(1−9−II)
実績評価書
平成17年8月

政策体系 番号  
基本目標 安心・信頼してかかれる医療の確保と国民の健康づくりを推進すること
施策目標 新医薬品・医療機器の開発を促進するとともに、医薬品産業等の振興を図ること。
II 医薬品・医療機器の流通改善を図ること
担当部局・課 主管部局・課 医政局経済課
関係部局・課 医政局研究開発振興課医療機器・情報室等


1.施策目標に関する実績の状況
実績目標1 取引慣行の改善による公正な競争を実現すること
(実績目標を達成するための手段の概要)
流通改善のための指導や、医療用医薬品製造販売業公正取引協議会等が業界に対して行う法令の周知徹底の支援。
(評価指標)
不公正な競争の事案数(単位:件)
H12 H13 H14 H15 H16
26 10
(備考)
・医療用医薬品製造販売業公正取引協議会・医療機器業公正取引協議会調べによる公正競争規約違反事案数。
 ※ 平成12年度については、大阪枚方市民病院贈収賄事件に係る規約違反事案(24件)を含む。
 ※ 平成16年度については、ある特定医療機関院長への接待に係る規約違反事案(5件)を含むため件数が増えている。
実績目標2 流通の効率化・合理化を促進すること
(実績目標を達成するための手段の概要)
・医薬品については医薬品コードの標準化、医療機器についてはサプライチェーン構想(※)の推進。
 ※ 情報技術(IT)を活用することによって、医療材料商品コードの標準化、医療材料データベースの構築、医療材料のバーコード表示及び電子商取引システムの構築を行い、製品の調達から生産、販売、流通、消費及び回収までの全過程(サプライチェーン)のモノと情報の流れの適正化を図るもの。

 ○ 関連する経費(平成16年度予算額)
 ・ 医薬品流通近代化推進事業 1.5百万円
(評価指標)
平均の流通コスト
(単位:%)
  H12 H13 H14 H15 H16
医薬品 8.6 8.2 7.7 7.4
医療機器 9.7 9.6
(備考)
「平均の流通コスト」とは、売上高に対する販売費及び一般管理費の比率をいう。
医薬品については、日本医薬品卸業連合会調べ(平成16年度は調査中)。
医療機器については、医療機器産業実態調査(厚生労働省医政局経済課。平成14年度から開始(平成16年度は調査中))。


2.評価

(1) 現状分析
現状分析
 医薬品・医療機器の販売における、不公正な競争の事案(不当な景品類の提供行為)が依然として一部に見られる。
 医薬品の流通においては、JANコード(※)を活用し、医薬品を特定するためのコードの標準化を図り、受発注システム及び在庫管理の効率化を図っているところであるが、追跡管理(トレーサビリティー)のより一層の向上の観点からコードの見直しを進めている。
 また、医療機器の流通においては、情報伝達に必要な統一商品コード及びバーコードについて、これまで厚生労働省や業界団体が普及に努めてきたところであるが、その一部において未だコードの標準化が図られず、さらに、各企業の取組についても差が見られる。
 ※ 国際EAN協会(バーコードの世界的管理機関)によって制定された国際的な共通商品コード

(2) 評価結果
政策手段の有効性の評価
 厚生労働省が流通改善のための指導等を行うことは、事業者や団体等における遵法意識が向上し、公正な競争が行われるようになるため、有効である。
 医薬品の流通において、コードの標準化を図ることは、物流段階における入出庫業務、検品作業及び保管作業並びに薬事法の平成14年改正によって義務付けられた生物由来製品の販売情報の随時把握について、正確性の向上に資するものであり、流通改善を図るために有効である。
 また、コードの標準化が遅れている一部の医療機器の流通においては、厚生労働省に提出される「医療機器保険適用希望書」にコードの標準化を進めるためコード番号を記載するよう指導等を行っており、こうした施策の実施により医療機器の流通においてもコードの標準化が進み、医薬品同様の流通改善が図られるため、有効である。
政策手段の効率性の評価
 医薬品・医療機器の流通改善は、本来、各企業が公正かつ自由な競争を行うことにより実現するものであるが、医療保険財政の悪化、医薬分業の進展、IT化の進展など医薬品・医療機器の流通を取り巻く状況の変化等の影響もあることから、事業者や団体等に対する法令の周知徹底等、厚生労働省としても流通改善のために一定の役割を果たす必要がある。
 医薬品の流通に関し、関係業界を含めたコードの標準化のための検討会を開催すること等は、医薬品の流通改善施策を実施する上で効率的である。
 また、医療機器の流通に関し、各企業のコードの標準化及び普及状況の調査を実施していくこと等を通じて、コードの標準化等の推進を図ることは、医療機器の流通改善施策を実施する上で効率的である。
総合的な評価
 医療保険財政の悪化、医薬分業の進展、IT化の進展など医薬品・医療機器の流通を取り巻く状況の変化等の影響がある中においても、各施策の実施により医薬品の平均の流通コストが平成11年度から15年度までの間に4年連続で減少したこと、また、医療用医薬品の流通改善に関する懇談会において、平成16年12月に「中間とりまとめ」を公表し、品目ごとの価格が明示されない総価取引や長期に渡る未妥結・仮納入に対する提言を行うなど施策目標の達成に向けて進展があったものといえる。しかし、施策目標の更なる達成のためには、上記に掲げた手段を活用し、さらに現行施策を推進する必要がある。なお、平成16年度については、ある特定医療機関院長への接待に係る規約違反事案(5件)を含むため件数が増えているが、実質的にはほぼ横ばいだと認識している。
評価結果分類 分析分類
(2) (2)


3.特記事項
(1) 学識経験を有する者の知見の活用に関する事項
 医療用医薬品については、「医療用医薬品の流通改善に関する懇談会」を平成16年6月に設置し、関係団体や学識経験者等から意見を聴取し、平成16年12月に「中間とりまとめ」を公表した。
(2) 各種政府決定との関係及び遵守状況
 なし。
(3) 総務省による行政評価・監視等の状況
 なし。
(4) 国会による決議等の状況
 なし。
(5) 会計検査院による指摘
 なし。

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