(4−2−V)
実績評価書
平成17年8月

政策体系 番号  
基本目標 経済・社会の変化に伴い多様な働き方が求められる労働市場において労働者の職業の安定を図ること
施策目標 雇用機会を創出するとともに雇用の安定を図ること
V 産業の特性に応じた雇用の安定を図ること
担当部局・課 主管部局・課 職業安定局雇用開発課建設・港湾対策室
関係部局・課 職業安定局雇用開発課農山村雇用対策室


1.施策目標に関する実績の状況
実績目標1 建設労働者の雇用の改善等に関する法律に基づき、その雇用の改善、能力の開発及び向上並びに福祉の増進を図ること
(実績目標を達成するための手段の概要)
 雇用管理責任者に対して必要な知識の習得及び向上を図るための研修を行う。また、教育訓練、福利厚生及び雇用改善等に取り組む事業主に対して、その取組みを促進させるため必要な経費を助成する。

関連する経費
建設雇用改善助成金(平成16年度予算額) 5,223百万円
(評価指標)
雇用管理研修等受講者数 (人)
H12 H13 H14 H15 H16
9,242 8,104 6,647 5,842 6,110
10,550 10,550 10,550 10,550 10,550
(備考)
 評価指標は、雇用管理研修、職長研修又は雇用管理援助担当者研修を受講した雇用管理責任者の人数。
 評価指標の上段は独立行政法人雇用・能力開発機構調べによる実績、下段は予算上の数値である。
(評価指標)
建設業需給調整機能強化促進助成金利用事業主団体の紹介による就職件数 (件)
H12 H13 H14 H15 H16
(備考)
 評価指標は、独立行政法人雇用・能力開発機構調べによる。
(評価指標) H12 H13 H14 H15 H16
建設雇用改善助成金支給決定件数 (件) 58,757 55,021 48,695 42,882 45,010
建設雇用改善助成金支給決定金額 (千円) 6,079,652 5,309,446 4,947,686 3,875,029 4,199,628
7,633,580 7,282,309 5,907,944 5,066,247 5,222,507
(備考)
 評価指標の上段は独立行政法人雇用・能力開発機構調べによる実績、下段は予算上の数値である。
実績目標2 港湾労働者の雇用の改善等に関する措置を講ずることにより、港湾運送に必要な労働力の確保に資するとともに、港湾労働者の福祉の増進を図ること
(実績目標を達成するための手段の概要)
 港湾運送に必要な労働力の確保に資するため、港湾労働者派遣事業の運営を行う派遣元責任者に対し派遣元事業主における適正な雇用管理及び事業運営の適正化のための研修を行うとともに、港湾労働者の福祉の増進を図るため、雇用管理者に対して適正な雇用管理を行うための知識の習得及び向上を図るため研修を行う。

関連する経費
港湾労働者派遣事業対策費(平成16年度予算額) 310百万円
(評価指標)
雇用管理研修の受講者数 (人)
H12 H13 H14 H15 H16
1,044 501 745 632 776
(備考)
 平成12年度の雇用管理者研修については、当時開始された港湾労働者派遣制度に関する説明も行ったため、多数の受講者が集まった。
 このため、多数の受講者数が出た平成12年度の評価指標は例外である。
(評価指標)
派遣元責任者研修の受講者数 (人)
H12 H13 H14 H15 H16
1,046 192 305 546 389
(備考)
 平成12年度は法改正により港湾労働者派遣制度を開始した最初の年度であり、派遣制度を活用するため、派遣の許可取得に必要な当該研修に多くの受講者が集まった。
 このため、平成12年度の評価指標は例外であり、平成13年度以降の派遣元責任者研修の受講者数を評価指標として見るのが適当である。
(評価指標)
常用港湾労働者の就労割合 (%)
H12 H13 H14 H15 H16
98.0 98.0 98.1 98.3 98.2
(備考)
 評価指標は、港湾労働者(常用労働者、派遣労働者、日雇労働者)の就労日数のうち常用労働者及び派遣労働者の就労日数の占める割合。
 この指標は、港湾労働者派遣制度の迅速かつ適正な活用等により、日雇労働者に頼らない常用労働者の労働力の確保の割合を見るもの。
実績目標3 林業等への就職を希望する求職者の職業体験の充実等を通じて職業理解を促進するとともに、林業事業体の事業主等に雇用管理改善の必要性と知識を普及することにより、雇用管理改善を推進すること(林業事業体合同説明会参加者の就職率19%以上、職業講習会・就職ガイダンス参加者の就職率16%以上を目指す。)
(実績目標を達成するための手段の概要)
 林業関係団体への委託により、林業就業に関する相談の実施、雇用情報の提供、職業講習等を実施し、林業に関する職業理解を促進するとともに、事業主等に対する研修等を実施し、雇用管理の改善を促進する。

関連するコスト
林業雇用改善推進事業(平成16年度予算額) 664百万円
(評価指標)
雇用管理改善セミナーの開催状況 (回)
H12 H13 H14 H15 H16
116 106 131 138
(備考)
 評価指標は、職業安定局調べによる。(H12以前は集計をしていない)
(評価指標)
職業講習会の開催状況 (回)
H12 H13 H14 H15 H16
28 87 83 87
(備考)
 評価指標は、職業安定局調べによる。(H12以前は集計をしていない)
(評価指標)
就職ガイダンスの開催状況 (回)
H12 H13 H14 H15 H16
20 34 32 46
(備考)
 評価指標は、職業安定局調べによる。(H12以前は集計をしていない)
(評価指標)
林業事業体合同説明会参加者の就職率 (%)
H12 H13 H14 H15 H16
19 19 20
(備考)
 評価指標は、職業安定局調べによる。(H13以前は集計をしていない)
(評価指標)
職業講習会・就職ガイダンス参加者の就職率 (%)
H12 H13 H14 H15 H16
16 13 12
(備考)
 評価指標は、職業安定局調べによる。(H13以前は集計をしていない)
実績目標4 農林業等への多様な就業を促進すること
(実績目標を達成するための手段の概要)
 就農等支援コーナー等により求人情報の提供、職業相談・紹介、農林業等関連各種情報の提供等を行い、農林業等への多様な就業を促進する。

関連する経費
農林業等就職促進支援事業(平成16年度予算額) 63百万円
(評価指標)
相談件数(就農等支援コーナー) (件)
H12 H13 H14 H15 H16
4,843 6,000
(備考)
 就農等支援コーナーは、平成15年度からの事業である。
 評価指標は、職業安定局調べによる。
(評価指標)
農林漁業労働者の充足率 (%)
H12 H13 H14 H15 H16
35.2 41.7 45.0 44.3 43.0
(備考)
 評価指標は、職業安定業務統計による。


2.評価

(1) 現状分析
現状分析
 建設投資の減少(平成16年度はピーク時(平成2年)の約6割に減少)による厳しい経営環境の中で、必要な教育訓練や雇用管理教育等が実施できない状況も生じており、それらを実施する取組を支援し、建設労働者の雇用の改善、能力の開発及び福祉の増進を図る必要がある。
 昨今の厳しい経済情勢の中で、港湾運送事業者が労働者を常用労働者から、より安価な日雇労働者へ切り替える危惧があるとともに、平成13年11月の港運労使間の合意に基づき実施されている荷役の24時間364日フルオープンにより、年末年始や日曜、夜間の荷役が増大するなど、港湾労働を取り巻く環境に大きな変化が生じてきている。
 林業労働力については、林業経営の収益性の低下、林業労働者の雇用管理面での改善の立ち後れ等に伴い、減少・高齢化が進行しており、最近は、林業の新規就業者数が増加の傾向にあるものの、平成12年国勢調査の結果では、林業就業者数は6万7千人と平成7年(8万6千人)から減少しており、うち50歳以上の者の割合が68%と高齢化している状況にある。
 農業生産法人の増加に伴い、公共職業安定所における関係求人や農業等への求職者数が増加傾向にある。

(2) 評価結果
政策手段の有効性の評価
実績目標1について
 建設業における雇用改善等の取組は、景気に大きく左右されるものである。このため、雇用管理研修等受講者数及び建設雇用改善助成金の支給状況は、平成15年度まで減少傾向であったが、平成16年度においては増加しており、依然として雇用管理等の改善を図るための措置を講ずることが必要であり、事業は有効であったものと考えられる。
 しかし、平成16年度からの新規事業であった建設業需給調整機能強化促進助成金については、助成金自体の支給実績はあったものの、団体の紹介による就職までには至らなかった。このため、平成17年度より、更に助成内容を拡充した事業として、制度の充実を図ったところであり、今後の実績を注視していく。

実績目標2について 
 派遣元責任者研修については、新たな派遣元責任者として、389名が受講したことにより、港湾労働者派遣事業の適正な運営の確保が強化された。また、雇用管理者研修については、776名の雇用管理者に対して、常用労働者によって荷役作業を行うことを原則とする港湾労働法の趣旨の徹底を図っている。これらの取り組みにより港湾運送における必要な労働力の確保や港湾労働者の福祉の増進が図られ、常用港湾労働者の就労割合が98.2%という高い水準を維持しているところである。したがって、派遣元責任者研修及び雇用管理者研修を行うことは、港湾運送に必要な労働力の確保に資するとともに、港湾労働者の福祉の増進を図る上で有効である。

実績目標3について
 平成16年度は138回の雇用管理改善セミナーが開催され、林業事業主、労務管理担当者等に対する研修を行うとともに、相談・指導を行うことにより、雇用管理改善の必要性が認識され、雇用管理に関する意識と知識が高まるとともに、雇用管理改善に役立った。また、職業講習会や就職ガイダンスを開催することにより、求職者等の林業に関する職業理解が促進されたところである。

実績目標4について
 失業者の希望や能力に応じ、多様な就業等の実現を支援するため、農林水産省と連携し、実施している「『農林業をやってみよう』プログラム」の一環である就農等支援コーナーの利用状況をみると平成16年度で6,000件の相談件数があった。
 農林業等への就業に向けて農業体験講習や訓練情報などの幅広い情報提供を行ってきているところであり、公共職業安定所における農林業等求人の充足率は、新規求人数の増加等によりわずかに低下したものの農林漁業の就職件数は、増加傾向にあり、農林業等への就業促進に有効である。

 (参考)農林漁業への就職件数(職業安定局調べ 単位:人)
  平成12年度  8,547
  平成13年度  10,438
  平成14年度  11,215
  平成15年度  12,702
  平成16年度  12,905
政策手段の効率性の評価
実績目標1について
 建設労働者の雇用の改善等を図るための措置は、直接企業の収益に結びつくものではなく、経営環境が厳しい建設業においては、現状を放置したままでは雇用の改善等は促進されないため、一定の助成金を支給することが、雇用の改善等を図る上で効率的である。
 また、助成金のメニューの改正等により、必要な経費をより効率的に助成することで、平成16年度の実績が増加した。

実績目標2について 
 派遣元責任者研修及び雇用管理者研修を行わなければ、市場に不適切な事業者が参入することにより、指導監督業務が増大し、また、事業の適正な運営を継続的に確保することが困難となる。したがって、派遣元責任者研修及び雇用管理者研修を行うことは、港湾運送に必要な労働力の確保に資するとともに、港湾労働者の福祉の増進を図る上で効率的である。

実績目標3について
 雇用管理改善セミナーについては、林業の実情に詳しい林業関係団体を委託先としており、その結果として、先進事例などを活用した雇用管理改善に取り組むことが可能となっており、効率的な事業の推進が行われている。
 職業講習会・就職ガイダンスについては、1回当たりの参加者数が平成14年度に比べ3割程度減少したことから、職業講習会等の参加者の就職率は、平成16年度の目標値に届かなかったが、職業講習会等における各地域のニーズの差等を踏まえ、平成17年度から地域ブロック単位で実施する等、事業の効率的な実施について見直しを図ったところである。

実績目標4について
 農林業等の就業等を希望する者の多くは、農林業等に対する経験・知識の不足や住居の移転を伴うなど農林業等に就業した際の就業環境等を明確に掴めない状況にあるため、農林業等への就業等を希望する者に対して職業理解を促進する上で、新規就農相談センター等と連携して、農林業等関係情報の一元化を図り、幅広い情報提供をワンストップで行っていくことは効率的である。
総合的な評価
実績目標1について
 雇用管理研修等受講者数や建設雇用改善助成金支給決定件数等は、平成16年度においては通信教育訓練への支給が開始されたこと等により、実績が増加した。各種研修及び助成制度が建設労働者の雇用の改善、能力の開発及び向上並びに福祉の増進が果たしてきた役割は大きいものである。
 今後とも的確にニーズを把握し、より効果的な助成措置を講じていくことが必要である。

実績目標2について
 派遣元責任者による港湾労働者派遣事業の適切な運営及び雇用管理者による港湾労働者の雇用の改善等により、港湾運送における良質な労働力を確保できた結果、16年度の常用港湾労働者の就労割合は98.2%という高い水準を維持しており、港湾労働者の福祉の増進が図られるものとなっている

実績目標3について
 平成16年度は、雇用管理改善セミナー・職業講習会・就職ガイダンスの実施回数が増加する等、林業事業主の雇用管理改善や求職者の職業理解が促進され、達成に向けて進展があったところである。

実績目標4について
 農林業等への多様な就業促進に関しては、農林業等への就業等を希望する者に対して、農林業等の幅広い情報を提供することにより、求職者が農林業等に就業する際の有効な情報を提供でき、公共職業安定所における農林業等求人の充足率は低下したものの、就職件数、新規求人ともに平成15年度より増加した。これらのことから、達成に向けて一定の進展がみられた。
評価結果分類 分析分類
(2) (2)


3.特記事項
(1) 学識経験を有する者の知見の活用に関する事項
なし
(2) 各種政府決定との関係及び遵守状況
(「地方分権推進計画」「国の行政組織等の減量、効率化等に関する基本計画」「第10 次定員削減計画」「行政改革大綱」等)
(3) 総務省による行政評価・監視等の状況
なし
(4) 国会による決議等の状況(警告決議、付帯決議等)
なし
(5) 会計検査院による指摘
なし

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