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平成8年11月28日
平成8年度特定疾患治療研究事業の対象疾患の
追加及び37疾患の診断基準等の改訂について
いわゆる難病の治療研究を促進するため、現在、ベーチェット病などの37疾患を
対象として、医療費の自己負担分を補助しているところであるが、特定疾患対策懇談
会の意見に基づき、平成9年1月1日から新規疾患として「クロイツフェルト・ヤコブ病」
を追加するとともに、既に指定されている37疾患について「疾患の概要」、「診断基準」、
「臨床調査個人票」、「治療指針」の改訂をすることとした。
(資料1〜3)
(参 考)
平成8年度予算額 平成7年度予算額
1.特定疾患調査研究費 1,487,500千円 1,487,500千円
(48研究班) (44研究班)
2.特定疾患治療研究費 14,687,468千円 13,682,559千円
(38疾患) (37疾患)
(資料1)
クロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)
1 疾患の概要
主として中年期以降に発症し、進行性痴呆、ミオクローヌス(持続時間が極めて短
い、けいれん様の反復する動き)、錐体路・錐体外路症状(腱反射の亢進、筋緊張の
異常等)を呈する予後不良の脳疾患である。
クロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)は遅発性ウイルス感染症の範疇に入られて
いるが、ウイルスは検出されず、共通して異常なプリオン蛋白(PrPsc)が証明
されることから、このPrPscが病原と考えられるようになり、プリオン病とも呼
ばれることもある。
2 疫学
本疾患の有病率は100万人に1人前後といわれる。
3 対象範囲
特定疾患治療研究事業の対象は「診断確実例」、「診断ほぼ確実例」 及び「診断
疑い例」とする。
(推定対象者は約100人)
1)診断確実例
特徴的な病理所見を有する例又は脳に異常プリオン蛋白を検出し得た症例。
2)診断ほぼ確実例
病理所見がない症例で、進行性痴呆を示し脳波でPSD(周期性同期性放電)
を認める。
さらに、ミオクローヌス、錐体路・錐体外路障害、小脳症状、視覚異常、無
動・無言状態のうち2項目以上示す症例。
3)診断疑い例
診断ほぼ確実例と同じ臨床症状を呈するがPSDを欠く症例。
(資料2)
特定疾患治療研究事業37疾患の概要、診断基準、臨床調査個人票の改訂について
1 特定疾患治療研究事業の概要
当課では、昭和47年から特定疾患治療研究事業を実施しており、現在、原因不明
で治療法が確立されていない疾患であって、公費負担医療を行うことにより、受療を
促進し、調査研究に協力いただく必要のある疾患について、37疾患を特定疾患に指
定し、医療費の自己負担分について公費負担による助成を実施しているところである
。これら37疾患については、各疾患ごとに指定されてから10年に1度の見直しを
行ってきた。
2 今回の改訂までの経緯
平成7年12月27日の難病対策専門委員会最終報告を踏まえ、平成8年1月から
各臨床調査研究班へ全対象疾患の「概要」「診断基準」「臨床調査個人票」「治療指
針」の改訂を依頼し、特定疾患対策懇談会(厚生大臣の私的懇談会)の意見も踏まえ
、本日当該診断基準等を都道府県へ通知することとなった。
3 公衆衛生審議会成人病難病対策部会
難病対策専門委員会最終報告(抜粋)
「最新の診断方法に関する研究に基づき適宜診断基準を見直すほか、治療方法に関
する指針を作成し、診断及び治療水準の均質化及び重症度やQOLを勘案した適正な
医療の確保に資する(中略)べきである。」
4 今回の改訂のポイント
(1)最新の疫学データや医療技術を踏まえ、より適切な診断基準、治療法等に改訂
した。
(2)「診断基準」、「臨床調査個人票」については、これまで新規申請用と更新用
との区別をしていなかったが、今回の改訂では、患者の負担軽減、データ入力の
利便性を図り、とくに侵襲の大きい検査項目のうち所見の固定がみられるものに
ついては更新時に省略できることとした。
(資料3)
特 定 疾 患 治 療 研 究 対 象 疾 患 一 覧
疾患名 |
実施年月 |
1 |
ベーチェット病 |
昭和47年 4月 |
2 |
多発性硬化症 |
昭和48年 4月 |
3 |
重症筋無力症 |
昭和47年 4月 |
4 |
全身性エリテマトーデス |
〃 |
5 |
スモン |
〃 |
6 |
再生不良性貧血 |
昭和48年 4月 |
7 |
サルコイドーシス |
昭和49年10月 |
8 |
筋萎縮性側索硬化症 |
〃 |
9 |
強皮症、皮膚筋炎及び多発性筋炎 |
〃 |
10 |
特発性血小板減少性紫斑病 |
〃 |
11 |
結節性動脈周囲炎 |
昭和50年10月 |
12 |
潰瘍性大腸炎 |
〃 |
13 |
大動脈炎症候群 |
〃 |
14 |
ビュルガー病 |
〃 |
15 |
天疱瘡 |
〃 |
16 |
脊髄小脳変性症 |
昭和51年10月 |
17 |
クローン病 |
〃 |
18 |
難治性の肝炎のうち劇症肝炎 |
〃 |
19 |
悪性関節リウマチ |
昭和52年10月 |
20 |
パーキンソン病 |
昭和53年10月 |
21 |
アミロイドーシス |
昭和54年10月 |
22 |
後縦靭帯骨化症 |
昭和55年12月 |
23 |
ハンチントン舞踏病 |
昭和56年10月 |
24 |
ウィリス動脈輪閉塞症 |
昭和57年10月 |
25 |
ウェゲナー肉芽腫症 |
昭和59年 1月 |
26 |
特発性拡張型(うっ血型)心筋症 |
昭和60年 1月 |
27 |
シャイ・ドレーガー症候群 |
昭和61年 1月 |
28 |
表皮水疱症(接合部型及び栄養障害型) |
昭和62年 1月 |
29 |
膿疱性乾癬 |
昭和63年 1月 |
30 |
広範脊柱管狭窄症 |
昭和64年 1月 |
31 |
原発性胆汁性肝硬変 |
平成 2年 1月 |
32 |
重症急性膵炎 |
平成 3年 1月 |
33 |
特発性大腿骨頭壊死症 |
平成 4年 1月 |
34 |
混合性結合組織病 |
平成 5年 1月 |
35 |
原発性免疫不全症候群 |
平成 6年 1月 |
36 |
特発性間質性肺炎 |
平成 7年 1月 |
37 |
網膜色素変性症 |
平成 8年 1月 |
38 |
クロイツフェルト・ヤコブ病 |
平成 9年 1月 |
問い合わせ先 厚生省保健医療局疾病対策課
担 当 塚原、中山(内2353)
電 話 (代)[現在ご利用いただけません]
(直)03-3595-2249
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