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                       平成8年5月15日


  平成6〜7年度厚生科学研究費補助金「薬物療法等有用性向上推進研究事業」研究課題
      「医療用医薬品添付文書の見直し等に関する研究班」報告について


研究班名:医薬品添付文書の見直し等に関する研究(班長:清水直容
                                                     帝京大学教授)
     患者用説明文書の検討に関する分担研究(分担研究者:高橋隆一
                                                     東京第二病院長)
     相互作用欄の見直しに関する分担研究(分担研究者:伊賀立二
                                                     東大病院薬学部長)

背  景: 近年、薬理作用の強い医薬品の実用化や高齢化社会の進展に伴う多科受
          診の一般化を反映し、医薬品の使用に当たっては、副作用や使用禁忌、医
          薬品の併用などについて一層の注意が必要となっている。これら医薬品情
          報の伝達媒体として医薬品添付文書は極めて重要な位置を占めるが、読み
          にくいことや内容が理解しずらいなどの指摘があった。
      これを踏まえ、医療用医薬品の添付文書について、使用者である医師や
          薬剤師、供給者である医薬品製造業者等により、その改善方策として、「
          添付文書の本体」及び「患者向け説明文書」並びに「相互作用欄」の三つ
          のグループに分かれて研究がなされていたが、今般その研究成果がまとま
          ったものである。

研究期間: 平成7年2月から平成8年3月まで7回開催(全体会議)

研究成果: 研究報告概要は以下のとおり。

      (1) 医薬品添付文書の見直し等に関する研究

       1 使用者が使用しやすい、理解しやすい添付文書に改善する必要あ
        り。
         (a) 医師の処方の発想の流れに沿った内容展開が重要。
        (b) 警告のある医薬品は添付文書の紙を色付きのものとするなどの
         工夫を行い、使用者の注意を喚起する。
        (C) 警告や重篤な副作用がある場合、外箱にその旨を記載する。
        (d) 慎重投与は内容と理由を具体的に記載する。
        (e) 大きさを折り上がりA4に統一する。
       2 添付文書の電子化への対応:スクロールなどへの適性への配慮を
        行う。
          3 医薬分業の進展等に伴ない、添付文書が医薬品情報シート的に独
        立して用いられることへの配慮を行う。
       4 情報のレベル分け(知らなければ患者の危険に直結する情報や使
        用にあたっての基本的情報、保管や応用の際に必要な情報等に分け
        る)を検討する。
       5 使用上の注意の記載ルールを改め、重い副作用から並べる。
         また、適切と考えられる場合には使用上の注意はよりわかりやす
        く、「使用前の注意」、「使用中の注意」、「使用後の注意」、「
         患者への注意」などに分解する。さらに、副作用と検査値異常を
         分けて記載する。
        6 重大な副作用が起こった際の対処に関する情報を収載する。副作
                用発生頻度などに関しては定量的な情報提供をする。
        7 臨床薬理学、薬剤学及び生物統計学的に適切な表現を用いて記載
                 する。また、臨床試験の対照医薬品を具体的に記載する。
        8 再審査期間中の医薬品、または販売されてから2年以内の医薬品
                   は、一層の注意が必要であるので、販売開始年月日に加えてその
                   旨のマークなど注意喚起に役立つ工夫を行う。等

       (2) 患者向け説明文書に関する分担研究

        次のような事項について記載した患者向け説明文書が考えられる。
        なお、さらにパイロットスタディーにより、患者用説明文書の必要
       性の高い医薬品についてその有用性を確認し、また、記載内容の修正
       を行うべきである。
       (記載項目)
         (a) 医薬品名:商品名
         (b) 剤形・色・実寸大の外形図・マークなど。
         (c) 使用目的:患者の症状毎に医療機関で記入する。
         (d) 患者が医師に伝えておくこと:副作用の既往、妊娠及び授乳中、
         治療中の疾患及び使用薬剤等。
         (e) 使用法:薬袋の記載だけでは判りにくい場合、特別な使用法の場
         合、服用を忘れた場合の対応について等を具体的に記載する。
         (f) 使用中に注意すべき症状(副作用):具体的に記載する。
         (g) 生活上の注意:車の運転、機械仕事などの可否、喫煙、アルコー
         ル等の併用の可否等。
         (h) 処方した医師及び薬剤師の連絡先:名前、電話番号等。
           記載はなるべく専門用語を使用せず必要な場合には平易に補足する
        。サイズとしては保存しやすい大きさとし、また、出来上がりのサイズ
        を統一する。等

       (3) 相互作用欄の見直しに関する分担研究

       (a) 表形式による情報提供を提案する。また、色刷りも取り入れて見や
        すくする。
       (b) 相互作用の臨床所見、程度、機序、対処法を明記する。
        (c) 一般用医薬品及び嗜好品等との相互作用にも言及する。
       (d) 動物実験データに関しても主要な情報については積極的に取り入れ
        る。
         (e) 類似薬の相互作用報告も適宜取り入れる。
       (f) 記載様式は表形式で色刷りにして見やすくする。
       (g) 相手側医薬品との相互作用の記載内容との整合性を確保する。等

今後の取扱い: 本研究報告の成果については中央薬事審議会に報告し、薬事上の重要
       事項として具体的な改定作業の優先付けなどを行うとともに、具体的な
       添付文書記載のマニュアル作成作業を開始する。患者用説明文書につい
       ては、さらに1年パイロット研究を行う。

   問い合わせ先 厚生省薬務局安全課医薬品適正使用推進室
      担 当 山本、網岡(内2757)
            電 話 (代)[現在ご利用いただけません]


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