(1−6−1)
実績評価書
平成17年8月

政策体系 番号  
基本目標 安心・信頼してかかれる医療の確保と国民の健康づくりを推進すること
施策目標 品質・有効性・安全性の高い医薬品・医療機器を国民が適切に利用できるようにする
I 有効性・安全性の高い新医薬品・医療機器の迅速な承認手続きを進めること
担当部局・課 主管部局・課 医薬食品局審査管理課・医療機器審査管理室
関係部局・課  


1.施策目標に関する実績の状況
実績目標1 新医薬品・医療機器の優先審査を進めること
(実績目標を達成するための手段の概要)
・平成16年2月に、優先審査等の取扱いについて、基準の明確化・透明性の向上を図るために通知を発出した。
・承認審査の迅速化を図るため、平成16年4月に(独)医薬品医療機器総合機構を設置した。
・審査体制の充実・強化を図るため、同機構の審査担当者の増員を行っている。
・同機構の審査担当者の質の向上を図るため、外部機関を活用した研修を行っている。
・優先審査が遅滞なく行われるよう、同機構に優先審査調整役をおき、審査の進捗を管理している。
(評価指標)
 優先審査承認品目の割合(%)
H12 H13 H14 H15 H16
26 59 51 29 50
(参考)
図

図

図

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図

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(備考)
・新医薬品(新有効成分)の承認件数に占める優先審査承認件数の割合
・優先審査適用品目は、適応疾病の重篤性及び医療上の有用性に基づき指定している。
実績目標2 標準事務処理期間内に処理すること
(実績目標を達成するための手段の概要)
・承認審査の迅速化を図るため、平成16年4月に(独)医薬品医療機器総合機構を設置した。
・審査体制の充実・強化を図るため、同機構の審査担当者の増員を行っている。
・同機構の審査担当者の質の向上を図るため、外部機関を活用した研修を行っている。
・同機構の中期計画を次のとおり設定。
 ○ 新医薬品:平成16〜19年度の各年度を通じ、審査事務処理期間12ヶ月・70%
 ○ 新医療機器:平成17年度及び18年度の審査事務処理期間12ヶ月・80%
 ○ 中期目標期間終了後(平成20年度)
 新医薬品は12ヶ月・80%(優先審査は6ヶ月・50%)
 新医療機器は12ヶ月・90%(平成19年度〜)(優先審査は9ヶ月・70%)
(評価指標) H12 H13 H14 H15 H16
申請件数 3720 3580 2062 3368 2997
処理件数 2761 3533 2077 2449 3092
(備考)
・「処理件数」については、医療用医薬品の承認件数(一部変更承認を含む。)を指し、各年度ごとの「申請件数」に対応するものではない。
(評価指標)
標準事務処理期間(審査事務処理期間)
H12 H13 H14 H15 H16
12ケ月 12ケ月 12ケ月 12ケ月 12ケ月
(備考)
・評価指標は、医療用医薬品の審査事務処理期間である。
(参考) H12 H13 H14 H15 H16
新医薬品の審査期間(中央値) 10.8月 11.3月 8.6月
52件 51件 49件
新医療機器の審査期間(中央値) 3月 9月 12.7月
3件 13件 8件
(備考)
・新医薬品の平成14年度欄は暦年のデータ。
実績目標3 リスクの低いものについて基準を定めて策定する第三者認証基準について、その総数が前年度を上回るものとすること
(実績目標を達成するための手段の概要)
・医療機器の承認についての国内基準をISO等の国際基準と整合させるとともに、未だ国際基準が定められていない基準につき、我が国から積極的にその基準の策定を提案するとともに、合意された国際基準につき、JIS等の国内基準に反映させる等により、薬事法上の基準にする努力を行ってきた。
・平成17年度からは、低リスク医療機器のうち、厚生労働大臣が基準を定めた品目につき、厚生労働大臣の承認を不要とし、第三者認証機関による基準適合性を審査する制度を、さらに、極めてリスクの低い医療機器は、自己認証とする制度を導入した。
(評価指標) H12 H13 H14 H15 H16
 第三者認証基準作成総数 363
 第三者認証機関による認証品目数
(備考)
・平成17年度からの施行に向け、16年度より第三者認証基準を作成。


2.評価

(1) 現状分析
現状分析
・(独)医薬品医療機器総合機構を設置し、医薬品に係る的確で迅速な審査を実施するため、薬学、医学、獣医学、生物統計学等の専門課程を修了した審査担当者が、それぞれ専門とする分野を担当する審査チームを形成して審査を実施している。
・しかしながら、治験相談と承認審査の一体化を図ったことにより、治験相談に対する期待がより一層大きくなり、相談需要が高まったことから、治験相談の受付を停止しなければならない状況にあった。
・そのため、同機構の中期計画の達成に必要な審査担当者の増員を図る必要がある。
・審査の進行管理を徹底し、遅れが見られる場合、審査の進捗を改善する。特に優先審査にあっては、優先審査調整役を置く。
・平成14年7月に成立した改正薬事法において、リスクの低い医療機器について第三者認証制度の導入を図ることにより、国が行う審査をリスクの高い医療機器へ重点化する制度が構築されたことから、この制度を円滑に実施していく必要がある。

(2) 評価結果
政策手段の有効性の評価
・(独)医薬品医療機器総合機構を設置したこと、同機構の審査担当者の増員を行ったこと及び同機構の審査担当者の質の向上を図るため外部機関を活用した研修を実施したことにより、平成16年度には、
 治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌に有効なオキサリプラチンをはじめ11品目について優先的に迅速な承認審査を行い、医療現場への早期提供に貢献した。
 新医薬品は、平均事務処理期間8.6月で49件を承認し、医療現場への早期提供に貢献するなど効果的であった。
 以上のように、施策目標の達成に向け有効な措置が講じられ、効果がみられた。
政策手段の効率性の評価
・通知を発出し、優先審査品目の選定の考え方等を示すことにより、申請者の積極的な優先審査の申出、行政側の速やかな選定が実施された。
・承認審査については、薬学、医学、獣医学及び生物統計学等の専門課程を修了した審査担当者による「チーム審査」の実施により、審査の高度化及び効率化を図っている。
・さらに、最新の科学的な知見を求めるため、外部の専門家を活用している。(専門協議)
・平成17年度からは、リスクの低い医療機器(管理医療機器)のうち、適合性認証基準が定められたものについては、医薬品医療機器総合機構による審査から第三者認証機関による認証へと制度が変更となり、審査の分業による効率化を図ったところ(改正薬事法の施行)。
総合的な評価
・審査機関である国立医薬品食品衛生研究所医薬品医療機器審査センター、医薬品機構及び医療機器センターの統合や職員に対する研修等により、審査体制の充実・強化、効率化が図られており、また、平成16年度においては、優先審査品目の選定の考え方に沿った新医薬品等に対する優先審査も50%について行っており、さらに新医薬品については、平均審査事務処理期間が8.6月で処理されているなど、医薬品等の医療現場への早期提供等に貢献している。
・なお、審査体制については、欧米の審査体制を参考とし、(独)医薬品医療機器総合機構の審査体制を整備したところであるが、必ずしも十分な要員が確保されたとはいえないことから、今後、(独)医薬品医療機器総合機構の中期計画が達成されるべく、審査担当者の確保に努める等、審査体制の強化を図ることが重要である。
・第三者認証制度の活用の推進による効率化等により、施策目標の達成に向けた一層の取り組みの強化を図ることが課題である。
評価結果分類 分析分類
(2) (2)


3.特記事項
(1) 学識経験を有する者の知見の活用に関する事項
 なし。
(2) 各種政府決定との関係及び遵守状況
 なし。
(3) 総務省による行政評価・監視等の状況
 なし。
(4) 国会による決議等の状況(警告決議、付帯決議等)
 平成14年7月24日衆議院厚生労働委員会において、「承認審査の迅速化、安全対策の充実、監視指導の徹底を図るために、組織・人員体制の拡充が図られるよう、十分な検討が必要」との旨の委員会決議が行われている。
(5) 会計検査院による指摘
 なし。

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