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第1  生涯にわたり元気で活動的に生活できる「明るく活力ある社会」の構築
 〜健康フロンティア戦略の推進

 超高齢社会の到来に向け、単なる長寿ではなく、国民一人一人が生涯にわたり元気で活動的に生活できる「明るく活力ある社会」を構築していく必要がある。
 このため、国民の健康寿命を伸ばすことを目標に、働き盛り、女性、高齢者の国民各層を対象に、それぞれについて重要性の高い「生活習慣病対策の推進」と「介護予防の推進」に係る施策を進めるとともに、それらを支える科学技術の振興を図るため、「健康フロンティア戦略」を推進する。
 この戦略については、平成18年度以降、医療保険制度改革も視野に入れて生活習慣病対策等について本格実施していくこととし、平成17年度は、この10カ年戦略の初年度であることから、介護保険制度の見直しに併せて、ソフト・ハード両面にわたる基盤整備を重点的に行うこととする。

<健康フロンティア戦略関係予算要求総額 1,126億円>

 「働き盛りの健康安心プラン」による生活習慣病対策等の推進 49億円

(1)個人の行う「健康づくり」の支援  38億円
  ○ ITを活用した健康づくりの支援(e−ヘルスの推進)  4億円
 インターネット等を活用して、国民一人一人が科学的知見に基づく正しい情報を得て自ら生活習慣の改善を行うことを支援するプログラムや、それを踏まえて保健師等の専門家の個別指導が受けられる双方向対話プログラムの提供を行う。

  ○ 健康づくりの「場」と「機会」の提供  2.5億円
 運動や食生活面における生活習慣の改善を促すため、健康づくりに資するウォーキング等の運動に関する指針の策定普及や飲食店におけるヘルシーメニューの提供等の支援を行う。また、公衆浴場等を活用した健康づくりを推進する。

  ○ 身近に地域・職域で受けられる専門相談・指導等  31億円
 生涯にわたる国民の健康づくりを支援するために、地域保健と職域保健が連携し、それぞれの保健事業の効果的・効率的活用を図る体制を整備するとともに、保険者による保健事業の共同実施を推進する。また、受動喫煙対策が遅れている施設等を対象とした禁煙・分煙指導の強化を図る。
 「健康日本21」の中間評価を行い、生活習慣病予防の基礎をなす1次予防に係る施策の見直し・重点化を行う。

(2)健診データに基づく継続的な健康指導  20億円
  ○ 有効性の高い健康診査の推進  4億円
 効果的な2次予防に向けた基盤整備を推進するため、最新の科学的知見に基づき、ライフステージに応じた健診項目の重点化、健診の精度管理、健診データの判定基準等について研究を行い、併せてその有効性について検証を行う。

  ○ 効果的な保健指導の推進(一部再掲)  16億円
 糖尿病の予防に重点をおいた栄養指導マニュアル、禁煙支援のためのマニュアルの策定普及や保険者の共同事業の実施等により、効果的な保健指導を推進する。

(3)迅速な救命救急と専門診断・治療の確保  6.2億円
  ○ 国民の救命参加で「時間の壁」に立ち向かうための自動体外式除細動器(AED)の普及啓発(新規)  1.7億円
 非医療従事者によるAEDを用いた積極的な救命活動が行われるよう講習を実施するとともに、普及啓発等を図り救命率の向上に資する。

  ○ 地域がん診療拠点病院機能強化事業の推進  1億円
 地域におけるがん医療水準の向上と地域格差の縮小を図るため、地域がん診療拠点病院の整備を進めるとともに、がん診療に従事する医師等に対して研修の機会を提供する。

 「女性のがん緊急対策」による女性の健康支援対策の推進 83億円

(1)「女性のがん」への挑戦  82億円
 女性のがん罹患率の第一位である乳がんについて、受診率の向上及び死亡率減少効果のある検診を推進するため、マンモグラフィの緊急整備を図るとともに、乳がん・子宮がん検診に対する啓発普及活動等を推進する。
マンモグラフィの整備 500台

(2)女性の生涯を通じた健康支援  1.8億円
  ○ 健康支援情報の提供(新規)  1.8億円
 国立成育医療センターにおいて女性特有のからだやこころの病気等に関する診療や研究等の情報を一般国民、患者、医療関係者を対象に迅速かつ効率的に発信するための情報システムを構築する。

 「介護予防10カ年戦略」による効果的な介護予防対策の推進 671億円

(1)家庭や地域で行う介護予防対策  225億円
 日常生活圏域で高齢者の生活の継続性を確保しながら、適切な介護予防サービスを提供するため、既存のデイサービスセンターや老人福祉センター等の改修等に必要な支援を行うことにより、介護予防サービス提供のための拠点整備を推進する。
介護予防拠点の整備 3,000か所

(2)効果的な介護予防プログラムの開発・普及  171億円
 効果的な介護予防プログラムの開発と普及体制を確立するため、「介護予防研究・研修センター」を設立し、科学的根拠に基づく介護予防プログラムの開発研究と指導・普及を行う専門職員の養成を行う。
 また、適切な介護予防サービスの提供体制を整備するため、効果的な介護予防サービスの実施及び評価・検証を行う「市町村介護予防試行事業」を実施する。

(3)地域で支える「痴呆ケア」  15億円
 地域における痴呆サポート体制の整備、痴呆ケアの人材育成を推進するため、痴呆性高齢者を抱える家族への支援プログラムを構築するとともに、痴呆介護の専門職員や痴呆性高齢者グループホームの管理者に対する研修、主治医をサポートする痴呆専門医の養成を行うなど総合的な対策を推進する。

 「健康寿命を伸ばす科学技術の振興」 322億円

(1)基盤的技術と最先端技術の研究開発  144億円
  ○ ゲノム科学・たんぱく質科学・ナノテクノロジー等の応用  93億円
 ゲノム科学、疾患に関連するタンパク質の研究、ナノテクノロジーなど、基礎的研究や最先端技術の研究開発を推進することにより、画期的な創薬、医療機器開発の実現を目指す。

  ○ 治験推進体制の充実  21億円
 国内における治験の空洞化を防ぎ、大規模治験ネットワークを基盤とした医師主導の治験を促進するために必要な治験インフラの充実及び医師主導の治験スキームを確立する。

  ○ 老化抑制機構の解明及び介護予防に関する研究  30億円
 老化の原因となる遺伝子要因や環境要因など老化抑制機構の解明に関する基礎的研究や、それらの成果の臨床への応用を研究するとともに、介護予防及び介護技術に関する研究を推進する。

(2)医療現場、介護現場を支える技術の開発普及  177億円
  ○ 糖尿病戦略研究等の推進  45億円
 境界型を含めた患者数が急増し、脳卒中等の重大な合併症の発症にもつながる糖尿病について、予防、診断、治療法に係るこれまでの研究に加え、具体的な目標を設定した「戦略研究」に取り組むとともに、心疾患、脳卒中の診断・治療法等の開発を推進する。

  ○ 第3次対がん10か年総合戦略における研究の推進  70億円
 がんの罹患率と死亡率の激減を目指した「第3次対がん10か年総合戦略」の2か年目として、更なるがんの本態解明を進めるとともに、革新的な予防、診断、治療法の開発等を推進する。
 また、研究開発された新薬、診断・治療法等の臨床応用を迅速かつ適切に行うため、国立がんセンター東病院に臨床開発センター(仮称)を設置する。

  ○ うつ病を中心としたこころの健康問題への取組の推進  23億円
 うつ病や統合失調症、睡眠障害等のこころの健康問題に対して、データの蓄積と解析を行い、心理・社会学的方法、分子生物学的方法等を活用し、病因の解明、効果的な予防、診断、治療法等の研究・開発を行う。

  ○ 医療の質や安全の向上など医療提供体制の確保に資する取組の推進  20億円
 医療の安全に係る基礎情報の収集と提供に関する研究や医療の安全性の評価方法の開発など質が高く安全性の確保された医療提供体制の構築に関する研究を推進する。

  ○ 身体機能の解析・補助・代替のための機器開発の推進  19億円
 ナノテクノロジー、IT、バイオテクノロジー等の先端的要素技術を基礎として、生体機能を立体的・総合的に解析し、補助・代替する機能を持つ、新しい医療機器の開発を推進する。

(3)国民による自己選択を可能とする評価と公表  77百万円
  ○ 技術評価と政策評価の推進  77百万円
 研究開発成果を国民、社会へより効果的に還元するため、外部評価の実施、研究評価者の資質の向上等、評価体制の充実強化を行う。


第2  次世代育成支援対策の更なる推進

 少子化の流れを変えるため、子どもが心身共に健やかに育つ社会、子どもを生み、育てることに喜びを感じることができる社会を構築していく必要がある。
 このため、本年6月に策定された「少子化社会対策大綱」に基づき、政府全体で少子化の流れを変えるための施策を強力に推進することとし、平成16年中に重点施策の具体的実施計画として、新エンゼルプランに代わる新たなプランを策定することとしている。
 厚生労働省においては、専業主婦家庭の子育て負担感の緩和も含めた地域における子育て支援対策や、児童虐待防止対策の充実を図るとともに、待機児童の解消に向けた取組を引き続き推進し、これらにあわせて、子育て生活に配慮した働き方の改革を進める。

 地域における子育て支援対策の充実 3,518億円(3,275億円)
注:括弧内は16年度予算額

(1)地域における子育て支援体制の強化  148億円
  ○ つどいの広場事業の推進  32億円
 子育て中の親子が気軽に集い、相談・交流できる「つどいの広場」について、身近な場所での設置を推進する。
500か所 → 1,000か所

  ○ 地域子育て支援センターの整備  57億円
 子育てサークルの支援や育児相談を行う地域子育て支援センターの整備を推進する。
3,000か所 → 3,300か所

  ○ 育児支援家庭訪問事業の推進  20億円
 出産後間もない時期や、様々な原因で養育が困難になっている家庭に対して、育児・家事の援助や、具体的な育児に関する技術指導を行うことにより、個々の家庭の抱える養育上の諸問題の解決、軽減を図る事業の実施を着実に推進する。

  ○ 乳幼児健康支援一時預かり事業の充実  22億円
 保育所に通所中の児童等が、病気回復期のため集団保育が困難となる間、児童の保育所・病院等における一時預かり等の事業を行う。

(2)放課後児童クラブの拡充  97億円
 放課後児童の受入れ体制の整備を推進する。
12,400か所 → 13,300か所

(3)ファミリー・サポート・センター事業の拡充  19億円
 子育て中の労働者や主婦等を会員として、地域における育児の相互援助活動を行うファミリー・サポート・センターの設置要件の緩和を図るとともに、働くひとり親会員が同センターを利用する際に支援を行う。
(本部)355か所 → 395か所

(4)シルバー人材センターによる子育て支援事業の拡充  9.3億円
 高齢者の就労機会・社会参加の場を提供するシルバー人材センターにおいて、乳幼児の世話や保育施設との送迎などの育児支援、就学児童に対する放課後・土日における学習・生活指導等の支援を行う実施活動拠点を拡充する。
235拠点 → 329拠点

(5)児童手当国庫負担金  3,175億円

 多様な保育サービスの推進 3,443億円(3,456億円)

(1)待機児童解消に向けた保育所の受入れ児童数の拡大  313億円
 待機児童の解消を目指し、保育所受入れ児童数を約5万人増やすとともに、施設整備を推進する。

(2)多様な保育サービスの提供  3,124億円
  ○ 延長保育の推進  324億円
 11時間の開所時間を超えて実施する延長保育を推進する。
13,100か所 → 14,000か所

  ○ 一時・特定保育の推進  33億円
 専業主婦等の緊急・一時的な保育を行う一時保育及び、保護者の就労形態の多様化などに伴う柔軟な保育を行う特定保育を推進する。
5,000か所 →  7,500か所

  ○ 休日・夜間保育の推進  4.2億円
 保護者の勤務形態による休日や夜間の保育需要に対応するため、休日・夜間保育を推進する。
750か所 → 820か所

(3)総合施設モデル事業の実施(新規)  5.5億円
 就学前の教育・保育を一体としてとらえた一貫した総合施設について、平成18年度の本格実施に向けて、教育・保育の内容や職員配置、施設設備のあり方に関する検討を行うためのモデル事業を実施する。
モデル施設 30か所

 子育て生活に配慮した働き方の改革 36億円(27億円)

(1)子育てと両立する働き方の実現に向けた地方自治体の取組の推進(新規)  6.3億円
 次世代育成支援対策推進法に基づく都道府県及び市町村行動計画の趣旨に沿って、地域の実情を踏まえ、仕事と家庭の両立や、勤務時間短縮、在宅就業の普及等の働き方の見直しに向けた積極的な取組を行う地方自治体を支援する。

(2)男性も育児参加できる職場環境の実現  4.6億円
 経営トップリーダーからなる有識者会議の開催、モデル的取組を行う企業への支援、地方公共団体等と連携した周知広報等を総合的に展開し、育児休業の取得等、男性が育児参加できる職場環境の実現へ向けた取組を推進する。

(3)次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画の策定・実施の支援  20億円
 一般事業主行動計画が適切に策定・実施されるように、一般事業主に対する啓発、指導、次世代育成支援対策推進センターの活用等を図るとともに、育児・介護雇用安定助成金の支給要件を事業主行動計画策定等の取組を反映させたものに見直す。

 児童虐待への対応など要保護児童対策等の充実 186億円(181億円)

(1)児童虐待防止対策など児童の保護・支援の充実  171億円
  ○ 育児支援家庭訪問事業の推進(再掲)  20億円
 出産後間もない時期や、様々な原因で養育が困難になっている家庭に対して、育児・家事の援助や、具体的な育児に関する技術指導を行うことにより、個々の家庭の抱える養育上の諸問題の解決、軽減を図る事業の実施を着実に推進する。

  ○ 児童相談所の機能強化  5.6億円
 新たに児童相談所において夜間休日を問わず、いつでも相談に応じられる体制の整備を行うなど児童虐待に対応する相談体制の整備等を図る。

  ○ 施設の小規模化の推進  26億円
 児童養護施設で実施している小規模グループケアの対象施設を、乳児院、情緒障害児短期治療施設及び児童自立支援施設まで拡大する。

  ○ 里親支援の推進  4.9億円
 里親からの求めに応じて援助者を派遣し、相互の交流により里親自身の養育技術の向上等を図るなど里親への支援を推進する。
 また、専門里親への委託対象児童について、従来の被虐待児童のほか、非行等により処遇困難な児童も対象に加える。

(2)配偶者からの暴力(ドメスティック・バイオレンス)への対策等の推進  15億円
 本年6月に改正された「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律」(DV防止法)の円滑な施行のため、DV対策の一層の推進を図る。また、民間シェルター等への一時保護委託について、その対象者を人身取引被害者に拡大する。

 子どもの健康の確保と母子保健医療体制等の充実 292億円(281億円)

(1)子どもの健康・医療の確保  61億円
  ○ 小児救急医療体制の整備  21億円
 小児救急医療体制の整備を引き続き推進するとともに、小児救急医師の確保を図るための調整を二次医療圏単位から都道府県単位に拡大することとし、離・退職小児科医師の発掘、医師の再教育等を行うことにより、小児救急医療等に対応する医師の確保を図る。

(2)小児慢性特定疾患対策の推進  128億円
 小児慢性特定疾患治療研究事業を実施するとともに、日常生活用具の給付を行うなどの福祉サービスを実施する。

(3)周産期医療体制の充実  76億円
 周産期医療体制(重症な合併症等危険な状態にある妊産婦や低出生体重児等に適切な医療を提供する医療体制)の整備を図るため、周産期医療ネットワークの整備などを推進する。

(4)不妊治療に対する支援  27億円
 不妊治療の経済的負担の軽減を図るため、医療保険が適用されず、高額の医療費がかかる配偶者間の不妊治療に要する費用の一部を助成する。

 母子家庭等自立支援対策の推進 3,299億円(3,118億円)

(1)母子家庭等の自立のための就業支援  23億円
 就業相談や就業情報の提供等を行う母子家庭等就業・自立支援センター事業の定着・推進を図るとともに、就労経験の少ない母子家庭の母等に対する無料の職業訓練の拡充を図る。

(2)母子家庭等の子育てと生活の支援の推進  27億円
 子育てや生活支援策として、日常生活支援事業等の着実な実施を図る。

(3)自立を促進するための経済的支援  3,249億円
  ○ 母子寡婦福祉貸付金の充実  51億円
 就学支度資金の貸付限度額の引上げ等により、母子寡婦福祉貸付金を充実する。


第3  若年者を中心とした「人間力」強化の推進

 働く意欲が不十分な若年者、無業者(NEET)の増加など新たな課題に対応するため、若者の働く意欲や能力を高める総合的な対策として「若者人間力強化プロジェクト」を推進するとともに、「若者自立・挑戦プラン」の着実な実施により全てのやる気のある若年者の職業的自立を促進する。また、再就職を促進するために企業ニーズ等に対応した職業訓練の実施や労働者個人が主体的なキャリア形成を図ることができるようにするための条件整備を図る。

 若者人間力強化プロジェクトの推進 231億円(126億円)

(1)若者の人間力を高めるための国民運動の推進(新規)  3.7億円
 若年者雇用問題についての国民各層の関心を喚起し、若者に働くことの意義を実感させ、働く意欲・能力を高めるため、経済界、労働界、地域社会、政府等の関係者が一体となり、国民会議の開催や啓発活動等に取り組む国民運動を展開する。

(2)フリーター・無業者に対する働く意欲の涵養・向上  41億円
  ○ 若者自立塾の創設(新規)  27億円
 合宿形式による集団生活の中で、生活訓練、労働体験等を通じて、職業人、社会人として必要な基本的能力の獲得、勤労観の醸成を図り、働く自信と意欲を付与する。
対象者数 2,400人

  ○ ヤングジョブスポットの見直し等による若年者への働きかけの強化  9.3億円
 拠点を設置して若年者の参集を待つ従来の方法を見直し、若年者が集まりやすい場所に出向き、情報提供、相談等を実施するとともに、インターネットを活用して情報を発信する等により地域における若年者に対する職業的自立への働きかけを強化する。

  ○ 就職基礎能力速成講座の実施(新規)  4.5億円
 民間事業者を活用して、職業意識啓発、職場におけるコミュニケーション能力、基礎的ビジネスマナー等の習得を図るための講座を10日間程度で実施し、早期の就職促進を図る。

(3)学生生徒に対する職業意識形成支援、就職支援の強化  31億円
  ○ 無償の労働体験等を通じての就職力強化事業(ジョブパスポート事業)の創設(新規)  3.1億円
 ボランティア活動など無償の労働体験機会に関する情報の収集・提供を行うとともに、これらの活動の実績等を記録する「ジョブパスポート」を開発し、企業に対する働きかけ、若年者向け就職支援窓口における活用等を通じ、これらの活動実績が企業の採用選考に反映されるよう普及を図る。

  ○ 小中高校生向けの職業意識形成支援事業の充実  12億円
 ハローワークが産業界と連携し学校において実施している、キャリア探索プログラム、ジュニアインターンシップ等小中高校生を対象とした職業意識形成支援事業について、対象校の拡大や職場体験活動に係るコーディネート機能等の充実を図る。

  ○ 大学及び大学生に対する就職支援の強化  2.6億円
 大学間・学生間の格差の拡大が認められる大学等卒業者の就職環境を踏まえ、大学等就職担当職員の技能向上を図るための講習等の支援を新たに実施するとともに、学生職業総合支援センターシステムの強化等により未内定学生と未充足求人のマッチングの促進を図る。

(4)若年者に対する就職支援、職場定着の推進  144億円
  ○ 若年者に対する就職実現プランの策定による個別総合的支援の実施  29億円
 若年の雇用保険受給者を対象に、再就職に向けた求職活動計画(就職実現プラン)を個人毎に作成し、これに基づき個別総合的な相談援助を重点的に実施する。

  ○ 若年者試行雇用事業の拡充  109億円
 学卒未就職者等を対象に、短期間(3か月以内)の試行雇用を通じ、早期の常用雇用の実現を図るため、若年者試行雇用事業を拡充実施する。
対象者数 51,000人 → 66,000人

  ○ 職場定着を推進する施策の充実(新規)  5.8億円
 中小企業等における若年労働者の職場定着促進のため、地域の業界団体が主体となった若年労働者の相互交流、企業人事管理者を対象とした講習等の取組を促進するとともに、インターネット等を通じて、働くことに関わる幅広い相談に身近に応ずる体制を整備する。

(5)ものづくり立国の推進  11億円
 工場、民間・公共の訓練施設等の親子等への開放促進、ものづくり技能に関するシンポジウムの開催、若年者によるものづくり技能競技大会の実施等を通じ、ものづくりに親しむ社会を形成し、その基盤の上に熟練技能の一層の高度化を図る。

 若者自立・挑戦プランの推進 209億円(190億円)

(1)実務・教育連結型人材育成システム(日本版デュアルシステム)の拡充  112億円
 進路が決まらない学卒者等の日本版デュアルシステムの受講を促進するための体験講習を実施するとともに、企業、民間教育訓練機関の取組を促進する施策の強化等を行う。また、若年者のためのワンストップサービスセンター(ジョブ・カフェ)においても、受講希望の受付を開始する。

(2)若年者向けキャリア・コンサルタントの養成・普及の推進  1.6億円
 若年者向けのキャリア・コンサルタントを職業能力開発大学校等で養成するとともに、市町村の既存施設等を活用したキャリア・コンサルティング等を実施する。

(3)学卒、若年者向けの実践的能力評価・公証の仕組みの整備  6.4億円
 学卒、若年者が、職業能力開発について目標を持ち、意欲を持って取り組むことができるよう、若年者就職基礎能力支援事業(YES−プログラム)の普及促進を図るとともに、3級技能検定職種の拡大を図る。

(4)地域の関係者との連携による若年者雇用対策の推進  26億円
 若年者のためのワンストップサービスセンター(ジョブ・カフェ)において、新たに若年者の主体的な企画による就職支援活動や、インターネットを活用した相談・助言を行う等、就職支援機能の一層の強化を図る。

 企業ニーズ等に対応した職業能力開発の推進 228億円(243億円)

(1)ニーズ・成果を確実に反映させるとともに、民間を積極的に活用した公共職業訓練の推進  221億円
 専修学校等の民間教育訓練機関を活用した職業訓練を推進するとともに、人材ニーズや訓練成果(就職率など)を訓練内容に確実に反映させるための運営管理手法の民間教育訓練機関への普及を図る。

(2)個別企業の要望に即した職業訓練の充実  2.5億円
 業界団体と連携して、団体傘下の個別企業の人材ニーズを把握し、それに対応した民間教育訓練機関等での座学と企業実習を組み合わせた職業訓練(オーダーメイド型訓練)を推進する。

(3)地域における創業を支援する実践的な職業訓練の推進  4.9億円
 創業や新分野展開を支援するため相談援助、人材育成等を推進するとともに、地場産業における創業等のための実践的な職業訓練を都道府県に委託して実施する。

 キャリア形成支援のための条件整備の推進 50億円(49億円)

(1)キャリア・コンサルティング実施体制の整備  31億円
 民間機関、職業能力開発大学校等におけるキャリア・コンサルタントの養成を推進し、民間企業や公共職業安定所等での活用を進めることなどにより、キャリア・コンサルティングの普及を図る。

(2)幅広い職種を対象とした職業能力評価制度の整備  5億円
 労働者のキャリア形成や労働市場の機能強化を図るため、ホワイトカラーを含め、幅広い職種を対象とした職業能力評価基準の策定を業界団体等との連携の下で進めるとともに、策定された評価基準等の普及促進を図る。

(3)民間におけるeラーニングの活用の促進  2億円
 インターネット等を利用し、いつでもどこでも能力開発ができる仕組み(eラーニング)の活用を促進するため、eラーニングに関する情報収集・提供体制の整備等を図る。


第4  雇用のミスマッチの縮小のための雇用対策の推進

 依然として大きい雇用のミスマッチや地域差がみられる雇用失業情勢等に対応するため、地域の雇用創造に自発的に取り組む市町村等に対する総合的な支援を実施し、地域に密着した産業雇用の再生・強化を図るとともに、民間や地方公共団体との共同・連携による効果的な職業紹介、情報提供の推進や求職者の個々の状況に的確に対応したハローワークの就職支援の充実を図る。

 地域の雇用創造に取り組む市町村等に対する総合的な支援の実施 70億円(19億円)

(1)地域による雇用創造のための構想の策定に対する専門家のあっ旋、助言等の支援(新規)  5億円
 地域における雇用創造のための構想を策定しようとする市町村等に対し、専門家のあっ旋、助言や参考となる成功事例の紹介等により、企画・構想段階から支援する。

(2)コンテスト方式により選抜された雇用創造効果の高い事業に取り組む市町村等への支援(新規)  65億円
 雇用機会が少ない等の地域において、雇用創造に自発的に取り組む市町村等が提案した、雇用機会の創出、能力開発、情報提供、相談等の事業の中から、コンテスト方式により雇用創造効果が高いものを選抜し、当該市町村等に対しその事業の実施を委託する。

 地域に密着した産業雇用の再生・強化 151億円(149億円)

(1)地域が選択する重点産業に対する雇用創出支援策の創設(新規)  10億円
 地域における雇用創出を支援するため、市町村等が自ら選択した重点産業において創業する者に対し、新規創業及び雇入れについて助成を行う。

(2)総合的な建設労働対策の推進  66億円
 建設事業主の新分野進出や建設業内外への労働移動を推進するとともに、建設業内の労働力需給調整機能の強化等により労働者の就業・就労機会の確保を図り、併せて、建設技能労働者の育成・確保を促進する。

(3)林業労働力の確保対策の強化  12億円
 林業労働力の確保を図るため、林業事業主の雇用管理の改善を促進するほか、新たに、林業への就業を希望する求職者に対し、林業作業等を体験する林業就業支援事業を実施する。

(4)コミュニティ・ビジネスへの支援を通じた雇用創出の推進  57百万円
 学識者、産業界の有識者等からなる「雇用創出企画会議」を開催するとともに、地域に密着した事業(コミュニティ・ビジネス)の成長促進を図るため、起業・運営相談、起業訓練講座の実施等を行うコミュニティ・ビジネス支援集中モデル事業(仮称)を民間団体に委託して実施する。

 民間や地方公共団体との共同・連携による効果的な職業紹介、情報提供の推進 38億円(19億円)

(1)成果に対する評価に基づく民間委託による長期失業者の就職支援  6.7億円
 民間委託による長期失業者の就職支援事業について、事業に関する評価結果を踏まえ、より効果的・効率的な就職支援となるよう民間事業者の活用を拡大する。
年間対象者 5,000人 → 8,000人

(2)地域職業相談室(仮称)の設置による市町村と連携した職業相談・職業紹介の実施(新規)  7.3億円
 市町村の要望等を勘案し、公共職業安定所と市町村が共同で運営する地域職業相談室(仮称)を設置し、市町村が行う相談・情報提供業務と連携した職業相談・職業紹介を行う。

(3)利用者の立場に立った雇用関連事業のワンストップサービスの提供 (新規)  5.1億円
 地方公共団体、独立行政法人、公益法人等が実施している雇用関連事業について、利用者の立場に立ったワンストップサービスを推進するため、助成金申請の取次ぎ等を行う総合的な相談・情報提供窓口を公共職業安定所に設置する。

(4)官民連携した雇用情報システムである「しごと情報ネット」の拡充  8.2億円
 官民連携した雇用情報システムである「しごと情報ネット」について、携帯電話を活用した求人情報提供機能の拡充を図る。

(5)国・地方公共団体・民間職業紹介機関による官民交流会の実施(新規)47百万円
 国・地方公共団体・民間職業紹介機関が一同に会して、職業相談・職業紹介の技法等の向上、地域の労働力需給に関する情報交換等を行う官民交流会を実施する。

 求職者の個々の状況に的確に対応したハローワークの就職支援の充実 394億円(353億円)

(1)就職実現プランの策定や早期再就職専任支援員(就職支援ナビゲーター)等による個別総合的支援の実施  71億円
 会社都合による離職者や自営廃業者であって家計の担い手である求職者に対し、再就職に向けた求職活動計画(就職実現プラン)を個人毎に作成し、これに基づき個別総合的な相談援助を実施するとともに、早期再就職の緊要度が高い求職者に対し、求人開拓から就職に至る一貫した就職支援を個々人ごとにきめ細かく実施する専任の支援員により、効果的な就職支援を行う。

(2)未充足求人へのフォローアップの徹底等求人者サービスの充実を通じた就職促進  9.5億円
 公共職業安定所に申し込まれた求人が未充足となっている事業主に対し、求職者情報の提供、事業所見学会等の求人充足に向けたフォローアップを徹底することにより求人者サービスを充実するとともに、求職者の就職促進を図る。

(3)業種・職種間ミスマッチ対策の充実(新規)  16億円
 希望する求人の範囲が極端に狭い、又は範囲が特定できない等の理由により有効適切な求職活動ができずにいる求職者に対し、効果的な求職活動のノウハウや留意事項の提供、求人が多く就職可能性の高い業種や職種への求職活動の方針転換の促進等のため、セミナーの開催等の集団指導や適職選択支援員による個別具体的な助言・相談を行うことにより求人と求職のミスマッチの解消を図る。


第5  高齢者が生きがいを持ち安心して暮らせる社会の実現

 持続可能な介護保険制度の構築を図るとともに、介護サービスの提供体制の整備や質の向上、高齢者虐待への対策の推進等を図る。
 65歳までの雇用の確保や中高年齢者の再就職支援を推進するとともに、高年齢者の多様な就労を促進する。
 年金制度については、長期的に安定した信頼される年金制度の構築を目指し、保険料徴収対策の推進等安定的で効率的な運営を確保するための施策を積極的に推進する。

 持続可能な介護保険制度の構築と関連施策の推進 2兆2,026億円(2兆535億円)

(1)持続可能な介護保険制度の構築  1兆9,662億円
 急速な高齢化に対応し、持続可能な介護保険制度を構築するため、社会保障審議会介護保険部会における報告等を踏まえ、介護保険制度の見直しを実施する。

(2)介護サービスの提供体制の整備  1,894億円
  ○ 地域介護・福祉空間整備等交付金の創設  1,090億円
 地域再生の推進の観点から、高齢者が住み慣れた地域で暮らし続けることができるよう地方自治体の自主性や裁量性を重視した「地域介護・福祉空間整備等交付金」を創設する。

  ○ ユニットケアの研修の充実  1.7億円
 ユニットケアの特徴を活かしたサービス提供を確保するため、ユニットケアを導入する特別養護老人ホームの管理者等に対して研修を実施するとともに、都道府県等において中心的な役割を果たす研修指導者の養成を推進する。

(3)介護サービスの質の向上  21億円
  ○ 介護サービスの情報開示の推進  6.2億円
 利用者による良質なサービスの選択を支援するとともに、介護サービスの質の向上を促すため、都道府県における共通の情報開示システムを構築し、介護サービス事業所に関する情報開示の標準化を図る。

  ○ ケアマネジメントの質の向上  12億円
 介護支援専門員(ケアマネジャー)に対する現任研修等を着実に実施するとともに、ケアマネジャーに対する個別相談やケアプランの作成支援等を行う「ケアマネジメントリーダー活動等支援事業」を推進する。

(4)高齢者虐待に対する対応  7.9億円
 高齢者虐待問題に対応するため、在宅介護支援センターにおいて、高齢者虐待の早期発見やケースマネジメントを行う「高齢者虐待防止ネットワーク」を構築する。

 高年齢者等の雇用・就業対策の充実 863億円(876億円)

(1)65歳までの雇用機会の確保  496億円
  ○ 「65歳雇用導入プロジェクト」(仮称)の創設  19億円
 改正高齢者雇用安定法の円滑な施行を図るため、賃金・人事処遇制度の見直しや継続雇用制度の導入促進について事業主団体を通じて指導・相談を行う。

(2)中高年齢者の再就職支援の推進  89億円
  ○ 年齢にかかわりなく働ける社会の実現に向けた基盤づくり事業の強化  3.1億円
 年齢にかかわりなく働ける社会の実現に向け、高年齢者等の募集・採用から職場定着するための体制づくりに係る好事例の収集・分析等を活用した個別企業に対する相談・援助等の支援や幅広い普及啓発を行う。

(3)高年齢者の多様な就労の促進  278億円
  ○ シルバー人材センター事業の拡充  146億円
 高齢者が生きがいを持って地域社会で生活するため、定年退職後等において、軽易な就労を希望する高齢者に対し、高齢者の意欲や能力に応じた就労機会、社会参加の場を総合的に提供するシルバー人材センター事業を拡充する。

 持続可能で安心できる年金制度の構築 10兆8,641億円(5兆8,246億円)

  ○ 年金給付費国庫負担金  6兆1,641億円
「国民年金法等の一部を改正する法律」(平成16年法律第104号)附則第15条に基づく国庫負担割合の引上げに係る取扱いについては、今後の予算編成過程において検討する。

厚生年金及び国民年金に関する過去の国庫負担繰入れの特例措置に係る取扱いについては、今後の予算編成過程において検討する。

  ○ グリーンピア業務・住宅融資業務の廃止  4兆6,999億円
 年金資金運用基金が行っているグリーンピア業務・住宅融資業務を廃止する。これに伴い、財政融資資金からの借入金の一括繰上償還を行う。

  ○ 社会保障協定の推進  43百万円
 国際的な人的交流が活発化し、企業間の国際競争が激しさを増す中で、日本と外国の年金制度等への二重加入の回避と年金の受給権確保を図るため、社会保障協定の締結に向けた取組を着実に推進する。

  ※ 年金を受給していない障害者の給付金制度(国会継続審議中)に要する経費の取扱いについては、今後の予算編成過程で検討する。

 安定的で効率的な年金制度の運営の確保等
 〜 社会保険庁改革の推進
279億円(292億円)

(1)保険料の徴収の徹底等  158億円
  ○ 国民年金保険料収納対策の推進  136億円
 国民の年金権を確保するとともに、公的年金制度を安定的に運営していくため、国民年金推進員による戸別訪問活動の強化、業界団体等への保険料収納の委託、保険料納付状況証明書の通知など、保険料徴収対策を推進する。

  ○ 国民年金未加入者の適用対策の実施  8.2億円
 国民年金未加入者の把握に努め、届出勧奨を実施するとともに、勧奨しても届出がない者に対しては、転業転職時の未届者を含め、届出するよう催告したうえで、なお未届の者に対しては職権適用を実施する。

  ○ 未適用事業所の適用の適正化  14億円
 制度の信頼性及び事業所間の費用負担の公平性の確保、モラルハザード防止等の観点から、未適用事業所に対してはより厳正に対処するため、加入指導に係る事蹟管理の実施、巡回説明の充実、加入指導の強化など、未適用事業所の適用の適正化を図る。

(2)社会保険オンラインシステムの抜本的見直し  66億円
  ○ 業務・システム最適化計画を策定  5.7億円
 システム刷新可能性調査の調査結果を踏まえ、厚生労働省アクション・プログラムに基づき最適化計画を策定する。

  ○ 端末設備のオープン化及び調達方式の見直し  60億円
 社会保険オンラインシステムの最適化計画の策定に先立って、現行システムの端末設備(ハード)を専用仕様としないことにより、その調達を一般開放し、調達コストの低減を図る。平成17年度は導入機器の検討、仕様書の作成等を行う。

(3)国民サービスの向上  39億円
  ○ 年金加入状況の被保険者への通知  21億円
 定期的に被保険者に対して年金個人情報を提供することにより、現役世代の年金制度に対する理解と信頼を高めることを目的として、全被保険者に対し、直近1年間の各月の年金加入状況を通知する。

  ○ 個人認証に基づく年金個人情報の提供  17億円
 公的個人認証サービス等の活用により、本人確認を厳格に行ったうえで、年金個人情報である年金加入状況をいつでもインターネットで回答できる仕組みを構築し、処理時間の大幅な短縮を図る。

(4)予算の執行の適正化、透明性の確保
 職員宿舎の建替え・公用車の更新等の経費については、極力抑制する。また、競争入札を徹底する等により、事業運営経費を適正化するとともに、透明性を確保する。

(5)個人情報の保護
 平成16年度において、端末の操作に必要なカードの管理責任の明確化や被保険者記録へのアクセスに対する監視体制の強化など、セキュリティ対策を強化することとしており、引き続き平成17年度においても個人データの適正な管理を徹底する。

(6)年金の福祉施設の整理合理化  17億円
 今後、年金福祉施設の整備には新たに年金保険料財源を投入しないとともに、5年を目処に整理合理化を着実に進める。

  ※ 以上の他、「社会保険庁の在り方に関する有識者会議」等の議論を踏まえ、必要な措置を講ずる。
 特例措置が講じられている厚生年金等の事務費財源の取扱いについては、今後の予算編成過程において検討する。


第6  障害者の自立支援の推進と良質な福祉サービスの提供

 障害者の自立支援を推進するため、新障害者プランに基づき、地域における自立の支援、住まいや働く場の確保等を推進するとともに、支援費制度の着実な実施を図る。また、発達障害者に対する支援体制を整備するほか、精神障害者の保健福祉施策や、障害者の雇用・就労支援と職業能力開発の充実を図る。
 さらに、ホームレスの自立支援・就労支援を推進するとともに、福祉サービスの向上など、良質な福祉サービスを提供するための体制整備を進める。

 障害者の地域生活を支援するための施策の推進 7,021億円(6,432億円)

(1)新障害者プランの推進  1,834億円
 ノーマライゼーションの理念の下、共生社会の実現を図り、障害者が身近な地域で自立した生活を送れるよう、グループホーム等、個人の多様なニーズに応じた各種の福祉サービスの充実を図る。

(2)支援費制度の着実な実施  3,861億円
 制度施行後の利用実態を反映して、ホームヘルプサービスなどの居宅支援サービスについて利用者の伸びを見込むなど着実な実施を図る。

(3)発達障害者に対する支援  8.4億円
 発達障害者の乳幼児期から成人期までの各ライフステージに対応する一貫した支援を行うため、都道府県、指定都市に発達障害の検討委員会を設置するとともに、障害保健福祉圏域において個別支援計画の作成等、支援の体制整備をモデル的に実施する。

(4)社会参加等の推進  64億円
 障害者IT総合推進事業、身体障害者補助犬の育成や視聴覚障害者の情報・コミュニケーション支援事業など、障害者の社会参加推進のための事業を総合的に推進する。

 精神障害者保健福祉施策の充実 770億円(588億円)

(1)精神障害者の社会復帰対策の推進  273億円
 精神障害者の社会復帰を促進するため、退院後の地域生活支援の拠点として、グループホームをはじめとする居宅生活支援事業及び社会復帰施設の充実を図る。

(2)良質かつ適切な精神医療の効率的な提供  634億円
 在宅の患者に身近な地域において良質かつ適切な精神医療を提供するため、通院医療の公費負担を行うほか、現行の輪番制による精神科救急に加え、精神科救急医療センターの整備を図る。

(3)心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者に関する医療体制の整備  40億円
 心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者に対する適切な医療を実施するとともに、指定入院医療機関の運営に必要な経費の負担、医療従事者等の養成研修を行うなど医療体制の整備を図る。

 障害者の雇用・就労支援と職業能力開発の充実 301億円(231億円)

(1)精神障害者に対する雇用対策の強化  11億円
  ○ 精神障害者に対する総合的雇用支援の実施(新規)  6.9億円
 精神障害者の復職・雇用促進、在職精神障害者の雇用継続に取り組む事業主に対し、総合的・体系的な支援を行うとともに、精神障害者の職業生活への移行を円滑に図るための支援技法を開発する。

(2)多様な形態による障害者の就業機会の拡大  72億円
  ○ ITを活用した在宅就労支援事業者(バーチャル工房)への支援(新規)  2.4億円
 在宅重度障害者を対象にITを活用した仕事の受注・分配等を行う在宅就労支援事業者(バーチャル工房)に対する補助事業を創設するとともに、工房を利用する障害者の技術習得等にかかる支援を実施する。

  ○ 障害者試行雇用事業の拡充  9.3億円
 事業主に障害者雇用のきっかけを提供するとともに、障害者に実践的な能力を取得させ、常用雇用へ移行するため短期間の試行雇用を実施して、障害者雇用を推進する。
対象者数 4,200人 → 6,200人

(3)雇用と福祉の連携による障害者対策の推進  17億円
  ○ 地域における福祉的就労から一般就労への移行の促進(新規)  3.4億円
 公共職業安定所、福祉施設、地域障害者職業センター等の関係機関の緊密な連携の下に、授産施設等の福祉施設で就労している障害者の一般就労への移行を支援する事業を創設する。

  ○ 障害者就業・生活支援センター事業の拡充  14億円
 障害者に対する就業及び日常生活に係る相談、助言等を実施する「障害者就業・生活支援センター」の設置箇所等を拡充する。
80か所 → 120か所

(4)福祉部門における就労支援の充実  128億円
 小規模作業所への支援を充実強化する事業を創設し育成等を図るとともに、地域での障害者の就労支援を促進させる。

(5)障害者に対する職業能力開発の推進  73億円
  ○ 公共職業能力開発施設における障害者訓練の推進  58億円
 障害者職業能力開発校が設置されていない地域において、職業能力開発校に知的障害者等を対象とした訓練コースを設定し、障害者の職業訓練の全国的な体制整備を図る。
実施県 15県 → 30県

  ○ 事業主や社会福祉法人等の民間を活用した実践的な職業訓練の推進  15億円
 企業、社会福祉法人等の多様な委託訓練先を開拓し、精神障害者をはじめとする様々な障害の態様に応じた職業訓練を推進する。
委託訓練対象者数 5,000人 → 6,000人

 福祉サービスの質の向上等 58億円(59億円)

  ○ 福祉サービスの第三者評価・苦情解決の推進  3.5億円
 都道府県が第三者評価機関の育成支援や評価調査者の養成研修などを積極的に実施できるよう支援するとともに、指導者養成研修事業を実施するなど、第三者評価事業の普及・定着の促進及び均質化を推進することにより、良質な福祉サービスの提供を図る。
 また、都道府県社会福祉協議会に設置された運営適正化委員会における苦情解決事業の適切な推進を図る。

  ○ 福祉に携わる人材の養成、確保及び資質の向上  12億円
 社会福祉士の養成課程において重要な相談援助技術の指導を充実させるため、施設等の現場で行う実習の指導者に対する研修を行うなど、福祉人材の養成、確保及び資質の向上を図る。

  ○ 地域福祉の推進  43億円
 痴呆性高齢者等判断能力が不十分な者に対し、福祉サービスの利用援助や日常の金銭管理等を行う地域福祉権利擁護事業を推進するとともに、ボランティア活動の振興等を行う。

 ホームレスの自立支援等基本方針を踏まえた施策の推進 34億円(30億円)

  ○ 自立支援事業等の充実  22億円
 依然として増加傾向にあるホームレスの自立を支援するため、生活相談・指導、職業相談、健康診断等を行う自立支援事業を充実するとともに、ホームレスになるおそれのある者に対する相談機能の強化を図る。

  ○ ホームレス就業支援事業(仮称)の創設(新規)  1.4億円
 野宿生活を余儀なくされているホームレスのうち自立の意思がある者を対象に地方公共団体と民間団体が連携を図りつつ、就業による自立を支援する事業を創設する。

 生活保護制度の適正な実施 1兆8,839億円(1兆7,489億円)

  ○ 自立・就労支援の推進
 被保護人員の増加等に伴う必要額を確保するとともに、各地方公共団体による自立支援プログラム(仮称)の策定とこれに基づく組織的な取組を進めることにより、被保護者の自立・就労支援を一層推進する。


第7  安心・安全な職場づくりと公正かつ多様な働き方の実現

 経済環境が著しく変化する中で発生している重大な災害を防止するとともに、過重な労働による労働者の健康障害防止やメンタルヘルス対策を行う。また、賃金不払残業の解消など誰もが安心して安全に働ける職場づくりを推進する。
 さらに、多様な働き方が広がる中で、労働者個人の生活に配慮した働き方を実現できる環境の整備を行うとともに、男女雇用機会均等の確保など公正な働き方を推進する。

 安心して安全に働ける環境づくり 317億円(336億円)

(1)重大災害の発生を防止するための安全対策の推進  21億円
 事業主が自主的に事業場の危険・有害要因の低減を図るため、事業主自らが計画を作成する「労働安全衛生マネジメントシステム」の普及を推進し、労働災害のより一層の防止を図る。

(2)過重労働による健康障害防止対策、メンタルヘルス対策の推進  30億円
 労働者の過重労働による健康障害の防止に向けて事業主が留意すべき事項をまとめた手引きを作成し周知・啓発する。また、事業主に対してメンタルヘルス関係の専門家による指導を行うなど、過重労働による健康障害防止対策及びメンタルヘルス対策を促進する。

(3)石綿等有害物質に係る健康障害防止対策の推進  4.3億円
 建築物の解体作業等において、事業主が行う石綿含有の有無の分析等によるばく露防止対策の充実や作業計画の作成などの取組を促進する。

(4)賃金不払残業の解消に向けた取組等の推進  261億円
 「賃金不払残業の解消を図るために講ずべき措置等に関する指針」の周知・啓発により労使の自主的な改善を進めるとともに無料電話相談窓口を引き続き開設し、賃金不払残業の解消に向けた取組を促進する。
 また、企業倒産により賃金が未払のまま退職させられた労働者に対する未払賃金立替払制度について、迅速かつ適正な運営を行う。

 多様な働き方を選択できる環境整備 20億円(20億円)

(1)パートタイム労働者と正社員との均衡処遇の推進  4.9億円
 パートタイム労働者と正社員との均衡の確保に向けた先駆的、モデル的な取組を行う事業主を支援すること等により、パートタイム労働者と正社員との間の均衡処遇の浸透・定着に向けた環境整備を図る。

(2)在宅就業対策等の推進  1.9億円
 在宅就業のための知識・技術の到達度や仕事の適性等を自己確認できるような能力評価システムを開発するとともに、各種情報提供、相談援助を行う。あわせて、在宅勤務による健康面、社会的効果や労働条件への影響についての調査を行う。

(3)ワークシェアリングの普及促進  2.4億円
  ○ 多様就業型ワークシェアリング導入モデル開発事業の実施 2.1億円
 多様な働き方の選択肢を拡大するため、短時間正社員制度等の導入に向けたモデルの開発を進めるとともに、多様就業型ワークシェアリングに関する普及啓発を行う。

(4)生活に配慮し、多様な働き方に対応した環境整備  11億円
 多様な働き方が広がる中で、労働者個人の生活に配慮した労働時間管理に関する労使の自主的取組を推進し、長期休暇制度の普及促進を図るなど労働環境の整備を図る。

 公正な働き方の推進 18億円(17億円)

(1)男女雇用機会均等確保対策の推進  3.3億円
 男女雇用機会均等法の適正な施行に努めるとともに、いわゆる「コース別雇用管理」制度の適正な運用に向けた周知徹底と行政指導の一層の強化を図る。
 また、男女雇用機会均等政策研究会報告を受け、男女双方に対する差別の禁止や妊娠、出産等を理由とする不利益取扱いの問題への対応等、均等施策の更なる推進に向けた検討を行う。

(2)個別労働紛争対策の総合的な推進  14億円
 増加する個別労働紛争の実情に即した迅速かつ適正な解決を図るため、都道府県労働局での紛争解決制度を着実に推進するとともに、新たに企業内での紛争の自主的解決の促進に向けた人材育成に対する支援を図る。

(3)労働分野におけるCSR(企業の社会的責任)の推進(新規)  15百万円
 企業の労働における社会的責任の取組を推進する支援策のあり方について検討を行う。


第8  安心で質の高い医療の確保等のための施策の推進

 医療に対する国民の信頼を高め、安全で安心な医療が提供されるよう、医療安全対策を総合的に推進するとともに、医療のIT化や、医師の臨床研修制度の円滑な推進等を図る。また、救急医療の充実など質の高い効率的な医療提供体制の構築を図るとともに、医療保険制度の安定的な運営を確保する。
 また、SARS等の感染症対策の充実を図るともに、肝炎対策、エイズ対策等を推進する。

 安心で質の高い医療提供体制の充実 570億円(537億円)

(1)医療安全対策の総合的推進  15億円
  ○ 診療行為に関連した死亡の調査分析モデル事業(新規)  1億円
 医療の質と安全性を高めるため、医療機関から診療行為に関連した死亡等の調査依頼を受け付け、法医学者・病理学者合同で解剖を実施するとともに、専門医による事案調査も実施し、それらの結果に基づき、因果関係及び再発防止策を総合的に検討するモデル事業を実施する。

  ○ 医療事故に関する情報の収集・分析・提供事業の推進  1.1億円
 医療事故の発生予防・再発防止のため、「第三者機関」において医療機関等から幅広く事故に関する情報を収集し、これらを総合的に分析した上で、その結果を医療機関等に広く情報提供する事業の充実を図る。

  ○ 医薬品表示コード化による医療事故防止対策の推進  60百万円
 医薬品の名称や外観の類似により生じる製品取り違えの医療事故を防止するため、医薬品コード表示に必要なコード体系データベースを整備する。

(2)救急医療の充実をはじめとする地域医療の確保  412億円
 救急医療体制の計画的かつ体系的な整備を図るため、救命救急センター等の整備を進めるとともに、救命救急センター等に災害時に迅速な派遣が可能な災害派遣医療チーム(DMAT)を整備する。
 へき地・離島の診療所とへき地医療拠点病院等を結ぶテレビ会議システム等を整備するとともに、医療機関を退職した医師に対し、再就業のための再教育を行い、へき地・離島の診療支援体制の整備を図る。

(3)医療のIT化の着実な推進  12億円
 電子カルテシステムの普及を図るため、地域の中心的役割を果たしている医療機関にWeb型電子カルテシステムを導入し、セキュリティを確保したインターネットを介して、周辺の連携医療機関が電子カルテの活用を図るネットワークを構築するための事業等を行う。

(4)質の高い看護の提供  131億円
  ○ 訪問看護ステーションの多機能化に向けたモデル事業(新規)  3.8億円
 患者が訪問看護ステーションに通所し、集中的に効率的な看護の提供を行う「通所看護」機能をモデル的に導入することにより、訪問看護の充実を図る。

  ○ 新人助産師に対する医療安全推進モデル研修事業(新規) 87百万円
 医療安全の確保に向け新人助産師に対し、十分な教育体制(専任の指導者等)と研修プログラムに基づき研修を実施する。

 新臨床研修制度の円滑な推進 214億円(188億円)

  ○ 医師臨床研修の推進  195億円
 平成16年度より必修化された医師臨床研修について、引き続き、適切な指導体制の下での研修を実施するため、研修を行う病院に対し、必要な支援を行う。

  ○ 歯科医師臨床研修の推進  11億円
 平成18年度からの歯科医師の臨床研修必修化に向け、所要の準備を進める。

 感染症・疾病対策の推進 1,936億円(1,801億円)

(1)感染症対策の充実  84億円
  ○ 動物由来感染症対策の推進  2億円
 「動物の輸入に関する届出制度」の施行に当たり、検疫所における届出の受理・審査体制を整備するほか、制度の普及啓発、電子申請システムの開発等を行い、動物由来感染症対策の推進を図る。

  ○ 新興・再興感染症対策に関する研究の推進  22億円
 SARS、新型インフルエンザ等の診断法・治療法など、新興・再興感染症に関する研究を推進する。

(2)肝炎対策の推進  59億円
 老人保健法に基づく健康診査など各種健康診査の場を活用した肝炎ウイルス検査の実施、肝炎・肝硬変・肝がん等の予防及び治療法の研究、肝炎ウイルス感染者に対する保健指導や肝炎に関する正しい情報提供など、C型肝炎等緊急総合対策を引き続き推進する。

(3)移植対策の推進  31億円
  ○ 臓器移植対策の推進  5.2億円
 臓器移植に対する理解を深めるため、公共広告機構の協力を得て、テレビ、新聞等のメディアを活用した普及啓発の一層の推進を図る。

  ○ 造血幹細胞移植対策の推進  20億円
 既存の骨髄ドナー登録者の意識啓発を図るとともに、ドナー登録窓口体制の充実により、骨髄ドナー登録者の確保を図る。また、より移植に適した細胞数の多いさい帯血の確保を図る。

(4)難病対策の推進  1,183億円
 難治性疾患に関する調査・研究の推進により、治療法等の確立と普及を図るとともに、難病相談・支援センター事業等の充実により、地域における難病患者の療養生活支援の一層の推進を図る。

(5)ハンセン病対策の推進  470億円
 ハンセン病療養所入所者の療養を確保するとともに、退所者に加え、ハンセン病療養所に入所歴のない者の社会生活に対する支援を新たに行う。また、ハンセン病資料館の拡充など、ハンセン病に関する正しい知識の啓発普及の充実を図る。

(6)エイズ対策の推進  92億円
 エイズ発生動向を踏まえ、青少年や同性愛者等に対する啓発普及や、大都市における休日・夜間の検査・相談体制を充実する。また、平成17年7月に我が国で開催予定のアジア・太平洋地域エイズ国際会議を支援する。

(7)リウマチ・アレルギー対策の推進  12億円
 リウマチ、気管支喘息、アトピー性皮膚炎、花粉症、食物アレルギーなど免疫アレルギー疾患の病因・病態の解明、治療法の開発等の研究を推進するとともに、正しい情報の普及啓発を図る。

(8)シックハウス対策の推進  4.1億円
 シックハウス症候群の原因分析、診断・治療法の研究等を活用し、関係省庁と連携しつつ、総合的な対策を推進する。

 安定的で持続可能な医療保険制度運営の確保 8兆5,713億円(8兆1,238億円)

  ○ 政府管掌健康保険、国民健康保険、老人保健制度等に係る医療費国庫負担  8兆5,713億円


第9  国民の安全のための施策の推進

 重篤な副作用を回避し、より安全な医薬品の開発を進めるための新たな安全対策のアプローチとして、事後対応から予測・予防対応へ向けた積極的な副作用対策を実施するとともに、医療機器審査の充実・強化や血液対策を推進する。
 また、国民の健康保護の観点から、残留農薬基準の策定や食品添加物の安全性確認、消費者等との食品安全に関するリスクコミュニケーションの充実、輸入食品、健康食品の安全対策の強化など食品安全対策を引き続き推進する。
 あわせて、健康危機管理体制の強化、医薬品・医療機器産業の国際競争力の強化を図る。

 医薬品・医療機器の安全対策等の充実 131億円(128億円)

(1)安全対策の充実・強化  6.3億円
  ○ 予測・予防対応へ向けた積極的な副作用対策の実施(新規)  50百万円
 副作用の早期発見、早期対応のため、関係学会等と連携の上、初期症状、典型症例、診断法等を包括的にとりまとめた「重篤副作用疾患別適正対応マニュアル」(4年間で120疾患)を作成し、情報提供する。
 また、計画的にリスク因子の解明と副作用の発生機序研究を推進することにより、将来的には副作用の発生を低減した新薬開発を可能とするなど、医薬品の安全対策についてこれまでの事後対応型から予測・予防型への転換を図る。

  ○ 小児に対する薬物療法の質の向上(新規)  71百万円
 小児用の適応・用法用量等に関する情報が必要な医薬品について、学会や医療機関等と連携して、処方情報や文献情報を収集・解析し、使用法の評価、整理を行い、製薬企業に承認申請等を指導する(5年間で約100薬剤)。

  ○ 妊婦のためのクスリ情報センターの設置(新規)  51百万円
 新たに設置する「妊婦のためのクスリ情報センター」(国立成育医療センターに設置)において、服薬の影響を心配する妊婦からの相談業務を通じ、妊婦の服薬情報とその後の出生児への薬の影響の有無に関する情報を収集・蓄積・データベース化し、服薬相談や添付文書の改訂に活用する。

(2)医療機器審査の充実・強化  1.5億円
 IT、バイオテクノロジーなど多様な最先端の技術を用いた医療機器を医療の場に迅速に提供するため、医療ニーズが高く実用可能性のある次世代医療機器(5分野)について、設計・開発の初期段階で審査時の技術評価指標等を作成する等、医療機器審査の充実・強化を図る。

(3)血液対策の推進  10億円
 輸血医療の一層の安全性を確保するため、健康な献血者を確保し、検査目的での献血を防止する観点から、献血手帳の磁気カード化、献血時の問診強化、複数回献血クラブの設立などに取り組む。

(4)薬剤師の資質向上対策の推進  1.1億円
 医療の担い手としての質の高い薬剤師を養成するため、薬学教育6年制の移行に伴う実務実習に必要な指導薬剤師の養成や、4年制卒薬剤師に対する知識・経験の更なる向上のために研修の充実強化を図る。

 国民の健康保護のための食品安全対策の推進 169億円(159億円)

(1)食品衛生法に基づく基準の策定等の推進  20億円
  ○ 食品添加物の安全性確認の計画的な推進  15億円
 長い食経験等を考慮して使用が認められている既存添加物について、毒性試験等の安全性確認を計画的に推進する。
 さらに、国際的に安全性が確認され、かつ、広く用いられている食品添加物について、必要な場合には国が指定のための安全性確認を行う。

  ○ 残留基準未設定の農薬等の基準策定の計画的な推進  3.6億円
 残留基準が設定されていない農薬、動物用医薬品等の食品中への残留を禁止する措置(ポジティブリスト制)の導入(平成18年5月までに導入)に向けて、基準等の設定を計画的に推進する。

  ○ 食品汚染物質の安全性検証の推進  46百万円
 長期にわたる摂取による健康への影響が懸念される食品中の汚染物質のうち、重金属について、各食品別の濃度や摂取量を調査し、安全性の精密な検証を推進する。

(2)消費者等への情報提供の充実  46百万円
  ○ 食品安全に関する情報提供や意見交換(リスクコミュニケーション)の充実  38百万円
 食品安全に関する施策についての国民の理解や信頼を構築するため、的確な情報提供や消費者等との意見交換会(懇談会、シンポジウム等)を行うなど、リスクコミュニケーションの取組を充実する。

(3)輸入食品等の安全対策の強化  130億円
  ○ 輸入食品の監視等の強化  19億円
 輸入食品の過去の違反状況、危険情報等を踏まえた輸入食品監視指導計画に基づき検疫所で行うモニタリング検査の充実を図るとともに、輸入食品監視支援システムの改善を行うことにより、検疫所における業務の効率化を図る。
 さらに、食品衛生法に基づく包括的輸入禁止規定の発動が検討されている輸出国に対して、食品衛生全般における衛生状態及び管理状態を確認し必要な措置を求めるなど、輸入食品の安全対策を強化する。
モニタリング検査計画件数  平成17年度 76,682件

  ○ 健康食品対策の充実・強化  91百万円
 消費者が健康食品を適切に選択できるよう、正確かつ十分な情報提供の方策を講じるとともに、食品の健康保持増進効果等に関する虚偽・誇大な広告に対する監視強化を図る。
 さらに、健康影響が懸念される安全性が疑わしい健康食品については成分分析等を行うなど、健康被害を未然に防ぐための対策の充実を図る。

  ○ 食肉の安全確保対策の推進  33億円
 と畜場におけるBSE全頭検査の実施について、引き続き特例措置として、検査キットに対する国庫補助を行うとともに、検査技術の研修等を実施する。

(4)食品安全に関する研究の推進  19億円
 食品リスク分析による衛生管理手法の開発、先端科学を融合・応用した検出技術の開発や健康影響についての科学的根拠に基づいた安全性に係る調査研究など、食品安全に関する研究を推進する。

 安全で良質な水の安定供給 1,123億円(965億円)

  ○ 水道施設の整備  1,122億円
 すべての国民に安全で良質な水道水の供給を行うとともに、本年6月にとりまとめた「水道ビジョン」の実現に向けた取組を推進する。

 麻薬・覚せい剤等対策の推進 15億円(14億円)

  ○ 青少年に対する薬物乱用防止の普及啓発(新規)  24百万円
 近年増加傾向にあるMDMA等錠剤型合成麻薬や大麻の乱用に対応するため、薬物乱用による危険性の周知、薬物犯罪に対する規範意識の醸成等を目的とした啓発資材を作成し、薬物乱用の一層の浸透が懸念される青少年層を対象とした予防啓発活動を展開する。

  ○ 取締体制の強化  5.8億円
 インターネットの利用等により潜在化・広域化する薬物密売等に対処するため、取締体制を強化する。

 医薬品・医療機器産業の国際競争力の強化 221億円(56億円)

(1)基礎研究の推進  102億円
  ○ 先端的医療の実用化、治験等の臨床研究の推進  32億円
 基礎研究成果について実用化の可能性を探り、患者に有用な医薬品・医療技術等を提供する機会を増加させるための探索的な臨床研究、先端技術の臨床周辺技術の関する研究を推進する。あわせて、医師主導の治験を促進するための環境整備についても拡充を図る。

  ○ 効果的医療技術、萌芽的先端医療技術の確立研究の推進  52億円
 小児分野の標準的医療技術の確立及び医薬品の適正使用を推進する。また、民間企業との連携のもと、トキシコゲノミクス技術やナノテクノロジーを活用した、より安全かつ効率的な医薬品・医療機器の開発に資する研究を推進し、更にゲノム研究の成果を活用してゲノムレベルでの個人差を踏まえた医薬品の効果及び副作用を事前に予測するシステムの開発により、最適な処方を可能とする研究を推進する。

  ○ 身体機能の解析・補助・代替のための機器開発の推進  18億円
 ナノテクノロジー、IT、バイオテクノロジー等の先端的要素技術を効率的に組み合わせて、生体機能を立体的・総合的に解析し、補助・代替する機能を持つ、新しい医療機器の開発を推進する。

(2)独立行政法人医薬基盤研究所設立による創薬基盤研究等の推進  120億円
 平成17年4月に設立される独立行政法人医薬基盤研究所において実施されるゲノム科学、たんぱく質科学等を活用した基盤的研究、生物資源研究及び研究開発振興の推進により、画期的新薬の開発に結びつく創薬基盤の整備を図る。

 健康危機管理体制の強化 2.5億円(72百万円)

  ○ 国際的情報基盤の整備  98百万円
 SARSの発生等緊急事態発生時に厚生労働省と国内関係機関や諸外国が一度に情報や意見の交換が可能な電話会議システムを構築するとともに、国内外の情報収集と解明のための国際機関等のネットワークの在り方や国際危機管理に必要な人材養成に関する研究を推進する。

  ○ 国立感染症研究所における危機管理体制の強化  1.5億円
 国立感染症研究所において、危機管理能力の強化を図るため、未知の感染症等が国内外で発生した際にWHO等による疫学調査チームへの参加、対応及び調整を行うとともに、病原体のゲノム情報の蓄積、データベース化や新規病原体の科学的解析を推進する。


第10  各種施策の推進

 国際社会への貢献 277億円(271億円)

(1)国際機関を通じた国際的活動の推進  172億円
  ○ 世界保健機関(WHO)等を通じた活動の推進  106億円
 世界保健機関(WHO)、国連合同エイズ計画(UNAIDS)への拠出等を通じ、SARSや鳥インフルエンザ等の新興・再興感染症、エイズ、結核等への対応や食品の安全対策の国際的な活動を推進する。

  ○ 国際労働機関(ILO)を通じた活動の推進  63億円
 国際労働機関(ILO)への拠出等を通じ、労働者の基本的な権利の実現、人材育成等の国際的な活動を推進する。

(2)開発途上国に対する国際協力等の推進  41億円
 ASEAN諸国等の開発途上国に対し、保健医療、福祉分野への支援、労使関係の安定化、人材養成に関する支援などの協力を積極的に行う。

 戦傷病者・戦没者遺族の援護等(戦後60周年関係事業の実施) 579億円(607億円)

  ○ 戦没者等の遺族に対する特別弔慰金の支給  4.3億円
 戦後60周年という機会をとらえ、国として弔慰の意を表すため、戦没者等の遺族に対する特別弔慰金を支給する。

  ○ 戦傷病者等の労苦継承事業(仮称)の実施  6億円
 戦傷病者及びその妻等が体験した労苦を後世代に伝えることを目的とした「戦傷病者史料館」(仮称)を設置・運営する。

  ○ 戦没者遺児による慰霊友好親善事業の拡大  3.2億円
 戦没者遺児が旧主要戦域の住民との友好親善を図りつつ、広く戦争犠牲者の慰霊追悼などを行う事業について、戦後60周年を迎える平成17年度は参加する遺族と対象地域を拡大する。

  ○ 全国戦没者追悼式にかかる国費による参列遺族数の拡大  1.3億円
 毎年8月15日に実施する全国戦没者追悼式について、平成17年度は戦後60周年を迎えることもあり、国費による参列遺族数を拡大する。

 中国残留邦人等の支援 16億円(17億円)

  ○ 自立支援通訳の派遣期間の拡充  41百万円
 永住帰国した帰国者等が医療機関に受診する場合などに派遣される自立支援通訳を、医療・介護を受ける場合には、5年目以降も派遣する。

 原爆被爆者の援護 1,586億円(1,571億円)

  ○ 保健、医療、福祉にわたる総合的な施策の推進  1,586億円
 原爆被爆者に対する健康診断の実施、医療の給付及び諸手当の支給のほか、在外被爆者に対する支援、調査研究及び国立原爆死没者追悼平和祈念館の運営等を行う。

 生活衛生関係営業の指導及び振興の推進 19億円(18億円)

  ○ 生活衛生関係営業の振興のための支援  19億円
 経営の健全化、衛生水準の維持向上を図るため、全国生活衛生同業組合連合会等において、経営革新、消費者サービスの向上や健康増進のための自主的活動を促進する。

 「食育」の推進 5.6億円(5.6億円)

  ○ 国民健康づくり運動を通じた「食育」の推進  4.2億円
 糖尿病の予防に重点を置いた栄養指導マニュアルの策定やボランティアによる食生活改善等を推進する。

  ○ 「健やか親子21」による母子保健運動を通じた「食育」の推進  60百万円
 食を通じた子どもの健全育成をねらいとした地域における食育に関する先駆的事業の推進を図るとともに、乳幼児栄養調査などを実施する。

  ○ 消費者等とのリスクコミュニケーションを通じた「食育」の推進  85百万円
 食品の安全性に関するシンポジウムの開催など消費者と双方向のコミュニケーション等を通じて、食品の安全性の確保に関する知識と理解を深める。




 義務的経費については、概算要求基準額(8,576億円)の範囲内に収めるための方策について予算編成過程において引き続き検討することとしている。
 このため、削減に必要な額の内訳は、概算要求段階において特定していないことから、平成17年度要求額としては、年金等の物価スライドに関する経費を除いて、削減・合理化を織り込んでいない額としている。


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