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            医療関係者審議会歯科医師臨床研修部会意見書について


1.経  緯
  歯科医師法の一部を改正する法律(平成8年6月21日法律第92号)によって、
歯科医師の臨床研修が制度化され、8月20日から施行されたところであるが、平
成9年春(第90回)の歯科医師国家試験合格によって新たに歯科医師免許証を取
得する新規参入歯科医師から適用されることから、新たに設置された医療関係者審
議会歯科医師臨床研修部会から円滑な研修の実施に向けて、臨床研修施設の指定要
件等に係る意見具申があった。
  なお、審議に当たっては、平成8年9月10日に「歯科医師臨床研修に関する検
討会」(座長;工藤逸郎  日本大学歯学部長)が提出した報告書を参考とした。


2.意見書の概要について
  (1) 意見の構成については、「歯科医師の卒後臨床研修目標」、「臨床研修運用
    方針」および「臨床研修施設等の指定要件について」の各事項から成っている。
  (2) 各事項の要点は以下のとおりである。

    ○「歯科医師の卒後臨床研修目標」について
    ア  国民から望まれる歯科医師像を実現するための臨床研修目標のうち、一般
      目標と具体的目標に分け、具体的目標は3段階に分けた研修実技項目として
      示し、それぞれ必要な知識、技能、態度を合わせて研修を行うとしたこと。
    イ  第一段階では、具体的目標1として、「卒前で修得した事項を基本として
      十分習熟すべき項目」としたこと。
    ウ  同じく第二段階である具体的目標2には、「1の十分習熟した項目に加え、
      さらに習熟すべき項目」としたこと。
    エ  第三段階である具体的目標3、「1、2を踏まえて習得していることが望
      ましい項目」の中から、将来の専門分野に向けて又は生涯研修への橋渡しと
      して実施可能なものは適宜、取り込む配慮が必要であるとしたこと。
    オ  目標についての見直しは今後とも適宜行う必要があるとしたこと。

    ○「臨床研修運用方針」について
    ア  研修歯科医本人が自己の希望により自主的に研修施設を選ぶとしたこと。
    イ  研修施設の特長を活かした研修が行われることが望ましいとしたこと。
    ウ  研修プログラム作成に当たっては、「歯科医師の臨床研修プログラム内容
      の例」を参照し、研修方式を問わず、1年間の統一的なものとなるようする
      ものとしたこと。
    エ  研修歯科医の処遇については、研修の実が上がるように各研修施設で適正
      な対応が望まれるとしたこと。
    オ  研修プログラムの管理・運営に当たる研修委員会の設置が求められるとし
      たこと。

    ○「臨床研修施設等の指定要件について」
        一般病院(歯科)及び歯科診療所について、以下の研修方式及び研修施設
      要件等に従って、適正な臨床研修施設を指定するとしたこと。
    ・研修方式について
    ア  研修方式は、単独と複合の二つの方式としたこと。
    イ  単独研修方式については、臨床研修の目標のうち具体的目標の1、2に示
      される項目を習熟するため、単独の施設において研修を行うものとしたこと。
    ウ  単独研修方式で研修を行う施設は、歯科大学・歯学部及び医科大学・医学
      部の附属病院並びに大学附属病院のほか、厚生大臣が指定する病院のうち、
      それが実施できると認められるものに限るとしたこと。
    エ  複合研修方式については、具体的目標1、2の項目を習熟及び習得するた
      め、主たる施設(単独研修方式でも研修可能な施設)と従たる施設とが連携
      して研修施設グループを構成し、研修を相互に分担するものとしたこと。
        なお、グループ内の主たる施設での研修は原則8か月、従たる施設での研
      修は原則4か月としたこと。

    ・研修施設要件等について
    ア  単独研修方式又は複合研修方式での主たる施設である一般病院(歯科)の
      場合、開設歴が3年以上あり、かつ常に勤務する歯科医師が3人以上である
      とし、また、研修・研究に必要な図書・雑誌が整備されており、研修・研究
      活動が活発に行われているとしたこと。
    イ  複合研修方式での従たる施設である一般病院(歯科)又は歯科診療所の場
      合、開設歴が3年以上あり、かつ常に勤務する歯科医師が2人以上であると
      したこと。
    ウ  歯科主要設備(パノラマエックス線装置、オートクレーブ等)を保有し、
      研修歯科医の診療台が確保されているとしたこと。
    エ  歯科衛生士又は歯科診療に従事する看護婦が適当数(概ね常勤歯科医師と
      同数)確保されているとしたこと。


3.今後の進め方
  この意見具申に基づき、厚生省は、厚生大臣が指定する臨床研修施設や指導歯科
医等の要件について指定基準等を定めた通知(健康政策局長)を行い、それに基づ
いて指定に係る申請等の手続きに入ることになる。申請書が出揃ったところで、臨
床研修施設の指定に関して、再度、歯科医師臨床研修部会へ諮問し、審査答申を経
て臨床研修施設の指定を行うこととなる。


4.部会委員名簿(敬称略)

        部会長  小出  忠孝(財団法人歯科医療研修振興財団理事長)
        委  員  大橋    靖(新潟大学歯学部教授)
                大山  喬史(東京医科歯科大学歯学部附属病院長)
                工藤  逸郎(日本大学歯学部長)
                寶田    博(日本病院歯科口腔外科協議会理事長)
                中原    泉(日本歯科大学新潟歯学部長)
                宮下  和人(社団法人日本歯科医師会副会長)
                吉武  一貞(滋賀医科大学教授)
                雨宮    忠(文部省高等教育局長)

  問い合わせ先 厚生省健康政策局歯科衛生課
     担 当 向井(内2584)、山本(内2582)
          電 話 (代)[現在ご利用いただけません]
                  (直)3595-2205


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