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注:(☆)は構造改革特別要求に係る施策

第1 国民が安心・信頼できる医療の確保

 医療制度を将来にわたって持続可能で安定的なものとするため、政府・与党社会保障改革協議会の医療制度改革大綱に基づき、医療保険制度の改革を行うとともに、ITを活用した医療の推進をはじめ、患者の視点に立った安心かつ質の高い医療を効率的に提供する体制を整備する。
 また、超微細技術(ナノテクノロジー)を活用した医療技術及びゲノム科学を応用した創薬技術(トキシコゲノミクス)等新しい医療技術や新薬の研究開発の推進、ミレニアム・プロジェクトやメディカル・フロンティア戦略の継続実施等により、先端的科学技術を活用した医療の展開を図るとともに、医薬品・医療用具等の安全性の確保対策を推進する。

1 持続可能な医療保険制度の確立

○ 制度改正

1.高齢者医療制度の改革

(1)患者負担の見直し(平成14年10月実施)

・70歳以上の高齢者の患者負担は定率1割負担とする。ただし、一定以上の所得の者は定率2割負担とする。これに伴い、外来の患者負担に係る月額上限制及び診療所における定額負担選択制を廃止する。
・70歳以上の高齢者に係る自己負担限度額について、次のとおり見直しを行う。

70歳以上の高齢者   外来 入院
一定以上所得者 40,200円 72,300円+1%
(40,200円)
一般 12,000円 40,200円
低所得者
(住民税非課税)
II 8,000円 24,600円
I
[対象拡大](注)
15,000円

(注)
 低所得者Iについては、対象者の範囲を全体の約0.7%(老齢福祉年金受給者)から約15%程度に拡大。
(備考)
 金額は1月当たりの限度額。「1%」は、一定の限度額を超えた医療費の1%。( )内の額は、多数該当の場合(4月目以降)。

(2)老人医療費拠出金等に係る見直し(平成14年10月実施)
・現行制度の対象年齢を70歳以上から75歳以上に5年間で段階的に引き上げる。
・公費負担の割合を3割から5割に5年間で段階的に引き上げる。ただし、一定以上の所得の者に係る医療費については公費負担の対象としない。
・上記を踏まえ、老人医療費拠出金の算定に係る老人加入率上限を撤廃する。
・退職者に係る老人医療費拠出金については、退職者医療制度において負担するものとする。

(3)医療費総額の伸びの適正化

・指針を定め、その指針を遵守できるよう有効な方策を検討し、実施する。

2.医療保険制度の改革

(1)保険給付の見直し

・総報酬制の下で、平成15年度から政府管掌健康保険の保険料を予定どおり引き上げ、必要な時に7割給付で保険間の統一を図る。
・一般医療保険制度に係る外来薬剤一部負担金制度は、当面、現行どおりとする。
・3歳未満の乳幼児に係る給付率を8割とする。(平成14年10月実施)
・高額療養費に係る自己負担限度額について、次のとおり見直しを行う。(平成14年10月実施)

一般医療対象者
(70歳未満の者)
上位所得者
(月収56万円以上)
139,800円+1%
(77,700円)
一般 72,300円+1%
(40,200円)
低所得者
(住民税非課税)
35,400円
(24,600円)

(備考)
 金額は1月当たりの限度額。「1%」は、一定の限度額を超えた医療費の1%。( )内の額は、多数該当の場合(4月目以降)。

(2)保険料の見直し(平成15年4月実施)

・政府管掌健康保険の保険料率については、中期的に保険財政の均衡が図られるよう、定期的に収支両面の見直しを行い、改定を行うこととする。
・被用者保険について、総報酬制の導入を図る。

(3)国民健康保険制度の財政基盤の強化

・市町村国保の広域化等を支援するため、平成16年度までに総額300億円の国保広域化等支援基金(仮称)を都道府県に創設する。
 (平成14年度)国:50億円、都道府県:50億円
・高額医療費共同事業を平成15年度より拡充し、制度化を図る。
 なお、平成14年度については、現行の方式で継続するものとする。
 (平成14年度)都道府県に対する地方財政措置:400億円
・低所得者を多く抱える保険者を財政的に支援する保険者支援制度(仮称)を平成15年度に創設する。
・国保財政安定化支援事業に係る地方財政措置については、平成14年度は現行の規模・内容で継続し、平成15年度以降は事業内容を見直した上で継続する。
 (平成14年度)市町村に対する地方財政措置:1,000億円

○ 薬価・診療報酬等の改定(平成14年4月実施)

・薬価等の改定 △1.4%
(後発品のある先発品について平均5%引下げ)
・診療報酬改定 △1.3%
 医科 △1.3%
 歯科 △1.3%
 調剤 △1.3%

○ 政府管掌健康保険、国民健康保険、老人保健制度等に係る医療費国庫負担

7兆4,782億円

2 医療の質の向上を目指した医療提供体制の充実

1,406億円

(1)IT化による医療提供体制の整備

17億円

○ 根拠に基づく医療(EBM)の推進

2.7億円
 根拠に基づく医療(EBM)が実践できるよう、インターネット等を利用して、質の高い最新医学情報を医療従事者等に提供するためのデータベースを整備する。

○ 電子カルテ等を用いた保健医療情報システムの整備

6.2億円
・医療情報の標準化を推進するとともに、電子カルテ情報等を安全に共有、保存、伝送するシステムを開発する。
・地域医療連携の構築を目指し、医療機関をネットワークで結び、医療情報を共有化するなど質が高く効率的な医療の実現を図る。(☆)

○ 地域医療の充実のための遠隔医療の実施

5億円
 かかりつけの診療所と専門病院をネットワークで結び、画像診断、病理診断を行うとともに、往診、通院が困難な在宅患者と医療機関をテレビ電話等で結んで、患者に対する指導を実施する。

○ レセプトのオンライン請求等の試験事業の実施(☆)

3.5億円
 レセプトの電算処理を推進するため、オンライン請求システムの実用化を目指し、オンライン化によるシステムの安全性・信頼性の確保、経済効果等の検証を行う。

(2)安全な医療の提供

9.3億円

○ 医療安全対策の総合的推進

78百万円
 収集されたインシデント事例(ヒヤリとしたりハッとした事例)に基づく具体的な改善方策の策定を進めるとともに、医療機関における安全確保に関する取組を支援するため、病院の安全管理担当者を対象としたワークショップの開催等、医療安全対策の総合的推進を図る。

○ 患者安全推進(PSA)事業の実施

4百万円
 11月の「医療安全推進週間」を中心に、幅広い関係者の参画の下、患者の安全を守ることを旨として、パンフレットの配布、シンポジウムの開催等を行い、医療関係者の医療安全に対する意識向上、患者の医療への参加意識の啓発を図る。

(3)医療従事者の資質の向上

1,139億円

○ 医師、歯科医師の臨床研修必修化に向けた環境整備

55億円
 医師、歯科医師の臨床研修必修化(医師:平成16年度、歯科医師:平成18年度)に向けた研修人員の拡充などを図る。

○ 看護職員の養成、確保対策の推進

990億円
・看護職員が個々の状況に応じ自由な時間に学習できる通信学習システムを開発するとともに、学習プログラムを作成し、質の高い看護職員の育成を推進する。(☆)
・看護職員の臨床技能の向上に向けた調査検討、保健婦と看護婦、助産婦と看護婦の一貫した教育を行うための統合カリキュラムの促進など看護婦等養成所への支援を行う。
・看護婦等養成所の教員に対し、医療事故の防止に寄与する安全教育を行うための研修を実施する。

(4)安心できる医療の確保

240億円

○ 救急医療対策の推進

240億円
・大規模災害に対する全国的な広域対応を迅速に行うため、患者の発生状況や医療機関の被災状況に関する情報交換が可能な「広域災害・救急医療情報ネットワーク」を構築する。(☆)
・二次医療圏単位での小児救急医療体制の確保が困難な地域において、小児救急 患者を広域で受け入れる「小児救急医療拠点病院」を新たに整備する。また、在宅当番医制事業における小児の初期救急対応のモデル的取組を推進する。

○ 終末期医療に関する調査及び検討

10百万円
 終末期医療に関する国民、医療従事者等の意識の変化、医療施設、社会福祉施設の実態を調査し、終末期医療のあり方について検討を行う。

3 先端的科学技術を活用した医療の展開

318億円

(1)新しい医療技術・新薬の研究開発の推進

156億円

○ 疾患関連遺伝子の解明、再生医療研究の推進(ミレニアム・プロジェクト)

110億円
 痴呆、がん、糖尿病、高血圧、ぜんそく等高齢期にかかりやすい主要な疾患に関連する遺伝子解析及びその活用を進める。また、ヒト幹細胞などヒト細胞の成長・分化等の研究を進め、自己組織の自立的な修復能力を高めることによる治療方法の実現を目指す。

○ たんぱく質科学研究等の推進(メディカル・フロンティア戦略)

18億円
 たんぱく質科学等を応用した新しい治療・早期診断技術、新薬についての研究開発等を重点的に推進する。

○ 超微細技術(ナノテクノロジー)を活用した医療技術等の研究開発の推進(☆)

14億円
 ナノテクノロジーを用いた診断技術、治療技術等についての研究開発を行う。

○ ゲノム科学を活用した創薬基盤技術の開発(トキシコゲノミクス)(☆)

15億円
 ミレニアム・プロジェクト及びメディカル・フロンティア戦略におけるゲノム科学の進展を踏まえ、遺伝子の化学物質への反応を活用した医薬品開発におけるスクリーニング手法、副作用回避の手法等についての研究開発を行う。

(2)質の高い臨床研究の推進

58億円

○ 先端科学技術の実用化のための臨床研究の推進(☆)

44億円
 先端科学技術を応用し、予防から診断、治療、リハビリテーションまで、より効果的な保健医療技術の確立を目指し、質の高い臨床研究の推進を図る。

○ 基礎研究成果の臨床応用推進(トランスレーショナル)に関する研究の推進(☆)

12億円
 我が国で生み出された基礎研究の成果を臨床現場に迅速かつ効率的に提供していくために必要な技術開発、探索的な臨床研究等を推進する。

○ 医療機関による治験の適正な推進

97百万円
 国内の医療機関における治験を推進するため、医療機関の治験管理部門や医師を支援する治験コーディネーター(CRC)の養成を進めるとともに、地域の医療機関と診療所が連携して治験を行うモデル事業を実施する。

(3)研究推進のための基盤整備

30億円

○ 国立長寿医療センター(仮称)の整備

15億円
 高齢者に特有な疾病(老人性痴呆疾患、骨粗しょう症等)に関する包括的医療(長寿医療)について、総合的な研究及び診療を推進するため、国立高度専門医療センターとして、国立長寿医療センター(仮称)を整備する。

(4)がん、心筋梗塞、脳卒中対策の推進

54億円

○ 質の高いがん医療の全国的な均てん

12億円
・2次医療圏を基本として、「地域がん診療拠点病院」を整備し、全人的な質の高いがん医療を提供する体制を確保するとともに、がん診療情報の収集、他のがん診療医療機関との診療連携、最新の診療方法に関する研修会の開催等により、地域におけるがん医療の水準の向上を図る。
・がん、心筋梗塞、脳卒中、痴呆、骨折患者に対する専門的な看護ケアを提供するため、看護職員を対象とした研修を実施する。

○ 心筋梗塞、脳卒中の早期治療体制の整備

41億円
・早期治療の開始と迅速な搬送による救命率の向上を図るため、ドクターヘリ(医師が同乗する救急専用ヘリコプター)事業を推進する。
・救命救急センターに心臓病及び脳卒中の専門医を配置するとともに、専用施設・設備の整備を進める。

(5)精神・神経疾患の克服のための研究の推進

○ 脳科学研究の推進と精神・神経疾患の病因の科学的解明等(☆)

21億円
 神経科学、分子生物学、先端的画像機器の応用により、脳機能を解明するとともに、心理学、社会学的手法も活用して、脳やこころの発達障害、精神・神経疾患などの予防・診断・治療法の開発や、睡眠障害、外傷後ストレス障害(PTSD)の予防など心の健康づくりを進める。

4 医薬品・医療用具の安全性の確保

94億円

(1)医薬品、医療用具の審査体制の整備

10億円

○ 医薬品原薬等の登録システム(マスターファイル)の検討

8百万円
 医薬品の承認審査手続にかかる製造業者等の負担を軽減できるよう、医薬品の原料や添加物等をあらかじめ登録しておく制度(マスターファイル)を導入することについて、検討を進める。

○ 医療用具のリスクに応じた審査体制の構築

13百万円
 人体に対するリスクを基に医療用具審査の重点化を図るため、リスクの高い医療用具については、審査データの信頼性調査マニュアル等を整備し、リスクの低い医療用具については、第三者認証機関の認定・監査マニュアルを整備する。

(2)医薬品の副作用対策等の充実

3.3億円

○ 医薬品の副作用情報の収集、解析、提供の迅速化のためのシステム開発等(☆)

1.3億円
・製薬企業等から報告される医薬品の副作用情報をオンライン処理するシステム(「医薬品安全性情報統合化システム」)を構築することにより、副作用情報の収集及び解析、医療機関等への情報提供等を迅速に行う体制を整備する。
・治験段階における医薬品の副作用報告、市販後の医療用具の不具合情報等について、情報の迅速な収集・解析を行う体制を整備するため、内容の審査等を行った上でデータベース上に蓄積するシステムを構築する。

(3)安全な血液製剤の確保

16億円

○ 国内自給の達成に向けた複数回献血の推進

18百万円
 血液製剤の国内自給に必要な原料血漿を確保するとともに、ウィンドウ・ピリオド(ウイルス感染を検出できない期間)対策に活用するため、日本赤十字社において複数回献血を推進するモデル事業(健康管理増進事業の充実、献血ルームにおけるサービスの向上等)を実施する。


第2 構造改革を着実に進めるための労働市場政策の展開

 景気が一段と悪化し、雇用情勢についても厳しさを増す中で、構造改革のさらなる推進を図っていくためにも、雇用面のセーフティネットを整備することが重要であり、「就職支援特別対策パッケージ」の発動により、機動的かつ効果的な対策を展開する。
 構造改革の進展に伴って生ずる離職者の雇用を確保するため、今後、雇用機会の拡大が期待されるサービス分野等の雇用創出の実現に向けた取組を推進するとともに、新たに雇用が創出される分野への円滑な労働移動を促進するため、労働市場の基盤整備を推進する。

1 厳しさを増す雇用情勢に対応した雇用面のセーフティネットの整備
 〜就職支援特別対策パッケージの発動〜

2,297億円
(1)雇用情勢の変化に対応した機動的かつ効果的な対策の展開
1,844億円

○ 雇用情勢の悪化に対応した新特定求職者雇用開発助成金の機動的な運用

729億円
 雇用情勢の悪化に対応し、再就職支援のための助成措置を機動的に発動し、離職者の再就職を支援する。

○ 訓練延長給付制度の積極的な活用等雇用保険制度の効果的な運用

736億円
 雇用情勢の変化に的確に対応した雇用保険制度を効果的に運用するとともに、雇用保険受給者の就業能力を高めるための訓練延長給付制度を積極的に活用する。

○ 中小企業・ベンチャー企業等に対する利用しやすい創業等支援を通じた雇用機会の創出拡大

54億円
・中小企業・ベンチャー企業等に対し、地方公共団体との連携の下に、創業を支援するための利用しやすい助成措置を講じ、地域の実情に応じた雇用機会の創出を図る。
・中小企業が新商品・新サービスの開発等の経営革新に伴い中高年齢者を雇い入れた場合等に助成措置を講じ、雇用機会の創出を図る。

○ 国と都道府県が連携した地域雇用開発促進助成金の効果的発動

27億円
 都道府県が雇用機会の増大等を図るべく設定した地域において、求職者の雇い入れ、能力開発に取り組む事業主に対し、それらを支援するための助成措置を実施し、地域の実情に応じた雇用開発を促進する。

○ 新雇用調整助成金による業種にかかわりのない雇用維持支援

255億円
 景気の変動等に伴い、事業活動の縮小を余儀なくされた個別の事業主について、業種にかかわりなく休業等を支援するための助成措置を発動し、雇用の維持を図る。

(2)早期再就職の推進

452億円

○ 失業なき労働移動を支援するための各種助成金の積極的活用

214億円
・離職を余儀なくされる労働者に求職活動を容易にするための休暇を付与する事業主等に対して助成する。
・建設業界内において、同業他社から技術者等を雇い入れ、早期戦力化のための講習を実施する事業主に対して助成する。
・経営再建のためにグループ内企業から送り出される中高年齢者を受け入れ、61歳以降の雇用を確保する事業主に対して助成する。
・大量の失業発生の激変緩和や失業なき労働移動を図るため、退職予定者の退職前の長期休業制度を設け、休業を行う事業主に対する助成及び当該休業中に行う教育訓練に関する助成を行う。

○ 関係業界との連携強化による出向・移籍方式を中心とした労働移動の推進

40億円
 不良債権処理に伴う雇用問題が課題となる業界と官民連携の出向・移籍の専門機関である産業雇用安定センターが連携し、失業なき労働移動を支援するための求人・求職情報の収集・提供等の支援を推進する。

○ 在職中からの再就職に向けた取組の支援

13億円
 大量離職者発生事業所内に離職予定在職者職業相談コーナーを臨時的に設置し、公共職業安定所の職員等による再就職の支援を行う。

○ 募集・採用時の年齢制限の緩和に向けた職業紹介機関による啓発・指導の推進

1.3億円
 年齢制限の緩和に関する指針について、官民の職業紹介機関において、啓発・指導を行うほか、事業主団体や求人情報提供機関を通じた周知を推進する。

○ 中高年ホワイトカラー離職者等に対する職業訓練の推進、早期訓練受講を通じた就職促進

(対象者 7万人)
92億円
 不良債権処理に伴い発生する中高年ホワイトカラー離職者等の再就職を促進するため、高等教育機関やNPO、民間の企業団体等を活用した委託訓練を推進する。

2 サービス分野を中心とした良好な雇用機会の創出等

802億円

(1)サービス分野等における雇用機会の創出

○ サービス分野等における雇用創出を実現するための取組の推進(☆)

5億円
・有識者、関係業界及び関係省庁代表者からなる「雇用創出企画委員会」(仮称)を開催するとともに、各地域に協議会を設置するなど、雇用創出を総合的に推進するための体制を整備する。
・雇用創出が期待される分野ごとに、「サービス分野等に係る人材育成プロジェクト」を設け、業界団体等を活用して、今後求められる人材ニーズ等の把握等を行い、人材育成計画を策定し、同計画に基づき新規雇用創出に向けた官民連携した人材育成を推進する。

(2)中小企業・ベンチャー企業等に対する支援を通じた雇用機会の創出等

685億円

○ 中小企業・ベンチャー企業等に対する利用しやすい創業等支援を通じた雇用機会の創出拡大(再掲)

54億円

(3)都道府県との連携による良好な雇用機会の創出に向けた支援策の強化

103億円

○ 国と都道府県が連携した地域雇用開発促進助成金の効果的発動(再掲)

27億円

○ 事業主団体を活用した地域求職活動援助事業の推進

56億円
 地域の実情に応じた雇用開発を促進するため、都道府県が策定する地域求職活動援助計画に沿って実施する事業主団体を活用した就職支援活動を推進する。

(4)雇用創出に向けた起業・創業支援

○ 新分野等への事業展開に必要な相談援助、人材養成

4.2億円
 企業の新分野進出や労働者による起業・創業を支援するため、事業展開の方向性や必要な人材の確保、養成に関する相談援助を行うとともに、事業展開に必要な人材養成のための訓練コース開発・普及等を実施する。

3 労働市場の基盤整備

971億円

 民間活力の活用等によるマッチング機能の強化

542億円

○ 官民連携した雇用関係情報の積極的提供等

6.5億円
 労働力需給調整機能を強化するための労働市場の基盤整備として、しごと情報(求人・求職情報)ネット、労働市場情報ネット(職業情報データベース)の活用により、就職支援情報を積極的に提供する。
 また、民間の職業紹介事業者との連携を図り、再就職支援体制の整備を進める。

○ 民間の就職支援会社を活用する事業主への助成の実施

14億円
 離職を余儀なくされる労働者について、民間の就職支援会社を活用して再就職を支援し、これを実現した事業主に対する助成を行う。

○ 公共職業安定所のサービス提供体制の整備

62億円
 求職者が自ら求人情報を検索・閲覧できる求人自己検索パソコンを公共職業安定所に整備するとともに、大都市圏就職サポートセンター等における休日・夜間を含めた職業紹介を推進する。

○ 職業訓練と職業紹介との連携の強化

3.9億円
 職業訓練受講者等の再就職を促進するため、全国の主要公共職業安定所に就職支援アドバイザーを配置し、公共職業能力開発施設との綿密な連携の下、求人開拓・職業相談等を実施する。

○ 労働者派遣制度、職業紹介事業制度の検討

72百万円
 労働者派遣制度及び職業紹介事業制度の実施状況について総合的な実態調査を行い、それを踏まえて、制度の見直しを検討する。


第3 人材大国の確立を目指した人材育成の推進

 経済社会が大きく変貌し、技術革新が急速に進展する中で日本経済の再生を図るためには、柔軟で質の高い技術と能力を有する労働者を育成することが必要である。このため、知識・知恵を生み出す創造的人材が豊富に存在する人材大国の確立を目指した総合的な人材育成システムを構築する。

1 人材大国を創造する先導的な取組の推進

104億円

(1)人材大国の創造に向けた推進体制の整備

○ 訓練コースの開発及び評価を行うための教育と連携した中央及び地域における協議会の設置等

11億円
・産業界、大学協会、NPOの関係者からなる「人材大国創造総合会議」(仮称)を開催し、職業教育訓練機会の確保に向けた基本的な方針を策定する。
・地域の産業界、大学(院)、NPOの関係者からなる「人材大国創造地域協議会」(仮称)を各都道府県において開催し、大学・大学院等を活用した社会人向け教育訓練コースの開発等を行うとともに、地域の職業訓練機関を総合的に活用するための具体的方針を確立する。

(2)人材大国の創造を進めるための先導的な教育訓練の推進

93億円

○ 大学・大学院、NPO等を活用した教育訓練機会の確保等

17億円
・企業の多様なニーズに応じた人材を育成するため、大学・大学院やNPOを活用した訓練コースや新規・成長分野の訓練コースを設定、実施する。
・企業発展に必要な新製品の開発等に当たる人材を育成するため、職業能力開発大学校と地域の理工系大学・大学院、企業系研究機関との密接な連携の下、高度な職業訓練コースを設定、実施する。

2 人材大国を支える職業能力開発の基盤整備

1,643億円

(1)多様な教育訓練機会の確保・創出

1,270億円

○ IT化に係る多様な職業能力開発の推進

(対象者 70万人)
72億円
・ITに係る高度な人材の育成を推進するため、電子商取引に従事するホワイトカラー、先端的情報通信技術者、ITとものづくりを融合する分野の高度技術・技能者を育成するための職業訓練を展開する。
・IT活用能力不足に起因する雇用ミスマッチの解消を図るため、民間機関を活用した職業訓練(対象者:離職者20万人)、自習用端末や遠隔教育訓練システムを活用した能力習得支援(対象者:50万人)を実施する。

○ 中高年ホワイトカラー離職者等に対する総合的な職業能力開発プログラムの展開

(対象者 13万人)
118億円
 中高年ホワイトカラー離職者の職業能力に起因するミスマッチを解消するため、職業安定機関と職業訓練機関が連携し、離職者に対するキャリア形成相談、高等教育機関やNPO、民間の企業団体等を活用した委託訓練、求人者の人材ニーズに応じたオーダーメイド型の訓練コースの機動的な編成、委託訓練受講者に対する巡回相談方式による就職指導等の一貫した支援システムを整備し、早期の再就職を支援する。

○ 新規・成長分野等その他必要な職業訓練の着実な実施

575億円
・離職者、在職者を対象とした公共職業能力開発施設における職業訓練について、産業界の人材ニーズに即し、新規・成長分野等を重点に訓練コースの多様化、高度化を図りつつ、着実に実施する。
・公共職業能力開発施設において、土日・夜間の職業訓練コースを開講するとともに、入校時期を弾力化し、離職者等に対する職業訓練機会を拡充する。

(2)キャリア形成(職業経歴を通した能力形成)支援の推進

317億円

○ キャリア・コンサルティング(キャリア形成相談)を担う高度な人材の育成の推進

70百万円
 職業能力開発大学校等においてキャリア・コンサルタントの養成コース訓練を実施するとともに、より高度なキャリア・コンサルティングに係る訓練コースを開発する。

○ 能力開発支援アドバイザーによるキャリア相談機能の強化

35億円
 キャリア形成に関する相談支援を行う能力開発支援アドバイザーを公共職業安定所等に配置して、能力開発プランの作成等きめ細かな相談援助を行う。

(3)適正な職業能力評価システムの整備

31億円

○ 幅広い職種を対象とする包括的な職業能力評価制度の整備

2.9億円
 ホワイトカラー等職業能力評価制度の確立されていない職種について、知識・技能に加え判断力や行動特性を含めた総合的な労働者の職業能力評価のための基準の策定及び評価手法の開発を行い、業種・職種間の労働移動にも対応できる包括的な職業能力評価制度の整備を推進する。

3 人材大国を担う若年者の育成

162億円

(1)学校等と連携した早期職業意識啓発の推進

18億円

○ 学校等と連携した早期職業意識啓発の推進

12億円
 高校、大学等と連携して、職業ガイダンスの実施や職業体験機会の提供等を通じ、早期の職業意識形成の促進を図る。

○ 大学生等を対象とするインターンシップの拡大

6.2億円
 大学生等を対象とするインターンシップの拡大を図るため、経済団体と連携して、受入企業の開拓、受入企業情報の大学等への提供を行う。

(2)若年者の職業能力開発支援の強化

15億円

○ 未就職卒業者に対する能力開発の支援

8.8億円
 高校、大学等を卒業した未就職者に対して、就職に必要な実務能力を付与するための職業訓練を民間教育訓練機関で実施し、早期就職の実現を図る。

(3)若年求職者に対する就職支援策の推進

116億円

○ 学卒未就職者等に対する試行雇用の支援の推進

95億円
 学卒未就職者等の若年失業者に実践的な能力を付与するため、研修・訓練を組み込んだ短期間の試行雇用を実施する企業に対して支援を行う。

○ 不安定就労若年者を対象とした雇用安定促進事業の実施

3.5億円
 いわゆるフリーターといわれる不安定就労若年者のうち、安定した雇用を希望する者に対し、個別指導方式による就職支援を行うことにより、円滑な就職促進及び職場定着を図る。


第4 安心して子どもを産み育て、意欲を持って働ける社会環境の整備

 少子化が急速に進展する中、我が国の社会を安定させ、経済を活力あるものにするためには、子どものしあわせを第一に考え、児童の健全育成を図るとともに、安心して子どもを産み育てることができ、また、女性がその能力を十分に発揮することができる社会環境を整備することが重要である。
 このため、多様な子育てニーズに対応し、保育サービスや仕事と家庭の両立支援策等を拡充するための新エンゼルプランを積極的に推進して、子育て家庭を支援する。特に、保育所の待機児童ゼロ作戦の推進、放課後児童の受入れ体制の整備等を重点的に進める。
 母子家庭等については、その自立を総合的に支援することとし、併せて児童扶養手当制度の見直しを行う。また、児童虐待防止対策や配偶者からの暴力(ドメスティック・バイオレンス)への対策を充実する。
 さらに、雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保を図る。

1 保育をはじめとする子育て支援対策の充実

7,036億円

(1)保育所の待機児童ゼロ作戦の推進

316億円

○ 保育所の受入れ児童数の増大

298億円
 待機児童ゼロ作戦を推進するため、保育所受入れ児童数を約5万人増やす。特に需要の多い低年齢児(0〜2歳児)の受入れの増を図る。
 また、これに対応した施設整備を行う。

○ 送迎保育ステーションの整備

2.5億円
 駅前等の利便性の高い場所に送迎保育ステーションを整備し、保育所への送迎サービスを実施する。送迎先の保育所の閉所後は、当該施設において集合型延長保育を行う。

○ 駅前保育サービス提供施設等の整備

60百万円
 駅前等の利便性の高い場所に、保育所、保育所分園、送迎保育ステーション、地域子育て支援センター等の保育サービス提供施設を整備する場合、必要な準備経費を助成する。

○ 認可外保育施設の認可化の促進

1.3億円
 一定の水準の質のサービスを提供する認可外保育施設が認可保育所に移行するに当たり、市町村が保育士を当該施設に派遣して保育内容の指導を行うなど、認可保育所への移行準備を支援する。

○ 待機児童解消のための保育施策の推進等(☆)

1.3億円
・待機児童ゼロ作戦の推進等時代のニーズに応えた保育施策を推進するため、待機児童解消のための先進的な保育施策の取組事例等を収集した資料集の作成、都道府県、市町村、保育所等による保育施策推進のための協議会の開催、認可外保育施設や保育士に関する広報啓発等を実施する。
・主任児童委員に対して、保育や虐待の専門的研修を実施する。
・保育施策等今後の子育て支援策等に関する基礎資料を得るため、子どもと親の置かれている状況や子育てに関する意識などの把握、分析等の調査研究を実施する。

(2)放課後児童の受入れ体制の整備

○ 放課後児童クラブの拡充

 大都市周辺部を中心に、放課後児童の受入れ体制を平成16年度までに全体として15,000か所とすることを目標に、国庫補助対象の放課後児童クラブを800か所増加させる。また、小規模クラブ(10人以上20人未満)について、その設置を促進するため、過疎地等の補助要件を撤廃する。さらに、学校週5日制に対応し、土日祝日も開設するクラブに対し補助を加算する。

10,000か所 → 10,800か所

(3)多様な保育サービスの提供

○ 延長保育の推進

9,000か所 → 10,000か所

○ 休日保育の推進

200か所 → 450か所

(4)子育て家庭への支援の充実

○ つどいの広場事業の創設

1.4億円
 公共施設内のスペースや商店街の空き店舗などの社会資源を活用し、育児に不安や悩みを抱える親などが気軽に集い交流できる場を提供するとともに、ボランティアによる相談等を実施する。

○ 地域子育て支援センターの整備

2,100か所 → 2,400か所

○ 一時保育の推進

2,500か所 → 3,500か所

○ 小児救急医療体制の整備

13億円
 二次医療圏単位での小児救急医療体制の確保が困難な地域において、小児救急患者を広域で受け入れる「小児救急医療拠点病院」を新たに整備する。また、在宅当番医制事業における小児の初期救急対応のモデル的取組を推進する。(再掲)

○ 周産期医療体制の整備

2.9億円
 周産期医療体制(母胎が危険な妊産婦や低出生体重児に適切な医療を提供する医療体制)の整備を推進するとともに、不妊専門相談センターの充実を図るなど、出産を望む女性に対する医療面の支援を拡充する。
周産期医療ネットワーク 20都道府県 28都道府県
不妊専門相談センター 30か所 36か所

○ 小児科・産婦人科若手医師の育成

1億円
 医学生、研修医等の意識調査や、小児科・産婦人科の若手医師を取り巻く現状把握を行うとともに、その資質向上のための研修のあり方等について調査研究を行う。

2 仕事と家庭の両立支援対策の推進

104億円

育児・介護を行う労働者が働き続けやすい環境の整備

93億円

○ ファミリー・サポート・センター事業の拡大

35億円
 地域の子育て支援機能を強化するため、子育て中の労働者や主婦等を会員として、地域における育児の相互援助活動を行うファミリー・サポート・センターの設置を促進する。
182か所 → 286か所(本部)

○ 家庭にやさしい企業(ファミリー・フレンドリー企業)の一層の普及促進

26億円
 育児・介護を行う労働者が働き続けやすい環境の整備を図るため、育児両立支援奨励金(仮称)及び看護休暇制度導入奨励金(仮称)の創設、シンポジウムの開催、企業表彰の実施など「家庭にやさしい企業」の普及促進に総合的に取り組む。

3 児童虐待防止対策の充実

32億円
(1)虐待の発生予防、早期発見・早期対応に向けた体制の充実
7.2億円

○ つどいの広場事業の創設(再掲)

1.4億円

○ 家庭訪問等身近な地域での支援事業の実施

2.5億円
 児童相談所や児童家庭支援センターと連携する子ども家庭支援員制度を創設し、同支援員が軽度な被虐待経験等の問題を抱える家庭に対し、訪問などによる育児相談・支援等を行う。
 また、児童家庭支援センターの設置要件を緩和し、市町村事業としてモデル的に実施する。

○ 児童委員の虐待防止活動への取組の促進

91百万円
 すべての児童委員を対象として、3年に1度の改選に当たり、虐待防止のための実践的な活動方法や技法等を習得するための研修会を開催し、児童委員活動の質の向上を図る。

○ 一時保護所(児童相談所)の体制強化及び児童虐待対応機関の連携強化

56百万円
 一時保護所(児童相談所)のうち一定規模以上のものに主任児童指導員を配置し、処遇の質の向上を図る。また、各地域において、児童相談所や保健所など児童虐待に関連する機関が連携して対応するための独自のマニュアルを作成する。

(2)児童の保護と保護者等への指導体制の充実

15億円

○ 里親制度の充実

59百万円
 被虐待児等に対する専門的な援助技術を持った専門里親(仮称)制度を創設する。専門里親に対し研修を実施し、専門的技能を持った専門里親に一定期間(2年以内)子どもの養育を委託することにより、早期の家庭復帰を目指す。
 また、里親に対する養育相談や、一時的な休息のための援助(レスパイト・ケア)を行う里親支援事業を実施する。

○ 被虐待児への個別対応職員の配置の拡充

7.4億円
 虐待を受けて乳児院へ入所した乳児等をできるだけ早く家庭に帰し、家庭で適切な養育が受けられるよう、親等に対して育児指導・相談を専門的に行う職員を乳児院に配置する。

4 配偶者からの暴力(ドメスティック・バイオレンス)への対策の充実

12億円

○ 婦人相談所の機能強化及び一時保護委託制度の創設

3.3億円
 婦人相談所において、休日・夜間の相談体制の強化を図る。また、一定の基準を満たす民間施設(民間シェルター)等に対し被害者の一時保護を委託する制度を創設するとともに、婦人相談所と福祉事務所や民間施設等との連絡会議を開催するなどの連携の強化を図る。

○ 一時保護所(婦人相談所)及び婦人保護施設への心理療法担当職員の配置

66百万円
 被害者への心のケア対策として、一時保護所(婦人相談所)や婦人保護施設に心理療法担当職員を配置する。

○ 婦人相談所職員等への専門研修会の実施

2百万円
 婦人相談所、婦人保護施設、福祉事務所等において被害者の相談等に従事する職員に対し、配偶者からの暴力(ドメスティック・バイオレンス)に関する専門研修を行う。

5 雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保

17億円

女性の能力発揮促進のための積極的取組(ポジティブ・アクション)の推進

9.9億円

○ ポジティブ・アクション推進協議会の活動の拡充

17百万円
 経営者団体と連携して、ポジティブ・アクションの取組を全国的に広く普及するため、地方における取組を強化することとし、都道府県レベルの地方推進協議会を設置する。

6 総合的な母子家庭等対策の推進

○ 母子家庭等の自立支援対策と児童扶養手当制度の見直し

2,692億円

 母子家庭等に対する介護人派遣事業や就労支援策等を充実するとともに、児童扶養手当制度については、就労等による収入の増加が総収入の増加につながるよう、所得額と手当額との関係や、所得の範囲について見直しを行う。

※ 総収入が181万円までは、手当を全額支給。
 (月額42,370円、年額約51万円)
※ 総収入が181万円以上の場合には、手当を一部支給。
 (就労等の収入が1万円増えるごとに、総収入が8,000円弱程度増加するよう、支給額を42,360円から10,000円まできめ細かく設定。)

 また、母子家庭等の自立が一層促進されるよう、母子家庭等対策全般について見直し、次期通常国会に向けて法改正を検討する。


第5 健やかで安全な生活を送るための施策の推進

 誰もが健やかな生活を送ることができる社会を目指す上で、肝硬変や肝がん等の原因となるC型肝炎等対策は喫緊の課題であり、各種健康診査等の場を活用して肝炎ウイルス検査を実施するとともに、肝臓病等に関する治療方法や治療薬の研究開発の促進、相談指導の充実による正しい知識の普及など、総合的なC型肝炎等対策を緊急に推進する。
 また、生活習慣病を予防し、健やかな日常生活を送ることができるよう、健康日本21を着実に推進するとともに、地域・職域の連携による総合的な健康づくり対策などの取組を推進する。
 さらに、国民の安全、安心な食生活を確保するため、牛海綿状脳症(BSE)感染牛の肉が食用として流通することがないよう、と畜検査体制の整備に万全を期するとともに、遺伝子組換え食品のモニタリング検査体制の強化を図る。

1 C型肝炎等緊急総合対策の推進

60億円

(1)現行の健康診査体制を活用した肝炎ウイルス検査等の実施

52億円

○ 老人保健法に基づく基本健康診査等における肝炎ウイルス検査等の実施

49億円
・40歳から70歳までの老人保健法に基づく健康診査の受診者に対し、5歳刻みで節目検診を行い、5年間で全員に肝炎ウイルス検査等を実施する。なお、現に肝機能検査で要指導領域にある者等については、早期に二次検診として肝炎ウイルス検査を実施する。
・政府管掌健康保険等の生活習慣病予防健診においても、肝炎ウイルス検査を実施する。

○ 保健所における肝炎ウイルス検査の実施

3.2億円
 保健所において性感染症又はHIV抗体の検査を行う40歳以上の希望者に対し、肝炎ウイルス検査を行う。

(2)肝炎等に関する総合的な研究の推進

○ 肝臓病の治療方法、治療薬等の研究開発(☆)

7.4億円
 未だ十分な知見が確立していない肝炎ウイルスについてその病態や感染メカニズムの解明を進めるとともに、肝炎、肝硬変、肝がん等の予防及び治療法の研究を推進する。

(3)国民に対する普及啓発・相談指導の充実

36百万円

○ 肝炎に関する保健指導従事者研修等の実施

27百万円
 地域・職域を通じて、肝炎ウイルスの感染者に対する的確な保健指導及び肝炎に関する正しい情報提供を行うための研修事業等を実施する。

2 心身ともに健やかな生活を支える取組

1,792億円

(1)健康日本21の着実な推進

961億円

○ 健康日本21の普及啓発

5.8億円
 国民一人一人の健康づくりを推進するため、ホームページによる情報提供、全国大会や国際会議の開催、健康づくり支援者の養成等の普及啓発事業を実施する。

○ 中間評価に向けた取組の推進

4百万円
 健康日本21の運動期間の中間年である2005年に中間評価を実施するため、評価手法の検討を行う。

○ 生活習慣病対策の推進

46億円
 心臓病、高脂血症等の生活習慣病に関するホームページによる正しい知識の普及、糖尿病実態調査の実施、たばこやアルコール対策、食生活改善のための普及啓発等、各種生活習慣病対策を推進する。

(2)地域・職域を通じた健康づくり

4.3億円

○ 地域・職域を通じた健康づくりの推進

96百万円
 地域・職域で相互利用が可能となる総合的な健康情報管理システムを開発し、このシステムを活用して市町村が退職者の個別健康指導等を行うモデル事業を実施する。併せて、地域・職域の保健事業の共同実施や連携に必要な情報交換を行うための連携協議会の開催等を通じ、地域保健・職域保健の連携の推進方策を検討する。

○ 職場におけるメンタルヘルス対策の推進

3.4億円
 仕事でストレスを感じる労働者や自殺者の増加への対策を効果的に推進するため、メンタルヘルス指針の普及・定着を図り、事業者等に対する支援を行うとともに、都道府県レベルでメンタルヘルス対策を推進するための連絡協議会の開催により、地域保健・職域保健の連携を図る。

(3)心の健康づくり対策

○ 思春期児童等の心の健康づくり対策の推進

52百万円
 思春期児童や災害被災者等に対する心のケアの充実を図るため、専門家の養成研修等を実施する。また、関係機関の連携による思春期児童等の専門家チームを構成し、相談から指導、解決まで総合的に対応するモデル事業を都道府県等において実施する。

(4)健康危機管理対策の推進

○ 健康危機管理情報システムの構築(☆)

69百万円
 自然災害、毒劇物等によって発生する健康危機に迅速・的確に対応するため、正確な情報をリアルタイムで把握し、専門家等の参画による速やかな対応を図るためのシステムを開発する。

(5)大規模感染症対策の強化

○ 大規模感染症発生時の広域的連携の強化及び事前対応体制の構築

5百万円
 国際化の進展により海外との交流機会が拡大しており、特にサッカーの2002年ワールドカップ開催に対応した感染症危機管理対策として、迅速な感染症発生の把握、専門家による対応の検討、ブロックごとの広域連携を図るための連絡協議会の設置等を行う。

(6)臓器移植対策の推進

30億円

○ 臓器移植の推進

5.5億円
 学校教育の場で臓器移植の普及啓発を行うため、教育用普及啓発読本を作成、配布するとともに、臓器提供施設において提供事例が発生した際に生じる費用の一部について支援するなど、臓器移植の普及推進を図る。

○ 骨髄移植の推進

9.4億円
 骨髄バンクのドナー登録者の目標(30万人)を達成するため、全国各地で骨髄提供登録会を開催することにより、骨髄移植に対する国民の理解と認識を高め、骨髄移植の普及を推進する。

○ さい帯血移植の推進

9.3億円
 さい帯血の保存目標(平成14年度に2万個)を達成するため、さい帯血バンクの増など採取及び保存体制の整備を図る。

(7)シックハウス対策の推進等

12億円

○ シックハウスに関する医療施設の整備等

5億円
 医療機関に環境調整室(クリーンルーム)を整備するとともに、室内環境基準の設定を推進するなど、シックハウス対策の充実を図る。

○ 生活環境中の有害化学物質対策の推進(☆)

7.5億円
 特定化学物質の環境中への排出量を的確に把握するため、事業所からの報告をオンラインで受け入れ、適切に公表する(PRTR制度)ためのシステム整備を行う等生活環境中の有害化学物質対策の充実を図る。

(8)リウマチ・アレルギー対策の推進

19億円

○ 免疫アレルギー疾患に関する研究等の推進

・リウマチ、気管支喘息、アトピー性皮膚炎、花粉症、膠原病などの免疫アレルギー疾患の病因・病態の解明、治療法に関する研究を推進する。(☆)
・免疫アレルギー疾患に関する正しい情報の普及を図る。

3 食品の安全対策の強化

149億円

○ 食肉の安全確保のための牛海綿状脳症(BSE)対策の強化

52億円
・BSEに感染した牛の肉が食用として流通することがないよう、平成13年度に引き続き、特別措置として検査キットの整備に対する補助を行うとともに、検査機器の整備や検査技術の研修を実施し、各自治体において迅速かつ適正に全頭検査を行うための体制強化を図る。
・特定危険部位の適正処理を推進するため、と畜場に脊髄除去設備や焼却設備等を整備する。
・BSEに関する正しい情報の普及啓発を推進するとともに、食肉検査の高度システム化モデル事業など、地域の特性に応じ、食肉安全性確保推進事業を実施する。
・検疫所における輸入牛肉のモニタリング検査体制の強化を図る。
・BSEの病因とされる異常プリオン(たんぱく質の一種)についてのより精度の高い検査法の確立や感染メカニズムの解明等に関する研究を進める。(☆)

○ 遺伝子組換え食品の検査体制の強化等

2.6億円
 安全性審査を受けていない遺伝子組換え食品の混入、流通を防止するため、より有効な検査法を検討し、輸入時のモニタリング検査体制の強化を図るとともに、自治体等における検査の精度管理体制を整備する。

○ 輸入食品の安全確保の推進

6.6億円
 野菜、鶏肉をはじめとする輸入食品の安全を確保するため、検疫所におけるモニタリング検査体制の強化を図る。

○ 残留動物用医薬品の基準策定の推進

80百万円
 我が国で残留基準が設定されていない動物用医薬品について、国際的基準に基づいた暫定的な残留基準を設定するなど、畜水産食品の安全確保を一層推進する。

4 安全でおいしい水道水の安定供給

1,139億円

○ 水道施設の整備

1,134億円
 すべての国民に安全で良質な水道水の供給を行うとともに、地震・渇水に強い水道づくりを着実に推進する。

○ 水道広域化及び統合化の推進(☆)

22百万円
 各都道府県が策定する広域水道計画の見直しに際し、市町村合併等の形態に応じた水道事業統合の長所、短所を整理した統合計画案を策定する。また、水道事業の第三者委託が認められたことを踏まえ、適正委託のためのガイドラインを作成する。

○ 健全な水循環の形成に関する研究の推進(☆)

1.5億円
・河川や下水道への負荷を軽減し、健全な水循環系を構築するため、居住環境に応じた水の有効利用手法や地域レベルの節水型水道システム等についての研究開発を行う。
・水道事業における環境負荷の軽減等を図るため、環境管理手法の体系化、水道の熱エネルギーの活用方策、水道水源の水質監視の高度化等についての研究開発を行う。

○ 水道事業における民間活力の活用等(☆)

30百万円
 水道事業の合理化を推進するため、PFI事業の導入に向けたPFI活用ガイドラインの策定等を行うとともに、渇水時に都市用水を効率的に運用するため、水道事業者が渇水時節水総合計画を策定するためのガイドラインを策定する。

5 麻薬・覚せい剤等対策

14億円

○ 薬物乱用防止のための普及啓発の推進

39百万円
 都道府県知事から委嘱された薬物乱用防止指導員の中から、地域における中心的な指導者を養成するとともに、指導員が地域の各種会合において啓発活動を行うための啓発用資材(CD−ROM、ビデオ)を作成、配布する。

○ 取締体制の強化

 急増する外国人による麻薬・覚せい剤の組織的密売の摘発を推進するため、その壊滅を目指した取締りの体制強化を図る。


第6 障害者の自立・社会参加・雇用の推進と良質な福祉サービスを提供するための体制整備

 障害者の自立と社会参加を推進するため、住まいや働く場の確保、地域における自立の支援等、障害者プランを着実に推進するとともに、障害者雇用対策の見直しを行うなど、障害者の雇用就業施策及び保健福祉施策の充実を図る。
 また、福祉分野における第三者評価の推進、福祉に携わる人材の質の向上など良質な福祉サービスを提供するための体制を整備するとともに、地域福祉計画の策定、ボランティア活動への支援等地域福祉の推進を図る。併せて、低所得者等の生活を支援するため、生活福祉資金貸付制度の充実を図る。

1 障害者雇用対策の推進

143億円

(1)障害者雇用対策の見直し等経済情勢の変化等に対応した障害者雇用の促進

75億円

○ 職場適応援助者(ジョブコーチ)による支援事業の実施

18億円
 就職が特に困難な知的障害者、精神障害者等の雇用の促進を図るため、授産施設等と連携して、障害者の就職先に職場適応援助者(ジョブコーチ)を派遣し、職業的自立に向けての総合的かつ具体的・実践的な人的支援を実施する。
20か所 → 47か所

○ 障害者の職業能力開発の推進

51億円
 視覚障害者の職業的自立に資するための訓練設備の整備等を図ることにより、障害者の職業能力開発を推進する。

(2)福祉と雇用の連携による就業・生活支援の推進

○ 障害者就業・生活支援センター(仮称)による就業・生活支援の一体的推進

5.5億円
 障害者に対する就労面及び生活面での支援を充実するため、地域における保健福祉及び雇用関係機関の連携の拠点として、「障害者就業・生活支援センター」(仮称)を設置し、職業相談、生活相談等の支援事業を実施する。
25か所(モデル事業) → 47か所

(3)精神障害者の雇用対策の推進

10億円

○ 地域障害者職業センターによる精神障害者職業自立支援事業の拡充

1.3億円
 地域障害者職業センターが、地域の雇用、医療、福祉の機関等との連携の下に、精神障害者を医療リハビリテーションから職業リハビリテーションに円滑に移行させ自立を図るための事業を実施する。

○ 医療機関と連携した精神障害者の実践的な求職活動指導の充実

86百万円
 公共職業安定所が職員を医療機関、福祉施設等へ派遣し、就業意欲の高い精神障害者を対象として、実践的な求職活動指導を実施する。

2 障害者保健福祉施策の推進

6,667億円

(1)障害者プランの着実な推進

○ 障害者プランの着実な推進

3,050億円
 障害者プランの最終年に当たり、地域生活援助事業(グループホーム)等障害者の住まいの確保、授産施設・福祉工場等障害者の働く場の確保、ホームヘルパーの増員など介護サービスの充実を図る。

(2)自閉症等対策の推進

1.2億円

○ 自閉症・発達障害支援センター(仮称)の創設

1億円
 自閉症等の特有な発達障害を有する障害児(者)に対し、専門的な相談支援、療育サービス等を行う拠点として、「自閉症・発達障害支援センター」(仮称)を設置する(自閉症児施設、知的障害児施設等に附置。)。

(3)障害者の情報バリアフリーの推進

○ 障害者による情報機器の活用の推進

7.4億円
 障害者がパソコンを利用する際に必要となる周辺機器等の購入助成及びその使用方法を教えるボランティアの養成・派遣や、企業等で不要となったパソコンのリサイクル活用等により、障害者の情報通信技術の利用機会や活用能力の格差(デジタル・ディバイド)を是正する。

(4)精神医療対策の強化・充実

488億円

○ 精神科救急情報センターにおける相談体制の整備

6.1億円
 公立病院、精神保健福祉センター等に設置された精神科救急情報センターに24時間体制の医療相談窓口を整備し、各種医療相談に対応するとともに、必要に応じて精神科救急医療施設への移送等に円滑につなげる体制を整備する。

○ 海外の司法精神医療施設における専門医等の養成研修(☆)

43百万円
国立医療機関等の精神科医等を海外の司法精神医療施設に派遣し、急性期医療や触法精神障害者の医療について研修を行い、専門医等を養成する。

(5)精神障害者の社会復帰対策の充実

187億円

○ 精神障害者に対するホームヘルプサービスの本格実施

 日常生活を営むのに支障がある精神障害者の家庭を訪問して、介護等のサービスを提供し、家庭及び地域での日常生活の維持・向上を支援するホームヘルパーの派遣事業については、これまで試行的に実施してきたが、精神保健福祉法の改正を踏まえ、同法に基づく事業として本格的に実施する。

3 良質な福祉サービスの提供と地域福祉の推進

178億円

○ 福祉サービスの第三者評価等の推進

3.4億円
 評価を受ける事業所をモニターとして活用する等普及啓発の促進、評価調査者の養成研修の実施、福祉保健医療情報ネットワークシステム(WAM NET)を通じた評価機関の情報公開等を行う。
 また、運営適正化委員会における苦情解決事業の推進を図る。

○ 介護福祉士養成施設教員等福祉に携わる人材の資質向上

20億円
 介護福祉士養成施設の教員に対し、介護福祉学、介護教育方法等の専門的な講習を実施するなど、福祉に携わる人材の資質向上等を図る。

○ 地域福祉の推進

35億円
 ボランティア活動の振興や地域福祉権利擁護事業の更なる定着を図るとともに、社会福祉法に定められた「地域福祉計画」(平成15年4月施行)の策定を支援する。

4 社会的支援が必要な者の自立に向けた取組

27億円

(1)生活福祉資金貸付制度の充実

○ 生活福祉資金貸付制度の充実

15億円
 低所得者に対するセーフティネットとしての機能を強化するため、保有資産に着目した新たな貸付の導入など制度の充実を図る。

(2)ホームレスの自立支援

○ ホームレス自立支援事業の拡充等

11億円
 ホームレス自立支援センターにおいて、生活相談・指導、職業相談・紹介等を行うことにより、ホームレスが就労によって自立できるよう支援する。また、ホームレスの夜間の緊急一時的な宿泊場所(シェルター)の設置を推進する。

5 生活保護

1兆3,837億円

○ 生活扶助費等

 国民の消費支出や物価の動向を勘案し、平成14年度基準額は、前年度同額とする。

・標準3人世帯(33歳男、29歳女、4歳子、1級地−1)
月額 163,970円


第7 活力ある高齢社会の実現と介護保険制度の着実な実施

 急速に高齢化が進展する中、国民の一人一人が長生きして良かったと実感できる豊かで活力のある社会を実現するため、高齢者の知識・経験を生かした雇用・就業機会を確保するとともに、様々な形態で高齢者が社会に参加できるよう支援する。
 また、高齢者介護を皆で支え合う介護保険制度を着実に実施し、より良い制度としていくため、ゴールドプラン21の推進など介護サービス基盤の整備、介護サービスの質の向上、要介護認定の仕組みの検討等を行う。

1 高齢者が活き活きと働き、参加できる社会の実現

925億円

(1)知識・経験を活用した65歳までの雇用の確保

482億円

○ 継続雇用制度の導入の促進

482億円
 65歳までの継続雇用を推進するため、定年の引上げ、継続雇用制度の導入等を行った事業主に対して、年金支給開始年齢に連動した助成を行う。

(2)中高年齢者の再就職の促進

128億円

○ 地域高年齢者再就職支援事業の創設(☆)

2.5億円
 市区町村と公共職業安定所の協力体制の下、高齢者に対する年金、介護その他福祉サービスに係る情報、求人情報の提供を行うとともに、職業相談を実施し、高齢者の再就職活動を支援する。

(3)高齢者の社会参加の促進

233億円
○ シルバー人材センター事業の推進
141億円
 高齢者が生きがいを持って地域社会で生活するため、定年退職後等において軽易な就業を希望する高齢者に対し、就業機会、社会参加の場を提供するシルバー人材センター事業を推進する。

○ 高年齢者共同就業機会創出支援事業の推進

18億円
 高年齢者が共同して起業することにより、自ら継続的な就業機会を創出する場合に助成金を支給する。

2 介護保険制度の着実な実施と基盤整備等関連施策の推進

1兆7,981億円

(1)介護保険制度の安定運営の確保

○ 介護給付に対する国の負担等

1兆4,835億円

(2)ゴールドプラン21の着実な推進

2,298億円

○ 特別養護老人ホーム、介護老人保健施設等の整備

1,064億円
・ゴールドプラン21に基づき、特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、痴呆性高齢者グループホーム等を計画的に整備する。
・特別養護老人ホームについては、居住環境を抜本的に改善し、入居者の尊厳を重視したケアを実現するため、個室・ユニットケアを特徴とする新型特別養護老人ホームの整備を推進する。
特別養護老人ホーム 13,000人分
介護老人保健施設 7,000人分
痴呆性高齢者グループホーム 500か所
ケアハウス 3,700人分

(3)介護サービスの質の向上等

290億円

○ 介護支援専門員(ケアマネジャー)に対する支援及び資質の向上

27億円
・地域におけるケアマネジャーの支援体制を強化するため、基幹型在宅介護支援センター等を核とし、関係機関との連絡調整や指導助言等の援助を行うケアマネジメントリーダーの養成を進めるとともに、その活動を支援する。
・ケアマネジャーの資質向上を図るため、現任研修において事例演習等を通じたより高度な専門研修課程を新設し、習熟度に応じた技術の向上を図る。

○ 痴呆介護技術等に関する研究と指導者の養成

6.4億円
 全国3か所の高齢者痴呆介護研究センターにおいて、痴呆性高齢者の介護技術等に関する研究を実施するとともに、地域において介護技術の指導に当たる指導者の養成研修を実施する。

(4)要介護認定の仕組みの検討

○ 要介護認定ソフト(改訂版)の開発

15億円
 要介護認定の一次判定に用いる「要介護認定ソフト」について、新たな各種調査の結果等を踏まえたソフトを開発し、その試用を行う。

(5)介護報酬見直しに向けた取組

37億円

○ 介護報酬見直しに係るシステム改修

35億円
 介護報酬の見直しに係る市町村の事務処理システム及び国民健康保険団体連合会の審査支払システムのプログラム改修を行う。

○ 介護事業経営実態調査の実施

2.5億円
 介護報酬見直しの基礎資料を得るため、全国の介護保険施設や指定居宅サービス事業者等を対象に、収支の状況、資産等の状況、従業員及び給与の状況等、その経営実態を調査する。

(6)福祉用具・住宅改修の普及・適切な活用の促進

○ 在宅介護支援センター等による福祉用具・住宅改修の活用の支援

5.2億円
 福祉用具や住宅改修の適切な活用を進めるため、介護実習・普及センター等における専門的な研修を拡充するとともに、在宅介護支援センター等における福祉用具・住宅改修の専門家による相談援助体制の整備を図る。

3 長期的に安定した信頼される年金制度の構築

○ 年金給付費国庫負担金

5兆4,919億円

* 平成14年度の年金額
・平成13年の消費者物価指数の下落が見込まれるが、物価スライドの特例措置を講じ、平成14年度の年金額は前年度と同額とする。
・厚生年金(サラリーマン世帯の標準的な年金額)(月額)
238,125円
・国民年金(月額) 老齢基礎年金 67,017円
老齢福祉年金 34,333円
障害基礎年金(1級) 83,775円
障害基礎年金(2級) 67,017円

※ 物価スライドの特例措置による財政影響を後世代に先送りしないための方策を検討する。
*20歳前障害に係る障害基礎年金の本人の所得制限限度額の引上げ
・2人世帯:収入ベース
(平成13年度) (平成14年度)
558.8万円 565.6万円(一部停止)
681.3万円 689.0万円(全部停止)


第8 安心して働ける環境づくり

 経済社会の構造変化の中で、労働者が安心して働ける環境を整備していくことは引き続き重要な課題である。
 このため、多様な働き方を可能とする労働環境の整備、健康で安心して働ける職場づくり、労働関係の個別化・複雑化の中で安心して働ける条件整備等の施策を推進する。

1 多様な働き方を可能とする労働環境の整備

333億円

(1)創造的・自律的な働き方を可能にする環境整備

315億円

○ 裁量労働制等の検討

51百万円
 企画業務型裁量労働制を導入している事業場等の実態を調査、把握し、今後のあり方についての検討に必要な情報を分析、整理する。

○ 長期休暇制度の普及促進

6.3億円
 年次有給休暇と週休日等との組合せにより2週間程度連続する「長期休暇(L休暇)」の普及に向けて、シンポジウム開催等普及啓発、先行して取組を行うモデル企業及び事業主団体を対象とした助成等を実施する。

○ 未払賃金立替払制度の適正な運営

244億円
 企業倒産によって賃金が未払いのまま退職させられた労働者に対する未払賃金立替払制度について、迅速かつ適正に実施する。

(2)在宅就業対策の推進

○ 在宅就業対策の推進

1.1億円
 在宅就業を支援するため、自己診断システムによる在宅就業者の基礎的な能力の評価結果に係る情報や能力向上のための教育訓練制度情報などをインターネットにより提供する。

(3)個別労働紛争解決制度の充実

15億円

○ 総合的な個別労働紛争対策の推進

14億円
 企業組織の再編等に伴う個別労働紛争の増加に対応するため、総合労働相談窓口における相談、都道府県労働局の紛争調整委員会によるあっせん等を実施する。

2 健康で安心して働ける職場づくり

1,203億円

(1)安全の確保・向上及び健康の確保対策の推進

359億円

○ 労働者の安全や健康確保のための研究の推進(☆)

3.8億円
 産業構造の変化等により仕事や職場に強い不安やストレスを感じる労働者の増加、化学物質による労働者の健康影響等の課題に的確に対応するため、労働安全衛生に関する科学的知見を集積するための研究を推進する。

○ PCB等の有害廃棄物処理における労働者のばく露防止対策の推進

42百万円
 PCB等の有害廃棄物の回収、無害化処理等に従事する労働者のばく露リスクについて、労働衛生面での評価を行うための実態調査を実施するとともに、労働者のばく露防止対策を検討する。

(2)労災補償の適切な実施

649億円

○ 労災保険給付の迅速・適正な処理

5.5億円
 脳血管疾患及び虚血性心疾患等の認定基準の改正を踏まえ、複雑・困難な過労死事案等の労災保険給付の迅速・適正な処理を推進する。

(3)勤労者生活対策の推進

195億円

○ 中小企業退職金共済制度の適切な運営

152億円
 独力では退職金制度を設けることが困難な中小企業を対象とする中小企業退職金共済制度の適切な運営を図り、中小企業で働く勤労者の退職金制度の加入を促進する。

○ 勤労者のボランティア活動への参加に向けての基盤整備

4.7億円
 事業主団体、ボランティア関係団体と連携しつつ、ボランティアを希望する勤労者を対象に、受入先との結合や情報提供・相談活動等を実施する。


第9 国際社会への貢献

 世界保健機関(WHO)や国際労働機関(ILO)等を通じた国際的活動、IT技能研修の実施や研修生の受入れ等による開発途上国支援を推進するとともに、外国人労働者の雇用対策等を推進する。

(1)国際機関を通じた国際的活動の推進

163億円

○ 世界保健機関(WHO)等を通じた活動の推進

109億円
 世界保健機関(WHO)、国連合同エイズ計画(UNAIDS)への拠出等を通じ、エイズ及び結核等の感染症対策、食品保健対策、化学物質対策等の国際的な活動を推進する。

○ 国際労働機関(ILO)を通じた活動の推進

49億円
 国際労働機関(ILO)への拠出等を通じ、労働者の基本的な権利の実現、雇用の促進、労働条件の向上を世界的に推進する。

○ WHO西太平洋地域委員会の開催

1.3億円
 WHO西太平洋地域委員会(WPRO)を京都市で開催し、WHOの西太平洋地域における活動の推進に貢献する。

(2)開発途上国に対する国際協力等の推進

57億円

○ 開発途上国への効果的な技能移転等の推進

33億円
 アジア・太平洋経済協力(APEC)域内の開発途上国において、現地の日系企業等を活用してIT技能研修を実施し、人材の育成を図る。

○ 開発途上国の行政官等への厚生労働分野の効果的な研修等の推進

4.6億円
 途上国からの行政官を中心とした研修員の受入れ等を通じて、開発途上国支援を推進する。

○ 技能実習制度の適正かつ円滑な推進

5.1億円
 技能実習生及び受入企業等に対し、適正かつ効果的な技能実習が行われるための各種支援措置を講じ、開発途上国の「人づくり」に貢献する。

(3)外国人労働問題への適切な対応

12億円

○ 専門的、技術的分野の外国人労働者の的確な雇用管理の実施

11百万円
 関係機関との連携の下、専門的、技術的な外国人労働者の的確な受入れを図るため、雇用管理マニュアルの作成等の事業を推進するとともに、留学生の就職実態を把握し就職支援を行う。


第10 各種施策の推進

1 ハンセン病対策の推進
450億円

○ 名誉回復のための対応

3.7億円
 ハンセン病患者・元患者の名誉回復を図る観点から、啓発普及のさらなる充実を図る。
 (謝罪広告掲載や事実検証調査、ハンセン病資料館の充実等)

○ 福祉の増進等のための対応

446億円
 引き続きハンセン病療養所入所者の療養を確保するとともに、入所者家族及び退所者の福祉に関する措置を講じ、新たに退所者給与金を創設する。

○ 死没者に対する追悼の意を表するための対応

85百万円
 ハンセン病療養所において生涯を終えることとなった死没者に対し、納骨堂からの改葬に要する費用の補助を実施する。

2 生活衛生関係営業の指導及び振興の推進

23億円

○ 生活衛生関係営業の振興のための支援

16億円
 生活衛生関係営業における食品リサイクルの推進を図るとともに、衛生水準の向上及び経営の健全化等を図るため、生活衛生同業組合等による自主的な振興事業を支援する。
 また、国民生活金融公庫の生活衛生資金貸付について、貸付条件等の改善を図る。

3 戦傷病者・戦没者遺族の援護等

718億円

○ 戦没者の遺骨収集等の推進

10億円
 ソ連抑留中死亡者の遺骨収集等の推進、戦没者遺児による慰霊友好親善事業の充実、戦没者遺骨のDNA鑑定技術の活用に係る検討・整理等を図る。

○ 援護年金の改善

671億円
 恩給に準じ、援護年金額の改善を行う。

○ 千鳥ヶ淵戦没者墓苑の改修

1億円
 千鳥ヶ淵戦没者墓苑の設備の構造等について、必要な改修等を行う。

○ 戦傷病者等の労苦継承に係る調査検討の継続

13百万円
 戦傷病者等が体験した労苦を後世代に伝えていくことを目的とした戦傷病者等労苦継承事業(仮称)について、事業形態等の基本計画案を策定するための調査検討を行う。

4 中国残留邦人等の支援

19億円

○ 中国帰国者支援・交流センターの充実

1.8億円
 永住帰国した中国残留邦人等に対し、帰国後4年目以降も引き続き、中国帰国者支援・交流センターにおいて、就労につながる日本語教育の実施、生活相談体制の整備、帰国者同士の交流の促進、NPOやボランティアへの支援等を実施する。

5 原爆被爆者の援護等

1,632億円

○ 原爆被爆者の援護等

・原子爆弾による死没者の尊い犠牲を銘記し、恒久の平和を祈念するため、被爆地である広島及び長崎に原爆死没者追悼平和祈念館を建設する。
 (開館(運営開始)予定 広島:平成14年度、長崎:平成15年度)
・長崎被爆体験者に対する支援事業及び在外被爆者に対する支援事業を実施する。

6 電子政府実現のための基盤整備

40億円

○ 申請・届出等手続の電子化の推進(☆)

11億円
・「e−Japan重点計画」に基づき、平成15年度までに申請・届出等手続の電子化を実現するため、申請の受付等に汎用的に利用できるシステムを開発する。
・医薬品のオンライン申請・届出のための基本システムの開発等、個別行政分野における申請・届出等手続の電子化を推進する。

7 行政ニーズに対応した統計調査の実施

○ 20〜30歳代男女縦断調査(仮称)の実施

2億円
 少子化対策等厚生労働行政の推進に必要な基礎資料を得るため、20〜30歳代の男女を対象として、結婚、出産及び就業等の状況について、意識と行動の変化等を継続的に調査把握する。


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