(1-7-I)
実績評価書
平成17年8月

政策体系 番号  
基本目標 1 安心・信頼してかかれる医療の確保と国民の健康づくりを推進すること
施策目標 7 血液製剤の国内自給を推進するとともに、安全性の向上を図ること
I 血液製剤の国内自給の推進を図ること
担当部局・課 主管部局・課 医薬食品局血液対策課
関係部局・課  


1. 施策目標に関する実績の状況
実績目標1 効果的な献血の普及を推進し、年次計画による原料血漿確保目標量を確保すること
(実績目標を達成するための手段の概要)
 献血キャンペーン等地域における効果的な献血の普及活動を推進するとともに、毎年度、翌年度の原料血漿確保目標量を設定し、献血可能人口等地域の実情を踏まえて、これを各都道府県ごとに割当てている。

 ○ 関連する経費(平成16年度予算額)
 ・ 献血制度推進特別事業費 179百万円
 ・ 献血推進普及特別対策費 33百万円
 ・ 献血受入確保施設設備整備費 273百万円
(評価指標) H12 H13 H14 H15 H16
 原料血漿確保量(万L) 95.5 104.3 109.8 102.5 94.2
 原料血漿確保目標量(万L) 94.0 101.0 108.0 108.0 94.0
 献血者数(万人) 587.8 579.0 576.5 560.6 540.9
 献血量(万L) 207.6 210.4 212.7 207.6 199.3
(備考)
 評価指標は、日本赤十字社による。H16は速報値である。
実績目標2 輸血用血液製剤の国内自給を維持し、血漿分画製剤の国内自給を推進すること。
(実績目標を達成するための手段の概要)
血液製剤の需要を的確に把握し、必要な量の血液及び原料血漿を計画的に確保するとともに、適正使用を推進する。
(評価指標) H12 H13 H14 H15 H16
 輸血用血液製剤の国内自給率(%) 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0
 アルブミン製剤の国内自給率(%) 30.2 34.2 36.5 47.5 50.1
 免疫グロブリン製剤の国内自給率(%) 67.1 82.1 83.8 86.9 87.3
 血液凝固第VIII因子製剤(血液由来)の国内自給率(%) 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0
(備考)
 調査指標:輸血用血液製剤は日本赤十字社による。その他の製剤は厚生労働省まとめ。H16は暦年数値である。
実績目標3 献血受入体制を整備すること
(実績目標を達成するための手段の概要)
 より効率的に献血への協力を得られるよう日本赤十字社が実施する環境整備(主要な駅の周辺(繁華街)への献血ルームの設置・改修、成分採血装置の整備等)に対し補助金を交付する。
(評価指標) H12 H13 H14 H15 H16
 採血出張所 123 125 124 124 124
 成分採血装置数 2,521 2,481 2,601 2,545 2,545
 献血ルームのベッド数 1,139 1,135 1,164 1,175 1,202
(備考)
 評価指標は、日本赤十字社による各年度末の数値。


2. 評価

(1) 現状分析
現状分析
 献血血液による血液製剤の国内自給を達成するため、平成2年1月から毎年度、翌年度の原料血漿確保目標量を定め、各都道府県に割り当てている。例年、目標量の確保を達成するとともに主な製剤の自給率も向上してきた。
 平成15年度からは、「安全な血液製剤の安定供給の確保等に関する法律」の規定に基づき、「血液製剤の安定供給に関する計画」を定め、確保目標量等を設定している。なお、平成16年度は、献血量等は減少したが、原料血漿の確保実績量は目標量を確保、主な製剤の自給率は上昇している。
 また、平成15年度からは、献血により確保すべき血液量の目標を定め、都道府県別に割り当てている。輸血用血液製剤の自給率は引き続き100%を維持している。
 献血受入体制の整備は計画的に行われている。
 なお、近年の献血量の減少や平成16年度末の国内初のvCJD発生に伴う今後の献血制限措置による輸血用血液製剤の供給への影響については、直ちに欠品等の発生のおそれはないものの、長期的には深刻な状況であり、今後は、在庫量に注視しつつ、献血の呼びかけ強化等の献血確保対策を的確に実施する必要がある。
 また、輸血用血液製剤の中長期的な見通しについても、少子高齢化等による若年層の献血者の減少や輸血を必要とする高齢者の増加といった構造的な問題があり、厳しい状況が予想されることから、若年層や複数回献血者の増加等のための献血推進方策や医療機関における適正使用の一層の推進等を図るための施策を強化する必要がある。

(2) 評価結果
政策手段の有効性の評価
 平成16年度においては、適正使用の推進等による需要量の減少を踏まえ、前年度(108万リットル)より少ない94万リットルを原料血漿の確保目標量とし、94.2万リットルを確保し、目標を達成している。
 輸血用血液製剤については、引き続き国内自給が達成されている。
 血漿分画製剤のうち、その多くを輸入に依存するアルブミン製剤の自給率は、前年度(47.5%)に比べ50.1%と上昇している。「血液製剤の使用指針」等を周知し適正使用の推進に努めるとともに計画的に献血を推進する各施策が引き続き、有効であったと評価できる。
 また、免疫グロブリン製剤の自給率も、前年度(86.9%)に比べ87.3%と上昇、献血由来の血液凝固第VIII因子製剤については引き続き100%の自給率である。
 献血受入体制の整備に関しては、採血ベッド数の増加、献血ルームの改修、採血装置の更新などが計画的に実施されている。
政策手段の効率性の評価
 現在、採血事業を実施しているのは日本赤十字社のみであり、同社の行う採血施設の設置、改修、採血装置の更新等に対して国庫補助を行うことにより献血受入体制の整備が促進され、輸血用血液製剤や原料血漿のより効率的な確保が可能となる。
総合的な評価
 献血の推進による計画的な原料血漿の確保、血液製剤の適正使用の推進等により、献血血液による血液製剤の国内自給率は向上しているが、多くの血漿分画製剤について未だ相当量を輸入に依存している。そのため、今後とも、血液製剤の中長期的な需給見通しに基づき、関係機関の協力を得て献血の推進を図るための体制整備に努め、原料血漿の計画的な確保を図るとともに、一層の適正使用を進めること等により、国内自給を推進することとしている。
評価結果分類 分析分類
(2) (2)


3. 特記事項
(1) 学識経験を有する者の知見の活用に関する事項
 特になし
(2) 各種政府決定との関係及び遵守状況
 特になし
(3) 総務省による行政評価・監視等の状況
 特になし
(4) 国会による決議等の状況(警告決議、付帯決議等)
 平成14年7月24日、衆議院厚生労働委員会において、
   血液製剤は、人体の一部である血液を原料とするものであることから、倫理性、国際的公平性等の観点に立脚し、国民の善意の献血による血液によって、国内自給を達成できるよう、全力を傾注すること。また、昭和39年8月21日の閣議決定に基づき多くの関係者が献血運動を推進すべく努力を積み重ねてきたことを踏まえ、献血に対する更なる国民の理解と協力を得るため、関係省庁間の連携体制を強化すること。
との委員会決議が行われた。
(5) 会計検査院による指摘
 特になし

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