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第1 次世代の育成を支援する少子化対策の推進

 少子化の流れを変えるため、子どもを持つこと、育てること自体に喜びや大きな価値を感じることができる社会の実現を目指し、少子化対策を展開する。
 このため、「少子化対策プラスワン−少子化対策の一層の充実に関する提案−」(平成14年9月)の趣旨も踏まえつつ、子どものしあわせを第一に考えながら、子育て家庭を社会全体で支援することとし、地域における子育て支援体制や保育サービスの充実、働き方の改革など、各種施策を総合的に推進する。また、食を通じた子どもの健全育成、児童虐待防止対策などを展開する。
 さらに、増大する母子家庭等について、子育て支援や就労支援等を充実する。

1 地域社会を通じた子育て家庭支援の拡充 2,126億円

(1)地域における子育て支援体制の強化 74億円
 ○ 市町村地域子育て支援推進強化事業の創設 10億円
       市町村の子育て支援の取組を強化するため、一時保育、病後児保育、つどいの広場事業など地域における多様な子育て支援サービス情報を一元的に把握する「子育て支援総合コーディネーター(仮称)」を配置し、利用者への情報提供等の支援を行う。
 また、託児室の設置場所等を示した子育てバリアフリーマップの作成・配布や子育てバリアフリー計画の策定を推進するとともに、主任児童委員等を中心とした子育て支援委員会を小学校区ごとに設置し、地域における子育て支援の具体的な事業の企画立案等を行う。


 ○ 子育て短期支援事業の拡充 2.7億円
       児童福祉施設を利用して短期入所等を行う子育て短期支援事業を拡充し、育児疲れ等の身体的・精神的な負担軽減が必要な場合などに広く利用できるようにする。

 ○ 地域子育て支援センターの整備 47億円
       子育てサークルの支援や育児相談を行う地域子育て支援センターの整備を推進する。
   2,400か所 → 2,700か所

(2)児童の健全育成事業の推進 140億円
 ○ 放課後児童クラブの拡充 74億円
       大都市周辺部を中心に、放課後児童の受入れ体制を平成16年度までに全体として15,000か所とすることを目標に、国庫補助対象の放課後児童クラブを800か所増加させる。また、放課後児童クラブにおける障害児の受入れに係る補助要件の緩和を図る。
   10,800か所 → 11,600か所

 ○ 児童館等における新たな子育て支援事業の展開 2.8億円
       年長児童等が赤ちゃんと出会い、ふれあう場づくり、中・高校生の交流の場づくり、親と子の食事セミナーの開催など、児童館等を活用した市町村による新たな子育て支援事業を創設する。

(3)ファミリー・サポート・センターの設置促進 26億円
     地域の子育て支援機能を強化するため、子育て中の労働者や主婦等を会員として、地域における育児の相互援助活動を行うファミリー・サポート・センターの設置を促進する。
       286か所 → 379か所(本部)

(4)シルバー人材センターによる子育て支援事業の創設 4億円
     高齢者の就業機会・社会参加の場を提供するシルバー人材センターにおいて、乳幼児の世話や保育施設との送迎などの育児支援、就学児童に対する放課後・土日における学習・生活指導等の支援を行う事業を創設する。

2 多様な保育サービスの充実 4,855億円

(1)保育所の待機児童ゼロ作戦の推進 316億円
 ○ 保育所の受入れ児童数の増大 306億円
       待機児童ゼロ作戦を推進するため、保育所受入れ児童数を約5万人増やすとともに、施設整備を推進する。

 ○ 送迎保育ステーション事業の拡充 1億円
       送迎保育ステーションの送迎バスを活用して、放課後児童を夜間受入れ可能な保育所に送るなど、市町村が創意工夫のある事業が実施できるよう補助対象事業を拡大する。

 ○ 家庭的保育事業の充実 6.2億円
       保育者(保育ママ)の居宅で少人数の3歳未満児の保育を行う事業について、利用日数の条件緩和など子どもの保育需要に応じたサービスの提供を行うとともに、保育所を通じた事業の実施を可能とする。

(2)特定保育事業の創設 15億円
       親の就労形態の多様化(パートの増大等)に伴う子どもの保育需要の変化に対応するため、3歳未満児を対象に週に2、3日程度、又は午前か午後のみ必要に応じて柔軟に利用できる保育サービスを創設する。

(3)多様な保育サービスの提供
 ○ 延長保育の推進
     10,000か所 → 11,500か所
301億円
 ○ 休日保育の推進
     450か所 → 500か所
2.5億円
 ○ 一時保育の推進
     3,500か所 → 4,500か所
24億円

3 子育て生活に配慮した働き方の改革 78億円

 ○ 育児休業を取得しやすい職場づくり 2.8億円
       育児休業の取得率、看護休暇制度の普及率等について設定した具体的な目標の達成に向けて、事業主等に対して、中央・地方を通じた働きかけや広報・啓発を行うとともに、育児休業の取得促進に積極的な企業に対する育児休業取得促進奨励金(仮称)を創設する。

 ○ 多様就業型ワークシェアリング導入モデル開発事業の実施 2.7億円
       子育てや自己啓発など、個人の生活設計に応じた柔軟で多様な働き方を選択できる「多様就業型ワークシェアリング」について、業種ごとに短時間正社員制度導入のためのモデルを開発し、その普及を図る。
 また、ワークシェアリングに関する政労使合意を広く国民に浸透させるための検討や普及啓発を行う。

 ○ 家庭にやさしい企業(ファミリー・フレンドリー企業)の普及促進 27億円
       子育てなどを行う労働者が働きやすい職場の環境整備を図るため、仕事と家庭の両立のしやすさを示す指標(両立指標)を活用して、企業診断による相談援助を行うなど、「家庭にやさしい企業」の普及に取り組む。

 ○ 職業生活活性化のための年単位の長期休暇制度導入に向けた取組 97百万円
       子育て体制の再構築など、個人の全生涯を見据えた働き方と生活の在り方の見直しの機会を確保するため、年単位の長期休暇を付与する制度の導入に向けた取組を行う。

4 子どもの健康の確保と母子医療体制等の充実 247億円

(1)子どもの健康・医療の確保 50億円
 ○ 子どもの栄養改善や望まない妊娠をなくすなどのための知識の普及 57百万円
       子どもの栄養改善と食を通じた心の健全育成(食育)、思いやりのある行動がとれるようにし望まない妊娠をなくすための性に関する理解の促進及び安全で満足できるお産に関する知識の普及を図る。

 ○ 小児救急医療体制の整備 14億円
       小児救急医療拠点病院等、小児救急医療体制の整備を引き続き推進する。

 ○ 小児科・産婦人科若手医師の育成 1億円
       小児科・産婦人科医の意識や勤務の現状を踏まえ、若手医師の確保や資質の向上のための研究を行う。

(2)周産期医療などの体制の整備 76億円
 ○ 周産期医療体制の充実 3億円
       周産期医療体制(母胎が危険な妊産婦や低出生体重児に適切な医療を提供する医療体制)の整備を推進するとともに、不妊専門相談センターの充実を図るなど、出産を望む女性に対する医療面の支援を拡充する。
   周産期医療ネットワーク 28都道府県 → 37都道府県
   不妊専門相談センター 36か所 → 42か所

 ○ 国立成育医療センターにおける女性外来の設置 70百万円
       国立成育医療センターに女性専門外来を設置する。

(3)小児慢性特定疾患患者に対する支援 121億円
       子どもの慢性疾患の克服を目指した研究や当該疾患がある子どもの医療等を推進するとともに、そのあり方について引き続き検討を進める。

5 児童虐待防止対策の充実など子どもや家庭の安心・安全の確保 62億円

(1)児童虐待防止対策の充実 48億円
 ○ 児童虐待対応業務のIT化の促進 30百万円
       増加する児童虐待相談など、専門性の高い業務への児童相談所の対応能力を一層高めるため、児童相談所において相談記録等の標準化・データベース化を行うとともに、児童福祉司の専門的判定を支援するシステムを開発する。

 ○ 保健師資格を有する人材の活用 23百万円
       母子保健活動の経験がある保健師、助産師資格を有する者等に対し、児童虐待に関する最新の情報等による専門研修を行い、市町村における相談事業など児童虐待の予防対策に活用する。

 ○ 地域小規模児童養護施設の拡充 2.7億円
       民間住宅等を活用して、被虐待児等を家庭的な環境の中で養護する地域小規模児童養護施設を拡充する。

(2)配偶者からの暴力(ドメスティック・バイオレンス)への対策の充実 14億円
 ○ 専門職員研修の実施
       婦人相談所、婦人保護施設、福祉事務所等において被害者の相談等に従事する職員に対し、専門研修を行う。

6 母子家庭等自立支援対策の展開 2,700億円

(1)母子家庭等の子育てと生活の支援 17億円
 ○ 小規模分園型(サテライト型)の母子生活支援施設の創設 48百万円
       母子生活支援施設に入所する母子家庭のうち、早期の自立が見込まれる者について地域社会の中の小規模な施設で生活することによって自立を促進する事業を創設する。

 ○ 日常生活支援事業の拡充 1.6億円
       母子家庭の母等が、自立するための就学や疾病などにより一時的に介護、保育のサービスが必要となった場合に家庭生活支援員を派遣する事業を拡充する。

(2)母子家庭等の自立のための就労支援 29億円
 ○ 自立支援給付金の創設 13億円
       母子家庭の母の就業を促進するため、地方公共団体が指定する職業能力開発のための講座を受講する場合に受講料を補助するとともに、介護福祉士等の養成機関で2年以上受講する場合に生活費の負担軽減のための給付等を行う制度を創設する。

 ○ 母子家庭等就業・自立支援センター事業の創設 7億円
       母子家庭の母等に対して、就業相談から就業支援講習会の実施、就職情報の提供など一貫した就業支援サービスや養育費の相談など生活支援サービスを提供するための母子家庭等就業・自立支援センター事業を創設する。

 ○ 試行雇用を通じた早期就職の促進 5.8億円
       母子家庭の母等に実践的な能力を取得させ、常用雇用への移行を図るための短期の試行雇用を実施して、早期就職を促進する。

(3)母子寡婦福祉貸付金の充実 60億円
     就学支度資金の貸付限度額の引き上げ等、母子寡婦福祉貸付金を充実する。

(4)児童扶養手当 2,594億円
     平成14年の消費者物価の下落分(マイナス0.9%〜1.0%の見込み)の児童扶養手当額の改定を行う。
 実施時期については、平成14年に所得制限の見直しが行われたことを考慮して、平成15年10月とする。

(△0.9%の場合)
・児童1人  全部支給(月額)  42,370円 → 42,000円
   一部支給(月額)  42,360円 〜 10,000円
   → 41,990円 〜 9,910円


第2 国民の健康を守るための食品安全対策の整備

 食品衛生法の抜本改正等により、新たな食品の安全確保の仕組みを構築するため、残留農薬基準の整備、食品添加物の安全性確認の徹底等を推進するとともに、輸入食品や健康食品等の安全確保対策、食肉に関するBSE対策を推進する。あわせて、食品の安全性確保にかかる研究を充実し、国民の健康を守るための食品安全対策を整備する。

1 食品衛生法の抜本改正等に伴う基準・体制の整備 18億円

 
残留基準が設定されていない農薬等の食品中への残留を禁止する措置の導入 7.3億円
       残留基準が設定されていない農薬及び動物用医薬品の食品中への残留を禁止する措置の導入に向けて、暫定的な基準等の設定を推進する。

 ○ 食品添加物の安全性確認の徹底 10億円
       長い食経験を考慮して使用が認められている既存添加物について、安全性に問題がある場合は使用を禁止できる制度を導入することとし、既存添加物の毒性試験等、安全性確認を早急に推進する。
 さらに、国際的に安全性が確認され、かつ、広く用いられている食品添加物については、必要な場合には国が指定のための安全性確認を行う。

 ○ 大規模・広域食中毒に対する危機管理体制の強化 46百万円
       大規模・広域食中毒の発生に際し、国が、関係都道府県等に対し、連絡調整及び技術的支援等を行うための体制を整備する。

 ○ 総合衛生管理製造過程(HACCP)承認施設の監視強化 35百万円
       総合衛生管理製造過程(HACCP)承認施設について、一定期間ごとに見直しを行うこととし、承認を受けた施設に対する監視強化を図る。

 
 消費者の視点に立った食品表示制度の構築や食品の安全についてのリスクコミュニケーションの充実 15百万円
       食品表示について、関係府省との連携・協力のもとに、消費者の視点に立った一元的な見直しを行うとともに、相談及び普及啓発等を推進する。
 また、食品の安全に関するリスクコミュニケーションの一環として、消費者との意見交換のため、懇談会等を開催する。

2 食品の安全対策の強化 130億円

(1)輸入食品の安全対策強化 10億円
 
 食品衛生上の危害発生防止のための輸入等禁止措置の導入に伴う実施体制の整備 16百万円
       食品衛生上特に必要があると認められる場合は、国・地域及び食品等を特定して、輸入、販売等を禁止できる措置を適切に運用するため、輸出国等における衛生管理の調査、衛生規制の評価等を行う。

 ○ モニタリング検査の強化 9億円
       輸入食品の多様化や件数の増加に対応して、効果的に検査を実施するため、検査対象品目群をきめ細かに設定する等の見直しを行うとともに、海外情報に基づく検査の強化を図るなど、輸入食品の安全性確保のためのモニタリング検査の強化を図る。

 ○ 輸入食品監視支援システムの機能強化 1.1億円
       食品の輸入手続の迅速化を図るとともに、効果的なモニタリング検査を実施するため、輸入食品監視支援システムの情報検索機能等の強化を図る。

(2)健康食品等に関する安全確保体制の充実 65百万円
 ○ 健康食品等に関する情報収集・提供体制の整備 35百万円
       国内外の健康食品等に関する健康被害事例及び安全性・効果についての研究報告や文献等の情報を収集・分析し、データベース化するとともに、消費者等に対する情報提供を推進する。

 ○ 健康食品等に対する監視の強化 30百万円
       いわゆる健康食品に対する全国的な買上調査及び成分分析を実施し、薬事法違反業者に対する監視・取締の徹底を図るとともに、自治体の薬事監視員及び食品衛生監視員に対する研修を実施し、監視体制の強化を図る。

(3)食肉に関するBSE対策の推進 40億円
       と畜検査におけるBSE全頭検査の実施について、引き続き、特別措置として検査キットの整備に対する補助を行うとともに、検査技術の研修等を実施する。

3 食品の安全性確保にかかる研究の充実 16億円

 ○ 食品の安全性確保にかかる研究の充実
       BSEの原因とされる異常プリオン(たんぱく質の一種)の検出法、遺伝子組換え食品の検知法、食品添加物の安全性確認方法等、食品の安全性確保にかかる研究を推進するとともに、国内外の食品の安全性に係る情報を収集・分析し、提供する体制を整備する。


第3 新たな挑戦や再挑戦がしやすい労働市場の実現

  現下の厳しい雇用失業情勢及び不良債権処理の加速する過程における影響に対応し、早期再就職及び雇用機会の創出を進めるとともに、経済社会の活性化を図るため、新たな挑戦や再挑戦がしやすい労働市場の実現に向け、官民による労働力需給調整機能の強化や雇用関係情報の積極的提供などを進め、円滑な労働移動の支援を強化する。
 また、地域の課題に応える地域雇用開発の促進、サービス分野等における雇用創出に向けた取組の強化など良好な雇用機会の創出・確保等を図るとともに、雇用保険制度の見直しにより雇用セーフティネットの整備を図る。

1 早期再就職の促進のための労働市場の基盤整備 1,116億円

(1)民間活力による労働力需給調整機能の強化 6.3億円
     職業紹介制度や労働者派遣制度について見直しを行うなど、労働市場における民間活力による労働力需給調整機能の強化を図る。

(2)雇用関係情報の積極的提供 401億円
     労働力需給調整機能を強化するための労働市場の基盤整備として、しごと情報ネット、ハローワーク・インターネット・サービス等の活用により、就職支援情報を積極的に提供する。

(3)公共職業安定所における再就職支援機能の強化 402億円

 ○ 早期就職の緊要度が高い求職者に対する早期再就職の実現 30億円
       早期就職の緊要度が高い求職者に対し、公共職業安定所に専任の支援員(就職支援ナビゲーター)を配置し、求人開拓、教育訓練、職業相談、就職に至る一貫した就職支援を個々人ごとにきめ細かく実施する。

 ○ キャリア・コンサルティングの充実強化 28億円
       キャリア・コンサルタントの配置及び専用コーナーの設置を引き続き推進し、公共職業安定所のキャリア・コンサルティング機能の充実強化を図る。

 ○ 雇用保険受給者に対する就職支援セミナーの集中的な実施 20億円
       公共職業安定所において集中的かつ計画的に就職支援セミナーを実施し、再就職に関する意識改革や求人の多い職種等に関する詳細な情報提供を行う。

 
 母子家庭の母等、中高年齢者、若年者、障害者、ホームレスの試行雇用を通じた早期再就職の促進(再掲) 184億円

(4)円滑な労働移動の効果的な支援 154億円
     円滑な労働移動を効果的に支援するため、労働市場の動向に対応した助成制度の見直しを行う。

(5)自営廃業に伴う離職者等に対する再就職支援の実施 3.6億円
       地域の商工団体等が、会員による就業の場の提供等に取り組む場合に、担当者の確保、カウンセリングの実施等についての支援を行う。

(6)地域の労使による就職支援事業の推進 24億円
     地域の民間の労使団体が雇用の改善のために相協力して行う求人・求職ニーズ調査や求人の働きかけ、求職ガイダンス、求人・求職情報の作成・提供、就職面接機会の設定、その他の再就職の促進に資する事業を支援する。

2 良好な雇用機会の創出・確保等 1,523億円

(1)地域の課題に応える地域雇用開発の推進 61億円
     都道府県が策定した「地域求職活動援助計画」に沿って、事業主団体等が実施する就職支援活動を推進する。

(2)中小企業における雇用機会の積極的な創出 301億円
     中小企業の経営戦略の企画や製品、技術の開発などの人材に係る求人情報を収集・提供するとともに、中小企業の人材確保・育成、魅力ある職場づくりの活動を支援するための助成を行う。

(3)サービス分野等における雇用機会の創出 3.1億円
      有識者、関係業界及び関係省庁代表者からなる「雇用創出企画会議」を開催するとともに、関係業界等から雇用創出に有効な施策についての提案を求める。
「サービス分野等に係る人材育成プロジェクト」を設置し、業界団体等を活用して、今後求められる人材ニーズ等の把握等を行い、人材育成計画を策定し、人材育成の取組を推進する。

(4)雇用の維持確保に対する支援 262億円
     景気の変動等、経済上の理由により事業活動の縮小を余儀なくされ休業等又は出向により雇用の維持を図った事業主に対して、雇用調整助成金を支給する。
 特に、不良債権処理の加速に伴い、出向や新事業展開の準備期間に休業、教育訓練を行う事業主に対し、雇用調整助成金の生産量低下要件を撤廃する特例措置を講じる。

(5)雇用保険受給資格者の創業に対する支援 18億円
     雇用保険の受給資格者自らが事業を起こし、事業開始後1年以内に雇用保険の適用事業所となった場合に、その創業に係る経費の一部を助成する。

(6)建設業における成長分野進出への支援 3.2億円
     建設業の事業主がリフォーム分野等の成長分野に進出するに当たり、雇用する建設労働者にキャリア形成のための教育訓練を受けさせた場合にその経費の一部を助成する。

3 雇用保険制度の安定的運営の確保に向けた見直し

 ○ 制度改正(平成15年5月実施)

1 基本手当の見直し

(1)給付率及び上限額の見直し
  

 基本手当日額が再就職時賃金を上回る者の多い高賃金層について、給付率と上限額を引き下げる。
(給付率:60%(60〜64歳は50%)〜80% →
                  50%(60〜64歳は45%)〜80%、
 上限額:10,608円 → 8,040円)


(2)所定給付日数の見直し
(3)育児休業法による勤務時間短縮後の基本手当日額算定についての配慮
  

 勤務時間短縮により賃金が低下している期間中に倒産・解雇等により離職した場合に、短縮前の賃金により基本手当日額を算定する。


2 多様な早期就業促進のための就業促進手当(仮称)の創設
 

 支給残日数を3分の1以上残して常用以外の早期就業をした者に対し、基本手当日額の30%を賃金に上乗せして支給する就業促進手当(仮称)を創設する。


3 教育訓練給付の見直し
4 高年齢雇用継続給付の見直し
 

 支給要件、給付率を見直す。
 (支給要件:15%超の賃金低下→25%超の賃金低下、給付率:25%→15%)


5 雇用保険料率
 ○ 雇用保険国庫負担金 5,348億円


第4 人間力の向上を目指した人材育成の推進

 活力あふれる日本を再生するためには、一人一人が能力と個性を磨き、それを伸び伸びと発揮することができる社会の実現が必要であることから、次代の日本を支える若年者の総合的な雇用・能力開発対策の推進、経済社会の変化や技術革新に機動的に対応できる能力開発システムの構築、「能力」を基盤とした労働市場形成を目指した環境整備など、人間力の向上を目指した人材育成を推進する。

1 若年者の総合的な雇用・職業能力開発対策の推進 252億円

(1)在学中からの職業体験機会の充実 51億円
 ○ 学校等と連携した中高生の職業体験の促進 20億円
       在学中から職業に対する意識を啓発するため、学校等と連携して「総合的な学習の時間」などを活用し、中高生が自ら職業情報の収集、職業体験等を行う事業を実施する。

 ○ 新規卒業予定者に対する職業講習の充実 3.9億円
       就職を希望する新規高校卒業予定者に対し、就職活動に必要な知識や基本的な実務能力を付与するための職業講習を民間教育訓練機関に委託して実施する。

 ○ 学校の進路指導に対する支援 9百万円
       高校の進路指導担当者に対し研修会を実施するとともに、夏休みなどに公共職業安定所に受け入れ、事業所訪問など実務を経験する機会を提供する。

(2)若年者に対する職業訓練等の充実 39億円
 ○ 学卒早期離職者等に対する職業訓練の推進 27億円
       学卒早期離職者等に対して、グループカウンセリングを通じて、訓練受講の動機付けや安定雇用への意欲喚起等を行うとともに、職業能力開発大学校等において企業実習を含む職業訓練を実施する。

(3)不安定就労若年者(いわゆるフリーター)対策の強化 108億円
 ○ 職業意識を高めるグループ活動等を支援する体制の整備 9.9億円
       企業がいわゆるフリーターの職業意識形成を図るために行うべきことに関する指針を策定し普及させるとともに、フリーターが職業意識を高めるために活動できる拠点として「ヤングジョブスポット(仮称)」を大都市部に設置し、就職の動機付けやキャリア形成についての相談、情報交換及び職業体験などのグループ活動を支援する。

 ○ 民間教育訓練機関などを活用した職業訓練の実施 6.8億円
       いわゆるフリーターを対象として、職業意識の啓発、職業適性の自己把握などのためのカウンセリング等を行うとともに、職業能力開発大学校等において企業実習を含む職業訓練を実施する。

 ○ 若年者試行雇用事業の推進 87億円
       学卒未就職者等の若年失業者に実践的な能力を取得させ、常用雇用へ移行するため短期間の試行雇用を実施して、若年者の雇用を推進する。

 ○ ヤングワークプラザの設置 4.5億円
       若年失業者の就職を支援するため、民間の人材を活用した専門的な相談、地域の経済界との連携による就職支援等を行うための施設を新たに設置する。

2 変化に対応できる能力開発システムの構築 1,111億円

(1)キャリア・コンサルタントの養成・活用の推進 38億円
     キャリア形成(職業経歴を通した能力形成)についての相談支援を強化するため、民間機関、職業能力開発大学校等においてキャリア・コンサルタントの養成を推進するとともに、公共職業安定所や民間企業等での活用を図る。また、シンポジウム、セミナーの開催等により資質の向上を図る。

(2)労働者のキャリア形成を支援する企業の育成 146億円
      企業内におけるモデル的なキャリア形成システムを開発・普及する。
事業主が、教育訓練の内容及び目標を明記した「事業内職業能力開発計画」に基づいて行う、職業能力開発への取組に対して助成を行う。

(3)民間教育訓練機関、企業、大学等を活用した職業能力開発の推進 212億円
      離職者に対し、専修学校、企業、大学、大学院等の多様な訓練機関等を活用するとともに、座学訓練と企業実習を組み合わせる等により、再就職に必要な知識・技能等を習得するための効果的な職業能力開発を推進する。
起業や新分野展開を目指す失業者や労働者等に対する能力開発面からの相談・情報提供、人材育成を推進する。

(4)IT化に対応した職業能力開発の実施 69億円
     離職者に対し、IT活用の実践的能力を取得するための訓練を実施する。

(5)高度で専門的な技能の維持継承・人材の育成 10億円
      急速な技術革新に対応するため、公共職業能力開発施設において、コンピュ ーターネットワーク技術等の高度な技能労働者育成を推進する。
高度な熟練技能者に対し、後継者を指導する技術を付与し、業界団体等の行う技能者研修等に派遣することにより、後継者の養成を図る。

3 職業能力の評価分析と情報提供の推進〜「能力」が見える社会の実現〜 47億円

 ○ 労働者の職業能力を自己把握・評価するための基準・手法の開発 4.9億円
       労働者が自らの職業能力を容易に評価し、その結果を求職活動等に活用できる手法を開発する。
 また、幅広い職種について、業界団体による評価基準・手法の開発を推進するとともに、職務遂行に影響する思考・行動の特性(判断力等)に係る評価手法等について検討する。

 ○ 企業の求める職業能力の明確化や情報提供の推進 13億円
       職務遂行に必要な能力を業種別に体系化した「生涯職業能力開発体系」の整備を図り、これを活用して、企業が自社内の各職務に必要な知識・技能等の職業能力や求人に際して求職者に求める職業能力等の明確化を進め、労働者に対する情報提供や相談体制の整備を推進する。


第5 多様な働き方を可能とする労働環境の整備

 経済社会の構造変化の中で、生活と労働とのバランスをとりながら能力を有効に発揮するためには、働き方そのものを見直していくことが必要になっている。このため、多様で柔軟な働き方を可能とする環境整備を推進する。
 また、労働者の安全・健康の確保、男女雇用機会均等の確保、労働者の安定した生活の確保など、誰もが安心して働ける環境づくりを推進する。

1 多様で柔軟な働き方を可能とする労働環境整備 75億円

(1)ワークシェアリングの積極的推進 23億円
 ○ 多様就業型ワークシェアリング導入モデル開発事業の実施(再掲) 2.7億円

(2)長期連続休暇の促進等活力ある働き方を可能とする環境の整備 7.1億円
 ○ 長期連続休暇の取得促進 6.1億円
       長期連続休暇の普及に向けて、シンポジウム開催等普及啓発、先行して取組を行うモデル企業及び事業主団体を対象とした助成等を実施するとともに、新たに業種別懇談会を設けて、長期休暇取得計画の作成を推進する。

 ○ 職業生活活性化のための年単位の長期休暇制度導入に向けた取組(再掲) 97百万円
       職業生活の再設計など、個人の全生涯を見据えた働き方と生活の在り方の見直しの機会を確保するため、年単位の長期休暇を付与する制度の導入に向けた取組を行う。

(3)多様な働き方の選択を可能とする環境整備
 ○ 労働契約に関するルールの明確化、裁量労働制の活用促進等 2億円
       労働者が主体的に多様な働き方を選択し、安心して働くことができるよう、労働契約に係るルールの明確化や裁量労働制の活用促進等について見直しを行う。

(4)在宅就業対策の推進 1.2億円
     在宅就業に関する労務管理の在り方を明確にしたガイドラインを策定するほか、自己診断システム等を活用して、在宅就業者への情報提供・相談援助を行う。

2 誰もが安心して働ける環境づくり 1,441億円

(1)労働者の安全・健康の確保 341億円
 ○ 労働者のメンタルヘルス対策の推進 4.4億円
         労働者の心の健康づくりを推進し、併せて自殺防止にも資するため、メンタルヘルス指針の普及定着を図るとともに、労災病院を中心としてメンタルヘルスに関する相談に的確に対応することのできる体制を整備する。

 ○ 過重労働による健康障害防止対策の推進 64百万円
       過重労働による健康障害の防止に向けて、所定外労働の削減を促進するとともに、健康管理に係る措置の徹底を図るため、産業医に対する研修を実施する。

(2)男女雇用機会均等の確保 17億円
 ○ 女性の能力発揮促進のための積極的取組(ポジティブ・アクション)の促進 9.4億円
       女性の能力発揮促進のための企業の積極的取組(ポジティブ・アクション)の推進状況に関する客観的な評価や目標の設定のための基準値を開発、提供すること等により、企業における取組の一層の促進を図る。

(3)労働者の安定した生活の確保 1,069億円
 ○ 未払賃金立替払制度の適正な運営 275億円
       企業倒産により賃金が未払のまま退職させられた労働者に対する未払賃金立替払制度について、迅速かつ適正な運営を行う。

 ○ 労災補償の迅速かつ適正な運用 606億円
       増加傾向にある過労死事案等に係る労災請求について、的確に対応し、労災保険給付の迅速・適正な処理を推進する。

 ○ 労災保険料率の見直し
       労働災害の減少傾向や保険料を負担している事業主の負担軽減等に鑑み、労災保険料率を平成15年4月から平均約1/1,000引き下げることとする。


第6 活力があり、安心できる高齢社会の実現

 急速に高齢化が進展する中、国民の一人一人が健康で活力のある社会を実現するため、健康づくり施策やがん等生活習慣病予防を推進し、65歳までの雇用の確保や高年齢者再就職を促進するとともに、様々な形態で高齢者が就業し、社会参加できるよう支援する。
 また、介護保険制度を第2期介護保険事業計画に沿って着実に実施し、必要な介護サービス基盤の整備、介護サービスの質の向上、介護保険事業運営の適正化、広域化等への支援を行う。
 年金制度については、長期的に安定した信頼される制度を構築する。

1 健康寿命の増進と生活習慣病予防の推進 965億円

(1)健康づくり施策の推進 931億円
 ○ 健康診査の実施等に関する指針の策定 8百万円
       異なる検査機関で健康診断を受けた場合でも検査結果を比較することができるよう、検査の方法や事後指導等について共通の指針を策定する。

 ○ 健康づくりのための「食育」の推進 27百万円
       外食における健康に配慮したメニューの提供等の具体的推進方法を検討するとともに、日本人の栄養所要量を改訂するなど、健康づくりのための食育を推進する。

(2)がん等生活習慣病予防の推進 34億円
 ○ 最先端科学を活用したがん等の生活習慣病予防にかかる研究の推進
   (メディカルフロンティア戦略関係)
20億円
       ゲノム・たんぱく質科学等の最先端科学を活用して、がん等の生活習慣病の予防や早期発見のための研究を行う。また、研究成果を健康日本21の推進等に活用し、生活習慣病の減少、健康寿命の増進及び生涯にわたる生活の質の向上を図る。

 ○ がん予防・検診研究センター(仮称)の開設(メディカルフロンティア戦略関係) 14億円
       がん予防のための先端的検診技法の研究開発、最新検診技術による標準的ながん検診手法の確立及びその全国への技術移転等を推進するため、国立がんセンターにがん予防・検診研究センター(仮称)を開設する。

2 高齢者雇用対策の推進 949億円

(1)知識・経験を活かした65歳までの雇用の確保 504億円
     定年の引上げ、継続雇用制度の導入等に対して支援するとともに、地域の事業主団体と連携した対策を強化し、65歳までの継続した雇用の確保を図る。

(2)中高年齢者の再就職の援助・促進 80億円
 ○ 中高年齢者試行雇用事業の推進 75億円
       世帯主など特に再就職の緊急性が高い中高年齢求職者について、試行雇用を通じて常用雇用への移行を図ることにより、早期再就職を促進する。

 ○ 中高年長期失業者の官民一体となった再就職支援 5.3億円
       中高年長期失業者に対して、民間のノウハウを活用した就職支援セミナー、カウンセリングの実施、求職者同士の経験交流等の再就職支援を行う。

(3)高年齢者の多様な就業・社会参加の促進 213億円
 ○ シルバー人材センター事業の推進 141億円
       高齢者が生きがいを持って地域社会で生活するため、定年退職後等において軽易な就業を希望する高齢者に対し、就業機会、社会参加の場を提供するシルバー人材センター事業を推進する。

 ○ 中高年齢者の共同による起業への支援 60億円
       中高年齢者等が共同して起業することにより、自ら継続的な雇用・就業機会を創出する場合に助成金を支給する。

3 介護保険制度の着実な実施と基盤整備等関連施策の推進 1兆8,929億円

(1)第2期介護保険事業計画の実施等介護保険の着実な実施 1兆6,771億円
 ○ 介護給付に対する国の負担等 1兆5,899億円
       平成15年度から始まる第2期介護保険事業計画に基づき、介護保険制度を着実に実施する。
 介護報酬については、保険料の上昇幅を抑制する見地から、賃金・物価の下落傾向、介護事業者の経営状況等も踏まえ、在宅重視と自立支援の考え方に基づき、次のとおり改定を行う。

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介護報酬の改定 (平成15年4月実施)
 改定幅 △2.3%
 (内訳)  
 在宅分平均 +0.1%
 施設分平均 △4.0%







(2)必要な介護サービス基盤整備量の確保 2,025億円
 ○ 特別養護老人ホーム等の施設整備の推進 1,050億円
       各地方自治体における介護保険事業計画の見直しの状況を踏まえ、特別養護老人ホームや介護老人保健施設等の必要な基盤整備を計画的に行う。

(3)介護支援専門員(ケアマネジャー)に対する支援等による介護サービスの質の向上 36億円
 ○ ケアマネジメントリーダー活動等支援事業の推進 7.3億円
       地域におけるケアマネジャーの支援体制を強化するため、関係機関との連絡調整や指導助言等の援助を行うケアマネジメントリーダーの養成を進めるとともに、ケアマネジャーに対する個別相談窓口の設置等を行う。

 ○ 在宅サービス、施設の管理者等に対する研修事業 1.4億円
       介護サービス事業者の管理者等を対象に、苦情や事故の背景にある要因を共有し、組織的な対応の手法について事例を活用した研修を行う。また、全室個室・ユニットケアの特別養護老人ホームの特徴を活かした適切なサービスの提供を確保するため、施設管理者等を対象とした研修を行う。

(4)介護保険事業運営の適正化、広域化等への支援 93億円
     介護保険の円滑な運営を確保するため、介護サービスの適正な提供・利用のための指導等各般の措置を実施するとともに、事業の広域化を図る市町村等に対するシステムの構築経費等への支援、小規模で高額保険料となる市町村が広域化する場合等に対する財政支援を行う。

(5)要介護認定の円滑かつ適正な実施 4億円
     平成15年4月に改訂される要介護認定システムの運用について、実態調査及び評価を行い、早期に必要な改善・是正措置を講ずる。

4 長期的に安定した信頼される年金制度の構築

 ○ 年金給付費国庫負担金 5兆6,284億円

      *平成15年度の年金額
 平成14年の消費者物価指数は対前年比マイナス0.9〜1.0%程度となる見込みである。(法律どおりの取扱いならば、平成15年度の年金額等については、12年度から14年度に据え置いた1.7%と合わせて、マイナス2.6%〜2.7%の改定となる。)
 しかしながら、特例措置により年金額を据え置いた過去3か年とは異なり、平成14年は現役世代の賃金の低下傾向が明らかとなっていることから、平成15年度については、保険料を負担する現役世代との均衡にかんがみ、高齢者等の生活に配慮しつつ、特例として、平成14年の消費者物価の下落分(マイナス0.9%〜1.0%の見込み)の年金額の改定を行うこととする。

 年金額への影響(△0.9%の場合)
 ※厚生年金(月額) (平成14年度)
238,125円
 → (平成15年度)
235,992円
   〔サラリーマン世帯の標準的な年金額〕

 ※国民年金(月額)
   〔老齢基礎年金〕
 67,017円  →   66,417円

 平成15年1月下旬に平成14年の年平均の消費者物価指数が確定するのを待って、次期通常国会に年金額等の物価スライドの特例措置を講ずるための法案を提出することとする。

 ○ 年金通算協定の推進 35百万円
       国際的な人的交流が活発化し、また、企業間の国際競争が激しさを増す中で、年金制度への二重加入の防止及び年金受給権の確保を図る年金通算協定について、締結に向けた取組みを着実に推進する。


第7 障害者の自立・社会参加の推進と良質な福祉サービスの提供

 障害者基本計画重点施策実施5か年計画(新障害者プラン)の実施を軸として、障害者の自立と社会参加を推進するため、雇用と福祉の連携等による障害者雇用の推進、住まいや働く場所の確保、地域における自立の支援、障害者の自己決定を尊重する支援費制度の円滑な施行等を推進する。
 また、ホームレスに関する特別措置法の制定を踏まえ、ホームレスの自立の支援等に関する施策を一層推進するとともに、福祉に携わる人材の資質の向上など、良質な福祉サービスを提供するための体制整備を進める。

1 障害者雇用対策の推進 142億円

(1)雇用と福祉の連携による障害者の自立支援 84億円
 ○ 職場適応援助者(ジョブコーチ)による事業の拡充 20億円
       授産施設等と連携して、障害者の就職先に職場適応援助者(ジョブコーチ)を派遣し、職業的自立のための実践的な支援を行う事業を拡充する。

 ○ 障害者就業・生活支援センター事業の充実 5.7億円
       障害者をめぐる厳しい雇用情勢に対応するため、「障害者就業・生活支援センター」における雇用支援の相談員を増員する。

(2)障害者の雇用機会の拡大 5.9億円
 ○ 障害者試行雇用事業の推進 4.8億円
       事業主に障害者雇用のきっかけを提供するとともに、障害者に実践的な能力を取得させ、常用雇用へ移行するため短期間の試行雇用を実施して、障害者雇用を推進する。

(3)精神障害者の雇用対策の推進 6.5億円
     コミュニケーションの能力や労働意欲の向上に関する指導と作業指導を組み合わせた体系的な訓練を、障害者各人の課題に応じたカリキュラムで実施するなど、精神障害者の雇用対策を推進する。

2 新しい障害保健福祉施策の展開 6,186億円

(1)新障害者プランの推進 1,301億円
     平成15年度から始まる新障害者プランに基づき、ノーマライゼーションの理念の下、共生社会の実現を図り、障害者が身近な地域で自立した生活を送れるよう、グループホーム等、個人の多様なニーズに応じた各種の福祉サービスの充実を図る。
 また、障害者のサービス利用にかかる相談支援体制の推進を図る。

(2)支援費制度の円滑な施行 3,225億円
     平成15年度から始まる障害者がサービスを選択できる支援費制度を円滑に施行するため、ホームヘルプサービスなど各種のサービスに必要な経費を確保するとともに、都道府県及び市町村の事務の円滑化等を支援する。

(3)障害者の社会参加の推進 58億円
     視聴覚障害者の情報・コミュニケーション支援事業を推進するとともに、身体障害者補助犬法の施行に伴い、従来の盲導犬育成に加えて、介助犬と聴導犬の育成にも取り組む。
 また、障害者が必要とするパソコンの周辺機器等の購入助成及びパソコンの利用方法を教えるボランティアの養成・派遣を推進するとともに、新たにボランティアの活動支援、障害者からの利用相談等を行う障害者ITサポートセンターを設置する。

(4)特別児童扶養手当及び特別障害者手当等 1,193億円
       平成14年の消費者物価の下落分(マイナス0.9%〜1.0%の見込み)の特別児童扶養手当及び特別障害者手当等の額の改定を行う。
(平成15年4月実施)

(△0.9%の場合)
特別児童扶養手当(月額)  1級  51,550円 → 51,100円
     2級  34,330円 → 34,030円
特別障害者手当(月額)    26,860円 → 26,620円

3 精神障害者保健福祉施策の推進 576億円

 
 心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者に関する医療体制の整備及び必要な人材の養成 37億円
        心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療等のため、指定入院医療機関の整備、精神保健判定医の養成等を行う。

 ○ 精神科救急医療体制の強化 21億円
       在宅の精神障害者の症状悪化に対し、身近な地域において早期に適切な医療を提供できる体制を確保するため、休日・夜間対応の精神科初期救急医療輪番システムを整備し、精神科救急医療体制の強化を図る。

 ○ 精神障害者社会復帰対策の推進 215億円
       精神障害者の社会復帰を促進するため、居宅生活支援事業及び社会復帰施設の充実を図るとともに、いわゆる社会的入院患者の退院を支援するための事業を実施する。

4 福祉に携わる人材の資質の向上等 51億円

 ○ 介護施設職員等福祉に携わる人材の養成、確保及び資質の向上 12億円
       福祉人材センターにおいてインターネットを通じた求人登録、職業紹介が可能となるシステムを開発し、福祉に携わる人材の確保を支援する。また、介護教員養成講習会の拡充等により、質の高い福祉人材の確保に努める。

 ○ 福祉サービスの第三者評価等の推進 3.5億円
       評価を受ける事業所をモニターとして活用した普及啓発の促進、第三者評価機関の育成支援や評価調査者の養成研修の実施など、第三者評価を推進することにより、良質な福祉サービスの提供を図る。
 また、運営適正化委員会における苦情解決事業の推進を図る。

 ○ 地域福祉権利擁護事業の推進 36億円
       痴呆性高齢者、知的障害者、精神障害者等判断能力の不十分な者に対し、福祉サービスの利用援助等を行う地域福祉権利擁護事業の実施主体を都道府県社会福祉協議会から指定都市社会福祉協議会に拡大する。

5 ホームレスに関する特別措置法制定を踏まえた施策の推進 27億円

 
ホームレス自立支援事業、ホームレス緊急一時宿泊事業(シェルター事業)の拡充 17億円
       ホームレスに対し、健康診断、生活相談・指導及び職業相談・紹介等を行い、就労自立を支援する自立支援事業や、緊急一時的な居住場所を提供する緊急一時宿泊事業(シェルター事業)を拡充する。

 ○ ホームレス総合相談推進事業の創設 3.1億円
       ホームレスを多く抱える地域において、行政、支援団体、地域住民等で構成するホームレス総合相談推進協議会を創設し、巡回による相談活動等を行い、ホームレスの自立を促進する。

 ○ ホームレス能力活用推進事業の創設 44百万円
       一般雇用施策での対応が困難なホームレスに対し、都市雑業的な職種の情報収集・提供等を行う事業を創設し、ホームレスの自立を支援する。

 ○ 技能講習、試行雇用事業の創設 7億円
       ホームレスに対する技能・資格の再取得、再教育を目的として技能講習事業を拡充するとともに、自立支援センターに入所しているホームレスを対象とした試行雇用事業を創設し、ホームレスに対する就業機会の拡大を図る。

6 生活保護 1兆5,217億円

 ○ 生活扶助費等
       国民の消費動向や社会経済情勢を総合的に勘案し、生活扶助基準等の改定を行う。(平成15年4月実施)

       ・標準3人世帯(33歳男、29歳女、4歳子、1級地―1)
     月額 163,970円 → 162,490円 (△0.9%)

 ○ 就労促進等の取組み
       被保護人員の増加等に伴う必要額を確保するとともに、就労の促進や居宅生活への移行の促進等により被保護者の自立助長を図る等、引き続き適切な実施に努める。


第8 質の高い医療の確保等のための施策の推進

 患者の視点に立った安心かつ質の高い医療を効率的に提供できるよう、総合的な医療安全対策、医療情報の提供、医療のIT化等を着実に進めるとともに、医療従事者の確保と資質の向上を図るなど、医療提供体制の整備を図る。また、医薬品・医療機器等の安全性確保対策を推進する。

1 医療安全対策と医療情報提供の推進 15億円

(1)医療安全対策の総合的推進 14億円
 ○ 苦情や相談等に対応するための体制の整備 1.2億円
         医療に関する患者の苦情や相談等に迅速に対応するため、二次医療圏ごとに公的な相談体制を整備するとともに、都道府県に専門家等を配置した医療安全相談センター(仮称)を整備することにより、医療の安全と信頼を高める。
また、医療機関に患者の苦情等の情報を提供することを通じて、患者サービスの向上を図り、医療の質の向上を推進する。
医療安全相談センター(仮称)に対して、相談等に対応する職員に対する専門研修や相談困難事例等の収集・分析に基づく情報提供等の総合的な支援を行う。
     
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 医療安全相談センター(仮称)における専門家等の配置等に係る経費については、地方財政措置で対応。




 ○ 医療安全対策に有用な情報提供の推進 2.9億円
       医療現場におけるヒヤリ・ハット事例の収集範囲を全医療機関に拡大し、医療機関における医療安全対策に有用な情報提供の充実を図る。

(2)医療情報提供の推進
 ○ 医療機関に関する情報提供の推進 54百万円
       全国の医療機関情報をインターネット(社会福祉・医療事業団のWAMNET)を通じて提供するとともに、地域の特性を踏まえた個別情報を提供することにより、患者の医療機関選択の利便を図る。

2 安心で質の高い医療を目指した医療提供体制の充実 1,601億円

 ○ 根拠に基づく医療(EBM)、医療のIT化の着実な推進 14億円
        根拠に基づく医療(EBM)が実践できるようインターネット等を利用した質の高い情報を医療関係者等に提供するためのデータベースを整備する。
また、電子カルテシステムを地域の医療機関がネットワークを組んだ形で導入することにより、地域の特性に応じた医療機関の連携を図る。
電子カルテシステムの導入等医療のIT化を積極的に支援するため、社会福祉・医療事業団による融資の充実を図る。

 ○ 救急医療の充実をはじめとする地域医療の確保 518億円
       10床規模による必要な機能を備えた新型救命救急センターを創設するとともに、救急救命士の病院実習受入促進措置を新たに講ずるほか、ドクターヘリの導入や小児救急医療体制の整備を引き続き推進する。

 ○ 医療従事者の確保と資質の向上 1,070億円
        臨床研修の必修化(医師は平成16年度、歯科医師は平成18年度)に向けて、医師の「研修病院の受入れ」と「研修医の希望」との双方の組み合わせを合理的かつ効率的に決定(マッチング)するためのシステムの構築などを図る。
がん看護や感染管理など専門性の高い研修に対する支援を行うことにより、質の高い看護職員の育成を重点的に促進する。また、准看護師が働きながら看護師資格を取得できるようにするため、看護師養成所2年課程(通信制)の設置に対する支援を行う。

3 安定的な医療保険制度の構築

 ○ 政府管掌健康保険、国民健康保険、老人保健制度等に係る医療費国庫負担 7兆7,521億円

4 医薬品・医療機器等の安全対策の充実 106億円

(1)医薬品・医療機器等の審査・安全確保体制の充実 16億円
 ○ 生物由来製品の特性に応じた安全確保対策の充実 16百万円
       ヒト細胞組織を利用した医薬品・医療機器の臨床評価基準等を整備する。
 また、薬事法改正に伴い新たに導入する生物由来製品に関する感染症定期報告制度を適切に実施することなどにより、感染被害の発生・拡大防止を図る。

(2)ワクチン等の安定供給の確保 25億円
 ○ 天然痘ワクチンの備蓄の推進 14億円
       生物兵器を利用したテロの危険に備えるため、天然痘ワクチンを備蓄する。

5 疾病対策の推進 1,742億円

(1)C型肝炎等緊急総合対策の推進 60億円
      平成14年度に引き続き、40歳から70歳までの老人保健法に基づく健康 診査の受診者に対し、5歳刻みで節目検診を行い、5年間(平成14年度〜18年度)で全員に肝炎ウィルス検査等を実施するとともに、緊急性を要する場合には節目外検診を実施するなど、各種健康診査の場を活用して、肝炎ウィルス検査を実施する。
肝炎ウィルスの病態、感染メカニズムの解明など、肝炎、肝硬変、肝がん等の予防及び治療法の研究を推進する。
肝炎ウィルスの感染者に対する保健指導、肝炎に関する正しい情報提供を推進するための研修事業等を実施する。

(2)移植対策の推進 29億円
 ○ 臓器移植対策の推進 5.1億円
       臓器移植におけるあっせん機関の役割を見直し、より効率的・効果的なあっせん体制を再構築する。

 ○ 造血幹細胞移植対策の推進 19億円
       骨髄移植及びさい帯血移植等の造血幹細胞移植におけるあっせん体制を見直し、骨髄移植における専任のコーディネーターを設置するとともに、さい帯血移植に必要なさい帯血の安全性確保及び保存・管理体制の強化を推進する。

(3)シックハウス対策の推進 6.5億円
     シックハウス症候群の原因分析、診断・治療法の研究等の対策を関係省庁と連携しつつ、総合的に推進する。

(4)リウマチ・アレルギー対策の推進 17億円
     リウマチ、気管支喘息、アトピー性皮膚炎、花粉症、膠原病などの免疫アレルギー疾患の発症機序、診断・治療法の開発を推進するとともに、免疫アレルギー疾患に関する正しい情報の普及を図る。

(5)難病対策の総合的推進 1,036億円
      難治性疾患の克服を目指した研究を推進するとともに、難病相談支援センター(仮称)の整備など難病患者のニーズを踏まえたきめ細かな福祉施策の充実を図る。
医療費負担に対する支援制度については、低所得者への配慮など所得と治療状況に応じた段階的な一部自己負担及び事業評価の導入により、制度の適正化及び安定化を図る。

(6)ハンセン病対策の推進 480億円
     引き続きハンセン病療養所入所者の療養を確保し、入所者家族及び退所者の福祉の増進を図るとともに、ハンセン病資料館の充実等、ハンセン病患者・元患者の名誉回復を図る観点から、普及啓発のさらなる充実を図る。

6 安全で良質な水の安定供給 1,064億円

 ○ 水道施設の整備 1,063億円
       すべての国民に安全で良質な水道水の供給を行うとともに、地震・渇水に強い水道づくりを着実に推進する。

7 麻薬・覚せい剤等対策 14億円

 ○ 青少年の薬物乱用防止のための啓発事業の推進 26百万円
       薬物乱用の低年齢化が懸念されていることから、地域において薬物乱用防止のための対話集会を開催するとともに、小学生の保護者向けの啓発用読本を作成・配布する。


第9 科学技術の振興及び産業の国際競争力の強化

 先端医療を実現し、あわせて医薬品・医療機器等の産業活性化を推進するために、疾患関連たんぱく質の解析の研究、新しい医療機器の開発、大規模治験ネットワークの構築による治験の活性化を推進する。
 また、人の健康に影響を与える食品、医薬品・医療機器、化学物質の安全にかかる研究や、がん等の生活習慣病予防、難治性疾患に対する診断・治療法の研究開発を推進するとともに、国立試験研究機関等の研究開発体制を整備する。

1 医薬品・医療機器等産業活性化プロジェクトの推進 21億円

 ○ 疾患関連たんぱく質解析プロジェクト 5億円
       高血圧、糖尿病、がん、痴呆等の患者と健康な者との間のたんぱく質の種類・量を比較し、疾患に特有のたんぱく質を同定し、データベース化することによって画期的な医薬品開発を支援する。

 ○ 身体機能の解析・補助・代替のための機器開発プロジェクト 7億円
       バイオテクノロジー、IT、ナノテクノロジー等の先端技術を効率的に選択し、組み合わせ、医学・工学・薬学分野を融合することによって、医療ニーズに合致した新しい医療機器の開発を推進する。

 ○ 治験活性化プロジェクト 8.7億円
       国内における治験の空洞化を防ぐため、がんや循環器病などの疾患群ごとに複数の医療機関による大規模治験ネットワークを構築し、医療上必要な医薬品等の開発推進を図る。

2 健康安全にかかる研究の充実 46億円

 ○ 食品の安全性確保にかかる研究の充実(再掲) 16億円

 ○ 医薬品等医療技術リスク評価・管理技術の高度化 10億円
       ゲノム創薬や再生医療などのバイオテクノロジーの進展に対応し、より有効かつ安全な医薬品・医療機器を国民に提供するために、安全情報の収集を強化し、医薬品等のリスク評価・管理技術の高度化に関する研究を推進する。

 ○ 化学物質リスク評価・管理技術の高度化 20億円
       生活環境中の化学物質の毒性を迅速かつ効率的に分析するとともに、化学物質の毒性とヒトの暴露量・暴露経路との関係を総合的に評価(リスク評価)し、必要な規制基準の設定(リスク管理)と的確な情報伝達(リスクコミュニケーション)のための研究を推進する。

3 先端的科学技術を活用した医療の展開 71億円

(1)最先端科学を活用したがん等の生活習慣病予防にかかる研究の推進
   (メディカルフロンティア戦略関係)(再掲)
20億円

(2)自己免疫疾患、神経疾患等をはじめとした難治性疾患の克服を目指した研究の推進 24億円
     根本的な治療法が確立しておらず、かつ後遺症を残すおそれが少なくない難治性疾患に対して、病状の進行の阻止、機能回復・再生を目指した画期的な診断・治療法の研究開発を推進し、患者の生活の質の向上を図る。

(3)研究開発基盤の整備 26億円
 ○ 国立試験研究機関等の知的成果物の民間移転推進 65百万円
       国立試験研究機関で開発される知的成果物の民間移転を円滑に進めるために技術移転機関(TLO)を整備するとともに、知的成果物の機関帰属への転換と発明者への報償規定の整備を進める。

 ○ 国立長寿医療センター(仮称)の開設 12億円
       国立療養所中部病院及び長寿医療研究センターを改組し、長寿医療に関するナショナルセンターを開設する。

 ○ がん予防・検診研究センター(仮称)の開設(メディカルフロンティア戦略関係)(再掲) 14億円


第10 各種施策の推進

1 国際社会への貢献 287億円

(1)国際機関を通じた国際的活動の推進 177億円
 ○ 世界保健機関(WHO)等を通じた活動の推進 115億円
       世界保健機関(WHO)、国連合同エイズ計画(UNAIDS)への拠出等を通じ、エイズ及び結核等の地球規模の感染症対策、食品の安全対策の国際的な活動を推進する。

 ○ 国際労働機関(ILO)を通じた活動の推進 59億円
       国際労働機関(ILO)への拠出等を通じ、労働者の基本的な権利の実現、人材育成、能力開発等の国際的な活動を推進する。

(2)開発途上国に対する国際協力等の推進 48億円
 ○ 開発途上国の行政官等への厚生労働分野の効果的な研修等の推進 4.4億円
       行政官を中心とした途上国からの研修員の受入れ等を通じて、アジアを中心とする開発途上国支援を行う。

 ○ ASEAN諸国に対する労働問題解決に向けた支援 49百万円
       労使関係の安定化に関するASEAN諸国の対応能力の向上を支援し、わが国との経済的な連携強化を促進する。

2 戦傷病者・戦没者遺族の援護等 669億円

 ○ 戦没者等の妻及び戦没者の父母等に対する特別給付金の継続支給
       戦没者等の妻及び戦没者の父母等に対する特別給付金について、現行の特別給付金国債が最終償還を迎えることから、国として改めて特別の慰藉を行うこととし、継続して支給する。
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国債額面  戦没者等の妻に対する特別給付金(10年償還)
  180万円→200万円
 戦没者の父母等に対する特別給付金(5年償還)
  100万円→100万円




 ○ 援護年金 623億円
       恩給に準じ、援護年金の額を据え置く。

 ○ 戦没者遺骨のDNA鑑定 43百万円
       DNAを抽出することができ、かつ埋葬者資料が残っており、DNA鑑定を行えば遺族が判明する可能性が高いなど一定の条件を満たす戦没者の遺骨について、DNA鑑定を実施する。

 ○ 海外民間建立慰霊碑の調査 18百万円
       民間団体が海外に建立した慰霊碑については、関係者の高齢化等により維持管理が不十分なものがあるため、管理状況を調査し、関係者に対して維持管理の指導を行う。

3 中国残留邦人等の支援 18億円

 ○ 中国残留孤児日中共同調査等の充実 42百万円
       孤児の離別状況を知る関係者の高齢化を踏まえ、平成15年度から2年計画で集中的に共同調査を行う。また、中国帰国者が地域社会から孤立することのないよう、中国帰国者支援・交流センターが中国語による電話連絡や訪問を行う事業を創設する。

4 生活衛生関係営業の指導及び振興の推進 19億円

 ○ 生活衛生関係営業の振興のための支援
       生活衛生関係営業の振興について、生活衛生同業組合等による自主的な活動を支援するとともに、食品リサイクルを推進する。また、国民生活金融公庫の生活衛生資金貸付について、受動喫煙防止施設を貸付の対象とするなどの改善を図る。

5 原爆被爆者の援護 1,586億円

 ○ 保健、医療、福祉にわたる総合的な施策の推進
       原爆被爆者に対して健康診断の実施、医療の給付及び諸手当の支給のほか、原子爆弾被爆者養護ホーム等に対する助成措置等の保健福祉事業、調査研究事業及び国立原爆死没者追悼平和祈念館の運営等を行う。
 なお、原爆被爆者に支給する諸手当については、平成14年の消費者物価の下落分(マイナス0.9%〜1.0%の見込み)の額の改定を行う。
(平成15年4月実施)

(△0.9%の場合)
 ・医療特別手当(月額) 139,600円 → 138,380円

6 電子政府の実現 102億円

 ○ 申請・届出等手続の電子化の本格実施
         「e-Japan重点計画」に基づき、平成15年度から申請・届出等手続の電子化を本格的に実施する。


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