(6−1−II)
実績評価書
平成17年8月

政策体系 番号  
基本目標 男女がともに能力を発揮し、安心して子どもを産み育てることなどを可能にする社会づくりを推進すること
施策目標 働く女性が性別により差別されることなく能力を十分に発揮できる雇用環境を整備すること
II 職場におけるセクシュアルハラスメント防止対策が徹底されていること
担当部局・課 主管部局・課 雇用均等・児童家庭局雇用均等政策課
関係部局・課  


1.施策目標に関する実績の状況
実績目標 セクシュアルハラスメント防止対策を推進すること
(実績目標を達成するための手段の概要)
 男女雇用機会均等法第25条に基づく行政指導を行うとともに、防止対策を自主点検させ、取組の改善を促している。
 また、(財)21世紀職業財団に委託し、セクシュアルハラスメント防止のための具体的なノウハウを提供するためのセクシュアルハラスメント防止実践講習の開催及び企業のセクシュアルハラスメント相談担当者用テキスト等の提供等を行っている。
関連する経費
企業におけるセクシュアルハラスメント防止の取組に対する援助
(平成16年度予算額) 99百万円
職場におけるセクシュアルハラスメントに関する防止対策の推進
(平成16年度予算額) 69百万円
(評価指標)都道府県労働局雇用均等室における是正指導の実施件数 (件) H12 H13 H14 H15 H16
5,239 5,798 4,975 5,190 4,628
(備考)男女雇用機会均等法第21条
(評価指標)セクシュアルハラスメント防止実践講習参加者数 (人) H12 H13 H14 H15 H16
20,130 17,624 14,566 10,106 7,915
(備考)


2.評価

(1) 現状分析
現状分析
 職場におけるセクシュアルハラスメント防止のための事業主の配慮義務規定が設けられた平成11年度以降の相談の傾向を見ると、改正法施行当初は事業主からの基本的な事項に係る照会を中心とした相談が多かったが、近年は事業主からの相談は減少している。しかし、女性労働者からの相談は横ばいの状況にあり、その内容は深刻なものも少なくない。
 一方、平成11年度からの違反状況は、年度により若干の増減はあるものの概ね横ばいとなっている。
 平成16年度は男女雇用機会均等法第21条(職場における性的な言動に起因する問題に関する雇用管理上の配慮義務)違反のあった企業に対し、4,628件の是正指導を行い、そのほとんどが是正された。しかし、形式的な防止対策は講じられていても、例えば、事業主として均等法に基づく指針上、配慮すべき事項の一つである「職場におけるセクシュアルハラスメントが生じた場合における事後の迅速かつ適切な配慮」について見ると、女性労働者からの相談があった場合への対応として、実際に生じたセクシュアルハラスメントに対し、十分な対応がなされていない状況がみられる。
 こうした現状を踏まえ、都道府県労働局では「地方労働行政運営方針」に基づき、企業に対して実効ある防止対策を講じるよう徹底を図るとともに、セクシュアルハラスメントが生じている企業に対しては、適切な事後の対応及び再発防止のための取組を行うよう指導を行っているところである。
 また、女性労働者からの相談に対しては、セクシュアルハラスメントによって精神的苦痛を受けている場合もあるため、各都道府県労働局に配置しているセクシュアルハラスメントカウンセラーを活用し、適切に対応しているところである。

(2) 評価結果
政策手段の有効性の評価
 平成16年度は男女雇用機会均等法第21条違反のあった企業に対し、4,628件の是正指導を行い、そのほとんどが是正されている。
 また、これまでの行政指導対象となっている企業には、セクシュアルハラスメント防止の必要性、意義や法及び指針の内容についての認識が不足している企業が特に中小企業に多くみられるところであるが、セクシュアルハラスメント防止対策の取組状況について、「セクシュアルハラスメント防止実践講習」の参加企業に対し行ったアンケート調査によると、「方針の明確化と周知・啓発」、「相談・苦情受付窓口」を実施している企業の割合は、前回アンケート調査を実施した平成14年度にはそれぞれ61.2%、48.2%であったが、平成16年度には62.9%、52.7%となっており、実施している企業割合が増えている。セクシュアルハラスメント防止対策のノウハウを提供する講習会等を実施してきたことにより、事業主のセクシュアルハラスメント防止対策への理解が進み、防止対策の基本的な取組は進展しつつあると考えられる。
 なお、セクシュアルハラスメント防止実践講習の参加者は減少傾向にあるが、これは、基礎的なコースへの講習参加者の減少によるものである。
 雇用均等室のこれまでの行政指導やセクシュアルハラスメント防止実践講習の実施等により、法の内容の不知による違反は減少しており、セクシュアルハラスメントに対する防止対策の基本的な認識や取組は進みつつあると考える。しかし、指針において求められている実際にセクシュアルハラスメントが起こったときの対応等についてはなお十分ではないため、深刻な状況に陥り相談に来る女性労働者は減っていないと考えている。
政策手段の効率性の評価
 特に事業場からの報告徴収は、年間事業場訪問計画表を作成し、年度当初から計画的に実施している。また、報告徴収ヒアリング票を活用し、的確な実態把握及び必要な助言、指導等を効率的に行っている。
 また、セクシュアルハラスメント防止のための具体的なノウハウを提供するためのセクシュアルハラスメント防止対策実践講習の実施については、女性の雇用管理問題に精通している(財)21世紀職業財団に委託することにより、企業における取組が促進されているなど効率的に行っている。
総合的な評価
 事業主のセクシュアルハラスメント防止対策への一定の理解、取組は進んできており、男女雇用機会均等法第21条違反のあった企業についても、法の不知による違反は減少し、かつ違反に対する対する是正指導についてもそのほとんどが是正されている。
 また、報告徴収ヒアリング票を活用し、的確な実態把握及び必要な助言、指導等を効率的に行っており、目標達成に向けて一定の進展があったといえる。しかしながら、職場において実質的な男女均等取扱いを実現するためには、男女雇用機会均等法に基づく行政指導の実施及び個別紛争の解決援助と併せて、セクシュアルハラスメント防止実践講習及び企業のセクシュアルハラスメント相談担当者用テキストの提供等実効あるセクシュアルハラスメント防止対策を徹底していくための事業を、今後とも、適切に行っていくことが必要である。
評価結果分類 分析分類
(2) (2)


.特記事項
(1) 学識経験を有する者の知見の活用に関する事項
 なし。
(2) 各種政府決定との関係及び遵守状況
 「公益法人に対する行政の関与の在り方の改革実施計画」(平成14年3月29日閣議決定)
 2. 補助金依存型公益法人
 補助金依存型公益法人となることに特段の理由のある公益法人については、その理由を公表する。((財)21世紀職業財団)
(3) 総務省による行政評価・監視等の状況
 なし。
(4) 国会による決議等の状況(警告決議、付帯決議等)
 なし。
(5) 会計検査院による指摘
 なし。

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