(2−2−II)
実績評価書
平成17年8月

政策体系 番号  
基本目標 安心・快適な生活環境づくりを衛生的観点から推進すること
施策目標 麻薬・覚せい剤等の乱用を防止すること
II 国内及び水際において、薬物事犯に対する取締りを徹底すること
担当部局・課 主管部局・課 医薬食品局監視指導・麻薬対策課
関係部局・課  


1.施策目標に関する実績の状況
実績目標1 国内の関係機関と協力し、不正な麻薬、覚せい剤等を押収すること
(実績目標を達成するための手段の概要)
 地方厚生局麻薬取締部において、薬物対策関係省庁との連携の下、警察・税関等と積極的に情報の共有化を図り、密売者や乱用者に対する徹底的な取締りを実施している。

関連する経費(平成16年度予算額)
・麻薬取締活動推進費 569百万円
(評価指標) H12 H13 H14 H15 H16
 薬物事犯の検挙件数(件) 28,662 28,053 26,953 24,384 22,395
(421) (380) (472) (441) (429)
 薬物事犯の検挙人数(人) 20,701 19,953 19,219 17,555 15,412
(319) (302) (391) (381) (355)
主な薬物の押収量(kg)
覚せい剤 1030.5 419.2 442.1 493.5 411.3
(3.6) (13.1) (5.2) (1.5) (1.3)
大麻(乾燥大麻及び大麻樹脂の合計) 495.6 917.4 531.7 881.3 970.1
(5.4) (252) (14.7) (35.3) (32.8)
(備考)
 評価指標は、厚生労働省・警察庁・海上保安庁の統計資料の合計
 〔( )内は麻薬取締職員による押収量で内数〕
(評価指標)
 薬物乱用経験者数(%)
H12 H13 H14 H15 H16
1.3 0.8
(備考)
 評価指標は、「薬物使用に関する全国住民調査」(厚生科学研究(医薬安全総合研究))による15歳以上の一般国民を対象とした違法薬物を経験した者の割合。なお、当該調査は隔年で実施している。
実績目標2 薬物密造国等の取締当局と情報を交換すること
(実績目標を達成するための手段の概要)
 国連麻薬委員会やアジア・太平洋地域麻薬取締機関長会議等の薬物関係の国際会議に参加し、海外の薬物情勢や取締対策の情報交換・分析等を実施すると共に、DEA(米国麻薬取締局)等の外国捜査機関とも積極的に情報交換を行っている。

 ○ 関連する経費(平成16年度予算額)
 ・ 麻薬取締活動推進費 569百万円
(評価指標) H12 H13 H14 H15 H16
 薬物事犯の検挙件数(件) 28,662 28,053 26,953 24,384 22,395
(421) (380) (472) (441) (429)
 薬物事犯の検挙人数(人) 20,701 19,953 19,219 17,555 15,412
(319) (302) (391) (381) (355)
主な薬物の押収量(kg) 覚せい剤 1030.5 419.2 442.1 493.5 411.3
(3.6) (13.1) (5.2) (1.5) (1.3)
大麻(乾燥大麻及び大麻樹脂の合計) 495.6 917.4 531.7 881.3 970.1
(5.4) (252) (14.7) (35.3) (32.8)
(備考)
 評価指標は、厚生労働省・警察庁・海上保安庁の統計資料の合計
 〔( )内は麻薬取締職員による押収量で内数〕
(評価指標)
 薬物乱用経験者数(%)
H12 H13 H14 H15 H16
1.3 0.8
(備考)
 評価指標は、「薬物使用に関する全国住民調査」(厚生労働科学研究(医薬安全総合研究))による15歳以上の一般国民を対象とした違法薬物を経験した者の割合。なお、当該調査は隔年で実施している。


2.評価

(1) 現状分析
現状分析
 我が国の薬物情勢は、検挙者の大多数を占める覚せい剤事犯の検挙者数は減少したものの、依然として相当量の押収があり、また大麻やMDMA等錠剤型合成麻薬事犯については、検挙者の約9割が初犯で、特に20歳代を中心とした若年層への乱用の拡大が顕著となっており、依然として深刻であり予断を許さない状況にある。今後とも関係機関が緊密な連携を図り、取締体制の充実強化を図ることが必要である。

(2) 評価結果
政策手段の有効性の評価
 取締関係機関相互において情報交換、合同捜査等の緊密な連携を図って取締りを強化したことにより、大量のMDMAや大麻を押収するなどの効果があった。
 厚生労働省においては、関係省庁との定期的な情報交換だけでなく取締りにおいても協力を推進しており、麻薬取締部は、平成16年7月、税関と協力してコントロールドデリバリー捜査を実施し約6万錠のMDMAを押収して外国人や密輸に関与していた暴力団関係者を検挙するなどのがあった。
 また、薬物乱用問題は世界的にも深刻な問題であることから、外国当局と協力して薬物情勢についての情報収集を実施したほか、麻薬等の原料物質統制に関するフォーラムの開催等を通じて積極的な意見交換を実施することにより国際的な薬物取締対策の推進が図られた。
 以上のように、薬物の取締りの徹底を推進する上で効果的な施策が講じられている。
政策手段の効率性の評価
 薬物乱用対策推進本部において策定された「薬物乱用防止新五か年戦略」や「緊急水際対策」、犯罪対策閣僚会議において策定された「犯罪に強い社会の実現のための行動計画」等の各種施策の下、これらの目標の達成に向け、薬物事犯の摘発はもとより、関係省庁、関係機関との連携を密にし、協力体制を確立することにより、国際的密輸入事犯や組織的密売事犯への対応をはじめ、総合的な取締対策を推進しており、国内及び水際における薬物取締りを推進する上で効率的な施策が講じられている。
 麻薬取締部は、医療機関等における正規流通麻薬にかかる不正事犯を都道府県の麻薬取締員と協力して取り締まっているほか、全国にまたがるインターネット密売事犯等に対して、国の機関として広域的に対応できる特性を生かして捜査を実施するなど、特別司法警察員として薬物取締りにおいて特殊な役割を担っている。
総合的な評価
 平成16年は、全国で約411kgの覚せい剤や約970kgもの大麻(うち大麻樹脂については327.5kgと過去最高)を押収するとともに、約1万5千人を検挙している(関係省庁の合計)。厚生労働省は、関係機関との情報交換のみならず、合同捜査等により摘発に積極的に貢献し成果を挙げることができたことから、施策目標の達成に向けて進展があったものと評価できる。
 しかしながら、検挙人員、押収量からみても薬物事犯が深刻な状況であることに変わりがないことから、今後とも薬物対策関係省庁等との捜査協力や情報交換を通じて緊密な連携を図ることにより取締体制の充実強化を進めることが必要である。
評価結果分類 分析分類
(2) (2)


3.特記事項
(1) 学識経験を有する者の知見の活用に関する事項
 なし。
(2) 各種政府決定との関係及び遵守状況
 平成10年5月に薬物乱用対策推進本部が決定した「薬物乱用防止五か年戦略」に基づき、覚せい剤事犯を中心に徹底した薬物取締対策を推進してきたところであるが、依然として厳しい薬物情勢に的確に対処するため、平成15年7月、新たに「薬物乱用防止新五か年戦略」及び「薬物密輸入阻止のための緊急水際対策」を策定。
 また、平成15年9月、「現在の日本の治安は危険水域にある」との認識から、全閣僚が参加した犯罪対策閣僚会議を開催するとともに、同年12月「犯罪に強い社会の実現ための行動計画」を策定。

「薬物乱用防止新五か年戦略(目標2)」
 薬物密売組織の壊滅を図るとともに、末端乱用者に対する取締りを徹底する。」との方針に基づき、麻薬取締官を増員する等して暴力団、イラン人等外国人密売組織の取締りを強化しているとともに、ますます巧妙化している密売方法に的確に対処し、また、末端乱用者の検挙の徹底を図っている。

「薬物乱用防止新五か年戦略(目標3)」
 「薬物の密輸を水際でくい止めるとともに、薬物の密造地域における対策への支援等の国際協力を推進する」との方針に基づき、密輸事犯の検挙を進めるとともに、国際会議への出席や職員の派遣等を通じて外国当局等との関係強化を図っている。

「薬物密輸入阻止のための緊急水際対策」
 「薬物の密輸を水際で食い止める上での海路対策の重要性にかんがみ、関係省庁が一体となって水際対策を重点的に行う」との方針に基づき、捜査体制を強化して密輸事犯の情報収集・分析能力の向上を図るとともに、警察・税関等関係機関との連携を強化し合同取締り等を実施している。

「犯罪に強い社会の実現ための行動計画」
 「国民の治安に対する不安感を解消し、犯罪の増勢に歯止めをかけ、治安の危機的状況を脱する」との方針に基づき、薬物犯罪等から経済、社会を防護するため、暴力団やイラン人等外国人薬物密売組織の壊滅、末端乱用者の検挙、薬物密輸の水際での阻止等薬物事犯取締りの徹底等を図っている。
(3) 総務省による行政評価・監視等の状況
 なし。
(4) 国会による決議等の状況(警告決議、付帯決議等)
 なし。
(5) 会計検査院による指摘
 なし。

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