(4−3−II)
平成17年8月
政策体系 | 番号 | |
基本目標 | 4 | 経済・社会の変化に伴い多様な働き方が求められる労働市場において労働者の職業の安定を図ること |
施策目標 | 3 | 労働者等の特性に応じた雇用の安定・促進を図ること |
II | 障害者の雇用を促進すること | |
担当部局・課 | 主管部局・課 | 職業安定局高齢・障害者雇用対策部障害者雇用対策課 |
関係部局・課 |
1.施策目標に関する実績の状況
実績目標1 | 障害者に対するきめ細かな相談、職業紹介等を実施することを通じて障害者の就職の促進を図ること(平成16年度において、15年度を上回る就職件数を確保することを目指す。また、平成16年度の障害者試行雇用事業の試行雇用開始者数を4,200人、常用雇用移行率を少なくとも8割程度確保することを目指す。) | |||||||||||||||||||||||
(実績目標を達成するための手段の概要) 公共職業安定所において、障害者の方を中心に相談する窓口を別途設けるなどして、きめ細かな職業相談・職業紹介を行うほか、下記の事業を実施している。
|
||||||||||||||||||||||||
(評価指標) 新規求職申込件数 (件) |
H12 | H13 | H14 | H15 | H16 | |||||||||||||||||||
77,612 | 83,557 | 85,996 | 88,272 | 93,182 | ||||||||||||||||||||
(備考)
|
||||||||||||||||||||||||
(評価指標) 有効求職者数 (人) |
H12 | H13 | H14 | H15 | H16 | |||||||||||||||||||
131,957 | 143,777 | 155,180 | 153,544 | 153,984 | ||||||||||||||||||||
(備考)
|
||||||||||||||||||||||||
(評価指標) 就職件数 (件) |
H12 | H13 | H14 | H15 | H16 | |||||||||||||||||||
28,361 | 27,072 | 28,354 | 32,885 | 35,871 | ||||||||||||||||||||
(備考)
|
||||||||||||||||||||||||
(評価指標) | H12 | H13 | H14 | H15 | H16 | |||||||||||||||||||
障害者試行雇用事業の開始者数 (人) | − | 2,181 | 2,661 | 3,162 | 4,220 | |||||||||||||||||||
− | 2,000 | 2,700 | 3,200 | 4,200 | ||||||||||||||||||||
同常用雇用移行者数 (人) | − | 1,730 | 2,123 | 2,081 | 3,236 | |||||||||||||||||||
常用雇用移行率 (%) | − | 79.3 | 79.8 | 81.1 | 82.8 | |||||||||||||||||||
(備考)
|
||||||||||||||||||||||||
(評価指標) | H12 | H13 | H14 | H15 | H16 | |||||||||||||||||||
職場適応援助者(ジョブコーチ)事業による人的支援対象者数 (人) | − | − | 2,120 | 2,759 | 2,960 | |||||||||||||||||||
− | − | 2,439 | 2,951 | 2,951 | ||||||||||||||||||||
支援終了者数 (人) | − | − | 1,781 | 2,649 | 2,918 | |||||||||||||||||||
(備考)
|
||||||||||||||||||||||||
(評価指標) 障害者就業・生活支援センター事業における相談件数 (件) |
H12 | H13 | H14 | H15 | H16 | |||||||||||||||||||
− | − | 66,681 | 134,629 | 244,519 | ||||||||||||||||||||
(備考)
|
||||||||||||||||||||||||
実績目標2 | 障害者雇用率制度の厳正な運用を通じて障害者の雇入れの促進等を図ること | |||||||||||||||||||||||
(実績目標を達成するための手段の概要) 「障害者の雇用の促進等に関する法律」に基づき、民間企業・国・地方公共団体は、一定の割合以上、身体障害者又は知的障害者を雇用しなければならないこととされている。これに基づき、雇用率未達成の企業等に対し、雇用率達成指導を行い、必要な場合には雇入れ計画の作成命令、適正実施勧告を行うなど、制度の厳正な運用を図っている。 |
||||||||||||||||||||||||
(評価指標) 民間企業における実雇用率 (%) |
H12 | H13 | H14 | H15 | H16 | |||||||||||||||||||
1.49 | 1.49 | 1.47 | 1.48 | 1.46 | ||||||||||||||||||||
1.80 | 1.80 | 1.80 | 1.80 | 1.80 | ||||||||||||||||||||
(備考)
|
||||||||||||||||||||||||
(評価指標) 法定雇用率未達成企業割合 (%) |
H12 | H13 | H14 | H15 | H16 | |||||||||||||||||||
55.7 | 56.3 | 57.5 | 57.5 | 58.3 | ||||||||||||||||||||
(備考)
|
||||||||||||||||||||||||
(評価指標) 雇入れ計画作成命令件数 (件) |
H12 | H13 | H14 | H15 | H16 | |||||||||||||||||||
117 | 159 | 306 | 374 | 433 | ||||||||||||||||||||
(備考)
|
||||||||||||||||||||||||
(評価指標) 適正実施勧告件数 (件) |
H12 | H13 | H14 | H15 | H16 | |||||||||||||||||||
30 | 26 | 21 | 42 | 48 | ||||||||||||||||||||
(備考)
|
||||||||||||||||||||||||
(評価指標) 就職件数 (件) |
H12 | H13 | H14 | H15 | H16 | |||||||||||||||||||
28,361 | 27,072 | 28,354 | 32,885 | 35,871 | ||||||||||||||||||||
(備考)
|
||||||||||||||||||||||||
実績目標3 | 障害者雇用に係る事業主支援・援助の実施を通じて障害者の働く場の整備を図ること | |||||||||||||||||||||||
(実績目標を達成するための手段の概要) 障害者雇用納付金制度により、障害者を雇用する経済的負担の軽減と、その奨励・維持のため、雇用率を超えて身体障害者又は知的障害者を雇用している事業主に対しては、その雇用率を超える人数に一定の額を乗じた調整金を、また、常用労働者数が300人以下の規模で障害者を多数雇用している事業主には報奨金を支給している。さらに、障害者の雇い入れ又は雇用の継続を図る事業主が行う作業施設や作業設備の設置・整備又は継続などの措置について、障害者雇用納付金制度及び障害者雇用継続事業に基づく助成金を支給することによって、障害者の雇用の促進及び雇用の継続を容易にしている。 |
||||||||||||||||||||||||
(評価指標) | H12 | H13 | H14 | H15 | H16 | |||||||||||||||||||
調整金支給決定件数 (件) | 2,146 | 2,196 | 2,259 | 2,260 | 2,406 | |||||||||||||||||||
− | − | − | − | − | ||||||||||||||||||||
調整金支給決定金額 (百万円) | 3,177 | 3,335 | 3,691 | 3,792 | 4,348 | |||||||||||||||||||
3,039 | 3,231 | 3,663 | 3,647 | 4,284 | ||||||||||||||||||||
(備考)
|
||||||||||||||||||||||||
(評価指標) | H12 | H13 | H14 | H15 | H16 | |||||||||||||||||||
報奨金支給決定件数 (件) | 2,535 | 2,373 | 2,245 | 2,105 | 1,986 | |||||||||||||||||||
− | − | − | − | − | ||||||||||||||||||||
報奨金支給決定金額 (百万円) | 4,476 | 4,367 | 4,166 | 3,888 | 4,680 | |||||||||||||||||||
4,719 | 4,356 | 4,305 | 4,016 | 4,630 | ||||||||||||||||||||
(備考)
|
2.評価
(1) 現状分析
|
(2) 評価結果
障害者の社会参加が進展する中で、障害者の就業に対するニーズが高まってきていることに伴い、公共職業安定所における新規求職申込件数は93,182件と前年度と比べ5.6%ポイント、また有効求職者数は153,984件と0.3%ポイント上回った。こうした状況のもとに、公共職業安定所窓口では、障害者に対するきめ細かな職業相談・職業紹介を行っている。 また、事業主に対し、障害者雇用に関する理解を深めてもらうとともに、障害者雇用に取り組むきっかけを作ることができる障害者試行雇用事業(トライアル雇用事業)は、障害者の就職促進の手段として有効であり、平成16年度にトライアル雇用を開始した4,220人(前年度比33%増)のうち、同期間にトライアル雇用を終了した3,909人の約8割を超える3,236人の障害者の常用雇用を実現した。 平成14年度より実施されている職場適応援助者(ジョブコーチ)事業については、障害者の働く職場にジョブコーチを派遣し、直接的かつ専門的な人的支援を行うことにより知的障害者、精神障害者等の職場での適応を円滑にすることから、障害者の職場定着の手段として有効であり、平成16年度は支援対象者数2960人(前年度比7%増)、支援終了者数2918人(同10%増)となっており、支援終了後1か月の定着率が87.3%と前年度を3.3%ポイント上回るなど、事業開始以降高水準を維持しており、着実に成果をあげている。 同様に平成14年度より実施されている障害者就業・生活支援センター事業については、地域における雇用、保健福祉、教育等の関係機関とネットワークを形成し、就業面の相談にとどまらず、就業に伴う社会生活及び日常生活上の相談等を一体的に行うことができることから、障害者の就業の促進及び職業生活における自立を図る手段として有効であり、平成16年度においては34センター増設して全国で79センターが運営され、12,219人の対象者に対して延べ244,519件の相談等を行い、就職件数は1,727件と前年度に比べ各実績は大幅に伸び、着実な成果をあげている。 このような取組を通じ、平成16年度の公共職業安定所を通じた就職件数は35,871件と前年度を9.1%ポイント上回り、過去最高の就職件数となるなど、障害者雇用の着実な推進が図られ、目標の達成に有効であった。 実績目標2について 障害者雇用率制度は、事業主の社会連帯の理念に基づき、各事業主が平等に身体障害者又は知的障害者を雇用している状態(法定雇用率を達成していること)を実現するため、障害者の雇い入れの促進等に有効な手段である。 ただし、依然として厳しい障害者の雇用情勢を反映し、法定雇用率未達成企業の割合は58.3%と前年を上回り、平成16年6月1日現在の実雇用率も平成15年度の1.48%に対し、1.46%となっている。(ただし、平成16年4月1日から除外率が設定されているすべての業種について一律10%の引き下げが行われたため、16年度と15年度の数値をそのまま単純に比較することは適当でない。なお、平成16年度の雇用障害者数は平成15年度に比べ、4.4%増加している。)。このような状況を踏まえ、法定雇用率達成指導を強化したところであり、雇入れ計画作成命令は対前年度比1.16倍の433件、適正実施勧告は対前年度比1.1倍の48件を発出するなど、厳しい雇用状況に対応して雇用率達成指導も厳正に実施しているところである。 こうした取組等が、平成16年度の就職件数の増加にもつながっており、一定の効果があったものと認識している。 実績目標3について 障害者を雇用するには、作業施設や設備の改善、職場環境の整備、特別の雇用管理等が必要とされることが多く、健常者の雇用と比べると経済的負担を伴うため、障害者を実際に雇用するに当たりかかる経済的負担を軽減することができる障害者雇用納付金制度は、障害者の働く場の整備を図るために有効な手段である。 厳しい雇用情勢にもかかわらず、障害者の雇用を推進する企業の努力を背景に、調整金については、支給決定件数は前年度比6.5%増、支給決定金額は前年度比15.6%増となっており、障害者の雇用の安定・促進に有効に機能している。一方、報奨金については、中小企業における経営環境の悪化が続く中、平成15年度の支給決定件数は前年比5.7%の減となっているものの、支給決定金額は20.4%の増となっており、障害者の雇用の安定・促進に有効に機能している。また、この報奨金によって約2万2千人の法定雇用率を超えた障害者の雇用(調整金については約1万6千人)に寄与していると考えられ、経済負担の調整を行う制度として有効に機能していると考えられる。 なお、雇用納付金制度に基づく助成金は、平成16年度は、支給決定金額が5,944百万円(速報値)となっており、平成15年度と比較すると1.3倍の伸びを示している。また、障害者雇用継続事業に基づく助成金は、支給決定金額が223百万円と、平成15年と比較するとほぼ横ばいだが、過去5年の推移でみると、支給決定金額で1.4倍の伸びを示している。、 これらの助成金は障害者雇用における事業主の経済的負担を軽減し、障害者雇用の促進と維持に有効な手段であると考えられるが、更に有効に活用されるよう、制度の周知等に努める必要がある。 |
|||||
求職者の就業ニーズが依然として高い中、就職件数が対前年度比で9%増加するなどの実績を上げたことは、公共職業安定所における職業相談・職業紹介が効率的に実施されるとともに、職場適応援助者(ジョブコーチ)事業による職場適応のための専門的な支援、障害者就業・生活支援センターによる就業及び日常生活に係る一体的な相談等の支援など、資源を有効に活用した効率的な施策の実施が図られたためであると考える。 また、障害者試行雇用事業においては、1人当たり月額5万円(支給期間は3か月を限度)と低い投入コストにもかかわらず、約8割の常用雇用への移行が達成されたことから、効率的な手段であると考える。 実績目標2について 雇用率の達成のため、未達成の企業等については、計画作成命令の発出、適正実施勧告等、段階をおいて指導を行っており、対象企業等の指導への対応状況に応じた効率的な手段であると考える。 実績目標3について 障害者雇用納付金制度及び同制度に基づく助成金については、事業主に対して一定の助成を行うことにより、事業主が自主的に障害者の就業環境の改善等に取り組むことを促進できるため、効率的な手段と考える。 |
|||||
なお、障害者試行雇用事業については、平成16年度に具体的な目標を掲げ、目標達成されたところであり、平成17年度においても目標達成に向け着実に事業を推進していく。
|
3.特記事項
|