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              看護職員の養成に関するカリキュラム等改善検討会中間報告NO.2

              医療放射線管理の充実に関する検討会報告書の概要NO.2

第4.指定基準等の改正について
           (第1の5、6、7関係)
I  専任教員
 1 看護婦3年課程の専任教員の配置については、(1) 各専門領域における教育の水
    準を向上させるとともに、(2) 講義、演習及び実習において一貫性のある効果的な
    教育ができるようにするため、従来の、各学年、各学級ごとの配置を改め、専門領
    域を重視した配置とする。それに伴い、専任教員数は現行の「4人以上」から「8
    人以上」の配置とする。ただし、カリキュラムにおいて今回新たに設定された「在
    宅看護論」及び「精神看護学」については、教員の早期の確保が困難であること等
    を勘案し、当分の間、専任教員数を「6人以上」とする。
 2 学生総定員数が 120人を超える場合には、専門科目の講義及び実習時間数、教育
    内容等を勘案し、学生30人を目途に専任教員を1名配置することとし、教育に支
    障を来さないようにすることとする。
 3 専任教員になることができる者については、看護職員の職域、活動の多様化に鑑
    み、「看護婦として5年以上業務に従事した者」であって「専任教員として必要な
    研修を受けた者」から「保健婦、助産婦又は看護婦として5年以上業務に従事した
    者で、専任教員として必要な研修を受けた者」と変更する。さらに専門領域の教育
    を担当できる者を確保するという観点から、「保健婦、助産婦又は看護婦として3
    年以上一の専門領域で業務に従事した者で、大学において教育に関する科目を履修
    した者」を追加する。
 4 保健婦課程については、実習の質の保証及び実習施設が多いことから教育体制の
    強化を図るため、「2人以上」から「3人以上」とする。
 5 助産婦課程については、助産診断・助産技術教育の強化を図るため、2人以上」
    から「3人以上」とする。

II 養成所の長及び長を補佐する者
 1 養成所としての組織の整備を図るため、養成所には長を配置することを明記する
     。
 2 養成所の長が兼任または2以上の課程を併設する場合は、養成所の長を補佐する
    専任の職員を配置することが望ましい。長を補佐する専任の職員を置く場合には、
    養成所の長または長を補佐する専任の職員のいずれかは看護職員を配置することと
    する。

III 1学級の定員
  看護の技術教育を強化するための効果的な教育環境を提供できるよう、1学級の定
  員の基準を「15人以上50人以下」から「40人以下」に 変更する。ただし、既
  設の養成所で定員が40人を超えている場合は、当分の間、従前のとおりとすること
  を認める。

IV 養成所の施設・設備
 1 看護婦課程における実習室については、看護技術教育を強化するため、現行の「
    学生5人に1ベッド」となっている基準を「学生4人に1ベッド」と変更する。
 2 看護婦課程のカリキュラムの改正に伴い、在宅看護の実習ができるよう在宅看護
    実習室を必置とする。また、助産婦課程においては、分娩に対するニ−ズの多様化
    に対応できるよう家庭分娩実習室を必置とする。これらについては、実習室と兼用
    又は共用できるものとする。
 3 各課程における調理実習室、看護婦課程における化学実験室は使用頻度が低いた
    め、必置から「設置することが望ましい」と変更し、現在の施設を必要性の高い施
    設に転換することを可能とする。
 4 情報処理室については、情報社会に対応できる能力を育成するため、新たに「設
    置することが望ましい」こととする。
 5 助産婦課程の寄宿舎については、実習方法や、実習施設の状況等の多様化により
   、一律に設置する必要性が低下してきたため、必置から「学生の実習に備えて、宿
  泊できる施設を確保することが望ましい」こととする。

V. 実習施設
 1 「主たる実習施設」については、看護の基本的内容を修得するために必要な臨地
   実習のうち、基礎看護学実習、成人看護学実習を行う施設と規定する。
 2 「主たる実習施設」の要件は、病院の病床数ではなく看護の質や実習指導体制の
   状況等で規定することとし、現行の「学生又は生徒の定員と同数以上の病床数を
   有する病院であって、内科及び外科の診療科を有するものである」及び「主たる
   実習施設の定床数については、原則として200 床以上とする」の規定を削除する
   。
 3 主たる実習施設の看護職員の配置基準は看護の質を確保するため、現行の「5床
  に1人以上」から、「入院患者3人に1人以上」とする。
 4 母性看護学の実習施設については、少産・少子傾向により実習施設の確保が困難
  なため、看護の質が保証され実習指導体制が整備されていることを要件として「年
  間分娩件数が250例以上」の規定を削除する。
 5 看護婦課程においては、実習施設としての要件が満たされていれば看護職員が活
  動する場、保健・医療・福祉の連携、在宅看護論、老年看護学等の理解を促すため
  、市町村保健センタ−、診療所、助産所、老人保健施設、訪問看護ステ−ション、
  在宅介護支援センタ−等の多様な施設を活用することが望ましいこととする。
   なお、病院以外での臨地実習は在宅看護論を含め、指定規則に定める単位数の1
  割程度から3割程度の間で各養成所が定めるものとする。
 6 助産婦課程においては、実習施設としての要件が満たされていれば診療所も実習
  施設として活用し得るものとする。さらに現行の「実習病院は原則として2か所以
  内とする」との規定を削除する。


第5.適用の時期について

  今回の中間報告は、看護を取り巻く状況の変化に緊急に対応する必要性を踏まえ検
 討したものであり、看護婦3年課程、保健婦課程、助産婦課程のカリキュラムについ
 ては 、平成9年4月の入学生から適用することが適当と考える。
  施設設備の基準の改正については、平成9年4月から適用する。既設の養成所にお
 いて増改築が必要な施設については増改築時から適用することが適当である。
  また、専任教員数については教員確保の準備期間等を配慮し、当分の間、「6人以
 上」とするべきである。さらに「6人以上」とするにあたっては、5年程度の経過措
 置期間を設けることが適当である。
  実習施設についても平成9年4月からの適用とするが、主たる実習施設の看護職員
 の配置基準の適用は5年程度の経過措置期間を設けることが適当である。

おわりに
 本報告の内容は、看護婦等の教育に関し大幅な見直しを求めるものであるが、いずれ
も緊急に取り組むべき課題である。行政は本報告の趣旨を踏まえ、その内容が実現され
るよう早急に保健婦助産婦看護婦学校養成所指定規則等の改正に着手されることを期待
する。
 また、養成所の設置者、養成所の長及び教員においては、5年程度の移行措置期間の
中で、教育環境の充実整備を図るとともに教員の能力向上に向けて努力すべきであり、
行政もこうした方向を支援するよう努力するべきである。
 さらに卒業後の看護職員が十分な看護実践力を発揮するとともに、生涯を通じた資質
の向上を図ることができるよう、継続した研修体制についても充実することが必要であ
る。

 参 考

I  検討の過程における議論
 1 看護婦課程カリキュラム
 ○ 「在宅看護論」については、名称を「地域看護学」にするという意見があったが
   、看護婦課程では地域で療養する人々とその家族を理解し、在宅での看護の基礎
   を学ぶことが目的であることから「在宅看護論」という教育内容で表示すること
   になった。
 ○ 「成人看護学」については講義、実習ともに、単位数を増加すべきという意見と
  成人期の特徴に基づく看護を学ぶ内容であれば、他の看護学と同様の単位数でよい
  という意見があったが、成人を対象とする看護の展開の中で、対象の違いのみでな
  く、症状や状態への看護方法を学習することとして他の領域よりも単位数を多くし
  た。
 ○ 「老年看護学」については名称を従来の「老人看護学」のままでよいという意見
  と「高齢者看護学」にしてはどうかという意見があった法文上では「老人」という
  言葉を用いている場合が多いが、学問上では「老年」を用いる傾向がある。「高齢
  者」にすると現行の発達段階で区分している「成人看護学」、「小児看護学」等、
  他の領域の看護学と馴染まないため「老年看護学」とする。

 2 保健婦課程カリキュラム
 ○ これからの保健婦は保健所、市町村の行政の場だけでなく事業所・学校・病院・
  福祉施設等の様々な場で活動を展開していくことが期待されている。このようなこ
  とから行政を中心とした公衆衛生看護のみを限定的に教育することには問題がある
  という意見があった。

 3 助産婦課程カリキュラム
 ○ 助産婦課程については1年間で教育している養成所が多いことから1年間の教育
  内容を示してほしいとの意見があったが、法律上の修業年限は6か月以上であるこ
  とから、国家試験受験資格として必要な基準のみを示すこととした。1年間の教育
  内容については、各学校養成所等が創意工夫し教育の充実を図るべきものである。
 ○ 分娩の取扱件数は従来どおり10例以上とするべきとの意見があった。これにつ
  いては分娩取扱件数の実態を踏まえ少子社会の中で可能であり、かつ、助産婦とし
  ての基礎的知識技術を身につける最低の線として求められるのは何かという観点か
  ら議論がすすめられ、10例程度を目安とすることとした。

 4 指定基準
 ○ 演習室、視聴覚室、情報処理室については、学習環境の充実を図るため必置すべ
  きという意見が強かったが、従来の施設であまり使用されなかった調理実習室、化
  学実験室の必置義務を緩和し、他に転用することで実行上は設置できることから望
  ましいこととした。
 ○ 専任教員数については8人を確保すべきであるという意見があったが、現状にお
  いては看護婦3年課程養成所のうち、1学年50人以下の養成所では専任教員数は
  平均6.8人(看護課調べ)であるため、経過措置5年程度の間に6人以上の専任
  教員を確保するよう努力するものとし、将来的に8人とすることとした。

II 看護婦2年課程カリキュラム
 看護婦2年課程については、現行制度を前提としてカリキュラムの検討をしたので以
 下、参考として示す。

〔2年課程〕
 准看護婦婦課程の学習を踏まえ、2年間の修業年限で看護婦3年課程カリキュラムと
同じ到達レベルを目指すために必要な教育内容、単位数及び指定基準等を検討した。

 1.看護婦2年課程の基本的考え方
 (1)看護婦3年課程カリキュラムと同じ到達レベルを目指す。
 (2)准看護婦課程での学習の多様性に対応できるよう教育内容を調整する時間を従
   来どおり含めることとする。

看護職員の養成に関するカリキュラム等改善検討会委員名簿


  井部 俊子   日本看護協会副会長
  今田  拓   日本医師会常任理事
  尾形 誠宏   神戸市立看護短期大学学長
  岡本喜代子   日本助産婦会事務局長
  加古 康明   西宮市医師会准看護学院院長
  梶田 叡一   京都大学高等学校教育教授システム開発センター教授
  片田 範子   兵庫県立看護大学教授
  清川 美和   愛知県医師会春日井准看護婦学校教務主任
  鈴木 良子   文部省初等中等教育職業教育課教科調査官
  関根 龍子   国立療養所東京病院附属看護学校副校長
  妹尾 孝子   岡山県公衆衛生看護学校校長
  中島紀恵子   北海道医療大学看護福祉学部長
  野口美和子   千葉大学看護学部教授
  堀内 成子   聖路加看護大学教授
○ 松野かほる   山梨県立看護短期大学学長
  松丸 秀明   八幡医師会看護専門学院学院長
  宮地 文子   埼玉県立衛生短期大学教授
  山田 里津   二葉看護学院学院長

          ○印は座長

                          保看部第1号
                         平成8年3月29日
厚生大臣 菅  直 人 殿

                         医療関係者審議会
                    保健婦助産婦看護婦部会長
                          松野 かほる

  看護職員の養成に関するカリキュラム等の改善について(意見)

 医療関係者審議会保健婦助産婦看護婦部会は、別添「看護職員の養成に関す
るカリキュラム等改善検討会」中間報告書(平成8年3月28日。以下、「報
告書」という。)を基本的に了承し、これを当部会の意見として具申する。本
意見書に基づき、保健婦助産婦看護婦学校養成所指定規則の改正等所要の措置
を速やかに講じられたい。
 なお、本部会としては、下記の意見を付記するので、十分配慮されたい。

                 記

 報告書中、第4「指定基準等の改正」I「専任教員」2において、「学生総
定員数が120人を越える場合には、学生30人を目途に専任教員を1名配置
する」こととしているが、これを原則としながら、実際の運用に当たっては、
弾力的な取り扱いが行われるよう配慮すべきである。また、当該改正に当たっ
ては、5年程度の経過措置期間を設けることが適当である。

  問い合わせ先 厚生省健康政策局看護課
    担 当 田村・小松(内2564)
        電 話 (代)[現在ご利用いただけません]
                (直)3501-4870


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