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医薬品安全性確保対策検討会 最終報告書について[概要]
○ 本検討会は、平成6年10月に設置されて以来、2年、26回にわたり審議。
○ 平成7年11月と平成8年2月の計2回、中間取りまとめを行い、今般、それらも
含む形で最終報告書として取りまとめ。
○ 最終報告書では、開発から市販後に至る各段階につき、基本的考え方を提示。さら
に、医薬品安全性確保対策の次の焦点であるGCP改正について、インフォームド・
コンセントの在り方等その基本的方向を示し、併せて承認審査体制及び市販後対策の
一層の充実強化のため提言。
○ 本報告書の基本的考え方に基づき、提言する具体策を実施することにより、医薬品
による健康被害が今後再び起こらぬことが強く望まれる。
I 医薬品の安全性に関する基本的考え方
1 全体を通じた考え方
(1)医薬品は安全性を考慮した有効性の上に成り立つ。近年、安全性の確保はより
一層重要な課題。
(2)臨床研究・臨床試験の必要性
○ 臨床研究・臨床試験は、医薬品使用前の不可欠の過程であり、患者の人権、
安全性確保のため、患者の自己決定権及び内容の適正確保が重要。
○ 治験は、中でも、有益な新薬を生み出すという大きな社会的意義をもつ。
(3)医薬品の安全性等については、開発から市販後の各段階を通じ絶え間ない監視
が必要。
(4)医療関係者及び国民一般に対する情報提供
○ 適切な情報が医療現場に届き、医療関係者がそれらを熟知することが必要。
○ 患者・国民は適切な情報のもとに、医療、医薬品についての関心、自己決定
能力を高めることが必要。
(5)医療関係者への治験、GCP等の内容を含む卒前・卒後の教育研修の充実が必
要。
2 医薬品の安全性にかかわる各関係者の役割
(1)製薬企業
○ 製薬企業は、治験から市販後を通じ一貫して医薬品の安全性確保の第一義的
責任を有し、治験管理、市販後の安全確保の体制を充実強化すべき。
(2)医療機関・医師等
○ 医師は、医薬品使用の判断を行う者で、そのための知識に精通する必要あり
。
○ 医師は、医薬品情報の収集、評価、提供を行い、製薬企業にも協力すべき。
○ 医療機関はこれらの体制整備に努めるべき。
(3)薬局・薬剤師等
○ 薬剤師は適切な情報を患者に提供し、医薬品の適正使用を推進する役割。
○ 薬局、販売業者も、患者・消費者に積極的に医薬品情報提供を行うべき。
(4)行政
○ 行政は治験から市販後にわたり、患者・国民の安全性確保のため薬事法等に
よる規制を的確に実施する役割。
○ 承認審査体制の早急な整備及び市販後対策の体制整備が不可欠。
○ 市販後対策等を適切に行うため、積極的な情報収集、調査研究等が必要。
○ 医薬品の審査過程の情報公開等、医薬品行政のさらなる透明化が必要。
(5)患者・国民
○ 自ら医薬品への知識を高め、医療関係者との意思疎通に努めるべき。
○ 治験への参加は、病気に苦しむ人々の救済という崇高な意義を有する。
○ 自ら受ける医療に関する自己決定のための知識を広げていくべき。
3 各段階についての考え方
(1)治験について
○ 治験は関係者の善意及び信頼関係により成り立ち、各々がその意義を十分理
解するよう、インフォームド・コンセントの徹底等倫理的妥当性が必要。
○ 科学的にも適正な方法・手続きが求められ、GCPの遵守が必要。
○ 被験者の人権保護、安全性確保により、データの信頼性・質の向上、ひいて
は、国際的相互利用の促進が期待される。
○ 真に医療に必要な新薬の創出に心掛けるとともに、治験の意義、治験に関す
る情報等を国民に積極的に提供し、理解を得るように努めるべき。治験の空洞
化を防ぐためにも、こうした努力が必要。
(2)承認審査について
○ 医薬品の有効性等について科学的に公正・厳格に評価判断することが必要。
○ そのための審査体制の絶え間ない整備が不可欠。
○ 中薬審が高度な科学的評価等に専念できるよう、国の審査体制の強化が重要
○ 審査方式の随時見直し及び情報公開による審査の透明化の推進も重要。
(3)市販後対策について
○ 市販後調査は、副作用・有害事象等の情報を収集・評価し、迅速・的確に対
応するとともに、その安全性等を再確認することに最大の意義がある。
○ 製薬企業、医療機関、行政等のそれぞれにおいて、その体制の確立が必要。
○ 製薬企業によるGPMSP遵守及び行政による実地調査の強化が重要。
○ 製薬企業、医療機関、行政等による安全性情報の積極的な提供が望まれる。
II 具体的提言
1 「中間的な意見取りまとめ」において提言した事項
第1回中間取りまとめ(平成7年11月6日「医薬品安全性確保のための公的関与を
充実強化する方策について」)及び第2回中間取りまとめ(平成8年2月15日「医
薬品の安全性を一層強化するための制度改正について」)を参照
2 今後対策を講ずべき事項
(1)治験について
ア GCP改正の方向
薬事法改正、ICH−GCP合意を機にGCP改正を行い、データの信頼性確保
、被験者の人権保護、これらのチェックシステム整備の観点から所要の改正を図る
べき。これがひいては、我が国の治験の国際的水準への合致にもつながる。
1.文書によるインフォームド・コンセントの取得
○ インフォームド・コンセントの取得は文書により行う。
○ 説明、同意文書は分かりやすい表現とし、一連のものとして被験者に交付。
2.治験審査委員会の機能強化
○ 委員会メンバーには非専門家や施設外の者を加え、公平性・中立性を強化。
○ 治験実施計画の妥当性のみならず、治験責任医師等の適格性も審議。
○ 被験者の健康被害に対する補償措置、研究費等の取扱いの妥当性も審議。
○ 今後、第三者的または地域別の審査委員会の設置について検討。
3.治験総括医師制度の廃止とそれに伴う措置
○ 現行の治験総括医師制度を廃止し、各医療機関に治験責任医師を置く。
○ 治験責任医師は、治験実施計画を遵守し、治験を実施する責任を持つ。
○ 多施設共同治験の場合、治験調整医師が実施細目の調整可。
4.治験依頼者の責任の明確化
○ 治験依頼者は、治験実施計画の作成、医療機関の選定等治験管理全般に責任
。
○ そのため、製薬企業は医学等の専門家を擁し、又は外部専門家等による諮問
委員会を設置するなど、企画・判断能力を高める必要あり。
5.モニタリング、オーディティングの実施
○ 製薬企業はこれらの実施に向け、体制を整備すべき。
○ 治験実施医療機関、治験担当者は、その重要性を認識し、これに協力すべき
。
6.CROの活用に向け、業務の適正確保、被験者保護のための制度的方策が必要。
イ 治験費用の透明化
治験をめぐる不祥事多発。治験への信頼を高めるためにも費用透明化が不可欠。
○ 旅費等必要な経費が契約上明らかにされ、医療機関に納められるべき。
○ 研究費の内容は審査委員会の審査に付するべき。
ウ 治験データの信頼性、質的向上
我が国の治験を国際的水準に引き上げるためには、データの質的向上が不可欠。
○ 行政は多施設共同治験に際しての指導を強化すべき。
○ 国際的にも通用する臨床評価ガイドラインの作成・改訂が急務。
エ その他
○ 被験者の保護を徹底し、また、被験者に対する交通費の支給等、それ相応の
メリットについて検討すべき。
○ 医療機関内に治験支援スタッフの配置が必要であり、研修等の実施により資
質の向上を図るべき。
○ 治験に関する対象疾患名、参加医療機関名等の情報について、医療機関との
協力の下にできる限り公表することを検討すべき。
(2)承認審査について
1.審査事務局の体制整備
○ 厚生省における審査官の計画的増員が必要。
○ チーム審査の導入により、審査の質の高度化、迅速化及び透明化を図るべき
。
○ 的確かつ迅速な審査を行うため、適正な額の承認審査手数料の徴収が必要。
2.中央薬事審議会の在り方
○ 中薬審では、審査レポートを活用し、より高次の評価、判断が必要。
○ 審議の透明化を進め、最終決定に国民の意見も反映できるよう考慮べき。
3.承認審査過程の情報公開
○ 調査報告書、部会議事録、審査レポート等を原則として公開の対象とすべき
。
(3)市販後対策について
1.GPMSP改正の方向と遵守の強化
○ 製薬企業の開発・市販後両部門の連携等の強化により、社内体制の整備を図
るべき。
○ GPMSP調査のための行政側の体制整備が必要。
2.安全性情報の収集、提供等の方策の充実
○ 新薬の市販開始直後においては、製薬企業は医療現場に安全性情報を迅速・
十分に提供し、行政は審査・市販後両部門のより緊密な連携を図るべき。
○ 企業の「副作用・感染症報告」、国の「モニター報告」は副作用等の報告の両輪
。
○ 副作用等情報は、正確・迅速に医療現場に還元するため、データベースの構
築等が必要。
○ 再審査、再評価の透明化等のため、再審査概要(SBR)等の作成が必要。
3.市販後調査の円滑な実施と国際協力
○ 市販後調査結果等の情報の的確な還元のため、行政は積極的に取り組むべき
。
○ 医療機関内では、医薬品情報管理業務等、薬剤師の教育を充実する必要あり
。
4.適正な医薬分業の推進
問い合わせ先 厚生省薬務局審査課
担 当 石田(内2775)
電 話 (代)[現在ご利用いただけません]
(直)03-3595-2431
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