付対象施設決定方法の明確化
(1)国における整備(協議)基準の明確化=通知化
(平成9年4月通知)
採択方針は通知、都道府県における協議対象施設選定に当たっての審査事項は全国都道府県関係課長会議等において指示  
(2)都道府県における補助金交付 対象施設選定の適正化
ア.合議制による審査
(平成9年度通知、平成10年度実施)
イ.都道府県による国庫補助協議施設の公表
(平成9年度通知、平成10年度実施)
ウ.国における内示結果の公表
(平成9年度実施)
・都道府県別概況一覧を示す
・ホームページの活用
具体的な選定方法の規定なし

必ずしも公表されていない。

求めに応じ実施
 
(3)国庫補助協議と社会福祉・医療事業団融資との連携
・法人を新設して事業団借入れを予定している施設について、事前相談の実施
(平成9年度通知、平成10年度実施)
一部の事業についてのみ実施
国庫補助内示後に融資申込みが行われる場合もあり、内示に当たって融資審査の観点が活かされない。
 
2.建設工事契約の適正化
(1)原則5社以上の競争入札の実施
(平成9年度通知、平成10年度実施)
具体的な契約方法等の規定なし 契約手続
一般競争 1.7%
指名競争 48.5%
随意契約 49.8%
指名業者数
5社以上 41.1%
5社未満 58.9%
(実態調査)
(2)一括下請負(「丸投げ」)の禁止(補助要綱での明確化=違反
時には補助金返還)
(平成9年度通知、平成9年度実施)
具体的な一括下請負禁止規定なし  
(3)入札結果等の公開
・都道府県において公開
(平成9年度通知、平成10年度実施)
具体的な規定なし 入札結果を公表
55.5%
(実態調査)
3.監査・考査等の改善
(1)建設工事中間時点での都道府県に対する書面等での報告
(平成9年度通知、平成10年度実施)
実施していない。  
(2)都道府県による施設開設許可時の公共事業担当部局と連携をとった現地調査の実施
(平成9年度通知、平成10年度実施)
実施していない。  

(注) 備考欄のうち「実態調査」は、国庫補助金の対象となった老人保健施設で平成7 年度中に建設工事契約を行ったもののうち、地方公共団体立のものを除いた291施設を対象とした調査結果

(3)水道・廃棄物処理施設
改 善 事 項 現 行 の 取 扱 い 備 考
1.工事契約等の適正化
(1)一括下請負の禁止の徹底
→ 補助要綱等で規定
=違反時には補助金返還
(平成9年度通知、平成9年度実施)
建設業法第22条により発注者の書面による承諾を得た場合を除き禁止されており、公共事業については通常承諾は行われていない。  
(2)市町村における技術選定委員会の設置の徹底
(平成9年度検討)
施設整備において、新技術を採用する場合には、市町村における技術選定委員会等による機種の選定が行われているが、委員会の設置については、特段指導は行っていない。  
(3)合併処理浄化槽について、市町村における現場確認、工事状況の写真審査、補助金交付事務と出納事務の相互チェックの指導の徹底
(平成9年度通知)
補助要綱を受けた指導通知により指導を行っている。  
2.国庫補助採択結果及び入札結果等の公表
(1)国における内示結果をホームページに掲載
(平成9年4月実施)
国庫補助事業の採択結果については、国において補助内示後速やかに都道府県別に公表している。  
(2)入札結果等の公表の徹底
(平成9年度通知)
公共事業に関する入札結果等については、地方公共団体において、指名業者、全入札業者名、入札金額等を公表するよう指導している。  
3.新技術に係る採択基準等の明確化
(1)新技術に係る採択基準の明確化
(検討会を設ける等により検討)
(平成9年度実施)
水道・廃棄物処理施設の国庫補助の対象となる施設の基準については、設計指針や構造指針にそれぞれ明確に規定されているが、これらの指針に規定のない新技術を用いた施設整備の採択については、その都度、協議等を行い対応  
(2)合併処理浄化槽に係る重点配分の基本方針の明確化=通知化
(平成9年3月通知)
国庫補助についての重点配分の考え方を全国都道府県関係課長会議等において説明  

(4)国立病院、社会保険関係施設
改 善 事 項 現 行 の 取 扱 い 備 考
1.工事入札手続きの適正化
(1)入札業者の資格審査の充実
・入札参加業者に係る資格審査に必要な情報収集の合理化(外部データの活用)を検討
(平成9年度実施)
入札参加業者から直接提出させている。 外部データとしては、建設省所管の財団法人の提供のものを利用
(2)入札結果等の公表
・入札参加業者、落札業者者及び落札価額についてホームページへの掲載の試行・実施
(平成9年度実施)
各国立病院等において書面による閲覧に供している。  
2.監理、検査体制の強化
(1)国立病院関係施設の工事監理について業務量の平準化等を検討
(平成9年度実施)
建築等専門職員が巡回監理を実施している。 一括下請負の禁止は現在も請負契約書に明記
(2)社会保険関係施設の検査
について省内各部局等における建築等専門職員との連携の強化
(平成9年度実施)
事務職員が直接実施している。  
3.国立病院における物品購入、役務関係の契約の適正化
○資格審査事務及び名簿登録の徹底等を図る
(平成9年2月通知)
   

(5)出向人事等
改 善 事 項 現 行 の 取 扱 い 備 考
1.綱紀の保持
(1)厚生省独自の綱紀粛正方針の策定
(平成8年11月29日)
毎年年末等に、綱紀粛正の徹底を通知しているが、具体的基準等はない。  
(2)厚生省職員倫理規程の制定(平成8年12月26日)    
2.出向人事の在り方
(1)出向自治体、職務内容、職種、時期等の多様化
(平成9年度実施)
  平成9年1月1日現在、都道府県・政令市に課長級以上として出向している者は78名
(2)同一ポスト長期就任の見直し(技官等の特別な職務を除く)
(平成9年度実施)
特定のポストが長期間厚生省の出向者のみで占められているケースがある。  
(3)綱紀の保持等に関する出向前研修の充実
(平成8年度から実施)
   


報道発表資料 ホームページへ戻る 一覧に戻る 前ページ 次ページ