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      献血件数及びHIV抗体陽性件数

    年       献血件数          陽性者数
            (検査実施数)     ()内女性

                   件    件
  1987年    8,217,340    11
 (昭和62年)                 (1)

  1988年    7,974,147     9
 (昭和63年)                 (1)

  1989年    7,876,682    13
 (平成元年)                 (1)

  1990年    7,743,475    26
 (平成2年)                (6)

  1991年    8,071,937    29
 (平成3年)                (4)

  1992年    7,710,693    34
 (平成4年)                (7)

  1993年    7,205,514    35
 (平成5年)                 (5)

  1994年    6,610,484     36
 (平成6年)                 (5)

  1995年    6,298,706    46
 (平成7年)                (9)

  1996年    4,032,844    30
 (平成8年        (速報値)    (4)
  1〜8月)

(注)・ 昭和61年は、年中途から実施したことなどから、
     3,146,940件、内陽性件数11件(女性0)となっている。
   ・ 抗体検査陽性の献血血液は、焼却されており、使用
   されていない。


       輸血が原因と疑われ、報告されたエイズ症例について


1.去る5月28日のエイズサーベイランス委員会に、輸血が原因と疑われ報告され
 たエイズ症例については、その後の調査の結果、昭和63年に東京都内の医療機関
 において、濃厚赤血球(AB型7本)の輸血を受けたことが判明。

2.この症例が輸血によってHIVに感染したとすれば、同じ献血者の献血血液から
 分離された新鮮凍結血漿又は濃厚血小板の輸血を受けた患者のHIV感染の可能性
 が考えられる。
  そこで、去る7月23日付けで、2都県(東京都及び埼玉県)に対し、同じ献血
 らの新鮮凍結血漿等が供給された可能性のある医療機関(57病院)がこれらの製
 剤の投与を行ったかどうかについての調査を依頼した。

3.現在、2都県において調査結果のとりまとめを急いでいるところであるが、現段
 階においては同じ献血者からの新鮮凍結血漿等により感染した事例は確認されてい
 ない(別紙参照)。

4.昭和63年から平成元年にかけての輸血を対象とした、診療録等の保存期間経過
 後の調査であるため、投与状況の有無が「確認できない」とする医療機関も存在す
 る。この場合、HIV感染を断定できないが可能性が否定できない新鮮凍結血漿等
 を輸血された方に対して直接検査を勧奨することが事実上できないため、輸血の可
 能性が否定できない医療機関名、診療所、使用期間等の情報を国民に提供し、広く
 検査を勧奨する方向で検討しているところである。


(別 紙)

 9月20日現在
                     +−−輸注有り 3病院4名
                   I   (原疾患死亡により未検査3名)
                   I   (検査陰性1名)
                                      I
          +−調査済50病院−+−−輸注無し25病院
                  I                   I
                  I                   I
                  I                   I
東京都 54病院−+−調査中 3病院 +−−投与状況不明22病院
                  I
                  I
                  I
         +−廃院  1病院

                   +−−輸注有り 0病院
                                      I
                                      I
埼玉県  3病院 − 調査済 3病院−+−−輸注無し 2病院
                                      I
                                      I
                   +−−投与状況不明 1病院


  問い合わせ先 厚生省薬務局企画課血液事業対策室
     担 当 浜田、山崎(内2902)
     電 話 (代)[現在ご利用いただけません]
                  (直)3595-2395

        国民のみなさまへのHIV検査受診のよびかけ
    ───非加熱血液凝固因子製剤の投与を受けたかも知れないと
                      思われる方は、なるべく早く血液検査を受けて下さい───

 いわゆる薬害エイズ問題においては、血友病などの治療のために投与された非加熱血
液凝固因子製剤にHIV(エイズをひきおこすウイルス)が混入していたために、HI
Vに感染したことが問題になっています。この非加熱血液凝固因子製剤は、現在は流通
しておりませんが、昭和53年から昭和63年までの間に流通していたものについては
注意が必要です。この血液凝固因子製剤は、人の血液から作ったもので、白い粉末でで
きており、これを水で溶かして点滴で注射するのが一般的です。
 厚生省では、非加熱血液凝固因子製剤の投与によりHIVに感染された方の発症予防
及び治療、早期救済及び二次感染の防止を図るため、同製剤が血友病以外の病気の治療
のために投与されたケースについて、追跡調査を行ってきました。
 調査の結果、血友病以外の病気の治療のために投与されたケースが多数明らかになり
、厚生省としては、医療機関に主治医を通じてHIV抗体検査を勧めていただくようお
願いしてまいりました。ところが、すでに廃院している場合やカルテがない等の理由か
ら、投与を受けた方が確認できないケースがあることがわかりました。
 厚生省としましては、投与状況が不明の医療機関の名前、問い合わせ先等を広く国民
のみなさまへお知らせし、HIV抗体検査をお勧めするべく、準備をしているところで
す。準備中とは言え、エイズの発症予防や治療、救済の観点からは、非加熱血液凝固因
子製剤の投与を受けた可能性のある方には、なるべく早くHIV抗体検査を受けていた
だくことが重要だと考えております。
 非加熱血液凝固因子製剤を投与された可能性のある方は、下記時期に下記の疾病の治
療を受けた方に限られます。また、同製剤を投与された方について行われた抗体検査の
結果、陽性の方は少数であることが確認されています。
 したがって、下記の条件を満たす方はできるだけ早くご自分のかかっていた医療機関
または、保健所でHIV抗体検査を受けられることをお勧めします。この場合、医療機
関での検査は有料となることがあります。なお、投与状況が明らかでない医療機関名は
、最寄りの保健所等で教えてもらえるように準備を進めております。

                   記
 時     期: 昭和53年〜昭和63年
 入院・外来の別: 上記期間中に次のような病気で入院したことがある人
 非加熱製剤を投:・新生児出血症(新生児メレナ、ビタミンK欠乏症等)等の病気で
 与された可能性  「血が止まりにくい」との指摘を受けた人
 のある疾病   ・肝硬変や劇症肝炎で入院し、出血の著しかった人
         ・食道静脈瘤の破裂、消化器系疾患により大量の吐下血のあった人
         ・大量に出血するような手術を受けた人(出産時の大量出血も含む
          )


    エイズ啓発パンフレットにおける輸血の安全性に関する記載について
                                                           平成8年9月24日
                                                            厚   生   省

1 厚生省がこれまでに発行又は監修したエイズ啓発パンフレットにおいて、輸血の安
 全性について、輸血用血液は全部検査・処理がなされ、輸血によりHIVに感染する
 ことはないと断定的に記載されてきたものが一部あり、本日のエイズサーベイランス
 委員会で検討していただいた結果、わが国におけるHIV感染者が急増していること
 、感染の機会から抗体検査で検出されるまでの期間(ウインドウピリオド)を現在の
 技術ではなくすことができず、輸血による感染の可能性を完全には否定できないこと
  から、こうした表現は不適切であるとの結論に達した。

2 厚生省としては、こうした見解を踏まえ、
  1. 厚生省が把握している発行者及び関係省庁に対して、不適切な表現がなされてい
  るエイズ啓発パンフレット等の発行・配布を中止していただくようお願いする
 2. 今後、厚生省が発行又は監修する刊行物においては、例えば「日本では、現在献
  血された血液は厳重な検査により最高水準の安全性が確保されています。しかしな
  がら、輸血用血液は、現在の技術では、極めて稀とはいえ、感染の可能性を完全に
  は排除できません」のように記載する等表現の適正化を図る
 等の措置を講じたいと考えている。



           「いわゆるAIDS第一号患者」に関する山崎委員長コメント
                                                            平成8年9月24日

 本日、エイズサーベイランス委員会において、「いわゆるAIDS第一号患者」につ
いて検討し、次のような結論に達した。

1 (社会的動き等も含めた「いわゆる一号症例」の評価)
  現在から振り返ってみるに、当時の論文発表、新聞報道等も勘案すると、昭和59
 年に厚生省AIDS調査検討委員会に最初の症例報告がある以前に、既にAIDSと
 疑わしい症例の論文発表等があったが、その後の調査で多くはHIV抗体検査が陰性
 であった。中にはHIV抗体陽性者であることが判明した例もあるが、これらの症例
  に関しては「厚生省HIV感染者発症予防・治療に関する研究班」の調査の中に含ま
  れていることがわかった。
   しかしながら、今回は同委員会に報告されたものについてのみ検討を加えることと
  した。

2 (当時の診断基準について)
  昭和60年当時、厚生省AIDS調査検討委員会においては、昭和59年3月に厚
 生省後天性免疫不全症候群(AIDS)の実態把握に関する研究班が作成した「AI
 DSの臨床診断の手引きAIDSの免疫学的診断の手引き」に基づき、報告のあった
  症例の検討が行われていたが、当該手引きは、AIDSの病態の解明が進められてい
  る中で作成されたものであり、
   1. 免疫学的検査結果及び日和見感染症等臨床症状の有無により判断し、現在の診
   断の基準のようにHIVのウイルス学的検査結果が明記されていないこと
  2. 正確な診断を行うために必要な具体的な合併疾病名、検査に関する数値基準を
    示していないこと
  等、現在の基準と比べて不十分なものであったと言わざるをえない。

3 (厚生省AIDS調査検討委員会への報告事例の検討)
  昭和59年当時、厚生省AIDS調査検討委員会に報告があった症例につき、いわ
 ゆる順天堂大学症例、帝京大学症例を含む最初の7例につき検討したところ
  1. 最初の4症例については、日和見感染症が存在しない例、Tн/Ts比が低下
   していない例、HTLVIII抗体検査結果が不明又は記載されていない例などであ
  ったことなどから、当時AIDSでないと判断されたことは妥当である
   2. 5番目に報告があった順天堂大症例、6、7番目に報告があった帝京大症例に
    ついては、それぞれ日和見感染症が存在する、Tн/Ts比が低下している、HT
    LVIII抗体、LAV抗体検査が陽性である等の理由により、同委員会で「AID
   Sである疑いが極めて濃い」と判断されたことは妥当であるとの結論に達した。

4 (総合的評価)
  したがって、当時のAIDSに関する医学的知見に乏しい状況の中で、AIDS調
  査検討委員会の判断は、当時の判断としては妥当であったと考えられる。
   AIDS患者については、当委員会への報告順で考えれば、いわゆる順天堂大学症
  例が報告の第一例目であり、また、当委員会への報告例の中での発症順で考えれば、
  帝京大症例の方が古いことになる。

                      「第1号患者」認定時期の動き

昭和58年 6月   徳島大症例が日本小児科学会徳島地方会で発表される。(同年7月
         12日に新聞報道された2名については、平成元年3月頃に1名はH
         IV感染者であることが、1名はHIV感染者でないことが判明)
     7月初旬 徳島大症例が四国医学会で発表される。
     7月 5日 報告例6死亡
         7月12日 徳島大学2症例が新聞に掲載される。
         7月18日 厚生省後天性免疫不全症候群(AIDS)の実態把握に関する研究
                  班が報告例6を「ステロイドホルモンを使用しており、また、カポ
           ジ肉腫も認められていないのでAIDSとはいえない」と認定。
     7月30日 LANCETに高知医科大学グループ論文「ATLV IN JAPANESE PATIENT
                  WITH AIDS」が掲載。(後にHIV感染者でないことが判明)
     8月16日 高知医科大学症例が新聞に掲載される。
昭和59年 3月      厚生省後天性免疫不全症候群(AIDS)の実態把握に関する研究
         班が「AIDS臨床診断の手引きAIDSの免疫学的診断の手引き
                  」を発表
         「血友病患児の免疫学的検討」及び「補充療法中の血友病患者にみ
         られるT細胞サブセットの機能異常」が掲載された「厚生省特定疾
         患『免疫不全症候群』に関する調査研究班昭和58年度研究報告書」
         が出される。(後者の論文に掲載された14症例のうち、数例がH
           IV感染者であることが後に判明)
     9月28日 第1回AIDS調査検討委員会
          議題 今後の委員会の進め方について
    11月10日 報告例3.死亡
    11月27日 報告例7.死亡
       11月29日 第2回AIDS調査検討委員会
          議題 検査機関の選定について
    12月28日 新潟県より報告例1.及び2.についての調査票受理
昭和60年 1月 7日 東京都より報告例3.についての調査票受理
     1月17日 東京都より報告例4.についての調査票受理
     2月21日 第3回AIDS調査検討委員会
          報告例1.否定(後にHIV感染者でないことが判明)
          報告例2.否定(後にHIV感染者でないことが判明)
          報告例3.検討継続
          報告例4.否定(後にHIV感染者でないことが判明)
         2月22日 東京都より報告例5.についての調査票受理
     3月22日 第4回AIDS調査検討委員会
          報告例3.否定(HIV感染者であったかどうかは不明)
          報告例5.(いわゆる順天堂大症例)「AIDSである疑いが極め
          て濃い」(後にHIV感染者であることが判明)
     4月 2日 東京都より報告例6.及び7.についての調査票受理
     5月30日 第5回AIDS調査検討委員会
          報告例6.(いわゆる帝京大症例)及び7.「AIDSである疑いが
          極めて濃い」(後にHIV感染者であることが判明)

  問い合わせ先 厚生省保健医療局エイズ結核感染症課
     担 当 今村(内2376)、杉江(内2375)
     電 話 (代)[現在ご利用いただけません]
                  (直)3591-3060


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