(整理番号 5)

終期付き事業評価書
平成17年8月

評価対象事業 中小企業賃金制度支援事業
当該事業に係る補助金 診療等委託費
担当部局・課 労働基準局勤労者生活部勤労者生活課
 関係部局・課  


1. 事業の内容

(1) 関連する政策体系の施策目標
政策体系 番号  
基本目標 労働者が安心して快適に働くことができる環境を整備すること
施策目標 労働条件の確保・改善を図ること
III 賃金対策の推進を図ること

(2)事務事業の概要 (単位:百万円)
予算項目 (項) 労働福祉事業費
(目) 診療等委託費
(目細)高年齢者安全衛生等調査研究委託費
(積算)高年齢者安全衛生等調査研究事業費
  当初予算額 補正後予算額 決算額 補正後予算額と決算額に乖離がある場合の理由
H11 418   376  
H12 436   370  
H13 433   383  
H14 358   291  
H15 342   283  
H16 338      
H17 290      
事業創設年度 平成7年度
継続回数 1回
事業実施主体 (社)全国労働基準関係団体連合会
事業の主な対象者 中小企業
事業創設の背景  高齢化社会の進展、産業構造の転換、就業構造の変化に対応した賃金制度の整備・改善が急務となっているが、中小企業においては、情報・ノウハウの不足、専門スタッフの不在等の理由により、賃金制度が未整備であったり、その改善が困難となっている状況が見受けられる。
 このような状況を踏まえ、中小企業における適正な労働条件の確保・改善等を促進することにより、労働福祉の向上及び中小企業の健全な発展に資するために本事業を創設した。
事業内容
(1)  中小企業モデル賃金制度作成委員会
(1)  中小企業モデル賃金制度、自主点検表等の作成
(2)  中小企業団体に対する支援
(1)  自主点検の実施等による問題点の整理、把握
(2)  セミナー開催等による整備・改善について啓発、助言
(3)  個別中小企業に対する支援
(1)  賃金制度診断
(2)  賃金制度整備・改善セミナー
得ようとする効果  中小企業においては独力では賃金制度の整備・改善が進まない状況にあり、これらの中小企業に対して支援を行うことにより、主要な労働条件の一つである賃金制度の整備・改善を推進し、ついては中小企業労働者の労働福祉の向上と中小企業の健全な発展を促すこととなる。

(3) 事業の評価関連指標(必要に応じ指標数を増やすこと)
 定量指標(1)
指標名(単位) 団体支援参加企業に対する事業終了時のアンケート調査結果
H11 H12 H13 H14 H15


(1) 35.2%
(2) 46.5%
(1) 25.9%
(2) 49.8%
(1) 25.0%
(2) 47.8%
(備考)
((1) 賃金制度について「1年以内に見直したいと思う」と回答した企業の割合)
((2) 賃金制度について「見直しの必要性は感じるが、2〜3年の間にやればよいと思う」と回答した企業の割合)
 H11,12年については、保存期限を経過したため廃棄
 近年、小規模企業加入団体を重点的に支援

 定量指標(2)
指標名(単位) 個別セミナー開催回数及び参加企業数
H11 H12 H13 H14 H15


121回
3,837企業
116回
3,310企業
120回
4,056企業
(備考)
 H11,12年については、保存期限を経過したため廃棄

 定量指標(3)
指標名(単位) 賃金制度診断実施企業数
H11 H12 H13 H14 H15
128企業 175企業 170企業
(備考)
 H11,12年については、保存期限を経過したため廃棄

(4) 事業の実績
(これまでの事業の実績)
(1)   中小企業団体に対する支援
 47都道府県支部において各1団体(平均約40企業)に対して支援を実施
 定量指標(1)参照
(2) 個別の中小企業に対する賃金制度整備の支援
 47都道府県支部において応募企業に対して支援を実施
 定量指標(2)及び(3)参照

(問題点)
 なし


2. 評価((1)〜(6)は事業所管部局、(7)は政策評価官室において作成)

(1)  必要性
公益性の有無(官民の役割分担、国と地方の役割分担等)
    その他
(理由)
 本事業は、主要な労働条件の一つである賃金制度の整備・改善を図り、もって適正な労働条件の確保・改善を推進するものであり、中小企業労働者の労働福祉の向上と中小企業の健全な発展に資するとともに、労使間のトラブルを未然に防止する効果を期待できるものである。
 労働福祉の向上、中小企業の健全な発展及び労使間トラブルの未然防止の効果は、社会経済の発展のための重要な要素であることから、労働福祉事業として国が推進する必要がある。
緊要性の有無
 
(理由)
 中小企業労働者は大企業の労働者に比して、未だ十分な労働条件に到達していない状況にあることから、この格差を是正しようとする中小企業の取組みを支援することは行政としての課題である。
 特に、経済環境が急速に変化し、企業経営の高度化が求められる中で、主要な労働条件の一つである賃金制度が未整備のまま放置されることは、労使間のトラブルの原因となり、これを抑制しなければ社会経済に多大な影響を及ぼすことから、その対策として本事業を推進することは極めて重要である。
事業の必要性(当該事業が無くなると困る理由等を中心に記述)
 現下の社会経済情勢の下で、中小企業においては、賃金制度の整備・改善を図る必要性に迫られているものの、その費用やノウハウ不足等の理由によりその実現が困難なことが多いが、このような状況を放置することは、中小企業労働者の適正な労働条件の確保が阻害される要因にもなりかねず、これに伴って労働者の福祉の向上や中小企業の健全な発展を阻害することも想定される。

(2)  有効性
得ようとする効果の把握の仕方(検証の手順)
 団体支援参加企業に対する事業終了時のアンケート調査、個別セミナーの開催回数及び参加企業数、賃金制度診断実施企業数
これまで達成された効果(当該事業の実施前と実施後における具体的な変化を含む)、今後見込まれる効果
 団体支援事業については、事業終了時のアンケート調査により参加企業の賃金制度の整備・改善に対する取組みが促進されたことが明らかになったとともに、個別セミナーは着実に開催されており、賃金制度診断等についても各地域に配置されている賃金アドバイザーが中心となって、各種支援活動を行っており、施策の目標は着実に実施されている。
 今後、本事業を引き続き実施することによって、中小企業労働者の労働条件の整備・改善が促進され、ついては中小企業労働者の労働福祉の向上と中小企業の健全な発展に資するとともに、労使間のトラブルの未然防止が見込まれる。
政策の有効性の評価に特に留意が必要な事項
 本事業は、近年、特に賃金制度をはじめとした労働条件の確保・改善への取組みが遅れている業種や小規模企業が加入している団体に対する支援に重点をおいていることに留意する必要がある。
 また、賃金制度の整備・改善は、使用者の取組みだけではなく労働者の納得と同意が必要(一方的な不利益変更は無効)となることから、その検討及び新たな賃金制度の導入に際して相当の時間を要する場合があるとともに、労働者の合意が得られなければその導入ができない場合もあることにも留意する必要がある。
 なお、賃金制度は社会経済情勢、産業構造や労働者の就業意識等の変化に対応して企業の経営戦略・人事管理方針等により変遷していくものであることから、本事業はその時々のニーズへの対応が常に求められているものである。

(3)  効率性
手段の適正性
 中小企業において主要な労働条件の一つである賃金制度の整備・改善を図ることは、労働福祉の向上、中小企業の健全な発展及び労使間トラブルの未然防止の観点から、労働福祉事業として国が推進する必要がある。
 そこで、労働条件の確保・改善に対する専門知識、ノウハウを有し、地域や業種の実情に即したきめ細かな事業実施体制を有するとともに、労使に対して公正かつ中立的な支援を実施できる法人に委託して本事業を推進することは、最も適正かつ効率的である。
費用と効果との関係に関する評価
 本事業は、労働条件の確保・改善に対する専門知識、ノウハウを有し、地域や業種の実情に即したきめ細かな事業実施体制を有するとともに、労使に対して公正かつ中立的な支援を実施できる非営利法人に委託しており、最小の資源量の投入により、中小企業労働者の労働条件の確保・改善を推進する効果を得ている。
他の類似施策(他省庁分を含む)がある場合の重複の有無
 
(有の場合の整理の考え方)

(4)  公平性、優先性(政策の特性に応じて、必要な場合に記入)
 現下の社会経済情勢の下で、中小企業においては、厳しい経営環境の中でその活力を維持・向上させるため賃金制度等の労働条件の整備・改善を図る必要性に迫られていること、また、中小企業労働者は大企業の労働者に比して、未だ十分な労働条件に到達していない状況にあることから、独力での整備・改善が進まない状況にある中小企業に対して支援していくことが必要である。

(5)  今後の具体的改善点、講ずべき措置等
特になし。

(6)  その他
 労働福祉事業については、平成17年度から成果目標を設定し、事業の効果について評価を行うこととしている。

(7)  所見
(総括的評価)
 中小事業賃金支援事業については、大企業に比して中小企業が独力では賃金制度の整備・改善が進めることが困難な状況の中で、これらの中小企業に対して支援を行い、参加企業の増や、参加企業が賃金制度の見直しの意欲を示していることなど一定の効果は上がっていると考える。

(事業継続の適否)
 本事業については、大企業と中小企業の賃金制度の整備状況の格差の是正の一助になっており、事業を継続することが適当であると考える。

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