(6−2−II)
別紙
実績評価書
平成17年8月

政策体系 番号  
基本目標 男女がともに能力を発揮し、安心して子どもを産み育てることなどを可能にする社会づくりを推進すること
施策目標 多様な就業ニーズに対応した就業環境を整備すること
II 在宅ワークを魅力ある就業形態とすること
担当部局・課 主管部局・課 雇用均等・児童家庭局 短時間・在宅労働課
関係部局・課  


1.施策目標に関する実績の状況
実績目標1 在宅ワークの健全な発展に向けて、ガイドラインの周知・啓発、能力開発等の情報提供を図り、在宅ワーカースキルアップシステムのアクセス件数が前年度を上回ること
(実績目標を達成するための手段の概要)
 都道府県労働局雇用均等室において、各種説明会の開催の都度または業務参考資料を事業場に送付する際などあらゆる機会を捉えて、「在宅ワークの適正な実施のためのガイドライン」の周知・啓発に努めるとともに、在宅ワークを発注している事業場にガイドラインに係る自主点検票を配布し、周知徹底を促す。
 また、在宅ワーカー及びその希望者に対する支援策として、在宅ワーカーが自らの能力を自己診断し、不足している知識や技術をE−ラーニングにより習得できる「在宅ワーカースキルアップシステム」をインターネットで公開するほか、在宅ワーカーに必要な情報の提供、相談への対応、セミナー等の各種支援事業を委託事業として実施する。
関連する経費
「在宅ワークの適正な実施のためのガイドライン」の周知・啓発
(平成16年度予算額) 5百万円
在宅ワーカーに対する情報提供、相談、能力開発等の再就職支援
(平成16年度予算額)52百万円
(評価指標)
在宅ワーカーからの相談件数 (件)
H12 H13 H14 H15 H16
170 813 845 1,298 1,104
(備考)
(評価指標)
在宅ワーカーのセミナーの受講者数 (人)
H12 H13 H14 H15 H16
28 445 394 256 492
(備考)
(評価指標)
在宅ワーカースキルアップシステムのアクセス件数 (件)
H12 H13 H14 H15 H16
61,887 151,690 64,087
(備考)
在宅ワーカースキルアップシステムの運用は平成14年度からの事業である。


2.評価

(1) 現状分析
現状分析

 「在宅就業実態調査」(日本労働研究機構平成9年実施)結果によると、在宅就業者数は、約17万4千人と推計されている。
 在宅ワークの実施に当たっては、契約の締結時に、在宅ワーカーに対し、報酬額、その支払い時期・方法、納期、作業が遅延した場合や作業成果に瑕疵がある場合の取扱いといった契約の基本的な内容を明示していないことが、トラブルの発生につながるものと、「在宅就労問題研究会」(労働省開催、座長:諏訪康雄法政大学教授)の平成12年3月の報告において指摘されている。
 また、「在宅就業実態調査」(厚生労働省平成13年実施)の結果によると、発注者の2割強が在宅ワーカーとの間でトラブルが生じていると回答している。その内容は、仕事の出来具合に関するもの、仕事の納期に関するものが多く、次いで、仕事の量・頻度に関するもの、報酬の支払いに関するものが続いている。一方、在宅ワーカーも、2割がトラブルがある、と回答しており、そのうち7割は、報酬の支払いに関するものであった。
 このような状況に対応して、ガイドラインの周知・啓発に努め、在宅ワークを安心して行うことができるようにするとともに、紛争が起こることの未然防止を図っている。

(2) 評価結果
政策手段の有効性の評価

(1)在宅ワーカーからの相談件数による評価
 平成16年度の相談件数は1,104件と、前年度に比べ若干減少しているが、これは、相談内容のうち、「在宅ワーカースキルアップシステム」に関する相談件数の減少によるものである。当該システムは、平成15年度より本格稼働したため、前年度においてはシステム関連の相談件数が特に多かったものと考えられる。
 在宅ワーカー及びその希望者は、育児等の理由から在宅での仕事を選択し、あるいは希望している者が多く、在宅ワークに役立つ情報を入手しにくい状況にあることから、在宅ワーク支援事業で実施しているホームページを活用した情報提供及び電話やEメールによる相談の受付は、情報通信機器を活用して仕事を行う在宅ワーカーにとっての利便性が高いと考えられる。相談者への回答の中で、発注者との契約において最低限確保されるべき事項について説明するとともに、専門家ネットワークも活用した高度かつ専門的な相談への対応を行ったことは、トラブルの未然防止や現実に生じたトラブルの解決等に有効であった。

(2)在宅ワーカーのセミナーの受講者数による評価
 在宅ワーカーのセミナーについては、自治体の広報誌や対象者層がよく目にすると思われるインターネットサイト、雑誌等に掲載するなど周知・広報について工夫することにより、平成16年度の参加者総数が492名と大幅に増加した。
 基礎的セミナーについては、在宅ワーカーとして働くための条件整備を目的として、再就職支援セミナーについては、在宅ワーカーが雇用労働者として再就職するために必要となる能力を開発するための具体的手法等を提供することを目的として、それぞれ開催し、パソコン画面では得られない体験方式により行い、営業方法、見積もりの仕方、必要経費の積算の仕方などマンツーマンあるいはグループにより実習した。
 在宅ワーカーはいわば一人親方や自営業者と同じであるが、ともすれば自らで仕事の獲得やスケジュール管理、経理処理等を行うということをしないまま、発注元から受け身で仕事を受注するだけになってしまうおそれがあるうえ、こうしたことは自宅で仕事をしている中で自然に身に付けようとしても難しいと考えられることから、本セミナーは、在宅ワーカーが着実に仕事をしていくために必須である、経営感覚やスケジュール調整等について実践演習を通じて身につけることに有効であった。

(3)在宅ワーカースキルアップシステムのアクセス件数による評価
 本システムは、インターネットによる自己診断により、自己の有する能力と不足している能力について確認する「自己診断システム」と不足している知識や技術をE−ラーニングにより習得する「E−ラーニングシステム」で構成され、前者は平成15年度、後者は平成16年度に本格運用を開始した。
 本システムのアクセス件数は、平成16年度は64,087件と前年度を大幅に下回る結果となった。平成15年度においては、通常月と比して、突出してアクセス件数の多い月があり、これが年間アクセス件数を大幅に押し上げているなど、平成16年度と単純に比較できない部分もあるが、平成16年度に開発した「E−ラーニング」部分の本格稼働が年度後半にずれ込み、年度前半は、自己診断後そのままE−ラーニングに進んで反復学習を行うという本来の使い方ができず、利用者を確実に取り込めなかったことやシステムの広報についても遅れが出たため、新規利用者の開拓が不十分であったことなどの減少要因があるものと考えられる。
 本システムは、自宅に居ながらにして自己の有する能力と不足している能力について確認し、不足している知識や技術をE−ラーニングにより習得できる無駄のない効果的な能力開発手法であり、育児等と両立できる在宅就業、能力開発の実現に有効である。今後はより一層広報等の取組を行い、アクセス件数の向上に努めることが必要であると考えている。
政策手段の効率性の評価

 事業所(発注者)に対する周知・啓発については、雇用均等室が行い、在宅ワーカーに対する周知・啓発は、専門的な知見を有する団体への委託事業として実施している在宅ワーク支援事業の一環として行うことで、効率的な周知・啓発が実施できた。
 また、支援事業の中にガイドラインに関する周知・啓発も併せて組み込み、さらに効率的な実施に努めた。在宅ワーク支援事業の広報に当たっては、ホームページを活用するほか、チラシ等の配布、地方公共団体及び関係機関の広報誌等を活用した。
総合的な評価

 都道府県労働局雇用均等室における説明会の開催や業界団体等へのパンフレットの配布により、発注者等に対するガイドラインの周知・啓発を行ったことは、在宅ワークの適正な実施を促進し、紛争を未然に防止する等の在宅ワークの就業環境整備につながるものであった。
 また、在宅ワーカー等を対象とする相談、セミナー、スキルアップシステムといった委託事業として実施している支援事業は、在宅ワーカーの能力開発、就業援助等につながるものであった。
 以上のように、在宅ワークの発展に向けた各政策手段を着実に実施したことにより、目標の達成に向けて進展があった。
評価結果分類 分析分類
(2) (2)


3.特記事項
(1) 学識経験を有する者の知見の活用に関する事項
 なし。
(2) 各種政府決定との関係及び遵守状況
(「地方分権推進計画」「国の行政組織等の減量、効率化等に関する基本計画」「第10次定員削減計画」「行政改革大綱」等)
 なし。
(3) 総務省による行政評価・監視等の状況
 なし。
(4) 国会による決議等の状況(警告決議、付帯決議等)
 なし。
(5) 会計検査院による指摘
 なし。

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