(7−2−II)
実績評価書
平成17年8月

政策体系 番号  
基本目標 利用者の視点に立った質の高い福祉サービスの提供等を図ること
施策目標 地域福祉の増進を図ること
II ホームレスの自立を促進すること
担当部局・課 主管部局・課 社会・援護局地域福祉課
関係部局・課  


1.施策目標に関する実績の状況
実績目標1 ホームレス自立支援センター等を整備すること
(実績目標を達成するための手段の概要)
ホームレス自立支援事業
 ホームレスに対して、宿所及び食事を提供するとともに、健康相談、生活相談・指導、職業相談・紹介等を行うことにより、就労による自立の支援等を実施する。
ホームレス緊急一時宿泊事業(シェルター事業)
 ホームレスに対して、緊急一時的な居住場所を提供し、野宿生活による健康状態の悪化等の防止を図る。
関連する経費
ホームレス自立支援事業(平成16年度予算額) 1,185百万円
ホームレス緊急一時宿泊事業(平成16年度予算額) 444百万円
(評価指標)
ホームレス自立支援センターにおける収容可能人員(定員)(人)
H12 H13 H14 H15 H16
640 1,130 1,330 1,576 1,807
(950) (1,200) (1,400) (1,900) (2,150)
(備考)
 評価指標は、補助金申請時の書類による。かっこ内は予算上の定員。(平成12年度からの事業。)
(評価指標)
シェルターにおける収容可能人員(定員)(人)
H12 H13 H14 H15 H16
1,020 1,310 1,690 2,344
  (2,000) (2,500) (3,100) (3,100)
(備考)
 評価指標は、補助金申請時の書類による。かっこ内は予算上の定員。(平成13年度からの事業。)


2.評価

(1) 現状分析
現状分析
 平成15年3月の全国調査によると、ホームレスは、全国で約2万5千人おり、すべての都道府県でその所在が確認されている。また、生活実態については、身体の不調を訴える者が約5割おり、そのうち7割弱が未治療である。自立の希望としては、就職希望者が約5割と最も多い。行政への要望については、仕事関連が3割弱、住居関連が1割弱といった結果になっている。
 これらの結果を踏まえると、就業の機会の確保のほか、居住場所の確保、保健・医療等の確保等が課題となっている。

(2) 評価結果
政策手段の有効性の評価
 ホームレスとなる原因は、就労が困難であることや社会に適応できない等多様であることから、相談により原因を把握し、個々の実情に応じて職業相談・紹介や生活指導等の援助を行うことにより問題を解決し、自立を支援することが有効である。
 なお、シェルターにおける収容可能人員については、平成15年度まで実際の定員と予算上の定員との間に大きな差が生じていたところであり、地域住民との調整に時間を要する等の理由で施工時期が遅れている地方公共団体があったことなどが原因として挙げられる。しかしながら、住民説明会の開催等による地域住民との調整も段階的に進んでおり、また、既存施設の活用を含めて、施設の整備が進められた結果、平成16年度においては、実際の定員と予算上の定員との差が相当程度縮小した。
政策手段の効率性の評価
 ホームレス自立支援センター等の施設については、地方公共団体が必要な量の施設を整備することができるようになっており、地域の実情に合った効率的な事業の推進を図っている。
総合的な評価
 ホームレス自立支援センター等の整備は進んでおり、ホームレスの自立の支援に向けて事業が着実に展開されていることから、目標の達成に向けて進展があった。
 しかし、ホームレスの数については、平成15年3月の全国調査により約2万5千人が確認されたところであり、自立支援のための施策を更に推進する必要がある。
評価結果分類 分析分類
(2) (2)


3.特記事項
(1) 学識経験を有する者の知見の活用に関する事項
なし。
(1) 各種政府決定との関係及び遵守状況
(「地方分権推進計画」「国の行政組織等の減量、効率化等に関する基本計画」「第10次定員削減計画」「行政改革大綱」等)
なし。
(3) 総務省による行政評価・監視等の状況
なし。
(4) 国会による決議等の状況(警告決議、付帯決議等)
「ホームレスの自立の支援等に関する特別措置法の運用に関する件の付帯決議」
衆議院厚生労働委員会(平成14年7月17日)
 政府及び地方公共団体は、我が国においてホームレスの急増が、看過できない極めて大きな問題となっている現状を踏まえ、ホームレスを含め社会的に排除された人々の市民権を回復し再び社会に参入することができるようにすることは、憲法第11条及び第25条の精神を体現するために必要不可欠な施策であることに深く留意し、本法の施行に当たっては、次の事項について適切な措置を講ずるべきである。
 1  ホームレスの自立の支援に際しては、自立に至る経路や自立のあり方について、可能な限り個々のホームレスに配慮した多様な形が認められるよう努めること。
 2  ホームレスに対する職業能力開発に当たっては、ホームレスの実情に応じた内容となることに深く留意するとともに、ホームレスの自立につながる安定就労の場の確保に努めること。
 3  ホームレスに対する住宅支援策の実施にあたっては、その実効性を高めるため、地域の実情を踏まえつつ、公営住宅・民間住宅を通じた可能な限り多様な施策の展開を図ること。
 4  ホームレスが入居する施設においては、入居者本人の人権尊重と尊厳の確保に万全を尽くすこと。
 5  第11条規定の通り、法令の規定に基づき、公共の用に供する施設の管理者が当該施設の適正な利用を確保するために必要な措置をとる場合においては、人権に関する国際約束の趣旨に充分に配慮すること。
 6  本法による自立支援策と生活保護法の運用との密接な連携に配慮し、不当に生活保護が不適用とされることのないよう、適正な運用に努めること。
 7  第14条に規定する全国調査を早期に完了し、遅滞なく事業を実施すること。
 8  本法を施行する中で実情との不整合等が生じたとき等においては、速やかに見直すこと。
 9  「実施計画」を策定しない都道府県及び市町村の区域においても、ホームレスの自立支援及び余儀なくホームレスとなることの防止の諸施策の実施に可能な限り努めること。
(5) 会計検査院による指摘
なし。

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