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                   WHO疾病分類協力センター長会議について

1 会議の趣旨

(1)  国際疾病分類(以下、「ICD」という。)に関するWHO協力センター(世界
  10カ所:別紙参照)の代表者等による会議。
     なお、ICDは、各国の疾病統計、死亡統計に使用され、これらの統計を国際間
   で比較することを可能とするものである。

(2)  参加者
   (ア) WHO疾病分類協力センターの代表者
   (イ)  ICD活動に従来から、(ア)と同等以上に積極的に関与してきた有力国(日
        本、オランダ)
   (ウ)  WHO事務局

(3) 同会議は、ICDの改訂、使用上の問題点及び新分類の開発を検討するため、毎
   年1回開催され、従来、我が国からは厚生省大臣官房統計情報部が参加している。

2 1996年WHO疾病分類協力センター長会議の日本開催について

   1996年の会議については、昨年の会議(オーストラリア)において日本で開
 催することが決定されたもの。

   (1) 日程等   平成8年10月15日(火)〜21日(月)
                 がん研究振興財団国際研究交流会館(東京築地:国立がんセンタ
         ー内)

   (2) 参加者   (ア)各国WHO疾病分類協力センター代表者等(オランダを含む)
           8ヶ所19名
         (イ)WHO事務局(本部、西太平洋)3名
               [我が国]
                    厚生省大臣官房統計情報部
           厚生統計協議会第四部会(ICDに関する部会)委員及び専門
                    委員

    (3) 議 題    1990年のWHO総会で第10回修正ICD(以下、「ICD
                −10」という。)が採択され、加盟各国に対してその使用が勧告
                がされた。そのため、本年の会議では、主に各国におけるICD−
                10の使用への取組み状況について議論される。
               [議題例]
           ・各疾病分類協力センターの活動報告について
                 ・ICD−10の使用への取組み状況について
                   等

3 我が国からの発表項目について

      我が国では、平成7年1月からICD−10に基づいて人口動態統計(死亡統
  計)の集計を行っている。その結果、従来のICD−9使用時に比べて
                                                             ↓
                             死亡統計の精度が向上

   人口1億人以上の規模の国において、ICD−10に基づき死亡統計結果が取
  りまとめられたのは、我が国が世界で初めてである。
   WHOも、注目。同会議の開催を
                                 I
                                +−−−−−→  WHO公報(Fact Sheet)で周知

 ※ 主な発表項目

  (1) 1995年人口動態死亡統計の変化について(−ICD-10適用と死亡診断書
  の改正−)

   《主たる変化》

       (ア) 「心不全」による死亡の大幅な減少
       (イ) 3大死因の順位の変化

        平成6年   1)悪性新生物     2)心疾患    3)脳血管疾患
           -----------→ 平成7年   1)悪性新生物    2)脳血管疾患   3)心疾患

        変化の要因として、統計の基となる死亡診断書がICD−10の使用に対応
      して改訂された。
       これに伴い、
        I              ・「心不全」等不明確な記載減少
        +------------------------→・死亡原因疾病に関する詳細な記述
                                         が増加

 (2) その他
   ・人口動態統計集計のオートコーディングシステムの概要
      ・ICD−10日本語版の作成状況等
   ・病院における統計へのICDの利用等
    等


    同会議は、従来から各国で開催される際に、公開はされておらず、今回も従来
  どおり、会議自体は公開しないこととしている。
   ただし、同会議に我が国から提出する発表資料については、希望者に事前に配
  付することとしている。(照会先まで)
    また、会議の結果についても公表することとしている。

別 紙

○ICDとは

    国際疾病分類(International Classification of Diseases)の略称。
  WHOでは国際的に共通した疾病の分類を定め、国際比較のために、各国の死因
 または疾病に関する諸統計に使用することを勧告している。
    この分類は、1900年(明治33年)から各国において利用され、ほぼ10年
 ごとに改訂が行われ、1990年(平成2年)のWHO総会で採択された第10回
 修正ICD(ICD−10)が最新の分類である。

    日本では、世界に先駆けて、大規模な人口集団(1億人以上)に、1995年(
 平成7年)1月の人口動態統計からICD−10を適用したところであり、各国か
 ら大きな注目を集めている。

○ICD−9とICD−10の比較

  ※ICD−10は、最近の医学的進歩に対応

  ICD−10は、ICD−9が採択された1975年(昭和50年)以降新たに
 発見された疾病を加えたり、従来からの疾病でも、新しい知見に応じた分類項目が
 追加され、最近の医学的進歩を取り入れている。以下は、双方の比較の一例である。

   l      ICD−10      l      ICD−9             l
-----+-----------------------------------+-----------------------------------+
    l ヒト免疫不全ウイルス[HIV]病    l                                   l
   l  (B20-B24)            l      (なし)               l
 新 l B20  感染症および寄生虫を起こし l                                   l
 し l     たヒト免疫不全ウイルス[HIV]病l                               l
 い l B20.0 マイコバクテリア感染症を起こしたl                              l
 疾 l     HIV病                      l                                   l
 病 l B20.1 その他の細菌感染症を起こし l                                   l
   l     たHIV病                   l                                   l
     l      :                     l                                   l
   l       :                     l                                   l
   l       :                     l                                   l
   l B24  詳細不明のヒト免疫不全ウイルスl                                l
   l    [HIV]病                   l                                   l
-----+-----------------------------------+-----------------------------------+
     l A04  その他の細菌性腸管感染症  l 008  その他の病原体による腸感染 l
   l A04.0 腸管病原性大腸菌感染症   l 008.0 大腸菌                     l
   l A04.1 腸管毒素原性大腸菌感染症  l 008.1 アリゾナ菌                 l
 従 l A04.2 腸管組織侵襲性大腸菌感染症 l 008.2 アエロゲネス菌             l
 来 l A04.3 腸管出血性大腸菌感染症   l 008.3 プロテウス菌<変形菌>     l
 か l A04.4 その他の大腸菌性腸管感染症 l 008.4 その他の明示された細菌     l
 ら l A04.5 カンピロバクター腸炎    l 008.5  細菌性腸炎、詳細不明     l
 の l A04.6 エルシニア エンテロコリチカによる腸炎l                         l
 疾 l A04.7 クロストリジウム ディフィシレによる全腸l                       l
  病 l        炎                         l                                   l
   l A04.8 その他の明示された細菌性腸 l                                   l
     l        管感染症                   l                                   l
   l A04.9 細菌性腸管感染症、詳細不明 l                                   l
-----+-----------------------------------+-----------------------------------+
 (注) A04.3は、O−157などを含む。


○WHO疾病分類協力センターとは

  国際疾病分類に関し、WHOに協力するものとして、現在下記の10ヶ所が指定
 されており、ICDに関する技術上の助言等を行っている。


    イギリス   :  全国統計局
    オーストラリア:  オーストラリア国立保健福祉研究所
    アメリカ   :  国立保健統計センター
    中国     :  北京医科大学病院
    スウェーデン :  ウプサラ大学病院社会医学部
    クウェート  :  公衆衛生省統計・医療記録部
    ロシア    :  セマスコ科学調査研究所
    フランス   :  国立衛生・医学調査研究所
    ベネズエラ  :  ベネズエラ疾病分類センター
    ブラジル   :  サンパウロ大学公衆衛生学教室


    問い合わせ先 厚生省大臣官房統計情報部管理企画課
         疾病傷害死因分類調査室
     担 当 辻村(内線 226)
     電 話 (代)03−3260−3181


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