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                              平成8年8月1日

                    医薬品副作用情報No.138(概要)


1 G‐CSF併用癌化学療法後の間質性肺炎
該当商品名:
フィルグラスチム グラン注射液  麒麟麦酒 年間推定出荷額 227億円
                                                                 (薬価ベース)
レノグラスチム  ノイトロジン注 中外製薬 年間推定出荷額 190億円
                                                                 (薬価ベース)
ナルトグラスチム ノイアップ注  協和発酵 年間推定出荷額  72億円
                                                                 (薬価ベース)
 本剤は,癌化学療法による好中球減少症等に用いられているが,本剤を投与した患者
での間質性肺炎の発症又は増悪した症例が報告されており,薬理作用から考えて本剤が
間質性肺炎の発症又は増悪に関与した可能性が考えらるので,使用上の注意に追加記載
し,注意を喚起することとした。
 本剤投与において,必要以上に好中球が増加しないよう定期的な血液検査を行い,投
与量の減量や中止を速やかに行う必要がある。更に,間質性肺炎についての慎重な観察
と,異常が確認されたときに投薬中止などの適切な処置を行うことが重要である。

2 シサプリドと喘息発作
該当商品名:
シサプリド    アセナリン錠・細粒 ヤンセン協和  年間推定出荷額 172億円
                                                                 (薬価ベース)
         リサモール錠・細粒 吉富製薬      年間推定出荷額 147億円
                                                                 (薬価ベース)
 シサプリドは平成元年に承認された消化管の運動を賦活調整する薬剤である。これま
でにシサプリドを内服中の患者で喘息発作,喘息症状の悪化等が報告されている。
 シサプリドの喘息発作の発現に関しては,過敏症の可能性と,薬理作用による気管支
平滑筋に対する影響の可能性が考えられるが明らかではない。しかし,過敏症と喘息発
作を発現する可能性の高い患者への使用に対して注意を喚起する必要があると考えられ
るため,「禁忌」の項に本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者,「慎重投与」の
項に喘息又はその既往歴のある患者を追加するとともに,「副作用(その他の副作用)
」の過敏症の項に喘息発作を追記し,注意を喚起することとした。

●[解説]医薬品の適正使用のために
  ニフェジピン(徐放剤を除く)の適正使用について
   Ca拮抗剤は高血圧症・狭心症の治療薬として使用されている薬剤である。このうち
  ニフェジピン(徐放剤を除く)は昭和50年(1975年)12月に狭心症治療薬として承認
  されたジヒドロピリジン系のCa拮抗剤であり,その後,本態性高血圧症及び腎性高血
  圧症の効能が追加取得されている。ニフェジピン(徐放剤を除く)は通常1日3回投
  与(用量として1日30mg)を要する短時間作用型の製剤であり,一般的に狭心症並び
  に高血圧症の薬物療法では,服用が数ヵ月から数年以上に及ぶことや患者が壮年期以
  上の比較的高齢者が多いことから,現在Ca拮抗剤においては,徐放剤が多く使用され
  ている。
   今般、外国文献で高用量(1日80mg)で全死亡のリスク比増加の報告があり、諸外
  国の対応とあわせ中央薬事審議会副作用調査会等で審議した結果次のように対応を行
  うこととした。
   ニフェジピン(徐放剤を除く)による降圧は、冠潅流圧を低下させ冠血流量が減少
  する可能性が考えられること,また,降圧によって反射性に心拍数の増加が起こり,
  心拍出量の増加ひいては心筋酸素消費の増大が起こる可能性があることなどから,心
  筋虚血の改善効果が期待できない可能性がある。とりわけ,急性心筋梗塞や不安定狭
  心症患者の病態は,急激な血行動態の変化によって大きく影響を受けやすいことから
  ,「使用上の注意」の改訂を行い注意を喚起することとする。
●【医療用具安全性情報】
  近視を対象としたエキシマレーザーに関する米国の最新情報について
    米国において、1995年秋以降、米国食品医薬品庁(FDA)により2種類の眼
  科用エキシマレーザーが承認されたため、眼科用エキシマレーザーの流通・使用が活
  発化している。このような眼科用エキシマレーザーの流通・使用の活発化に伴い、米
  国においては患者等に誤解を生じさせるような広告、宣伝活動が横行するようになり
  、本件に関する照会や苦情がFDAに寄せられるようになった。このため、FDAプ
  レスオフィスでは、このような照会等に対する回答として、FDAトークペーパーを
  発行した。
    我が国においては、眼科用エキシマレーザーは未だ医療用具として製造又は輸入の
  承認は行われていないが、最近、眼科用エキシマレーザーによる近視矯正術が時々話
  題となることに鑑み、FDAトークペーパーの内容を照会する。

    問い合わせ先 厚生省薬務局安全課
         医薬品適正使用推進室
     担 当 山本(2756)
                  医療機器開発課
         木下(内2774)
          電 話 (代)[現在ご利用いただけません]


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