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IV 原状回復について
1.原状回復の方法
○ 不法投棄の関係者が複数であって責任の特定が困難な場合でも措置命令がか
けられるよう、関係者の責任の範囲の挙証責任を転換するなどの方策を検討す
べき。
○ 不法投棄については投棄者の確定が困難な場合があり、迅速に原状回復を行
う仕組みが必要。現在も行政代執行の仕組みはあるが、代執行を行うまでには
時間がかかり環境汚染が進んでしまう。
2.原状回復の仕組み
○ 不法投棄の完全な防止は不可能であり、不法投棄が起きてしまった場合の原
状回復を進めるため、
・ 地方公共団体が直接原状回復事業ができる制度と、当該地方公共団体への
財政支援制度の構築
・ 地方公共団体による原状回復が困難な場合の国の援助
・ 有害物質無害化技術の研究開発の推進やモニタリング手法の確立等が必要
。
○ 原状回復を行わせるための排出事業者も含めた基金制度について検討すべき
。
○ 原状回復の仕組みを検討するに当たっては、排出事業者責任の原則に立ち返
って考えることが必要であり、また、産業活動に伴うものであるから、原状回
復の費用についても産業活動に組み込まれるべきであり税金を投入すべきでは
ない。
○ 廃棄物は産業活動の結果であり、環境汚染につながる可能性を内包している
ので、環境汚染が起きた場合の負担について、保険料といった考え方により排
出事業者から徴収できないか。
○ 基金の費用は排出事業者や中間処理業者が排出量に応じて負担することが適
当。
○ 基金の費用徴収を排出事業者から行うことは「正直者が馬鹿をみる」ことに
なり反対。処理業者から費用徴収することが現実的であり、このコストは当然
処理費用に転嫁され、処理業者が全てを負担することにならない。
○ 基金の費用は、自社処分場も含め最終処分場から最終処分量に応じ徴収する
ことが現実的。いずれにせよ前提として不法投棄自体をなくしていくこと、ミ
ニ処分場の廃止等が必要。
○ 万一問題が起きた時の費用として、すべての産業廃棄物処理業者に一定額の
積立てを義務づけ、この基金が環境監査も行うこととすべき。
○ 不法投棄により利得を得ることを目的として確信犯的に倒産するような事例
をなくすために、廃棄物処理業の許可の要件として第三者の保証を義務づける
ような仕組みを検討すべき。
○ 不法投棄の原状回復による環境の浄化は国民全体の利益であり、生産工程か
ら徴収するにしても税金で賄うにしても環境投資として理解されるべきもので
ある。
○ 原状回復を行うためには、現実的には基金が必要と考えるが、通常の処理に
比べ原状回復にはばく大な費用がかかるので、どの範囲を対象とするかという
問題がある。
V その他
1.排出事業者と産業廃棄物処理業のあり方について
○ 委託に当たっては、排出事業者は然るべきコストをきちんと払って、適正に
処理できる業者を選ぶべき。
○ 排出事業者は廃棄物の内容とその適正な処理方法を明らかにした上で処分業
者を見極めて委託するとともに、処理業者は受けた廃棄物の内容をチェックす
ることが必要。
○ 産業廃棄物の処理の困難性や危険性を最も良く知っているのは排出事業者で
あり、次いで同業者である。行政が専門知識を持つことは無理であり、業界団
体を育成してそこに産業廃棄物の処理について責任を持たせることが必要。
○ 廃棄物処理業の許可に当たっては、企業の資力や信用を審査した後に、しっ
かりした者のみを許可すべき。
○ 優良な事業者であれば、健全に経営できる環境を整備すべき。
○ 収運業者は最終的に一定規模以上の処分業者に系列化されていく必要がある
。
2.産業廃棄物行政のあり方について
○ 行政手続法制定後も都道府県の要綱行政が放置され、最終処分場ができない
状況になってしまっているのは国が責任を果たしていないからである。国の責
任と出番をはっきりさせるべき。
○ 地方分権や規制緩和に反するとしても、産業廃棄物の処理は国の責任で恒久
的な関与をすべき。
○ 国が産業廃棄物についての受け皿を全部整備するということは肯定しがたい
。排出事業者責任に立ち返って仕組みを考える必要があるのではないか。
○ 地方分権の議論においても、廃棄物処理を円滑に進めるという観点が重要で
あり、全てを地方でやるということではなく、国と地方の役割分担を明確にす
べき。この場合、
1. 国は、各種基準、手続等法制度の整備、罰則の強化、技術開発や助成、P
R、情報提供を行うべきであり、全国の処理計画の基本方針を示すことも必
要である。また、都道府県の区域内で処理しきれない廃棄物について広域的
に処理するための支援策の策定も国の責任である。
2. 都道府県の事務については、団体の事務と位置づけた上で、都道府県は、
国の基本方針に基づいた計画を策定し、住民や事業者に明らかにすべきであ
る。
○ 許可申請については一定の環境影響評価の実施を義務づけ、第三者機関でそ
の技術的な評価や国及び都道府県の計画等との整合性を判断することで、住民
の納得を得る仕組みとすべき。
○ 廃棄物処理行政については、実態上は既に地方分権的になっており、この上
さらに団体の事務となると広域処理は一層困難となり、事業者の活動が制限さ
れることが懸念される。国が統一的な運用により、廃棄物処理行政をやって頂
く必要がある。
○ 廃棄物の移動が妨げられることがないよう、広域処理について国の基本方針
等の中で明確化すべき。
○ 県外廃棄物の受入れが制限されると、優良な処理業者でも経営は成り立たな
い。
○ 産業廃棄物については都道府県ですら現在、知識や技術がなく、まして都道
府県の役割を市町村に求めるのは無理。もっと都道府県のレベルアップを図る
べき。
(資料3) 第9回産業廃棄物専門委員会の論議のあらまし
(フリートーキング)
1.産業廃棄物の減量、リサイクルの推進について
・ リサイクルを促進して、最終処分量を減らすことが必要。このため、リサイク
ル製品については優遇策を講じ、リサイクルが事業として成り立つように基盤整
備を行っていく必要がある。
・ リサイクルが進まない大きな要因は、適正な処理コストが支払われず、安価で
安易に処理の委託が行われていることにある。
・ 事業者に減量計画の作成を義務づけるだけでなく、それをチェックする仕組み
が必要。
・ 微量な重金属でも回収すれば資源になるので、分別・回収のための技術開発を
積極的に推進していくことが重要。
2.最終処分場等処理施設について
(1) 排出事業者と処分場の確保について
・ 排出事業者の責任を強化・明確化することが必要であり、例えば、排出事業者
に処分場の確保を義務づけるということはできないか。
・ 処分場をつくるのは非常に難しくなっており、また、社会的な効率性の観点か
らも、排出事業者に処分場を確保させるのではなく、行政や処理業者が確保して
いくべき。
・ 排出事業者は処分場の確保義務までいかなくとも契約の際処理体制が確保され
ていることをきちんと確認すべき。
(2) 安定型処分場のあり方等について
・ 安定型処分場は、有害物質の付着を全くなくすというのはできず無害性が保証
されていない以上、基本的に廃止すべき。また、管理型処分場も無害化を進める
べき。
・ 安定型処分場で問題が起きているのは安定型品目以外の廃棄物が混入している
ことが原因。搬入の際のチェック体制の整備等をまず行うべきであり、安定型処
分場を廃止すべきというのはおかしい。
・ 現に安定型処分場は全国にたくさんあるのだから、全てを直ちに廃止はできな
い。選別をきちんと行い、安定型処分場を利用していくということが現実的。
・ 仮に安定型処分場を残すとしても、安定型品目の見直しは必要。
・ 最終処分場の設置者については、長期的な維持管理が担保できることを許可の
段階で確認すべき。
3.不法投棄について
(1) 不法投棄に係る排出事業者の責任について
・ 排出事業者は適法に委託したから後は知らないという考え方は適当でない。適
法に委託しても適正に処理されない場合もあり、排出事業者にも責任があるとい
うことにすれば、自社処分や適正な委託に対するインセンティブにもなる。
・ 適正な委託を確保するためには、必要なコストの負担が必要。安ければよいと
いう排出事業者には然るべきリスクを負わせるべき。
・ 委託の時点で排出事業者の責任が途切れてしまうのではなく、最終処分場まで
責任がつながっているのが大切であり、こうした仕組みを考える必要がある。
・ 処理業者は許可を受けており、また、不法投棄といっても様々なケースがあり
、一律に排出事業者の責任を強化すべきという考え方はおかしい。
・ 適法に委託した場合であっても排出事業者に責任を問うということは難しいの
で、排出事業者に対し、廃棄物の内容とその適正な処理方法を明らかにすること
を義務づけ、その廃棄物を適正に処理できる事業者かどうか確認した場合には免
責される、という仕組みが考えられないか。
・ 廃棄物処理について公共事業の発注者の責任を盛り込むべき。
4.原状回復について
・ 何らかの形で基金を作ることは必要。あとは誰が負担するかという問題を整理
すればよい。
・ 地域の環境汚染を放置することができないケースでは、汚染者負担を求めるこ
とができなくとも、自治体が原状回復を行わざるを得ず、そのような不合理を解
消するために基金は必要。
・ アメリカのスーパーファンドも産業界から徴収している。現状回復の費用は税
金ではなく産業活動を行う産業界から徴収すべき。
・ 不法投棄には様々なケースがあり、排出事業者だけの責任というのではなく、
排出事業者、処理業者、行政がそれぞれの責任に応じて負担するという形にする
必要がある。
・ 基金の費用負担については、徴収方法の現実性を別にすればそもそも生産活動
が不法投棄発生の危険を生み出しているのだから、生産者がまず基金に積立てを
行い、適正に処理したことを証明すれば返してもらうというような考え方をもと
に産業界の負担の論理構成ができないか。
・ 排出事業者全体で原状回復の費用を負担しても、不法投棄を行う人のディスイ
ンセンティブにはならないことが問題であり、総合的な対策を講じ、徹底的に不
法投棄が起こらないようにする必要がある。
・ 現在の行政代執行の仕組みは複雑で時間がかかる等自治体の立場からすると利
用しずらく、改善して欲しい。
5.その他
(1) 産業廃棄物行政のあり方について
・ 処理施設の設置が進まない要因は、そもそも現在の基準が十分でなく住民に不
安が生じていることにあり、要綱行政や住民同意の仕組みがあるからではない。
最低限必要な基準や住民の意見聴取の仕組みを法定化し、そのうえで地方に任せ
るべき。
・ 基本的な基準は統一するとしても、一部は地域の実情に応じて弾力的に運用で
きる仕組みにしておく必要がある。
・ まず、自社処理や自区域内でできる限りの処理をするのを基本と考えるべき。
地域エゴで搬入規制を行うわけではないが、廃棄物を搬出する側が処理について
工夫や努力をした上で搬出するのではなければ、感情的には受け入れがたい面が
ある。
・ 国の役割を明確にしていくということであれば、現在の機関委任事務の形でで
きるはずであり、本委員会の立場からしてもあえて団体の事務と位置づける必要
はない。
・ 廃棄物の処理は基本的には商行為であり、廃棄物の広域移動は確保されるべき
。
・ 全国的に展開している産業にとっては、都道府県ごとに廃棄物の処理方法が異
なったり、搬入規制が行われるのは困る。産業廃棄物問題は国が十分な責任を果
たさないと解決できない。
・ 今後の処分場は、エネルギー回収や跡地利用の観点からもできる限り大規模化
すべき。そのためにも、廃棄物の広域移動の確保が必要。
(2) その他
・ 工業団地の建設に当たっては、開発段階から、廃棄物処理も考慮して計画を立
てるべき。
・ 全体のまとめ方としては、基本的な考え方を書いたうえで、各論に入るという
構成とすべき。基本的な考え方に、廃棄物行政、特に循環型の社会経済への転換
が国の重要な基本政策のひとつであるということを明確化すべき。
(資料4) 産業廃棄物専門委員会委員名簿
池田 明禧 三井東圧化学専務取締役
植田 和弘 京都大学経済学部教授
江渡順一郎 東京都清掃局環境指導部長
太田 元 社団法人経済団体連合会産業本部長
岡崎 修吾 福島県生活環境部長
奥村 明雄 厚生年金基金連合会専務理事
加古 房夫 三木市長
鈴木 勇吉 社団法人全国産業廃棄物連合会会長
高木 光 学習院大学法学部教授
(副座長) 高月 紘 京都大学環境保全センター教授
丹野富士雄 全日本自治団体労働組合現業評議会事務局長
野尻 陽一 鹿島建設副社長
(座 長) 花嶋 正孝 福岡大学工学部教授
松本 和雄 地域振興整備公団理事
山口 英規 鞄月ナ環境保全センター部長
問い合わせ先 厚生省生活衛生局水道環境部計画課
担 当 粕谷(内4004)、岩屋(内4007)
電 話 (代)[現在ご利用いただけません]
(直)3501-9671
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