(6−2−I)
実績評価書
平成17年8月

政策体系 番号  
基本目標 男女がともに能力を発揮し、安心して子どもを産み育てることなどを可能にする社会づくりを推進すること
施策目標 多様な就業ニーズに対応した就業環境を整備すること
I パートタイム労働を魅力ある就業形態とすること
担当部局・課 主管部局・課 雇用均等・児童家庭局短時間・在宅労働課
関係部局・課  


1.施策目標に関する実績の状況
実績目標1  パートタイム労働者の雇用管理の改善に向けた事業主の取組を促進し、短時間雇用管理者の選任数が前年度を上回ること
(実績目標を達成するための手段の概要)
 短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律(パートタイム労働法)に基づく短時間雇用管理者の選任、パートタイム労働法の周知徹底等。
○関連する経費
 ・ パートタイム労働者の雇用管理改善に関する指導、法の施行状況の把握
(平成16年度予算額)30百万円
(評価指標)
短時間雇用管理者の選任数 (人)
H12 H13 H14 H15 H16
33,369 37,347 39,771 43,517 45,946
(備考)
 短時間雇用管理者は、パートタイム労働者の雇用管理の改善等に関する事項を管理する者として、事業主が選任する。
 各年度3月31日現在の数値。
(評価指標)
パートタイム労働法の周知のための説明会等開催件数及び参加者数 (件、人)
H12 H13 H14 H15 H16
431 466 584 777 532
16,709 21,498 30,395 61,540 30,331
(備考)
 上段の数値は、都道府県労働局雇用均等室の説明会等、他の機関・団体の説明会等で都道府県労働局雇用均等室が説明をしたものの開催件数であり、下段の数値は延べ参加者数。


2.評価

(1) 現状分析
現状分析
 近年、パートタイム労働者は増加し(平成5年で929万人、平成16年で1,237万人。週間就業時間35時間未満の非農林業の雇用者で、休業者を除く。総務省「労働力調査」)、パートタイム労働者と正社員(一般労働者)の賃金格差は拡大傾向にある(一般労働者に対するパートタイム労働者の1時間当たり所定内給与額は、女性は平成5年で70.1%、平成16年で65.7%、男性は平成5年で54.9%、平成16年で50.4%。厚生労働省「賃金構造基本統計調査」。なお、パートタイム労働者と一般労働者では、職種、勤続年数等に違いがあり、単純には比較できない。)。
 このように、パートタイム労働者は我が国の経済社会に欠くことのできないものとなっている中で、雇用管理の改善は必ずしも十分に図られていないという状況を踏まえ、平成15年に、パートタイム労働法に基づく「事業主が講ずべき短時間労働者の雇用管理の改善等のための措置に関する指針」の改正を行い、正社員との均衡を考慮した処遇の考え方を具体的に示したところである。

(2) 評価結果
政策手段の有効性の評価
(1)短時間雇用管理者の選任数による評価
 短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律(パートタイム労働法)に基づく短時間雇用管理者の選任、パートタイム労働法の周知徹底等を実施した結果、短時間雇用管理者の選任数は平成16年度で45,946人となった。
 パートタイム労働法は事業主による雇用管理の自主的な改善を基本的枠組みとしており、事業所単位で人事労務管理について責任を有する者を事業主が進んで「短時間雇用管理者」に選任し、雇用管理改善に係る業務を行わせることは、当該事業所での雇用管理の改善に向けた自主的な取り組みを促す上で、また、就業の実態が多様なパートタイム労働者の雇用管理を事業所単位できめ細かく行うためにも必要で有効なものである。
 短時間雇用管理者選任数の毎年の増加により、事業主がパートタイム労働者の雇用管理の改善に取り組むための体制の整備が進められ、パートタイム労働者の雇用管理の改善に向けた事業主の取組を促進するという目標達成に貢献しているものと考えられる。
(2)パートタイム労働法の周知のための説明会等開催件数及び参加者数による評価
 パートタイム労働法の周知のための説明会等の開催件数は平成12年度から平成16年度までで2,790件(参加者数は、平成12年度から平成16年度まで160,473人)となった。
 平成16年度は前年度に比して、開催件数・参加者数ともに減少しているが、これは、平成15年度はパートタイム労働法に基づく指針を改正した初年度であったことから、各雇用均等室において、改正内容周知のための説明会等を重点的に実施したため、開催件数等が特に多くなっていることによるものである。16年度は例年並みの開催件数となったが、引き続き、説明会等を通じて、パートタイム労働法の周知徹底等を図ったところである。
 パートタイム労働法は事業主による雇用管理の自主的な改善を基本的枠組みとしており、事業主及び事業主団体に対して、パートタイム労働法についての正確な理解を促すための情報提供を、集団的な説明会を通じて実施していくことが効果的である。
 説明会等の開催を通じ、事業主がパートタイム労働者の雇用管理の改善に取り組む上で基礎となる事項が周知され、パートタイム労働者の雇用管理の改善に向けた事業主の取組を促進するという目標達成に貢献しているものと考えられる。
政策手段の効率性の評価
(1)短時間雇用管理者の選任数による評価
 都道府県労働局雇用均等室においては、事業主に短時間雇用管理者の選任を促すため、主催・共催する説明会等に加え、他機関や団体の主催する各種セミナーなど、事業所の人事担当者等が集まるあらゆる機会を利用して、選任届様式の配布や、その職務等についての説明を行うことなどにより、効率的に選任への勧奨を行っている。
 また、選任届様式をさまざまな広報用資料に入れて印刷する、都道府県労働局ホームページにも載せるなど、工夫をこらしながら効率よく選任勧奨を実施していることから、短時間雇用管理者選任数は毎年数千人単位で増加し、パートタイム労働者の雇用管理の改善に向けた事業主の取組を促進するという目標達成に着実に貢献しているものと考えられる。
(2)パートタイム労働法の周知のための説明会等開催件数及び参加者数による評価
 都道府県労働局雇用均等室においては、主催・共催を問わず主体的に運営する説明会等においてパートタイム労働法について説明を行うことはもちろん、都道府県労働局の他部や地方自治体主催のセミナー、各種団体の依頼講演などにおいても、対象者を見ながら必要性を判断し、可能な限りパートタイム労働法の説明を行っているところである。これら他機関主催のセミナー等の場を活用することにより、管内事業所に幅広く周知できるとともに、主催者である地方公共団体や、事業主団体の理解を深めることで、これらの団体を通じた事業所への周知も期待できるため、パートタイム労働法の社会的な浸透・定着を効率的に行うことができる実施手段であると考えられる。
総合的な評価
 短時間雇用管理者の選任推奨による短時間雇用管理者数は、前年度に比して、2千人近くの増加となっている。また、パートタイム労働法の周知のための説明会等の開催件数及び参加者数については、平成15年度にパートタイム労働法に基づく指針を改正したことに伴い、特に開催回数を大幅に増加させた。16年度は前年度に比して開催件数等が減少しているものの、改正指針の浸透を図るため、引き続き積極的に開催しており、改正指針を含むパートタイム労働法の社会的な浸透・定着及び事業所における雇用管理の改善という施策の効果が見られたところであり、政策目標の達成に向けて進展があった。
 しかしながら、なおパートタイム労働者と正社員の賃金格差等処遇面での問題は残っており、この問題に対応したパートタイム労働者の雇用管理の改善のための施策手段について、さらに有効かつ効率的な、適切なものを通じて実施していく必要があると考えられる。このため、改正指針において具体的に示された、パートタイム労働者と正社員との間の均衡を考慮した処遇の考え方等について、引き続き浸透・定着を図っていくこととし、改正指針の周知徹底を図る。
評価結果分類 分析分類
(2) (2)


3.特記事項
(1) 学識経験を有する者の知見の活用に関する事項
 なし。
(2) 各種政府決定との関係及び遵守状況
 (「地方分権推進計画」「国の行政組織等の減量、効率化等に関する基本計画」「第10次定員削減計画」「行政改革大綱」等)
「少子化社会対策大綱」(平成16年6月4日 閣議決定)
 少子化社会対策大綱(平成16年6月4日閣議決定)(抄)
 重点課題に取り組むための28の行動
 〔仕事と家庭の両立支援と働き方の見直し〕
 (8) 労働時間の短縮等仕事と生活の調和のとれた働き方の実現に向けた環境整備を図る
  ・パートタイム労働法に基づく指針におけるパートタイム労働者の働き方に見合った均衡処遇の考え方の普及を促進する。
「少子化社会対策大綱に基づく重点施策の具体的実施計画について(子ども・子育て応援プラン)」(平成16年12月24日少子化社会対策会議決定)
 少子化社会対策大綱に基づく重点施策の具体的実施計画について(子ども・子育て応援プラン)(平成16年12月24日少子化社会対策会議決定)(抄)
 2. 仕事と家庭の両立支援と働き方の見直し
  (4)  仕事と生活の調和のとれた働き方の実現
   □  パートタイム労働者の均衡処遇の推進
 パートタイム労働者と通常の労働者との間の均衡処遇を進める上での具体的な考え方を示したパートタイム労働法に基づく指針が浸透・定着するよう取り組むとともに、処遇や人事制度の見直しなど均衡処遇の推進に取り組む事業主を支援する。

(3) 総務省による行政評価・監視等の状況
 なし。
(4) 国会による決議等の状況(警告決議、付帯決議等)
 なし。
(5) 会計検査院による指摘
 なし。

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