(4−2−III)
実績評価書
平成17年8月

政策体系 番号  
基本目標 経済・社会の変化に伴い多様な働き方が求められる労働市場において労働者の職業の安定を図ること
施策目標 雇用機会を創出するとともに雇用の安定を図ること
III 事業活動の縮小を余儀なくされた企業における雇用の維持・安定を図ること
担当部局・課 主管部局・課 職業安定局雇用開発課
関係部局・課  


1.施策目標に関する実績の状況
実績目標1 失業者の発生を予防すること(雇用調整助成金の利用事業所の事業主都合離職割合が非利用事業所の同時期における事業主都合割合以下となることを目指す。また、利用事業所の保険関係消滅割合が非利用事業所の同時期における保険関係消滅割合の1/10以下となることを目指す。)
(実績目標を達成するための手段の概要)
 景気の変動、産業構造の変化等により急激な事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が、事前に休業規模等を計画した届出を行い、その雇用する労働者に対し休業、教育訓練又は出向を実施し、支給申請をした場合、雇用調整助成金(以下「本助成金」という。)を支給し、支払った賃金等の一部を助成することにより、労働者の失業の予防を図る。

○関連する経費(平成16年度予算額) 17,918百万円
(評価指標)
雇用調整助成金の対象者数
(延べ)
  H12 H13 H14 H15 H16
休業
(千人)
991 451 913 121 23
  (新)220 (新)833 (新)121 (新)23
  (旧)231 (旧)79 (旧)0 (旧)0
教育訓練
(千人)
261 44 84 4 1
  (新)11 (新)57 (新)4 (新)1
  (旧)33 (旧)26 (旧)0 (旧)0
出向
(人)
5,752 3,242 284 124 68
  (新)0 (新)157 (新)104 (新)68
  (旧)3,242 (旧)127 (旧)20 (旧)0
雇用調整助成金の支給決定金額
(百万円)
24,059 11,549 15,976 2,301 687
50,951 35,611 25,486 26,186 17,918
(備考)
 評価指標の上段は職業安定局集計による実績、下段は予算上の数値である。
 平成13年10月の改正により、指定を受けた業種に限らず、一定の事業活動の縮小が見られる一般事業主について助成することとした。
 平成15年4月に支給限度日数を引き下げる等の見直しを行った。
(評価指標)
雇用調整助成金の利用事務所の事業主都合離職割合(%)
  H12 H13 H14 H15 H16
雇用保険データ   5.3 集計中   未集計
雇用調整助成金利用事業所   5.0 集計中   未集計
雇用調整助成金の利用事務所の保険関係消滅割合(%) 雇用保険データ   10.02 集計中   未集計
雇用調整助成金利用事業所   0.04 集計中   未集計
(備考)
 評価指標は職業安定局集計による。
 雇用保険データにおける雇用保険の被保険者数と雇用調整助成金利用事業者の雇用保険被保険者数のうち、1年後に事業主都合で離職した被保険者の割合。
 平成13年10月1日時点を基準として、平成16年3月31日までに消滅した雇用保険データにおける事業所数と雇用調整助成金利用事業所数の消滅割合。
 平成16年度は、雇用調整助成金の利用事業所の事業主都合離職割合が非利用事業所の同時期における事業主都合離職割合以下となること、及び利用事業所の保険関係消滅割合が非利用事業所の同時期における保険関係消滅割合以下となることを目標と設定し、事業を実施した(平成17年度以降は実績目標1欄の目標にて評価を行う)。


2.評価

(1) 現状分析
現状分析
 労働力調査(総務省統計局)によれば、平成16年度平均の雇用失業情勢は、完全失業率が4.6%と平成15年度平均と比べ0.5ポイント低下した。完全失業者数は6年連続で300万人を超えているが、平成16年度は308万人と、平成15年度から34万人減少した。また、一般職業紹介状況(厚生労働省職業安定局)によると、平成16年度平均の有効求人倍率は0.86倍(平成15年度0.69倍)と上昇している。
 これらの数値から現下の雇用失業情勢は、厳しさが残るものの改善してきているといえる。しかし、景気変動等に伴い事業活動の縮小を余儀なくされる事業主は未だ少なからず存在するものと考えられるため、休業等又は出向といった一時的な雇用調整を行う事業主を支援し、失業の予防を図ることが必要となっている。

(2) 評価結果
政策手段の有効性の評価
 平成16年度は、前年度と比べ約91千人減の延べ約29千人を対象に、休業手当の一部助成を行ったところであるが、この実績減は、最近の景気回復等による雇用失業情勢の改善によるものと考えられる。また、こうした実績の減少と、そもそも本助成金が雇用のセーフティネットとしての役割を担っており、年度途中で不足が生じることのないよう一定の予算を計上していることから予算と実績の乖離が生じており、予算要求額は、事業執行率やセーフティネットとしての役割を踏まえつつ、適正な要求額となるよう検討する必要がある。他方、依然として一時的な雇用調整を行う必要がある事業主は存在しており、助成金を利用した事業所における事業主都合離職割合及び保険関係消滅割合はそれぞれ5.0%、0.04%といずれも非利用事業所の同時期における数値(5.3%、10.02%)を下回っており、本助成金は失業の予防・雇用維持のために有効に活用された。
政策手段の効率性の評価
 雇用調整助成金は、労働者の失業の予防を図ることを目的としており、雇用調整を行う事業所の実情にあわせて休業・教育訓練又は出向のいずれかの雇用調整を選択することが可能である。また、雇用調整を行う企業の規模に応じ、中小企業には高率助成を行うなど、効率的な助成が行われている。
総合的な評価
 雇用調整助成金の活用により、一定程度失業の予防が図られ、目標をほぼ達成したと考えられる。
 また、平成16年11月19日には、平成16年10月23日に発生した新潟県中越地震により被災した事業所に対して特例措置を講じたところであり、雇用調整助成金は多様な景気の変動に対して柔軟な制度運営を行い、労働者の失業の予防を図っている。今後も雇用の維持に対して本助成金の果たす役割は大きいことから、制度の周知徹底を図ることが必要である。
評価結果分類 分析分類
(2) (2)


3.特記事項
(1) 学識経験を有する者の知見の活用に関する事項
なし

(2) 各種政府決定との関係及び遵守状況
「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2004」(平成16年6月4日閣議決定)において「雇用維持支援・雇入助成から労働移動支援・ミスマッチ解消支援への重点化を進める。」と指摘されている。

(3) 総務省による行政評価・監視等の状況
なし

(4) 国会による決議等の状況(警告決議、付帯決議等)
なし

(5) 会計検査院による指摘
なし

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