(整理番号 2)
終期付き事業評価書
平成17年8月
評価対象事業 | 労働条件等自主的改善対策推進事業 |
当該事業に係る補助金 | 診療等委託費 |
担当部局・課 | 労働基準局監督課 |
関係部局・課 | なし |
1. | 事業の内容 |
(1) | 関連する政策体系の施策目標 |
政策体系 | 番号 | |
基本目標 | 3 | 労働者が安心して快適に働くことができる環境を整備すること |
施策目標 | 1 | 労働条件の確保・改善を図ること |
I | 法定労働条件の確保・改善を図ること |
(2)事務事業の概要 | (単位:百万円) |
予算項目 | (項)労働福祉事業費 | |||||||
(目)診療等委託費 | ||||||||
(目細)高年齢労働者安全衛生等調査研究委託費 | ||||||||
(積算)社団法人・財団法人(高年齢労働者安全衛生等調査研究事業費) | ||||||||
当初予算額 | 補正後予算額 | 決算額 | 補正後予算額と決算額に乖離がある場合の理由 | |||||
H11 | 1,224 | 1,081 | ||||||
H12 | 1,027 | 910 | ||||||
H13 | 840 | 743 | ||||||
H14 | 721 | 619 | ||||||
H15 | 674 | 578 | ||||||
H16 | 293 | |||||||
H17 | 282 | |||||||
事業創設年度 | 昭和63年度(平成10及び12年度に事業を見直し) | |||||||
継続回数 | ||||||||
事業実施主体 | (社)全国労働基準関係団体連合会 | |||||||
事業の主な対象者 | 事業主及び労働者 | |||||||
事業創設の背景 | 平成9年12月11日の中央労働基準審議会の建議において、労働契約締結時の労働条件の明示についての充実方策が盛り込まれたことを受け、労働条件明示のためのモデル就業規則等普及促進事業及び労働条件に関する各種情報提供事業が創設された。 | |||||||
事業内容 | 以下の事業について、(社)全国労働基準関係団体連合会を実施主体として委託している。
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得ようとする効果 |
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(3) | 事業の評価関連指標(必要に応じ指標数を増やすこと) |
指標名(単位) | 指定集団数 | |||
H11 | H12 | H13 | H14 | H15 |
401 | 359 | 207 | 169 | 169 |
(備考) 指定集団とは、労働条件明示のためのモデル就業規則等普及促進事業において、指定された中小企業団体(労働者数10人未満の事業場の集団)のことをいう。 指定期間は3年間。 |
定量指標(2)
指標名(単位) | 指導・援助数 | |||
H11 | H12 | H13 | H14 | H15 |
13,561 | 13,300 | 11,523 | 5,374 | 5,512 |
(備考) 指導・援助数とは、指定集団に対して行った指導・援助の件数のことをいう。 |
定量指標(3)
指標名(単位) | 本部・支部からの情報提供件数 | |||
H11 | H12 | H13 | H14 | H15 |
13,200 | 20,813 | 18,209 | 19,951 | 15,954 |
(備考) 本部・支部からの情報提供件数とは、全基連本部又は支部に来所した事業主及び労働者に労働条件に関する情報を提供した件数のことをいう。 |
定量指標(4)
指標名(単位) | インターネットへのアクセス件数 | |||
H11 | H12 | H13 | H14 | H15 |
50,828 | 85,651 | 122,110 | 120,702 | 152,284 |
(備考) インターネットへのアクセス件数とは、事業主及び労働者が全基連のホームページから労働条件に関する情報を入手した件数のことをいう。 |
(4) | 事業の実績 |
(これまでの事業の実績)
(問題点) 指定集団となっていない中小企業団体に対する指導・援助が不十分である。またモデル就業規則を作成していない業種がある。 |
2. | 評価((1)〜(6)は事業所管部局、(7)は政策評価官室において作成) |
(1) | 必要性 |
公益性の有無(官民の役割分担、国と地方の役割分担等) |
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(理由) 就業規則の届出義務のない10人未満の小規模事業場に就業規則等の整備を促進し、労働条件明示の徹底を行えば、労働条件に関するトラブルの発生を未然に防止することが可能である。 また、労働条件の改善・向上を図る上で有益な情報を提供すれば、労働条件の改善・向上を図ることが可能である。 トラブル発生の未然防止、労働条件の改善・向上の効果は社会経済に及ぶことから、労働福祉事業として国が本事業の推進を支援する必要がある。また、トラブル発生の未然防止、労働条件の改善・向上については、収益性を求めるものではないことから、国が行う必要がある。 |
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緊要性の有無 |
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(理由) 現在の社会経済情勢の下で、労働基準監督署に寄せられる申告・相談は増加傾向にあり、これを抑制しなければ、社会経済に大きな影響を与えることから、国として本事業の推進を支援する必要がある。 なお、労働基準法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(平成15年6月26日参議院厚生労働委員会)において、「就業規則への解雇事由の記載や退職理由の明示について、モデル就業規則や退職証明書の文例を作成し、普及に努めること。」となっていることから、国として本事業の推進を支援する必要がある。 |
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事業の必要性(当該事業が無くなると困る理由等を中心に記述) | |||||||
就業規則の届出義務のない10人未満の小規模事業場に対する就業規則等の整備の促進や、事業主及び労働者に労働条件に関する正しい知識の普及啓発及び情報提供を行わなければ、労働条件に関するトラブルが増加し、適正な労働条件の確保が阻害され、ひいては社会経済に大きな影響を与えるおそれがあることから、国として本事業の推進を支援する必要がある。 |
(2) | 有効性 |
得ようとする効果の把握の仕方(検証の手順) | ||||
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これまで達成された効果(当該事業の実施前と実施後における具体的な変化を含む)、今後見込まれる効果 | ||||
労働基準監督署への就業規則の届出件数は、H15年 27,365件、→H16年 32,409件と全般的に増加していることから、中小規模事業場においても就業規則の整備が促進されていると考えられる。引き続き本事業を実施すれば、10人未満の小規模事業場にさらに就業規則が整備され、労働条件に関するトラブルの発生が未然に防止される。 | ||||
政策の有効性の評価に特に留意が必要な事項 | ||||
(特になし) |
(3) | 効率性 |
手段の適正性 | |||||
中小規模事業場においては、未だ労働条件の明示がまともに行われず、労働条件に関するトラブルが多発している状況にあることから、労働条件に関するトラブルの発生の未然防止を図ることが可能となる本事業は、安心して働くことができる事業場の確保及び労働条件の確保・改善を図るための対策を推進する上で適正であると考えられる。 | |||||
費用と効果との関係に関する評価 | |||||
本事業は、労働条件の確保・改善に対する専門知識、ノウハウを有し、地域や業種の実情に即したきめ細かな事業実施体制を有するとともに、労使に対して公正かつ中立的な支援を実施できる非営利法人に委託しており、最小の資源量の投入により労働者の労働条件の確保・改善を推進する効果を得ている。 | |||||
他の類似施策(他省庁分を含む)がある場合の重複の有無 |
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(有の場合の整理の考え方) |
(4) | 公平性、優先性(政策の特性に応じて、必要な場合に記入) |
労働基準監督署に寄せられる申告・相談が増加傾向にあること、及び未だに大規模事業場と比べ中小規模事業場において労働条件に関するトラブルが多数発生していることを踏まえると、引き続き安心して働くことができる事業場の確保及び労働条件の確保・改善を図るため、本事業を優先して実施する必要がある。 |
(5) | 今後の具体的改善点、講ずべき措置等 |
労働基準監督署に寄せられる申告・相談が増加傾向にあること及び未だに中小規模事業場において労働条件に関するトラブルが多数発生していることを踏まえると、引き続き安心して働くことができる事業場の確保及び労働条件の確保・改善を図るため、的確な財政支援を講ずる必要がある。 また、指定集団となっていない中小企業団体に対する指導・援助を行うとともに、モデル就業規則を作成していない業種のモデル就業規則を作成する必要がある。 |
(6) | その他 |
特になし。 |
(7) | 所見 |
(総括的評価) 労働条件等自主的改善対策推進事業のうち、労働条件明示のためのモデル就業規則等普及促進事業については、就業規則の作成義務がなく、大規模事業場と比較して労働条件に関するトラブルが発生しやすい中小規模事業場に絞り、就業規則等の整備を促進することとしており、対応が必要とされる事業場に絞り事業を実施する等効果的に事業の実施を図っていると考えられる。 また、労働条件に関する各種情報提供事業については、労働条件の改善・向上を図る上で有益な各種情報を簡単かつ迅速に提供することとしており、提供件数は事業開始以降増加傾向にあることから、施策目標の達成の一助となっていると考えられる。 (事業継続の適否) 事業継続に当たっては、本事業により特に中小規模事業場に関する労働条件のトラブルの未然の抑制がどの程度図られたかという効果を把握する方法や、把握した結果を事業に反映させること等についての検討が必要である。また、労働条件に関する各種情報提供事業については、提供する情報の質・量について、事業主や労働者にとってより有用なものとなるよう検討を続ける必要がある。 |