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                医薬品・医療用具の内外価格調査結果について

                                                              平成8年5月27日
                                                                 厚生省薬務局

I  調査の概要

1.調査目的
   一般用医薬品及び医療用具の内外価格差の実態を把握するために、内外7都市に
   おいて実売価格の実態調査を行った。

2.調査対象及び調査方法

(1)調査対象
   1一般用医薬品
     価格調査は、本来同一の規格(医薬品については成分、容量等)を有し、国
    際的に販売されている製品を選定して行われるべきであるが、一般用医薬品に
    ついてこうした要件を満たすものが存在しない事情にある。このため感冒剤、
    制酸剤、解熱鎮痛剤の3薬効群について、各都市において売れ筋上位5銘柄に
        ついて調査した。
      2医療用具
          一般用医薬品と同様、医療用具についても同一品質、規格、精度を有し国際
    的に販売されている製品を選定して行われるべきであるがこうした要件を満た
    すものが存在しない事情にある。このため、ガラス体温計、電子体温計、コン
        ドームの3品目について、各都市における売れ筋上位数銘柄(2〜4銘柄)に
        ついて調査した。

(2)調査都市
     東 京、ニューヨーク、シカゴ、ロンドン、パ リ、デュッセルドルフ、
     シンガポール

(3)調査時期
          平成8年2月中旬〜3月上旬

(4)調査方法
    一般用医薬品、医療用具ともに小売り店舗店頭における聞き取りにより、実販
   売価格(消費税込み)を調査した。
        調査店舗については、各都市とも専門店・量販店それぞれ3店舗とした。

(5)換算レート
        1為替レート(東京銀行顧客売り相場[日本経済新聞])
                アメリカ  1ドル     106.80円(2月26日掲載)
                ロンドン  1ポンド    165.39円(3月1日掲載)
                パリ    1フラン     21.29円(3月1日掲載)
                デュッセルドルフ 1マルク         72.22円(3月1日掲載)
                シンガポール  1シンガポールドル    76.62円(2月9日掲載)

        2購買力平価
            ア.生計費ベースの購買力平価
                  アメリカ  1ドル     155.00円
                 ロンドン  1ポンド    234.00円
                 パリ    1フラン     26.30円
                 デュッセルドルフ 1マルク         90.70円
                   【経済企画庁調査(平成6年11月)に基づく】
            イ.GDPベースの購買力平価
                 アメリカ  1ドル     181.00円
                 ロンドン  1ポンド    284.10円
                 パリ    1フラン     27.70円
                 デュッセルドルフ 1マルク         85.80円
                  【OECD調査(1994年)に基づく】
            (シンガポールについては、経済企画庁調査、OECD調査のいずれにも
            含まれていないため購買力平価による比較は行っていない。)

II  調査結果

1.価格の比較

(1)一般用医薬品

   今回の調査においては、一般用医薬品の感冒剤、制酸剤及び解熱鎮痛剤について
  、各都市の売れ筋上位5銘柄の価格(1日薬価)を調査したが、都市によって含有
  成分の種類や量が大きく異なっていた。また、同一都市内でも銘柄によって価格に
  大きなバラツキがあり、例えば、制酸剤ではバラツキがもっとも小さいデュッセル
    ドルフでも1.7倍、バラツキの最も大きいニューヨークでは7.0倍ものバラツ
    キがある。(表1参照)
   一般用医薬品売れ筋上位5銘柄の平均価格を為替レートにより比較した場合、感
  冒剤でシカゴの専門店、量販店とも東京より高く、解熱鎮痛剤でニューヨーク、シ
    カゴ、ロンドン、シンガポールの量販店及びデュッセルドルフの専門店が東京より
    高く、それ以外については東京より低くなっている。(表3参照)

(2)医療用具

   医療用具については、ガラス体温計、電子体温計、コンドームについて、各都市に
  おける売れ筋上位数銘柄について調査したが、平均価格を為替レートで比較した場
    合、ガラス体温計、電子体温計については東京が専門店、量販店とも他の都市より高
    かった。コンドームについては専門店でシカゴ、パリが東京より高く、量販店では
    ニューヨーク、シカゴ、ロンドン、デュッセルドルフが東京より高く、それ以外に
    ついては東京より低くなっている。(表2・表3参照)

(3)購買力平価による比較

     購買力平価による比較では、まず、一般用医薬品についてみてみると、専門店に
  おいては感冒剤については、ニューヨーク、シカゴ、パリが東京より高く、ロンド
  ンとデュッセルドルフが東京より安くなっている。制酸剤については、ニューヨー
    ク、シカゴが東京より高く、ロンドン、パリ、デュッセルドルフが東京より安くな
    っている。解熱鎮痛剤については、各都市とも東京より高くなっている。また、量
    販店においては感冒剤については、各都市とも東京より高くなっている。制酸剤に
    ついては、ニューヨーク、シカゴが東京より高く、ロンドンが東京より安くなって
    いる。解熱鎮痛剤については、各都市とも東京より高いという結果になる。
                                                                  (表4参照)

      医療用具については、専門店、量販店とも、ガラス体温計、電子体温計については
  、東京が各都市より高く、コンドームについては東京が各都市よりも安いという結
  果になる。(表5参照)


2.調査結果についての考察

(1)一般用医薬品については、含有成分の組合せに国によって大きな差があり、諸外
  国においては比較的単味剤が多いのに対して、日本においては多くの成分を含有配
    合剤が主流となっている。(表6参照)

(2)人件費等の国際的なコスト差や広告・販売方法等の商慣行の相違が価格に影響を
  及ぼしているものと考えられることから、購買力平価を用いて比較してみるとこと
    も必要である。

      問い合わせ先 厚生省薬務局経済課
      担 当 酒井(内2728)、長田(内2726)
            電 話 (代)[現在ご利用いただけません]
                    (直)3591-9580


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