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                厚生年金基金制度研究会報告書要旨


1 基金制度見直しの必要性

 〇基金制度は、昭和41年の制度発足以降、右肩上がりの経済成長の中で順調に発展。
 特に、予定利率を上回る運用収益により、安定的な運営を確保。

 〇バブル経済崩壊後の急激な経済金融情勢の変化や産業構造の変化の影響を受け、基
 金財政が悪化。これは、画一的な規制や不十分な財政チェックなど現行の基金制度が
  抱える制度的な問題や基金の運営上の問題にも起因。


2 基金制度見直しに当たっての基本的な考え方

 〇公的年金の補完制度である基金制度が老後の所得保障という目的を達成できるよう
 にするため、基金財政の安定化を図るとともに、基金制度全体として受給権保全のた
  めのしくみを充実。

 〇従来の画一的な制度から、社会経済環境の変化や基金の実情に応じて多様な選択肢
 の中から基金が自主的に選択できる柔軟な制度へ。

 〇加入員や母体企業の理解と協力を得て健全な基金運営を行うため、基金の財政や資
 産運用について徹底した情報開示を推進。


3 基金制度見直しの具体策

 (1)基金の財政運営のあり方

 〇社会経済環境の変化や個々の基金の実情にあわせ、年金数理人などの専門家の助言
 を踏まえつつ、基金が多様な選択肢の中から、主体的に選択できる弾力的なしくみと
  する。

   ・基礎率設定の弾力化
     掛金算定に用いる基礎率は、予定利率を含め、一定の幅の中で基金が主体的
    に設定できるようにする。

    ・目標積立水準の設定
     様々なリスクの増大に対応した財政運営を行えるよう、合理的な目標積立水
        準を設定し、基金の判断で、そのために必要な積立を計画的に行うことができ
        るようにする。

   ・過去勤務債務償却の弾力化
     財政の早期健全化の観点から、より短期間での償却や一括償却ができるよう
        にする。

(2)代行制度のあり方

  〇代行部分の財政運営は、厚生年金本体との一層の財政的中立性を確保する方向で
    見直す。

    ・免除保険料率の上下限の撤廃

   ・免除保険料率の算定方法の見直し
      ・死亡率改定に伴う過去期間の給付債務の増減への対応
     ・代行部分の予定利率と厚生年金本体の運用利回りとの乖離への対応

(3)基金財政に関する関係者の責務、チェック体制のあり方

  〇基金の財政運営の弾力化に伴い、基金財政に関する関係者の責務を明確化すると
    ともに、より実効性のある財政チェック体制を整備する。

    ・年金数理人の役割と責任の明確化
     年金数理人の専門性と独立性を強化するため、倫理基準や実務基準の策定な
        どを行うとともに、基金ごとに指定した年金数理人により継続的な財政診断を
        行っていく。

   ・非継続基準の導入
     基金の年金資産が、過去の加入期間に係る給付に見合った最低限必要な積立
        水準を満たしているかを検証し、この水準を下回った場合には、一定期間内に
        回復を義務づける。

   ・基金運営についての情報開示の推進

(4)資産運用のあり方

  〇資産運用の効率化のための一層の規制緩和を進めるとともに、資産運用関係者の
    責任の明確化、基金の運用管理体制の整備を図りつつ、英米におけるプル−デント
    マンル−ルのような柔軟な資産運用ル−ルを確立する。

   ・資産運用関係者の責任の明確化
     資産運用に当たっての注意義務などに関するガイドラインを策定する。

    ・基金の資産運用管理体制の充実

   ・5・3・3・2規制の早急な撤廃

(5)支払保証制度のあり方

  〇財政悪化基金の解散という現状を踏まえ、基金の財政検証システムを強化する。
  また、現行制度の枠組みの中での改善努力を尊重するとともに、保証範囲や保険料
    の算定方法について見直しを行った上で、保険的要素を備えた強制加入の制度とす
    ることについて検討する。

   ・積立水準検証事業の充実

   ・保証範囲、保険料のあり方
     基金間の公平性確保の観点から、一定の限度内で全ての基金が保証の対象と
        なるようにする。また、保険料については、保証リスクに応じた算定方法を導
        入する。

(6)給付設計のあり方

  〇給付建ての終身年金を基本としつつ、社会経済環境の変化や老後生活の多様なニ
    −ズに対応できるよう、労使合意に基づき、給付設計の一層の弾力化を図る。

   ・給付設計の変更の弾力化
     労使間の十分な事前協議と合意、加入員の意向や既得権及び期待権への配慮
        など受給権保全のための条件を満たすことを前提に、基金の選択肢の一つとし
        て給付水準の引下げができることとする。

   ・拠出建ての給付設計
     給付建ての給付設計を基本としつつ、給付設計弾力化の一環として、拠出建
        ての考え方を部分的に取り入れていく。
     これに対し、拠出建ての給付設計を全面的に取り入れるべきであるという意
        見がある一方、導入の具体的方向性を出すことは時期尚早であるとの意見があ
        った。
  問い合わせ先 厚生省年金局企業年金国民年金基金課
     担 当 渡辺(内3328)
        電 話 (代)[現在ご利用いただけません]
                  (直)3502-6878


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