(1−5−VI)
実績評価書
平成17年8月

政策体系 番号  
基本目標 安心・信頼してかかれる医療の確保と国民の健康づくりを推進すること
施策目標 感染症など健康を脅かす疾病を予防・防止するとともに、感染者等に必要な医療等を確保すること
VI 原子爆弾被爆者等を援護すること
担当部局・課 主管課 健康局総務課
関係課  


1.施策目標に関する実績の状況
実績目標1 迅速に原爆症の認定を図ること
(実績目標を達成するための手段の概要)
 疾病・障害認定審査会原子爆弾被爆者医療分科会を毎月開催し、「原爆症認定に関する審査の方針」(平成13年5月25日策定)を目安として、申請者の個々の状況を総合的に勘案した上で審査を行っている。
(評価指標) H12 H13 H14 H15 H16
 認定処理件数(件) 120 173 199 198 164
 平均処理期間(日) 326 189 129 253 307
(備考)
 健康局総務課調査による。
 平均処理期間は申請受理日を基準に、処分までの日数の平均値を算出したもの。小数点以下は四捨五入して算出。
実績目標2 被爆者の健康の保持・増進を図ること
(実績目標を達成するための手段の概要)
 被爆者(被爆者健康手帳の交付を受けた者)に対する保健・医療・福祉にわたる総合的な援護施策を講ずるという観点から、被爆者に対し、医療費の支給や健康診断等を行っている。
(評価指標)
 被爆者健康診断受診率(%)
H12 H13 H14 H15 H16
85.8 85.3 84.4 82.4 79.4
(備考)
 健康局総務課調査による。
 被爆者健康診断受診率は、一般健康診断受診者数/(被爆者健康手帳交付者数+健康診断受診者証交付者数)で計算。

 ○ 関連する経費(平成16年度予算額)
 ・ 疾病・障害認定審査会に必要な経費  2,991千円
 ・ 原爆障害対策費  152,669,933千円


2.評価

(1) 現状分析
現状分析
 1年間における原爆症の認定数は171人(過去5年間平均)であり、認定に要する期間は平成12年度の平均326日から平成14年度の平均129日に短縮されたものの、平成15年度、平成16年度ともに平均処理期間は増加している。平成15年度以降、平均処理期間が増加している理由は、平成14年度の申請件数が前年度518件に対し1,182件に増加したことと、平成14年度の異議申立の件数が前年度56件に対し186件に増加したことが考えられる。
 また、健康診断の受診率は、過去5年間平均で83.5%と高水準であるが、毎年減少していく傾向にある。これは、高齢化に伴い日頃から医療機関にかかっている被爆者が増えており、健康診断を受診するのではなく、医療を受ける一環として健康管理を行う者が増加していることが原因だと考えられる。
 被爆者の高齢化等に伴い、原爆症の認定申請の迅速な処理や原子爆弾被爆者の健康の保持・増進の必要性がなお一層求められる。

(2) 評価結果
政策手段の有効性の評価
 原子爆弾被爆者の援護として、特に、原爆症にかかり、現に医療を要する状態にある被爆者に対し、公費により確実に必要な医療を行うとともに、原爆症のために余儀なくされている特別の出費を補い医療効果の向上を図るための医療特別手当を支給することが必要であるが、このためには、個々の状況にある被爆者が、原爆症にかかり、現に医療を要する状態にあることについて「高度の蓋然性」をもって認められるか否かを適正に判断できることが前提となる。原爆症の認定制度は、この判断を適正に行うために被爆者医療の専門家から成る原子爆弾被爆者医療分科会の意見を聴いた上で行っているところ、平成16年度の認定処理件数は164件となっており、適正さを確保しつつ、迅速な認定を行うことは、施策目標の達成のために有効な手段である。 また、被爆者全体に対して、まず疾病の早期発見・早期治療のために、健康診断の実施、医療費の支給などを実施するとともに、被爆者の状況に応じた各種手当の支給、相談事業等を実施するなど、総合的な援護策を講じており、これらは被爆者の健康保持・増進のための政策手段として有効である。
政策手段の効率性の評価
 原爆症の認定については、被爆者医療の専門家から成る原子爆弾被爆者医療分科会において、同分科会が作成した「原爆症認定に関する審査の方針」を目安として審査を行った結果を踏まえて行っており、個々に健康状態が異なる被爆者に対して効率的に適正かつ迅速な認定を行っている。
 また、被爆者に対しては、まず健康診断及び健康診断の結果に基づく指導を行うことにより、疾病の予防・早期発見するほか、被爆者の状況に応じて各種手当を支給することなど、効率的に、総合的な援護措置を講じている。
総合的な評価
 認定処理件数は、平均171件であり、健康診断受診率は、8割を超える高水準であることなどから、原子爆弾被爆者の援護に効果があったと評価できる。
 今後も引き続き現行の施策を推進し、原子爆弾被爆者の援護に努めていくことが必要と考えられる。
政策結果分類 分析分類
(2) (2)


3.特記事項
(1) 学識経験を有する者の知見の活用に関する事項
 なし。
(2) 各種政府決定との関係及び遵守状況
 なし。
(3) 総務省による行政評価・監視等の状況
 なし。
(4) 国会による決議等の状況(警告決議、付帯決議等)
 なし。
(5) 会計検査院による指摘
 なし。

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