報道発表資料 ホームページへ戻る 一覧へ戻る
             食中毒事故発生防止について

 本年の食中毒の発生状況をみると、例年になく細菌性食中毒による死者数が多く、ま
た、例年の傾向からみると、これから夏期に向けて食中毒による事故が多発することが
予想されることから、本日、各都道府県政令市特別区へ食品関係営業施設等の監視指導
を徹底し、食中毒事故発生の防止に万全を期すよう通知した。

                             衛食第146号
                             平成8年6月6日

  都道府県
各 政 令 市 衛生主管部(局)長 殿
  特 別 区

                        厚生省生活衛生局食品保健課長

          食中毒事故発生防止の徹底について

  食中毒事故の発生防止については、平素から御尽力をいただいているところであるが
、本年の食中毒の発生状況をみると、既にサルモネラ菌を病因物質とする食中毒事故に
おいて死者2名、また本年5月28日には岡山県において発生した病原性大腸菌015
7を病因物質とする食中毒事故において死者2名が発生し、現時点で計4名の死者を数
えているところであり、例年になく細菌性食中毒による死者数が多い。また、例年の傾
向からみると、これから夏期に向けて食中毒による事故が増加することが予想される。
 ついては、食品関係営業施設等の監視指導を徹底し、食中毒事故発生の防止に万全を
期するようお願いする。

(参考)        病原性大腸菌O157について
 本菌によって起こる典型的な症状が出血性大腸炎であることから、一般に腸管出血性
大腸菌(EHEC)と呼ばれている。しかし、本菌によって起こる症状は大腸炎に限ら
ず、溶血性尿毒症症候群においては様々である。
 1982年アメリカにおいてハンバーガーを原因とする集団下痢症で、初めて患者ふ
ん便から分離された。
 日本では、1990年埼玉県浦和市の幼稚園で死者2名を含む251名に及ぶ集団発
生以降、注意を要する食中毒菌として注目されている。
 潜伏期は4〜8日と、他の食中毒菌と比べて長いため、原因究明に苦慮することが多
い。
[症状]
 1 出血性下痢症
   初発症状の多くは、腹痛を伴う粘液成分の少ない水溶性の下痢である。その後の
  下痢の回数は次第に増加し、1〜2病日で鮮血の混入を認め、典型例では、便成分
  をほとんど認めない血性下痢となる。
   本菌による症状は、発症後4〜8日で自然に治癒するが、5歳以下の乳幼児や基
  礎疾患を有する老人では、本菌に対する感受性が高く、重症に至る例もある。この
  ような患者では、溶血性尿毒症症候群となるケースがあり、死に至ることもある。
 2 溶血性尿毒症症候群(HUS)
   赤血球が破壊されることによる溶血性貧血、破壊された血球による腎臓の機能低
  下、腎機能低下による尿毒症症状、血小板破壊による出血が主徴である。しばしば
  中枢神経症状(けいれん)を伴い、死に至ることもある。
[感染防止策]
 ・汚染された食肉から他の食品への二次汚染防止
  ・食品の十分な加熱(食品の中心温度を75℃以上1分以上)
  ・飲料水の衛生管理(井戸水、受水槽)
  ・手指の洗浄、消毒
  ・患者ふん便の衛生的な処理

  問い合わせ先 厚生省生活衛生局食品保健課
     担 当 石原(内2445)、江島(内2450)
          電 話 (代)[現在ご利用いただけません]
                  (直)3501-4867


報道発表資料 ホームページへ戻る 一覧へ戻る