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                                 平成8年6月12日


     病原性大腸菌O157による食中毒防止の徹底について

 本日、岡山県に引き続き広島県においても病原性大腸菌O157による食中毒事故の発生
が報告されたことから、本日、各都道府県政令指定都市特別区へ関連施設の監視指導を
徹底する等病原性大腸菌O157による食中毒事故防止に万全を期するよう通知した。


                                           衛食第151号
                                           平成8年6月12日


  ┌都道府県    ┐
各┤政令市      ├衛生主管部(局)長  殿
  └特別区      ┘


                                          厚生省生活衛生局食品保健課長


              病原性大腸菌O157による食中毒防止の徹底について

  食中毒事故発生防止については、平成8年6月6日付け当職通知(衛食第146号)
「食中毒発生防止の徹底について」において対策に万全を期するようお願いしたところ
であるが、その後、岡山県に引き続き、広島県においても病原性大腸菌O157による
食中毒事故が発生する事態となったところである。
  当該事故については、現在、二次感染の防止及び発生事故の原因究明等が行われてい
るところであるが、貴職におかれても、事態の重要性にかんがみ、下記の事項に留意の
上、病原性大腸菌O157による食中毒防止の徹底につき万全を期するようよろしくお
願いする。

                                      記

1  病原性大腸菌O157の症状、感染防止策、治療法は別添のとおりであること。

2  病原性大腸菌O157による食中毒事故については、過去においては、学校給食等
  集団給食施設が関係する例が見られることから、貴管下関係施設における衛生管理に
  ついての監視指導に努められたいこと。

3  病原性大腸菌O157による食中毒患者については、死亡事例が見られることより
  、万一病原性大腸菌O157による食中毒事故が発生した場合には、患者への対応に
  ついて万全を期すとともに、十分な二次感染防止策を講じられたいこと。

4  食中毒事故の発生の報告、連絡は、昭和39年7月13日付け環境衛生局長通知
  (環発第214号)に基づき行われているところであるが、万一、病原性大腸菌O1
  57が疑われる食中毒事故が発生した場合には、当職あて電話等により連絡するとと
  もに、貴管下関係部局等との連絡についても十分密にされたいこと。

(別添)                  病原性大腸菌O157について

 本菌によって起こる典型的な症状が出血性大腸炎であることから、一般に腸管出血性
大腸菌(EHEC)と呼ばれている。しかし、本菌によって起こる症状は大腸炎に限ら
ず、溶血性尿毒症症候群においては様々である。
  1982年アメリカにおいてハンバーガーを原因とする集団下痢症で、初めて患者ふ
ん便から分離された。
  日本では、1990年埼玉県浦和市の幼稚園で死者2名を含む251名に及ぶ集団発
生以降、注意を要する食中毒菌として注目されている。
  潜伏期は4〜8日と、他の食中毒菌と比べて長いため、原因究明に苦慮することが多
い。
 [症状]
   1 出血性大腸炎
     初発症状の多くは、腹痛を伴う粘液成分の少ない水溶性の下痢である。その後の
    下痢の回数は次第に増加し、1〜2病日で鮮血の混入を認め、典型例では、便成分
    をほとんど認めない血性下痢となる。
   本菌による症状は、発症後4〜8日で自然に治癒するが、5歳以下の乳幼児や基
    礎疾患を有する老人では、本菌に対する感受性が高く、重症に至る例もある。この
    ような患者では、溶血性尿毒症症候群となるケースがあり、死に至ることもある。
  2 溶血性尿毒症症候群(HUS)
   赤血球が破壊されることによる溶血性貧血、腎機能低下による尿毒症症状、血小
    板破壊による出血が主徴である。しばしば中枢神経症状(けいれん)を伴い、死に
    至ることもある。
  [感染防止策]
 ・汚染された食肉から他の食品への二次汚染、並びに人から人への経口二次汚染防止
  ・食品の十分な加熱
  ・飲料水の衛生管理(井戸水、受水槽)
  ・手指の洗浄、消毒
  ・患者ふん便の衛生的な処理
 [治療法]
  症状発現後、早めに抗生物質を投与し、菌の増殖を抑えるべきである。抗生物質の
  選択は、感受性検査を行い決定するが、通常テトラサイクリンやニューキノリン系抗
  生物質が使用される。
  病原性大腸菌では、下痢による脱水症状を改善するために輸液等の対症療法が行わ
  れるが、腸管出血性大腸菌の場合は、透析及び輸血等の対症療法が必要である。

    問い合わせ先 厚生省生活衛生局食品保健課
     担 当 石原(内2445)、新木(内2444)
          電 話 (代)[現在ご利用いただけません]
                  (直)3501-4867


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