(4−2−IV)
実績評価書
平成17年8月

政策体系 番号  
基本目標 経済・社会の変化に伴い多様な働き方が求められる労働市場において労働者の職業の安定を図ること
施策目標 雇用機会を創出するとともに雇用の安定を図ること
IV 円滑な労働移動を促進すること
担当部局・課 主管部局・課 職業安定局雇用開発課
関係部局・課 職業安定局首席職業指導官室
職業安定局需給調整事業課


1.施策目標に関する実績の状況
実績目標1 在職中からの計画的な再就職支援を行うことにより、できるかぎり失業を経ない労働移動の促進を図ること
(実績目標を達成するための手段の概要)
 平成13年の雇用対策法の改正によって、一の事業所において相当数の労働者が離職を余儀なくされることが見込まれる事業規模の縮小等を行おうとする事業主に対し、再就職援助計画を作成して公共職業安定所長の認定を受けることを義務付けるとともに、国はそれに対して認定された計画に基づく再就職援助措置を支援することとした。
 具体的には、経済的事情により、一の事業所において、常時雇用する労働者について1か月の期間内に30人以上の離職者を生じることとなる事業規模の縮小等を行おうとする事業主に対して、最初の離職者の生ずる日の1か月前までに再就職援助計画を作成することを義務付けた。また、離職者が1か月に30人未満の場合であっても、任意に計画を作成し、公共職業安定所長の認定を受けることを可能とした。
(評価指標) H12 H13 H14 H15 H16
再就職援助計画作成状況(認定事業所数) (事業所) 2,336 2,816 2,405 1,699
再就職援助計画作成状況(対象労働者数) (人) 129,026 146,906 86,799 63,200
(備考)
 再就職援助計画の作成の義務が規定された改正雇用対策法は、平成13年10月から施行された。
 評価指標は、「再就職援助計画認定状況報告」(職業安定局調べ)による。
 13年度の実績は、平成13年10月〜平成14年3月の総計である。
実績目標2 労働移動支援助成金の積極的な活用により、計画的な労働移動の促進を図ること(求職活動等支援給付金については支援対象労働者の離職後3か月以内での就職率が30%以上、再就職支援給付金については支給を受けた事業所のうち本給付金を活用して再就職支援会社に支援を委託しなくても当該給付金の支給対象労働者の再就職は難しくなかったとする事業所の割合が20%以下、定着講習支援給付金については、本給付金の支給に係る再就職援助計画対象労働者の雇入れ後1年経過後における定着率90%以上、建設業労働移動支援能力開発給付金については講習等を受けた建設労働者等の講習終了後3か月時点の再就職等をしている者の割合50%以上、建設業新規・成長分野定着促進給付金については対象労働者の雇入れから1年度の定着率90%以上を目指す。)
(実績目標を達成するための手段の概要)
 労働移動支援助成金には、求職活動等支援給付金、再就職支援給付金、定着講習支援給付金及び労働移動支援体制整備奨励金がある(但し、労働移動支援体制整備奨励金については平成16年3月末で廃止。)。
(1)求職活動等支援給付金
 再就職援助計画又は求職活動支援基本計画書を作成し、当該計画等の対象となる被保険者に対し、通常賃金の額以上の額を支払って求職活動等のための休暇を与える事業主に、当該休暇を取得した被保険者1人1日当たり4,000円(教育訓練費を全額負担した場合は1日当たり1,000円加算。1人当たり30日分を限度。)を支給する。
 また、再就職援助計画等の対象となる被保険者に対し、再就職に関する相談室の設置、求人の開拓員又は再就職に関する相談員の配置を行い、職業相談や求人開拓を行う事業主に、当該事業に要する費用の1/4(75万円を限度)(中小企業事業主は1/3(100万円を限度))の額を支給する。
(2)再就職支援給付金
 再就職援助計画又は求職活動支援基本計画書を作成し、当該計画等の対象となる被保険者の再就職に係る支援を民間の職業紹介事業者に費用を負担して委託し、当該被保険者の再就職がその離職日から3か月以内(不良債権処理の加速に伴う雇用調整方針の対象労働者については、当分の間、離職日から6か月以内)に実現した事業主に、当該委託に要する費用の1/4(1人当たり30万円を限度)(中小企業事業主は1/3(1人当たり40万円を限度))の額を支給する(但し、同一の再就職援助計画等につき300人を限度。)。
(3)定着講習支援給付金
 再就職援助計画又は求職活動支援書等に係る対象労働者をその離職日から3か月以内(不良債権処理の加速に伴う雇用調整方針の対象労働者については、当分の間、離職日から6か月以内)に雇い入れ、その従事する職務に必要な知識又は技能を習得させるための1週間以上の講習(Off-JT及びOJT)を実施した事業主に、講習期間2週間以上の場合、当該講習を受けた労働者1人当たり10万円、講習期間1週間以上2週間未満の場合、当該講習を受けた労働者1人当たり5万円を支給する。
(4)労働移動支援体制整備奨励金(平成16年3月末で廃止)
 中小企業事業主に対して再就職相談室の設置等の再就職援助に関する情報の提供、相談その他の援助を行うために必要な体制を整備する中小企業事業主の団体又はその連合団体に、当該措置に要した費用の1/2(100万円を限度)を支給する。

関連する経費(平成16年度予算額)
求職活動等支援給付金  6,835百万円
再就職支援給付金  597百万円
定着講習支援給付金  850百万円
(評価指標) H12 H13 H14 H15 H16
求職活動等支援給付金支給決定人数 (人) 2,390 5,233 2,622 1,555
24,590 77,532 67,925 89,913
求職活動等支援給付金支給決定事業所 (事業所) 1
1,425
求職活動等支援給付金支給決定金額 (百万円) 127 355 167 88
3,023 10,724 8,706 6,835
求職活動等支援給付金の支援対象労働者の離職後3か月未満での就職率 (%) 31.3 28.3 (未集計)
(備考)
 求職活動等支援給付金は、平成13年10月からの事業である。
 評価指標の上段は実績(平成13年度は、雇用・能力開発機構の調べ、平成14年度以降は職業安定局の調べ)、下段は予算上の数値である。
 求職活動等支援給付金のうち、再就職相談室設置等に係る助成は平成16年度からの事業である。
 求職活動等支援給付金の支援対象労働者の離職後3か月未満での就職率は、平成14年度分から集計している。
(評価指標) H12 H13 H14 H15 H16
再就職支援給付金支給決定人数 (人) 2 101 1,163 1,673
1,456 4,368 2,056 2,885
再就職支援給付金支給決定金額 (百万円) 0.3 17 230 325
437 1,310 617 597
再就職支援給付金の支給を受けた事業所のうち、同給付金を活用して再就職支援会社に支援を委託しなくても当該給付金の支給対象労働者の再就職は難しくなかったとする事業所の割合 (%) 16.7 14.5
(備考)
 再就職支援給付金は、平成13年12月からの事業である。
 評価指標の上段は実績(平成13年度は、雇用・能力開発機構の調べ、平成14年度以降は職業安定局の調べ)、下段は予算上の数値である。
 再就職支援給付金の支給を受けた事業所のうち、同給付金を活用して再就職支援会社に支援を委託しなくても当該給付金の支給対象労働者の再就職は難しくなかったとする事業所の割合は平成14年度分から集計している。(平成15年度は制度見直しのため集計せず)
(評価指標) H12 H13 H14 H15 H16
定着講習支援給付金支給決定人数 (人) 1,051 541 353
9,434 10,437 9,999
定着講習支援給付金支給決定金額 (百万円) 105 54 35
943 1,044 850
定着講習支援給付金の支給に係る再就職援助計画対象労働者の雇入れ後1年経過時における定着率 (%) 93.0 93.2 (未集計)
(備考)
 定着講習支援給付金は、平成13年10月からの事業である。
 雇入れの日の翌日から起算して6か月を経過した日から1か月以内の申請であるため、制度発足から6か月を経過していない平成13年度末時点での実績はない。
 評価指標の上段は職業安定局の調べによる実績、下段は予算上の数値である。
 定着講習支援給付金の支給に係る再就職援助計画対象労働者の雇入れ後1年経過時における定着率は平成14年度分から集計している。
(評価指標) H12 H13 H14 H15 H16
建設業労働移動支援能力開発給付金支給対象者の講習終了後3ヶ月時点の再就職等をしている者の割合 (%)
建設業新規・成長分野定着促進給付金の支給に係る対象労働者の雇入れから1年後の定着率 (%)
(備考)
 建設業労働移動支援能力開発給付金及び建設業新規・成長分野定着促進給付金については平成17年度に制度を改正しており、上記目標は、平成17年度からの制度を対象としているため、評価は平成17年度実績分からである。
実績目標3 出向・移籍支援業務により円滑な労働移動を促進すること(出向・移籍支援業務について出向移籍の成立率が40%以上を目指す。)
(実績目標を達成するための手段の概要)
 事業主に対して出向等に関し、事業主の相互協力の下に必要な情報の提供、相談等を行うことにより、労働力の産業間移動の円滑化を図る。

関連する経費(平成16年度予算額)
産業雇用安定センター補助金 3,643百万円
(評価指標)
出向移籍の成立率
H12 H13 H14 H15 H16
52% 34% 32% 39% 40%
(備考)
 数値は(財)産業雇用安定センターの調べによる実績。
 平成16年度は出向移籍の成立率が35%となることを目標と設定し、事業を実施した(平成17年度以降は実績目標1欄の目標にて評価を行う)。
実績目標4 求人情報、労働市場情報等の提供を図ること
(実績目標を達成するための手段の概要)
 急速に普及してきているインターネット技術を活用するなどにより、求職者や求人者に対し求人情報等の提供を行っている。

関連する経費(平成16年度予算額)
求人情報提供システム運営費 828百万円
(評価指標)
ハローワークインターネットサービスのアクセス件数 (件)
H12 H13 H14 H15 H16
4,716,731 12,818,288 42,942,242 62,256,288 67,357,657
(備考)
 評価指標は、ハローワークインターネットサービスの求人情報検索画面へのアクセス件数である(労働市場センター業務室調べ)。
 評価指標のハローワークインターネットサービス事業は、平成11年3月29日からの事業であり、平成14年1月29日から取り扱い求人が全国のハローワークの求人に拡大され、さらに平成15年1月14日からは求人事業主の意向を踏まえて求人企業名等の提供を行うこととした。
(評価指標)
ネット上での応募者数 (人)
H12 H13 H14 H15 H16
258,347 762,212 659,828
(備考)
 評価指標は、ハローワークインターネットサービスの応募票画面閲覧数である(労働市場センター業務室調べ)。
 評価指標の平成14年度実績は、求人企業名等の提供に伴い、インターネット上での応募を可能とした平成15年1月14日からの数値である。
実績目標5 しごと情報ネットにより求人情報等へのアクセスの円滑化を図ること
(実績目標を達成するための手段の概要)
 しごと情報ネットは、求職者が、インターネットを利用して、官民の参加機関(民間職業紹介事業者、民間求人情報提供事業者、公共職業安定所等)の有する豊富な求人情報等を一覧し、希望に合致する求人情報等を検索することを可能とするシステムであるが(平成13年8月運用開始)、これを運営することにより、求人情報等へのアクセスの円滑化を図る。

関連する経費(平成16年度予算額)・しごと情報ネットの運営 778百万円
(評価指標)
参加機関数 (機関)
H12 H13 H14 H15 H16
3,438 3,820 4,533 5,109
(備考)
 各年度3月31日現在の数である。
(評価指標)
求人情報件数 (件)
H12 H13 H14 H15 H16
471,272 504,095 634,002 810,671
(備考)
 各年度3月31日現在の数である。
(評価指標)
求職者情報件数(障害者に係るものに限る。) (件)
H12 H13 H14 H15 H16
449
(備考)
 各年度3月31日現在の数である。
 障害者に係る求職者情報の提供は、平成17年3月に開始した。
(評価指標) H12 H13 H14 H15 H16
アクセス件数【PC版】 (万件) 20.2 34.6 43.1 45.7
アクセス件数【携帯版】 (万件) 31.2 31.6 43.4 54.0
(備考)
 各年度の1日当たりの平均件数である。
 昨年度作成した実績評価書では、各年度3月の1日当たりの平均件数を記載していたが、各年度の実績をより的確に把握するため、各年度の1日当たりの平均件数を記載することとした。


2.評価

(1) 現状分析
現状分析
 雇用失業情勢は、有効求人倍率が平成16年3月の0.77倍から平成17年3月には0.91倍に達するなど改善しつつあるが、完全失業率は改善したとはいえ4.5%と依然高水準にある。このため、しごと情報ネットにより求人情報等へのアクセスの円滑化を図ることにより、円滑な労働移動を促進し、雇用の安定を図る必要がある。
 産業・職業構造の変化、労働力人口の高齢化等に伴い、求人・求職のミスマッチによるいわゆる構造的、摩擦的失業は、中長期的に増加するおそれがある。
 また、現下の雇用失業情勢は厳しさが残るものの改善の兆しが見られ、最近の労働移動の状況を見ると、平成15年度以降、完全失業率は低下傾向にあるにもかかわらず、在職者に対する入職者、離職者の割合である入職率、離職率についてみてみると、ほぼ横ばいの状況が続いており(延べ労働移動率:平成11年、29.1%、平成12年、30.6%、平成13年、32.0%、平成14年、31.0%、平成15年、30.9%「雇用動向調査」)、今後も労働移動が円滑に行われるようにすることが求められている。
 また、平成14年7月18日の雇用政策研究会報告「雇用政策の課題と当面の展開」によると、「今後、産業構造がサービス化する中で、産業間移動を主体として労働移動が増加する結果、これまで従事してきた産業から、新たな産業へ転職する者が増加する」とされており、円滑な労働移動が行われることを通じて、労働市場全体で雇用の安定を図ることが一層重要となっている。
〈参考〉
  H12 H13 H14 H15 H16
完全失業率 4.7% 5.0% 5.4% 5.3% 4.7%
  うち需要不足 失業 1.0% 1.1% 1.4% 1.2% 0.7%
うち構造的・摩擦的失業 3.7% 3.9% 4.0% 4.1% 4.0%

(2) 評価結果
政策手段の有効性の評価
実績目標1について
 平成16年度は、景気が回復傾向にあり、事業規模の縮小を伴う雇用調整を実施する事業主が少なかったため、前年度に引き続き、再就職援助計画認定事業所数及び再就職援助計画対象者は減少した。しかし、法定義務として提出された再就職援助計画は、平成16年度において679件、法定義務以外の任意提出分が1,020件となっており、全体で63,200人の離職を前もって把握しているところである。これらの計画対象労働者に対して、再就職援助計画を作成した事業主が、計画に基づいた再就職支援を行っている。また、公共職業安定所においては、事業主の支援策に対して必要な指導を行うとともに、主体的に支援策を実施するなどの対応を行っており、離職予定のある在職者の計画的な再就職支援に役立っていることから、有効に機能している。

実績目標2について
 求職活動等支援給付金については、景気の回復を反映し、再就職援助計画対象労働者が減少したこと等が背景にはあるものの、平成16年度の実績は平成15年度の実績の5割程度と低くなっており、予算の執行率の観点からも活用が十分とは言えない。また、平成16年4月1日から再就職相談室の設置や求人開拓員・再就職相談員の配置に係る費用についても新たに助成対象としたところであるが、実績は低調である。しかしながら、本給付金の支給対象労働者の離職後3か月未満での就職率については、平成14年度及び平成15年度ともに3割程度となっており、本給付金の支援を受けた者に対しては、有効に活用されたといえる。
 再就職支援給付金については、平成14年12月に助成対象を離職後7日以内から3か月以内に緩和して以来、着実に実績が増加しており、平成16年度実績についても、平成15年度実績から約4割増加しており、また、本給付金の支給を受けた事業所のうち、再就職支援会社に支援を委託しなくても当該給付金の支給対象労働者の再就職は難しくなかったとする事業所の割合についても2割以下となっていることから、有効に機能していると考えられる。
 定着講習支援給付金については、支給対象労働者の雇入れ後1年経過時における定着率が9割以上となっており、本給付金の支援を受けた者に対しては、有効に活用されたと言える。しかしながら、景気の回復を反映し、再就職援助計画対象労働者が減少したことにより、平成16年度の実績は平成15年度の実績の7割弱程度となっており、予算の執行率の観点からも活用が十分とは言えない。また、中小企業のより実態にあった取組に対して支援するべく、平成16年4月1日から定着講習の期間の下限を2週間から1週間としたところであるが、本給付金の支給申請が対象労働者の雇入れの日の翌日から起算して6か月を経過した日から2か月以内であり、この見直しに係る実績は平成16年11月以降からとなっているが、徐々に実績が上がってきており、今後の実績を注視していく。
 労働移動支援体制整備奨励金については、実績もなく、また、事業主団体等に再就職援助に関する体制整備を求めることが現実にそぐわない面も否定できず、政策手段として有効に機能していないと考えられるため、平成15年度末に廃止した。
 なお、労働移動支援助成金の活用が十分ではないことに鑑み、本助成金について所要の見直しを行い、より再就職援助計画対象者等の円滑な労働移動に資するものにすることとする。

実績目標3について
 出向移籍の成立率は40%と、平成16年度の目標値である35%を上回る実績を上、円滑な労働移動の促進に寄与しており、有効に機能している。

実績目標4について
 平成14年1月からインターネットによる公共職業安定機関の求人情報提供の対象地域を拡大して、全国の公共職業安定所の取り扱い求人がハローワークインターネットサービスにおいて閲覧できるようになり、さらに平成15年1月から求人事業主の意向を踏まえ求人企業名等の提供を行うなど、情報提供機能が格段に充実された。
 情報提供機能の充実に伴って平成16年度には、アクセス件数が約67,000,000件と着実に増加を続けており、広く活用されていることから、ハローワークインターネットサービスによる情報提供は有効に機能していると評価できる。また、ネット上の応募者数は減少しているが、これは平成15年8月以降、ハローワークインターネットサービスの機能を追加し、求人に応募する際に、応募の意思を確認するための応募確認画面を表示したことにより、誤りによる応募等がなくなったためと考えられる。

実績目標5について
 しごと情報ネットの参加機関数(平成17年3月31日現在 5,109機関(対前年同期比約12.7%増))及び求人情報件数(平成17年3月31日現在 約81万件(対前年同期比約27.9%増))がともに増加し、また、しごと情報ネットへの1日当たりのアクセス件数(平成16年度 99.7万件(対前年度比約15.3%増))も増加していることから、しごと情報ネットの運営により、求人情報等へのアクセスの円滑化が有効に図られていると考えられる。
政策手段の効率性の評価
実績目標1について
 再就職援助計画の義務付け等の措置及び公共職業安定所長の計画認定による助成金の支給により、公共職業安定所は、事業主による離職予定者の再就職支援のメニューをあらかじめ把握することができることから、は当該メニューに沿った適切な支援を行えるようになっており、効率的であると考えられる。

実績目標2について
 再就職援助計画及び求職活動支援基本計画書の提出窓口において、労働移動支援助成金の支給申請も受け付けていることから、効率的な事業運営がなされていると言える。平成16年4月から、早期再就職援助に取り組む企業への支援の拡充や、中小企業を対象としたより実態に合った支援の拡充等を行うとともに、高年齢者等の雇用の安定等に関する法律に基づく在職者求職活動支援助成金と統合したことから、より効率的な事業運営がなされていると言える。

実績目標3について
 産業界の相互協力の下で、労働力の産業間、企業間移動の円滑化に寄与するために設立された(財)産業雇用安定センターにおいて実施されており、それぞれの産業における出向・移籍のニーズに関する情報が集約できることから、効率的に出向・移籍を成立させることができているものと考える。

実績目標4について
 ハローワークインターネットサービスを利用することは、情報システムの集中的な運用によって情報提供に係るコストの効率化を図るとともに、公共職業安定機関を直接利用する者以外に対しても、全国の公共職業安定機関の有する豊富な求人情報等を広く効率的に提供するものと評価できる。

実績目標5について
 しごと情報ネットは、インターネットの利用により、一か所のシステム整備コスト及び運用コストをもって、全国の多数の求職者が、官民の参加機関の有する豊富な求人情報等を一覧し、希望に合致する求人情報等を検索することを可能とするものであり、求人情報等へのアクセスの円滑化を効率的に進めるものであると考えられる。
総合的な評価
 平成16年度に実施された各施策については、おおむね円滑な労働移動の促進に一定の役割を果たしており、施策目標の達成に向けて進展があったと考えられる。
 労働移動支援助成金については、再就職援助計画対象労働者が減少しているものの、再就職支援給付金を除き、有効に機能しているとは言えないことから、本助成金については、労働移動支援のニーズを把握しつつ、より一層活用が図られる実効ある制度となるよう、支援内容の充実強化を図るべく見直しを行うとともに、適正な予算要求額とする。
 しごと情報ネットについては、参加機関数及び求人情報件数がともに増加し、また、1日当たりのアクセス件数も増加していることにかんがみると、平成16年度においては、しごと情報ネットにより求人情報等へのアクセスの円滑化が図られたと判断でき、円滑な労働移動を促進し、雇用の安定を図るという施策目標の達成に向けて進展があったと考えられる。
評価結果分類 分析分類
(2) (2)


3.特記事項
(1) 学識経験を有する者の知見の活用に関する事項
 「経済・産業構造の転換の中で、(略)失業を経ることなく労働移動が行われることを通じて、労働市場全体で雇用の安定を図ることが一層重要となる。このため、雇用安定事業の給付金については、(略)良好な雇用機会の創出や失業なき労働移動に対する支援により重点をおいて体系化していくことが必要である」(平成12年9月1日「中央職業安定審議会専門調査委員雇用安定等事業部会報告書」)。

(2) 各種政府決定との関係及び遵守状況
@  再就職援助計画の対象者について、「民間の就職支援会社を活用して再就職支援を行う事業主への助成など再就職援助計画制度の一層の活用」を図る。(「総合雇用対策」平成13年9月20日産業構造改革・雇用対策本部決定)
A  新たに民間の就職支援会社(アウトプレースメント会社)を活用して従業員に再就職支援を行う事業主に対して助成を行う。(「改革先行プログラム」平成13年10月26日経済対策閣僚会議決定)
B  『官民連携した雇用情報システム運営協議会』における合意を基に、公共職業安定所と民間職業紹介事業者等の連携による求人・求職情報の一元化と円滑な利用を図る総合情報ネットワークの運用を、平成13年度から確実に開始する。(規制改革推進3か年計画(改定)(平成14年3月29日)閣議決定)
C  厚生労働省は、平成14年度から、「働らコール」事業(全国の就職支援機関についての情報を提供する電話サービス)への支援、「ハローワーク・インターネットサービス」への求人企業名の掲載等を通じて就労等に関する多面的情報提供を充実する。(「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2002」平成14年6月25日閣議決定)
D  「ハローワークの求人について、インターネットによる求人企業名の公開を行う。」また、「労働移動支援助成金等の支給要件の緩和、雇用調整助成金の適用特例措置を実施する。」(「改革加速のための総合対応策」平成14年10月30日経済財政諮問会議答申)
E  「ハローワークインターネットサービスの求人企業名の公開」(「改革加速プログラム」(平成14年12月12日)経済対策閣僚会議決定)
F  「労働移動支援助成金の見直し」により、「早期再就職・労働移動支援策の充実を図る」(「雇用保険制度の見直しについて」平成14年12月18日労働政策審議会職業安定分科会雇用保険部会報告書)
G  「官民連携した雇用情報システム(しごと情報ネット)の充実」(「e-Japan重点計画2004」平成16年6月15日IT戦略本部)
H  「雇用維持支援・雇入れ支援から、労働移動支援・ミスマッチの解消」へ「重点化する」(「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2003」平成15年6月27日閣議決定)
I  雇用安定事業関連の助成金については、(1)雇用維持支援から労働移動支援へ、(2)雇入助成からミスマッチ解消へ、(3)生活支援から早期再就職へという観点に重点を置いた見直しを行うべきである。「規制改革の推進に関する第3次答申」平成15年12月22日総合規制改革会議)
I@  「雇用維持支援・雇入れ助成から労働移動支援・ミスマッチの解決等」へ「重点化する」(「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2004」平成16年6月4日閣議決定)

(3) 総務省による行政評価・監視等の状況
 なし

(4) 国会による決議等の状況(警告決議、付帯決議等)
 「経済社会の変化に対応する円滑な再就職を促進するための雇用対策法等の一部を改正する等の法律案に対する附帯決議」(平成13年3月30日衆議院厚生労働委員会、平成13年4月12日参議院厚生労働委員会)において「事業主による再就職の援助を促進するための措置については、安易な解雇を促進することのないよう十分に周知するなど適切な運用が図られるようにすること」とされている。
 「雇用保険法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議」(平成15年4月15日衆議院厚生労働委員会)において「雇用保険三事業の各種給付金等について、政策評価を適切に行い、今後とも必要な見直しを行うよう努めるとともに、中小企業の利用に配慮しつつ、不正受給の防止に万全を期すこと」とされている。
 「雇用保険法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議」(平成15年4月24日参議院厚生労働委員会)において「雇用保険三事業の各種給付金等については、政策評価を適切に行い、真に失業予防や再就職の促進に有用であると認められるものを実施するよう、不断の見直しを行うとともに、中小企業の利用促進に配慮しつつ、不正受給の防止にも万全を期すこと」とされている。

(5) 会計検査院による指摘
 なし

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